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クチズサミスト

アナ と 雪の女王 より let it go ~風と空と共にある者

 ディズニー映画『アナと雪の女王』の主題歌『Let it go』についてです。
 英語の原曲を日本語に直した歌詞がありますが、さすがはプロの方は素晴らしいと思います。英語の歌を日本語の歌に直すとき、音節の数を同じに合わせなきゃならないので、言葉がかなり制限されます。 
 だから原作と全く同じ内容を盛り込むことは不可能に近いのです。ですから訳者は独特の世界観を持って新しく創作する積もりで訳さなければなりません。
 当然意訳を使って訳すことになります。私はあの日本語の『ありの ままに』がとても良くできていると感心しています。ですがここでそれを引用すると著作権を侵害するので日本語歌詞は読者の方で後でゆっくり味わってもらうことにします。後でもう一度あの歌詞を見たとき、どんなにすばらしいか気がつくことでしょう。
 今回私は英語の歌詞を味わってみたいと思いました。まず英語の歌詞は書き抜くことはご法度ですので、私のガチガチの直訳で紹介したいと思います。ガチガチ度をさらに強めるために文語調にしてます。ではまずご覧下さい。

1. 
今宵雪は山頂に白く降り積もり 足跡すら見ること叶わず
ここに隔絶されし王国あり 我はその女王と覚ゆ
風は嘶く 心に渦巻く嵐の如く
誰知るや 我試みるも そは留めること叶わじと 
何人も入れるまじ 何人にも見せるまじ 常の如く良き娘であれ
封印せよ 感ずることなかれ 何人にも知らしめるなかれ
だが今はもう 衆人の知るところとならん

なるようになれ もはや 後戻りはできぬ なるようになれ 振り返り扉を閉ざせ 
何を言われようともう気にはせぬ 寒気すらもはや我を煩わせぬ

2.
おかしきことに 離れてみれば 全てが小さく見えることよ
嘗て我を支配した恐れも 我を捕えることはなし
今や我に為しうることを想うときなり 壁に挑み打破するときぞ
今や正しきことも悪しきことも掟も 我には存せずなり
我は自由なり

なるようになれ 我は風と空と共にある者なり
なるようになれ もはや我が涙を見せることなきなり
我ここに立ち ここに留まらん 嵐よ吹き荒れるが良い

3.
我が力は 空気を貫き 地に吹きつけん
我が魂は 周囲全ての凍れる地形の中で渦巻かん
そして一つの想いは氷の疾風の如く固まって結晶とならん
我は決して元には戻らじ 過去はもはや過去の中に在り

なるようになれ そして我は夜明けの太陽の如く昇らん
なるようになれ あの完璧なる娘は消え去りたり
ここに我は日の光の中で立てり

嵐よ吹き荒れよ 寒気は我をもはや煩わせじ


 大変お粗末でした。(笑い)ではもう少し口語表現で書き直してみます。そして私なりの解釈も書いて見たいと思います。

1.
 雪深い山奥まで逃れて来た主人公は宮殿の女王であることを捨ててこの人里から隔絶した厳しい自然を王国に見立てて、自分はそこの女王みたいなものだと言うのです。
 おりしも吹き荒れる風があり、それはあたかも自分の心の中の嵐に似ている。 
 今までその嵐(苦悩)をずっと押さえ込もうとしてきたがそれは結局不可能だった。その苦労は誰も知らないのだ。
 そして主人公は両親に言われていた言葉を思い出し、その通りに守ってきたことを歌います。
 誰も自分の部屋には入れず、自分の姿を見せてはいけない。それまでもそうして来たように、言いつけを守る良き娘であれ。
 秘密を封印し感情を殺し人々に知られないようにしなければと。
 でも秘密が知られてしまった今、主人公は考え直すのです。
 もうこのままで良い。成り行きに任せよう。もう元通りにはならないのだから。今までの過去は忘れよう。もう誰に何を言われても気にしない。嵐よ吹き荒れるままでいなさい。寒さなんかなんとも思わない。
 この歌が共感を呼ぶのは、全ての人の心の中に『雪の女王』が住んでいるからではないでしょうか?
 人は本当の自分の気持ちを押さえ込んで周囲と合わせようとします。そうしなければならないからです。人は自然人のままでは人の中で生きて行くことはできないからです。男女関係なく、雪の女王のように秘密を抱えて生きているのではないでしょうか? 大人であれば必ずそういう面がある筈なのです。
 ですがここは一歩進んで考えてみたいと思います。雪の女王の能力は個性とか人の本性と考えてみてはいかがでしょう。親の反対で自分の個性にあった進路を歩めなかった人はたくさんいると思います。
 本当は料理人になりたかった、サラリーマン。ミュージッシャンになりたかったお医者さん。それは氷の女王と重なり合うと思います。
 周囲と合わせようとしてどんどん個性を失いノッペラボウになって行く現代っこもそうです。
 ここではそういう『しばり』から解放されて、今までの自分と決別し過去を断ち切る決意を主人公はしているのです。

2.
 さてこうして人里離れて振り返れば、今までの自分の生活を距離を持って見ることができます。
 そして自分が怯えてきたものは実は取るに足らない小さなものだということに気づいたのです。
 よく大自然に触れて自分の悩みが小さいものだったと気づくのに似ています。
 だから主人公はここで『今自分にできることは何か』と問いかけ、原点に返って考えているのです。そして自分にとっての障害を見つけそれに挑み乗り越えようとしているのです。
 その為には今まで自分を縛って来た善悪の基準やルールはもはや必要なく、自分は全く自由だと宣言しています。
 その後に私が原文で見聞きして一番感動したフレイズがあります。
 直訳で「私は風と空と共にある者だ」になりますが、格好良すぎる言葉だと思います。
 これは翼を得て飛び立つ者の言葉に聞こえるのです。本当の自分に戻ったとき、人はこんな言葉を口にしたくなるのでしょうね、きっと。
 もう主人公は涙をみせることもなく、今立っている場所に足を下ろし、そこを地盤にして生きて行く決意をするのです。もうふらふらすることも悩むこともないということです。

3。
 さてここでは、個性や本性が爆発している様子が覗われます。
 主人公の本来の力が発揮される様子です。人は本来の力が発揮されると時と場所を得て空気を貫き大地を揺るがす如き行動をするのかもしれません。
 そしてその精神は高揚し自分を生かしてくれる世界で竜巻の旋風のように力強く舞い上がることができるのかもしれません。
 思うこと、願うことが具体的な形になって実を結ぶようになるのでしょう。
 だからもう前にどんどん進めば良いのです。過去はもう過去に過ぎないのです。

 そしてこの後で私が2番目に好きなフレイズが出て来ます。
前へ 進め 『そして私は夜明けの太陽のように昇りつめるだろう。』
 この『』の中の表現がそうです。何故1番ではないかというと、これは直喩で
1番の『私は 風と空と共にある者だ』は隠喩だからです。必ず隠喩の方が良いということではないのですが、この曲のこの部分の場合はこっちの方が格好良いのです。これはあくまで私の感覚ですから、その点ご理解下さい。
 人によってはその後のシャウトというかロングトーンの部分が良いと思うかもしれません。確かにそれも好きですが、私の場合はこの1・2にあげた部分が心が最も高揚する部分です。
 続けます。
 前へ 進め あの完全な娘は消え去った……つまり両親にとって『良い子』である為に努力して自分を只管殺してきた自分はもういないということです。
 今ここに主人公は日の光の中でしっかりと立つのです。
 さあ、嵐よ吹くままに吹き荒れるが良い。もはや寒さも気にならない。
 寒さというのは世間の風評の風のことかもしれません。
 この『アナと雪の女王』はダブルヒロインということですが、この let it go がある限り、雪の女王の姉が第一主人公のような気がしますね。
 でもストーリー的にはアナの方が活躍場面が多いので、やはりダブルヒロインで良いのでしょう。(笑い)

 ではまた、別の歌でお会いしましょう。  

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