これで頑張れる! 科学的に正しい徹夜の仕方とは?
昼間に徹夜がわかっているときには、まず、午後2〜4時のあいだに、80〜100分の仮眠をとりましょう。この仮眠は、徹夜するためのエネルギーを増やす効果があります。
さらに、午前2〜4時のあいだにも、15分ほどの仮眠をとりましょう。この仮眠は、徹夜でなくなってきた元気を、素早く回復させる働きがあります。
また、徹夜決定がすでに夜だったときには、90分働いたら15分の仮眠をとるようにしましょう。体内時計の働きで、小さな眠気の波が2時間周期で来ます。眠気のピークでは仮眠をとり、眠気が少しおさまったら起きて仕事をするという戦略です。
仮眠から目覚めたら、なるべく早く眠気を消しましょう。ガムをかむ、顔を洗う、明るい場所に行って光を浴びる、同僚に話しかける、体を動かすなどをすると、頭が早くクリアになります。
■深夜勤務を乗り切るには
看護師や接客業など深夜勤務がある人、トレーダーや新聞記者など海外の時間に合わせて働かなければならない人は、毎日、時差ボケの状態で仕事をしているのと同じです。
深夜勤務を安全で効率よく乗り切るためには、まず、勤務の形態を見直す必要があります。
「週に1回くらいの深夜勤務なら、たいしたことない」と思っていませんか? 深夜勤務はバラバラにとるより、同じ週にまとめてとったほうが、体に対する負担が軽くなります。毎日、深夜勤務をする「徹夜週間」を月に1回作ると、バラバラに深夜勤務をとるより、疲労度が4割も軽くなることがわかっています。
深夜勤務に入る日は、午後2〜4時のあいだに、80〜100分の仮眠をとりましょう。そして、深夜勤務中には、午前2〜4時のあいだに15分の仮眠をとります。
徹夜週間中には、日中に強い光を浴びないようにしましょう。深夜勤務に慣れてきた体内時計が、光によって元に戻ってしまうからです。逆に、仕事中はなるべく明るい環境で過ごしましょう。
食事する時刻にも、注意が必要です。朝食と夕食は、日勤のときと同じころにとります。昼食はとらずに、代わりに午前0時ころに深夜食をとりましょう。こうすることで、太陽の出ている昼間の時間帯は自分にとって「夜」、働いている夜間は自分にとっての「昼」だと脳が認識します。
深夜勤務の最終日には、昼間に眠りすぎないようにします。夕方まで眠っていると、夜に眠れなくなってしまうからです。
「夜勤週間」が終わったら、2〜3日の休みをとって体調を整えましょう。日中は昼寝をせずに、積極的に活動すると、睡眠のリズムが早く元に戻ります。
■不眠不休のときの眠り方
災害時のレスキューなど非常事態では、不眠不休で働かざるを得ないことがあります。ですが本当に眠らずに働くと、しだいに思考力や判断力、集中力、注意力が低下して、能率が落ちたりミスが増えたりします。そんなときには、「アンカースリープ」と「多相性睡眠」が有効です。
アンカースリープとは、毎日同じ時間帯にとる睡眠のことです。具体的には、午前0〜4時のコアタイムに必ず眠ります。アンカースリープをとると体内時計が正しく働くので、深部体温が安定して体調をくずしにくくなります。
もちろん、1日4時間の睡眠では足りませんから、アンカースリープのほかに1日4時間の仮眠を、何回かに分けてとりましょう。緊急時の睡眠法ですから、いつまででも続けられるものではありません。2週間ぐらいが限度でしょう。
1日のうちで夜にだけ眠って他の時間帯は起きているという睡眠法を、「単相性睡眠」といいます。一方、赤ちゃんのように、眠ったり目覚めたりをくり返す睡眠の仕方を「多相性睡眠」といいます。