英国の読書家救済の見通しは立っていない――。
英国議会は、電子書籍に課す20%という高い付加価値税(VAT、日本の消費税に相当)を下げる適切な理由も手段もないという結論に達した。紙の書籍は英国でも(米国の多くの州政府と同様に)非課税だが、電子書籍はソフトウェアとみなされ、課税対象となっている。
悪いことに、欧州連合(EU)は電子書籍の販売価格がさらに上がるような協定変更を計画中だ。GoogleやApple、Amazonといった企業は現在、電子書籍の付加価値税率が3%と低いルクセンブルクに電子書籍販売の拠点を置いているが、消費者はこのことによるメリットを間もなく享受できなくなる。2015年1月から、小売業者は購入者居住国の税率を課されるようになるからだ。つまり、英国における実質的な増税が消費者に及ぼす影響はより大きくなるということだ。
英政府筋は次のように語る。「2013年度予算で発表されたように、英政府はEU圏内における消費者向け通信、放送、電子サービス事業の課税制度を変更する計画だ。2015年1月からこれらのサービスは購入者居住国で課税される。これにより、課税は公正になり、収益保護を支援できる」
だが、トム・ハリス下院議員(グラスゴーサウス選出、労働党)が議会で電子書籍の高税率回避のための定義変更に関して質問したところ、電子書籍の税率変更は政府の管轄ではないという回答だった。
The Booksellerによると、デビッド・ガーク国庫大臣の答えは「電子書籍販売は電子サービスと定義されており、EU法の下で付加価値税の標準税率が課されている。政府による法律上の助言は、EU法の下で電子書籍の販売に関する付加価値税を変更する方向はないことを意味する。ハリス議員が言及したような判断はなされていない」というものだ。
オンライン小売業者への増税は秒読み段階に入ったが、各国政府は消費者から負担を取り除く方向に動くかもしれない。フランスとルクセンブルグはEUのガイドラインに反して電子書籍の付加価値税を下げた。両国政府が国民の書籍購買をその形態にかかわらず支援しようというこの動きは、EUによる厳しい制裁を招いた。
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