北川慧一、松浦新
2014年6月2日13時50分
特別養護老人ホームや保育園などを運営する社会福祉法人(社福)の一部が、理事長ら幹部の親族企業に建物管理などの仕事を優先して回していることがわかった。社福はお金もうけを目的にしてはいけないことになっており、本来は複数の企業を競わせる「入札」をして適正に取引先を選ばなければいけない。だが、こうした手続きが取られずに「ファミリー企業」にお金が流れ、自治体も監視できていない。
特養などを運営する社福「あそか会」(東京都江東区)の近くに8階建てビルが立つ。あそか会を約30年にわたって取り仕切り、5月末で退任した前常務理事(70)の長男が社長を務める企業が所有し、あそか会の訪問看護ステーションや研修センターが入る。
ビルには長男が社長を務める建物管理会社も入る。あそか会理事を務める久間章生元防衛相(73)が出資していた旅行会社を前常務理事が買い取って建物管理会社に変え、1990年代後半からあそか会が運営する特養などの保守や清掃を一括して請け負ってきた。
その仕組みはこうだ。①あそか会は昔からつきあいがある宿泊施設運営会社と保守や清掃を一括契約する。②その会社が1~2%の手数料をとり、長男の会社に仕事をすべて回す。
年間の契約額は昨年度まで1億2千万円を超え、今年度は約9500万円だった。前常務理事は「長男の会社がかなり利益をあげていたので、値引きさせた」と打ち明ける。
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朝日新聞社会部
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