入居者同士が交流できるシェアハウスの仕組みを採り入れた社員寮が東京都心で誕生している。一つの建物を複数の会社が共同で利用する新しい試みだ。異業種交流を売りに、不動産会社が20社を超える若手社員を集めたり、分社化で薄まった一体感を高めるために大手企業が活用したり。バブル崩壊で減った社員寮が、新たな価値を加えて見直されつつある。

■風呂場で人脈づくり

 4月中旬の夜、複数の企業の社員が入居する社員寮「月島荘」(東京都中央区)の大浴場。湯船でくつろぎながら、大手シンクタンクで経済政策を担当する堀江卓矢さん(26)は、隣にいたソニー銀行社員の話に聴き入った。「ネット銀行は借りる人に対面しない分、一般銀行より審査が厳しい面がある」