<証拠は誰のものか?>前田元検事が取り調べ可視化訴える
毎日新聞 5月31日(土)20時48分配信
刑事事件での証拠開示の在り方や取り調べの可視化について考えるシンポジウム「証拠は誰のものか?」(京都弁護士会主催)が31日、京都市内で開かれた。大阪地検特捜部による郵便不正事件の捜査で、証拠を改ざんしたとして有罪判決を受けた前田恒彦元検事が2012年5月の出所後、初めて一般市民の前で講演し、全面可視化の必要性を訴えた。
【写真】講演する前田元検事の別カット
前田氏は冒頭、自身の証拠改ざんについて「事実に対する謙虚さを欠いた卑劣で許されない行為だ」と謝罪し、改ざん判明後に無罪が確定した村木厚子・厚生労働事務次官(事件当時は局長)に対し「改めておわびしたい」と語った。
証拠開示の在り方について、前田氏は「(検察が)捜査した結果に関し、どんな証拠をまとめるのか明文規定がない。捜査官に圧倒的な裁量があり、有利な証拠ばかり出すことになる。捜査で把握した事はすべて証拠として残すことを義務化すべきだ」と主張した。
また、自身が主任検事として関わった郵便不正事件の公判で、検察側証人が「言ってもいないことを検察官に調書に書かれた」として証言を変えたことを紹介。「証拠は接ぎ木のようにどんどん曲がっていく。取り調べを可視化すればそういう調べができなくなりクリアできる」とし、全面的な可視化の必要性を訴えた。【村田拓也】
最終更新:5月31日(土)23時11分