The New York Times

売春のための人身売買サイトに載った家出少女エミリー

現代ビジネスブレイブグローバルマガジン『ニューヨークタイムズ・セレクション』より

2014年06月02日(月)
upperline
〔PHOTO〕gettyimages

15歳の娘が売春広告に掲載されていた!

昨年の11月はじめに家出をしたエミリーは15歳、中学3年生だ。食卓に座っている両親は慰めようもないほど怯えきっている。

ともにスクールバスの運転手をしている両親のマリアとベンジャミンは、彼女を探し続けていて、警察に捜査をするように働きかけている。エミリーはラテン系の少女だ。両親はこわごわとした口調で、娘が売春業者に操られていることを実は恐れているのだと告白した。

私がここに来たのは、米国で大きな問題となっている家出について理解するためだ。

私はエミリーの両親に、売春や性的目的で人身売買をしている中心的なウェブサイトの Backpage.com を調べたかと尋ねたが、彼らは聞いたことはないと話した。以前、私はこのサイトについて書いたことがあるので、家出少女がサイト内の広告にどういった経緯で掲載されるのかを知っているのだ。

私はラップトップを取り出し、その2分後に、半裸の少女の写真が載っている「あなたのニーズにお応えするラテン系混血」という広告を見つけた。

マリアの体がゆれ、悲鳴が上がった。エミリーだった。

家出した子どもたちは犠牲者とは見なされない

2002年に司法省が行なった調査によると、米国では毎年160万人の少年や少女が家出や、家から追い出されたりしているという。国立行方不明および虐待児童センター(National Center for Missing and Exploited Children)の前所長であるアーニー・アレンは、米国では毎年、少なくとも10万人の子どもが性的目的で売買されていると推定する。そうした子どもらは捜索願の対象であって、犠牲者とは見なされないため、おそらく、優先事項にはならないのだろう。

エミリーが家出をしたのはこれが4度目で、自分から売春斡旋業者に連絡したと思われる。家族が傍受したテキスト・メッセージによると、エミリーは売春斡旋業者に、友だちの女の子1人をリクルートするために使われたことが明らかになっている。これは、よく見られる手口だ。

1
nextpage



underline
アクセスランキング
昨日のランキング
直近1時間のランキング
編集部お薦め記事
最新記事