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ひらめきの月曜日 2014年6月2日
 

四谷から42km、玉川上水をさかのぼる

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東京の小学校では必ず、社会の時間に「玉川上水」のことを教わる。玉川兄弟が江戸の町に引いた、長いながーい上水道だ。
今日はその全貌を知るべく、四谷から42km、玉川上水の源流をさかのぼる旅に出てみた。
1978年、東京都出身。漂泊の理科教員。名前の漢字は、正しい行いと書いて『正行』なのだが、「不正行為」という語にも名前が含まれてるのに気付いたので、次からそれで説明しようと思う。
> 個人サイト まさゆき研究所

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【おさらい】〜玉川上水とは〜

玉川上水のことはこんな感じで習った。
・玉川兄弟が私財を使って多摩川から江戸まで引いた
・引くのがむずかしくて何度もくじけたが、頑張って成功した
兄弟の銅像。東京の小学生にはおなじみ。
兄弟の銅像。東京の小学生にはおなじみ。
小学生が地元の偉人として習うのにちょうど良い温度の苦労である。江戸時代版のプロジェクトXだ。

1.そこらで出会う「玉川上水跡地」

ところで、東京をそれなりにうろうろしていると、折りに触れて玉川上水に出くわすことになる。
あ、ここも玉川上水の跡地か。
あ、ここも玉川上水の跡地か。
玉川上水は、今は上水道としてはほぼ実用はされてないが、跡地は緑道公園になって、四谷からはるか西の羽村市までひとつながりに東京を横断しており、地元民の憩いの地となっている。
より大きな地図で 玉川上水 を表示
今日はその正体をたしかめるべく、四谷から西に自転車を走らせた。
かつての終点を示す大きい記念碑。ここから新宿をめざす。
かつての終点を示す大きい記念碑。ここから新宿をめざす。

2.新宿のむやみに広い歩道のなぞ

さて僕はつねづね新宿を歩くたびに、西口の文化服装学院の前の歩道はなんでこんなむやみに広いんだろうとずーっと思っていた。
この歩道。車道6車線ぶんぐらいはある。
この歩道。車道6車線ぶんぐらいはある。
実はここ、かつての玉川上水の跡地なのだそうである。今でこそ下に地下鉄が通っているが、その前は地下に太い水道管があり、明治時代の東京市をうるおしていたのだ。
かつての水道管と同サイズのモニュメントがある。太い!
かつての水道管と同サイズのモニュメントがある。太い!
なるほど、そういうことだったのか!

思いもかけず長年のもんやりとした疑問が一つ解消し、気分は意気揚々である。すごい玉川上水の旅、いきなり楽しい!

3.橋の手すりにつかえて進めない!

黄色のかばんは、今回の旅の相棒・もりえ君です。
黄色のかばんは、今回の旅の相棒・もりえ君です。
ここからしばらくは長い緑地公園になるのだが、その途中に超かっこいい物体が何十個もあり、なかなか前に進めない。
橋の手すりのあと。
橋の手すりのあと。
そう、水路を埋めた後も橋の手すりは取り壊さず、モニュメント的にそのまま残っているのである。まさに江戸の粋だ。
もはやただの物体としか言えない橋あと。超かっこいい。
もはやただの物体としか言えない橋あと。超かっこいい。
街歩きの中でも「あと地好き」である僕にとって、こんなにも欲望をかき立てられるコースはない。

欲の赴くままに写真を毎回撮っていたら、最初の5kmを進むのに2時間かかり、「このまま行ったら16時間かかっちゃいますよ!」と相棒のもりえ君に怒られた。

しょうがないので未練いっぱいで先へと進む。

4.おどろきの「橋形遊具」

笹塚あたりで初めて水路が見えたりして、やっと川らしくなる玉川上水。
一瞬だけ水が見え、水路であると確かめられた瞬間。
一瞬だけ水が見え、水路であると確かめられた瞬間。
ここから少し進んだあたりの公園で、僕らは衝撃的な遊具を目にする。
ダダーン! 衝撃の橋形ジャングルジム!(的なもの)
ダダーン! 衝撃の橋形ジャングルジム!(的なもの)
わかるだろうか。水路からそのまま水を抜いて造られた公園で、両岸をまたがるように遊具が設置されているのだ。
水はないけど、川底からの景色。
水はないけど、川底からの景色。
つまりこれはジャングルジムだけど向こう岸まで渡れるという、橋の機能も兼ね備えた、かつてなく斬新な遊具なのである。

すごい。これ設計した人、超分かってる人だ。水路跡ファンの心をわしづかみである。

5.ハトマスクになった三鷹

さて高井戸を過ぎたあたりから急激に水路としての雄々しさを増す。ここから第2区間、水路として実用に供されている区間だ。
水路が突然、うっそうとした森に包まれる。
水路が突然、うっそうとした森に包まれる。
と思えば無人の野菜直売所。
と思えば無人の野菜直売所。
勝手にお金を入れて持っていくという、地方でもちょっと見ないぐらいのラフな方式だ。目の前に畑も広がる。ここ、本当に吉祥寺の手前なのだろうか。

そして井の頭公園を通り三鷹を過ぎると、去年、ハトマスク姿でストリートビューに写り込むことに成功した場所を通る。
より大きな地図で ハト を表示
太宰治が入水したことでも有名な三鷹の玉川上水だが、どんな場所だろうとストリートビューで検索するとハトマスクをかぶった謎の集団が並んでいるのである。
地方の文学青年が混乱したりするととても楽しい。

さて後半行ってみよう。


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