ついに日朝交渉の錆びかけた「大門」が動き出した。
安倍晋三首相が5月29日夕刻、前日まで3日間にわたってストックホルムで行われていた日朝政府間協議の報告を受け、ぶら下がりの緊急会見を行った。そこで、拉致被害者を含むすべての日本人を対象とした特別調査委員会を北朝鮮が設置すると発表したのだ。
私は2002年9月と2004年5月、小泉純一郎首相が2度、訪朝した際、同行記者として訪朝している。そんな私から見て、10年経ってようやく動いたかと感慨深いものがある。
実際、今回の日朝協議が進展を見せる、以下の8点もの好条件が揃っていた。
1)軽量の金正恩体制
先代の金正日総書記は、剛胆さと慎重さの両面を兼ね備えた老獪な指導者だった。私は平壌で北朝鮮外交を目の当たりにして、金正日という指導者の凄さを垣間見た。部下たちの力量をすべて見通してしまう洞察力、他者への徹底した猜疑心と信賞必罰、そんな中で時折見せる情けといったものだ。
これに対して、金正恩という指導者は、父親の片面、すなわち豪胆さしか持っていない。もっと正確に言うなら無鉄砲だ。そのため、いまの北朝鮮外交たるや、お粗末千万である。これは日本にとってみれば、チャンスということだ。
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