東映アニメ通期は減収減益 映画、TV、海外好調も 商品販売、SNSゲーム失速
アニメ製作の大手東映アニメーションの平成26年3月期の連結売上高は3年連続で300億円を超えた。売上高、利益とも期初予想を大きく超えたものの、前年比では減収減益だった。
売上高は310億2700万円(前年比7.8%減)、営業利益は36億200万円(同24.5%減)、経常利益は39億4000万円(同25.1%減)、当期純利益は23億3300万円(同29.1%減)である。売上は劇場アニメとテレビアニメの制作が増加しているほか海外事業の好調が支えた。一方で、商品販売や好調を続けてきたソーシャルゲームの失速が響いた。
映像製作・販売事業の売上高は139億1900万円(3.8%増)、セグメント利益は5億2000万円(41.8%減)である。このうち劇場アニメの売上げは27億4100万円、『プリキュアオールスターズNewStage2』や『ドラゴンボールZ 神と神』、『劇場版トリコ』、『キャプテンハーロック』、『映画ドキドキ!プリキュア』、『手塚治虫のブッダ2』、さらに『プリキュアオールスターズNewStage3』など本数が多かった。特に大作映画『キャプテンハーロック』の製作収入が大きく、2014年6月公開予定の『聖闘士星矢LEGEND of SANCTUARY』の製作収入もすでに計上している。
テレビアニメも期間中7作品あり、製作本数が拡大したことから前年の29億円300万円から31億400万円まで増加している。さらに旧作の放送権販売も好調だった。
とりわけ大きな伸びを見せているのは海外映像である。前年の17億1800万円が32億800万円まで伸びている。これは中国向け大口映像配信権契約があったこと、『キャプテンハーロック』の海外配給契約があったこと、さらに「セーラームーン」シリーズの販売が好調だったことなどを理由としている。
海外向けは海外版権も3年連続で拡大するなど好調である。北米が復調傾向にあるほか、アジア地域の伸びが大きい。
その版権事業は売上高104億9400万円(10.9%減)、セグメント利益は42億9900万円(8.1%減)と減収減益である。前年好調だった『ワンピース』が軟調だった。
商品販売事業も、『ワンピースフィルムZ』で高稼働を続けていた『ワンピース』の反動減が大きかった。売上高54億5100万円(22.8%減)、セグメント利益は1億900万円(47.1%減)である。
イベントなどが中心のその他事業は、売上高は14億1500万円(14.2%減)、セグメント利益は1億9200万円(34.4%減)である。
平成26年3月期は、これまでの東映アニメーションの成長を支えてきた環境の変化を感じさせる。ひとつは版権や商品などの二次展開がやや軟調になっていることである。ライセンスビジネスが重要な同社にとっては懸念事項だ。
もうひとつは明るい面で、かねてより強化が言われてきた海外事業が成長し、成果を見せ始めている。また、アニメ業界全体がアニメ制作を増やしていることもあり、映像製作・販売が堅調である。
こうしたトレンドの変化もあり、東映アニメーションは2015年3月期の見通しを慎重に立てている。連結売上は、16.2%減の260億円と300億円の大台割れを予測する。営業利益は24億円(33.4%減)、経常利益27億円(31.5%減)、当期純利益17億円(27.2%減)となる。
東映アニメーション
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