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イベントレポート

「ゆめちから入り食パン」発売開始(敷島製パン(株))、ほか

4月1日よりPasco(敷島製パン(株))が「ゆめちから入り食パン」の通年販売を開始した。原料の60%以上に北海道産超強力小麦「ゆめちから」を使った、もっちりとした食感が特徴で、ゆめちからを商品名に採用した試みが画期的だ。昨年は6月の1カ月限定の取り組みだったが、北海道内のゆめちからの作付面積が広がり、供給量が安定したことで、通年販売が実現した。

「ゆめちから入り食パン」発売開始(敷島製パン(株))/4月1日~ (東北・関東・中部・近畿・中国・四国地区)

【「ゆめちから」が毎日の食卓に 市場開拓でマーケット広がる】

 取扱店は同社の営業拠点がある東北・関東・中部・近畿・中国・四国地区の量販店やコンビニエンスストア。ラインナップは、6枚スライス、6枚スライス3枚入り、5枚スライス(中部地区以西のみ)、8枚スライス(東北・関東地区のみ)の4種類と、5枚スライスのみだった昨年よりバラエティーに富む。参考小売価格は220円(税抜)。昨年の300円(税抜)より大きく下げた。同社の主力商品「超熟」のワンランク上の商品として位置付けることで、日常的に家庭で購入しやすい価格にすることで、消費の拡大を促す方針を見せた。

 原料は、ゆめちからの他、北海道産小麦きたほなみだけでなく、砂糖やバター、もち米粉ペースト、生クリームも北海道産にこだわっている。小麦の品種特性を活かすため、イーストフードや乳化剤といった添加物は使用していない。これまで使用してきた外国産小麦に比べて、生産量が少ないため、ゆめちからの品質はぶれる傾向があるため、ゆめちからの配合比率は日々調整が必要だという。製粉会社がブレンド配合しても、産地によってタンパク質や水分が変わるのが現状で、供給量が増えることによって、品質の歩留りが上がることを現場は期待している。

 これまでも本誌で取り上げてきたゆめちからだが、(独)農研機構北海道農業研究センターが開発した超強力小麦でパンに適した品種である。平成21年に優良品種に指定され、23年度から通常の戸別所得補償制度に加えて、需要の高いパン・中華めん用品種として数量払い単価に2550円/60kgの加算措置ができた。それまでは、補助金・交付金を受けずに先進的な農業経営者が試験栽培に協力してきたが、この加算措置により、作付面積が急速に拡大し、対応する製粉業者も増えた。

 他の大手製パン業者でも、ゆめちからの利用は始まっている。昨年12月からは山崎製パン(株)の「国産小麦食パン」に春小麦の強力品種「春よ恋」と、きたほなみにゆめちからをバランス良く配合し、発売している。食べた時のしっとり感を強調した商品になっている。

 北海道農政部の資料によれば、ゆめちからの24年産の作付面積は862haだったが、25年産はさらに5874haに拡大する見通しを示している。収穫量は28000t弱を見込んでおり、供給量は7倍弱と安定する方向だ。食パン以外の商品にもゆめちからの商品を拡大する見込みで、冷凍生地などには、表記はしていないが利用を拡大している。今後のマーケット拡大にも注目していきたい。(加藤祐子)

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