焦点:周永康氏問題めぐる激しい権力闘争、四中全会前後に決着か
[北京/香港 23日 ロイター] - 中国の民営複合企業、四川漢龍集団の劉漢元主席(48)はわが世の春を謳歌(おうか)していた。2011年に開いた小学生の息子の誕生日会には、会社が拠点を構える四川省の省都・成都の官僚も多数参加。300万─400万人の人口を抱える近隣都市の市長も駆け付けたほどだった。
しかし、そうした密接な結び付きも長くは続かなかった。昨年3月に習近平国家主席が就任したのを機に劉氏は身柄を拘束され、それまで付き合っていたのとは異なる公務員、つまり汚職捜査官や看守に囲まれることになった。
中国共産党の幹部層を揺さぶる汚職撲滅キャンペーンに端を発する権力闘争で、最初に犠牲になった有力者が劉氏だ。殺人や銃の密輸、詐欺、強要、違法賭博などの罪で被告の身となった同氏には、23日に死刑判決が下された。同氏は全ての罪を否認していた。
しかし、最も深刻な「罪」は極めて政治的なものかもしれない。複数の関係筋によると、それは生きるか死ぬかの権力闘争で間違った側に付いていたことだ。周永康前共産党政治局常務委員(71)の息子・周濱氏とビジネス上の関係があった劉氏は、周氏の追い落としを狙う習主席の格好の餌食にされてしまった。
<元指導者2人の承認>
周永康氏に迫るため、習近平主席は昨年、石油閥や四川省政界、公安人脈への切り込みを開始。関係筋によると、周氏の親族や側近、ビジネス上の仲間や部下ら300人強がこれまでに逮捕・拘束されたり、取り調べを受けたりした。劉漢氏もそのうちの1人だ。
関係筋2人によると、周氏の親族らから押収した資産総額は少なくとも900億元(145億ドル)に達する。国営新華社は劉氏の公判前に、「(当局は昨年)劉漢と漢龍集団の莫大な資産を押収・凍結した」と報じた。
周氏は、共産党が政権を握った1949年以降に汚職調査の対象となった高官らの中で最高位。指導部に近い複数の関係筋によると、胡錦濤前国家主席と江沢民元国家主席の2人の元指導者から承認を得て、習主席は現職を含めて政治局常務委員経験者は汚職調査を受けないとする不文律を破った。 続く...