日本初のコンビニエンスストアとして、セブン―イレブン1号店が東京・豊洲にオープンして40年。いまや業界全体では5万店を超す。

 災害時のインフラや子どもの安全を守る防犯の拠点としても期待されるなど、隆々たる発展を示している。

 だが、働く場として見ると、また別の光景がある。

 パートやアルバイトの低賃金や雇用の不安定性、会社直営店の社員店長に対する残業代の不払い問題、そして長時間労働や休業・外出制限、低収入、「売れ残り弁当ばかりの食生活」など、店主の一部が訴える厳しい労働実態である。

 岡山県労働委員会は3月、コンビニの店主でつくる労働組合の団結権を認め、セブン―イレブン・ジャパンに、契約の改善を求める団体交渉に応じるよう命じた。店主には経営者や使用者としての性格は希薄で、コンビニ会社との契約に縛られ自由裁量がほとんどない「労働者」と見なすべきだと断じた。

 セブン側は中央労働委員会に再審査を申し立てたが、同様の救済はファミリーマートの店主でつくる労組も東京都労委に求めている。

 問題の是正には、販売期限が迫った弁当類などの値下げ販売を徹底するだけでも効果があるという。安く売れず、廃棄する費用の大半が店主側の負担になっているからだ。

 この値引き制限については、公正取引委員会が独禁法違反だとして09年にセブン―イレブンに排除命令を出した。これを受け、セブン本部は廃棄損失を一部負担し、販売期限の1時間前からの値引きを一応、認めた。

 だが、本部は欠品や値崩れで売上高が減るのを警戒し、販売期限を夜明け前にしたり、社員が各店を監視したりしている、と店主側は指摘する。

 アルバイト人件費が売上高の一定比率を超えると店主の収入が減る契約になっているのも、店主に長時間労働を強いる原因だ。労働基準法で「使用者」は規制の対象外だが、店主の「労働者」としての側面をきちんと認めることで健康への配慮を示していくべきだろう。

 コンビニ産業は、アジアなどでの国際展開が有望視されている。ただ韓国で24時間営業の禁止や店舗間の距離規制が導入されるなど、過酷な労働や競争への警戒感も広がっている。

 国際的な評価を得るうえでも、まず日本で商品や店舗の開発に傾けている努力を、「職場としてのコンビニ」の改革にも振り向けてもらいたい。