2014年6月1日23時26分
萩原朔太郎の研究で知られる詩人で日本芸術院会員の那珂太郎(なか・たろう、本名福田正次郎=ふくだ・しょうじろう)さんが1日、肺炎で亡くなった。92歳だった。葬儀は家族だけで営まれ、お別れの会が後日開かれる予定。喪主は妻治子さん。
福岡市生まれ。旧制福岡高時代に同人誌「こをろ」に参加。東京帝大国文科卒。戦後は高校教師や玉川大教授などを務めながら詩作と評論に打ちこむ。
言葉のもつ意味よりも音楽性を追究した1965年の詩集「音楽」で室生犀星詩人賞と読売文学賞。75年の「はかた」では失われた故郷を歌い、以後、叙事詩的な詩風を強めた。詩集はほかに「空我山房日乗其他」(芸術選奨文部大臣賞)、「幽明過客抄」(現代詩人賞)、「鎮魂歌」(藤村記念歴程賞)などがある。03年には「現代能 始皇帝」を出した。
少年時代から萩原朔太郎に傾倒し、生涯、その詩を「ことばのふるさと」とした。朔太郎の詩の音楽性を精緻(せいち)に分析するなど、戦後の朔太郎研究を主導し、「萩原朔太郎その他」など多くの研究書がある。筑摩書房版全集の編集にも携わった。
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