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モンゴル・ウルス(思吉成汗 義経説 状況証拠考) 19
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十三湊を出た商人たちの小船が、貧しい川筋を遡った。
そして稀有な軍事天才ではあるが、不遇の凶悪な小男を運んできたことで、あの空前絶後の巨大帝国が生み出されたのだと思う。 そして落ち武者たちもまた、遠い祖先を同じくする川筋の貧しい人々と出会えたことで、過酷な草原に雌伏し、旗揚げできたのである。 やがて遊牧と騎馬の民の伝統が、彼等の古い文化をことごとく覆いつくす。 彼等の信仰もまた、テングリを祭る土着のものとなっていく。 そしてモンゴル人たちは、魚を食っていた貧困の時代を忘れ、高貴な騎馬の民の血筋となっていった。 それは商人たちとの団結をも失わせることとなる。 便利使いの裕福な商人たちもまた旅を忘れ、海商たちも権力に操られるコマになってしまって、帝国を支える屋台骨が失われてしまっていたのである。 モンゴル・ウルスの千人隊は、確かに最後まで帝国を守ろうとした。 彼らを指揮して明の攻撃から帝国を護るべく、元の絶望的な終末を戦ったのは、色目人(白人)の老将軍だったらしい。 本当は、その男が最後の大ハーンだったのである。モンゴル・ウルスを、肌の色、目の色の違う連中が、最後まで、それぞれの場所で支えようとしていた。 ロシア帝国という巨大な国もまた、本国を失った末端の些細な生き残りなのである。 |
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