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慰安婦問題に象徴される日本の朝鮮統治下における不幸な出来事は、韓国が「悪意でのことだ」と非難し、日本の保守派がそれを否定する非生産的な連鎖が続いている。この問題を解く手がかりは、主観的な意図でなく、実際に起きたことを論じることだと思う。
一般論として、併合した領土の住民を平等に扱うが独自性をあまり認めない「同化政策」が、独自性は認めるが平等に扱わない「分割統治」より悪いとは言い切れまい。
それに、韓国人にとって大事な姓名を日本式氏名に変えさせ、日本統治でも最大の暴挙とされる「創氏改名」にしても、日本の氏名は明治時代に西洋式のものを採り入れて成立したものだから、日本式ですらないのだ。
「李」とか「金」といった姓は、日本の「源平藤橘」(=日本における貴種名族の4つ)に当たる。創氏とは「●(=徳の心の上に一)川」とか「島津」にあたる氏を創ることだが、本来の姓も戸籍に残したし、姓をそのまま氏にもできるなど最大限の配慮をした。改名は日本風の名を朝鮮人がつけることも認めただけだ。
ただし、一部公務員などが「日本風の氏名に変えた方が有利だ」と強く勧めたらしく、それを総督府が厳しく処罰したわけでもなかった。昭和の日本は、軍事作戦なども含めて現場の逸脱行為に対して厳しさに欠けており、意図にかかわらず不適切な結果があれば責任を認めるしかない。
慰安婦も、日本軍や公的機関が強制的に集めたのではないが、民間業者などが不適切な集め方をしたことはあった。それが判明した場合に、適切な是正救済措置を個別に取ったのでない。
ただ、日本への攻撃は、彼らにとって天に唾するものでもある。