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アメリカの大学の高い学費はどこに消えるのか?

アメリカの大学で困っているのは学費が高いといっている学生とその親だけでなく、低賃金と、不安定な労働条件で働かなくてはいけない非常勤の大学教員も同じようです。最近、非常勤の教員の弱い立場を訴える記事が目につくようになりました。
高額の学費はどこにいってしまうのでしょうか?

1980年代に政府による高等教育のための補助金が削減された時にアメリカの大学でも非常勤の教員の割合が非常に増えたそうなのですが、その後、景気が悪くなり学生数が減りました。経済がよくなっても、非常勤教員を使うメリットが大きいことを認識した大学側は、有名な教授に対しては高額を支払い、終身雇用も約束し、大学運営を一般企業のようにしていきました。そして 教育内容よりも、ランキングをあげることや、ファンドレージング(資金を集めるにも費用がかかります)、施設建設に力を注いだ結果、1985年に比べ高等教育の費用が5倍にもなってしまったのです。

しわ寄せは、学生と非常勤講師にきたというのが現状のようです。ある非常勤教員は5つの大学で11クラスを受け持ち、毎日10時間ほど仕事をしますが、収入を時給で換算すると、11.50ドルほどだそうで高学歴のワーキングプア状態になってしまっています。
それでも、博士号をとる人の数はどんどん増えています。(仕事によっては博士号が必要なものもあるので、皆が大学に残るとは限りませんが)

一方学生側からみれば、将来的にみた大学へいくことのメリットはまだあり、より多くの人が大学に行こうとしています。まだまだ、学生数が増えるということを前提に考えれば、大学経営はなんとか成り立つのでしょうが、もし、経済状況の悪化で、大学の費用が払えない人が増えたり、学生が減ると、大学の閉鎖もありえます。(実際、学生が集められなくて、閉鎖する小さなカレッジもでてきています。)そういうわけで、アメリカの大学も外国からの学生を獲得するのに力をいれています。

しかし、教育機関である大学の経営を一般企業のような倫理で運営していいのか、ということも問われているようです。


ハーバードのスタジアム

性別 博士号取得者数

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