福島第1原発事故:中間貯蔵施設で政府説明「検討」ばかり

毎日新聞 2014年05月31日 21時35分(最終更新 05月31日 22時05分)

 東京電力福島第1原発事故で発生した汚染土などを保管する中間貯蔵施設建設を巡り、政府が31日に初めて開いた住民説明会。質問への政府の説明は「検討する」「受け止める」などあいまいな表現に終始し、不信感を強める参加者もいた。

 「土地のおおまかな補償額が出るかと思ったが、説明はなかった」。福島県大熊町から、同県いわき市の借り上げ住宅に避難する宮本明さん(63)は同市で開かれた説明会に参加した。宮本さんの自宅は福島第1原発の南約3.5キロの帰還困難区域内にあり、所有する田畑が中間貯蔵施設の建設候補地内にかかっている。土地の補償額について政府の説明は「個別に調査をしないと分からないので、この場ではお話しできない」。宮本さんは「これでは受け入れの可否を判断できない」と落胆し、「こんな説明でも『やった』という口実になるんだろうか」。

 最終処分場になってしまうのでは、との懸念も払拭(ふっしょく)されなかった。政府は、30年以内に県外処分するための法整備をすると表明したが、宮本さんは「政府も人が代われば解釈を変えたり、法律そのものを変えたりするかもしれない」と話し、信用できないという。

 一方、同日午後に茨城県日立市で開かれた説明会。約60人の参加者の中からは「建設賛成」を表明する声も上がった。福島県双葉町から避難している女性は「幼い子どもがいるので帰れない。最終処分場も建設していい。その代わり、子どもが大きくなるまで賠償してほしい」と要望。これに対する政府の答弁は「ストレートに返事できず申し訳ないが、政府で意見を共有する」だった。また、土地の補償額について、別の男性の質問に、政府は「町が受け入れを決め、用地取得する時でないとお話しできない」と説明。土地の賃貸借を希望する声も上がったが、政府の回答は「検討中」だった。

 終了後、双葉町の伊沢史朗町長は報道陣に「『検討』には私も疑問を抱いている一人。今日はスタートなので、これから総合的にどういう対応がなされるかを見て、今後の対応を判断したい」。大熊町の渡辺利綱町長も「受け入れありきではなく、住民の生の声を聞いた政府の今後の対応が重要になる」と強調した。【喜浦遊】

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