2014年06月01日(日)01時51分

Ubisoft Massiveが従来型ゲームとF2Pの違いに言及「ゲームではなくスロットマシンに近い」

現在『The Division』を鋭意開発中のMassive EntertainmentのDavid Polfeldt氏が、ゲーム開発過程におけるデータ分析の果たす役割や、従来型ゲームとF2Pの違いを語っている。

David Polfeldt
エンターテイメント・ビジネスというのは、素晴らしい物語を生み出すものだと私は考えている。ゲームがクールなのは、それがゲーマーの物語だという点だ。ゲーマー自身が参加するからね。私はそこがクールだと思う。エンターテイメント・ビジネスは感情に訴えかける体験を生み出すために存在しているが、ゲーマーを巻き込んでいる。私にとっては、それこそがゲームなんだ。

そこから、ユーザーとの対話は興味深いという意見が生まれるだろう。勿論賛成だ。自分が面白い人間だと思っていても、誰も笑ってくれなかったら、大した作家やコメディアンではないということだ。天才である私が驚異的なゲームを生み出すぞと思っても、誰もお金を払いたいと思わなかったら、それは問題だろう?私は、ユーザーとの対話は極めて重要だと考えている。事実、芸術家になりたいのか?それとも職人になりたいのか?というのは、美術学校で教わる事柄の中で最も重要なものの一つだと思う。芸術家を目指すなら、ユーザーとの対話など一切せずに好きなことをすればいいし、それで生計を立てることができるかもしれない。

職人になりたいなら、君の製品に意味を見出すと思われる人たちと向き合う必要がある。その先にあるデータや情報収集、プレーテストに、私は多大な興味を抱いているんだ。大量のデータやリサーチが持つ可能性は非常に興味深いと考えている。新たなパターンを見つけることができる。私にとってはとんでもなくセクシーだよ。

そしてもう一つのやり方がある。そのデータを、ユーザーが買う意思のないものを買わせるよう騙すためだけに利用することだ。そうなると、非倫理的な領域に足を踏み入れることになる。私にとっては、もう対話ではなくなってしまうんだ。ユーザーを騙すための引き金を見つけることだけが目的になってしまう。

david-polfeldt.jpgDavid Polfeldt氏

F2Pゲームの多くは倫理的な問題を抱えていると語るPolfeldt氏は、従来型ゲームとは区別して考えるべきだとする。

David Polfeldt
倫理的な問題が存在すると考えている。特定のユーザーの全てを把握できたら、そのユーザーにとって意味ある物語を語るために利用するのか?それとも、払いたくないものに金を払わせることに利用するのか?私にとって、この二つは全く異なるものだ。

だからこそ、私はこの二つが全く異なる仕事、業界であると見なしているんだ。現時点では似ているように見えるかもしれないが、実際はそれほど似ていないと考えている。これからは、誰もスロットマシンをゲームだとは思わないのと同じような区別がなされるだろう。「どうしてスロットマシンがE3に出展されないんだ?」とは誰も言わない。ゲームではない、違う何かだからだ。

私は、多くの無料ゲームがスロットマシンのように見なされるようになると考えている。そのジャンルの中では決して悪い製品というわけではないが、私が意味するところのインタラクティブ体験ではないだろう。長くなってしまったが、本当に複雑な質問だし、好きな議題だ。データも大好きで、とてつもなく多くを学べると思うが、その情報をどう利用するか自問することが大切だ。そこに我々の責任がある。

ゲーマーとしては、死ぬほど恐れているよ。私は大作ゲームが大好きだからね。長い間夢中になれる、重厚長大なゲームが大好きだ。他の人たちの作るゲームも大好きだから、全てが変わってしまうことを恐れている。小さなゲームばかり、無料ゲームばかりになってしまうことが怖い。私にとって、それはもう違う何かなんだ。壮大な体験への私の欲求を満たしてくれるとは思えない。とにかく理解できないよ。区別されてしかるべきなんだ。それが私の結論だ。今後もずっと、この二つが同じものだと見なされるなんてことがあってはいけないんだ。

[ソース: Games Industry]

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