[PR]

 麻薬取引や売春が国内総生産(GDP)を押し上げ――。英国家統計局は、今年9月からGDPの算出方法を変更し、麻薬取引や売春などの違法な経済活動も対象に加える方針を決めた。2009年のGDPで試算すると、0・7%分にあたる100億ポンド(約1兆7千億円)の増加になるという。

 統計局によると、09年の試算では、麻薬は約44億ポンド、売春は約53億ポンドの押し上げとなった。麻薬はコカインやヘロイン、大麻などの販売や輸入、自家栽培額などを推計。売春は、オランダの例などをもとに顧客数や料金を試算した。

 今回の統計変更は、欧州連合(EU)の基準変更にもとづく措置で、地下経済を含めた経済規模を把握する試みだ。イタリア国家統計局も最近、麻薬取引や売春などを今年のGDP統計に加えると発表。EU内にはオランダのように売春を合法化している国もあり、EU加盟国で比較ができるようにする狙いもある。オーストリアやフィンランド、スウェーデンなどではすでに同様の方法で算出されているという。(ロンドン=星野真三雄)