W杯ウイルス:ただいま出没…遠隔操作されてデータ流出
毎日新聞 2014年05月31日 15時00分(最終更新 05月31日 15時46分)
サッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会(6月12日開幕)を前に、試合のライブ中継が視聴できるソフトと偽り、ダウンロードすると、遠隔操作ウイルスに感染してしまうファイルがインターネット上に出回っていることがわかった。過去にもオリンピックなど世界的なスポーツの祭典のたびに、悪質な攻撃が確認されており、情報セキュリティー会社は「常とう手段。安易にアクセスしないで」と注意を呼びかけている。
情報セキュリティー大手・トレンドマイクロ社によると、ブラジルW杯のライブ映像に関する圧縮ファイルを意味する「JscSportLive+BrazilWorldCup2014HD.rar」という名称のファイルがネット上にアップされていることを今月、確認した。このファイルをダウンロードしてクリックすると、パソコンが遠隔操作ウイルスに感染する。
そのままネットに接続していると、画面に表示している情報を盗まれるほか、パソコン内のデータを盗まれたり、勝手にメールを送信されたりする恐れがある。同社は、どのようにして感染を拡大させているのか、調査を進めている。
ネット上でシリアルキーと呼ばれる英数字の番号を購入して遊ぶタイプのサッカーゲーム「FIFA14」(販売元、エレクトロニック・アーツ)について、「無料で遊べるシリアルキーを発行する」とうたって誘導する海外の偽サイトも確認された。本来は国際サッカー連盟(FIFA)公認で、選手が実名で登場してプレーヤーが操作するゲームだが、偽サイトにアクセスし、特定の場所をクリックすると、無料で遊べないばかりか、アダルト広告が消えないウイルスに感染する。
トレンドマイクロのセキュリティー製品を利用するユーザーだけでも、偽サイトにアクセスしようとした記録が150件以上(23日現在)あるという。
トレンドマイクロによると、2012年のロンドン五輪でもライブ中継をうたったサイトが確認され、同年のサッカー欧州選手権でも公式サイトに似せてウイルスに感染させる偽サイトが見つかっている。
同社の鰆目(さわらめ)順介・シニアスペシャリストは「確認したのは、当社の製品でアクセスをブロックできた件数なので、氷山の一角にすぎない。大会が近づき関心が高まるにつれ、不特定多数にメールでファイルを送りつけるなど攻撃がエスカレートしていく可能性がある」と話している。【関谷俊介】