片山被告、PC遠隔操作のネタばらし 「プログラム作る能力ない」が一転
パソコン(PC)遠隔操作事件で、威力業務妨害などの罪に問われた元IT関連会社社員、片山祐輔被告(32)の公判が30日、東京地裁(大野勝則裁判長)であり、無罪主張を撤回した被告が、法廷で初めて犯行の具体的な手口を説明した。この日はプログラム解析の専門家が、横浜市のホームページに小学校襲撃予告を書き込んだ事件の鑑定結果を証言。それを聞いた片山被告は、捜査機関が見抜いていないとする“トリック”のタネ明かしを始めた。
無罪主張から一転、片山被告が、犯行の手口を法廷で“解説”した。この日、審議されたのは、一連の事件の発端となった2012年6月29日の小学校襲撃予告事件。ネット上の掲示板のURLをクリックしただけで、PCを遠隔操作され、予告を書き込まされる、わなが仕掛けられ、東京都内の大学生が神奈川県警に誤認逮捕されている。
法廷では、民間のデジタル鑑識の専門家が、モニターを使いながら、不正プログラムの解析結果を証言。ポロシャツにジーンズ姿の片山被告は約1時間40分、時折、腕を組みながらリラックスした様子で聞き入っていた。
証言を聞き終えた片山被告は、弁護人の質問で「おおむね合っています」と認めたが、補足するように、「捜査機関が、まだ見つけていない方法で痕跡を消しました」と告白。「捜査機関はアクセスしたサーバーの1つは突き止めたが、サーバーは2つ使った。プログラムを上書きさせる方法で痕跡を消したため、誤認逮捕された男性のパソコンからは何も発見されなかった…」。よどみなく手口のタネを明かした。
犯行に使ったプログラムは「主に自宅で2、3日かけて作成した。送信したのは職場でした」と証言。これまでの公判では、「自分には(プログラムなどを)作る能力がない」としてきたが、自作自演の「真犯人メール」送信が発覚し、無罪主張を撤回した今は、むしろ“能力”を誇示するかのような変貌ぶりとなった。
閉廷後に会見した弁護団によると、被告は今でも「死にたい」と自殺願望を訴えており、東京拘置所では自殺防止を目的とする房に入れられているという。被告の心理状態を心配する主任弁護人の佐藤博史氏は「今後は臨床心理士による情状鑑定を考えている」と話した。