<札幌・女性遺体>捜査本部に不審者情報180件
毎日新聞 5月31日(土)22時5分配信
札幌市厚別区厚別町上野幌(かみのっぽろ)の東部緑地で、近くに住む福祉施設職員、伊藤華奈さん(25)の遺体が見つかった殺人・死体遺棄事件で、北海道警札幌厚別署捜査本部には31日現在、不審者情報など180件が寄せられている。捜査本部は情報を精査するとともに聞き込み捜査を続け、事件の経緯などを調べている。一方、専門家は行きずりの人物による短絡的な犯行の可能性があると指摘する。【酒井祥宏、三股智子、日下部元美】
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捜査本部によると、同署管内では1〜5月、声かけなどの事案が6件発生。4月25日と5月7日は、緑地から約500メートルの範囲で不審者がいるとの情報が寄せられた。5月28日の遺体発見以降、捜査本部には不審車両も含めて多数の情報が寄せられている。今のところ有力情報はないが、慎重に調べている。
伊藤さんが見つかった緑地は約31.5ヘクタール。遊歩道があり日中は市民の憩いの場だが、敷地内に街灯はなく、近くの女性(47)は「夜は不気味で1人では歩かない」と話す。
伊藤さんは、緑地南側の出入り口から約50メートル入った遊歩道を西に約15メートル下った雑木林のくぼみ(直径約3メートル、深さ約50センチ)で見つかった。周辺はササや枯れ葉で覆われ、遊歩道からは遺棄現場が雑木林で見えにくい。
管理する厚別区によると、委託業者が5月26日に近くの遊歩道や芝生を清掃した際は異常は見つからなかったが、遺体の見つかった雑木林は清掃対象外だった。札幌厚別署も同4日と22日に現場周辺を捜索したが、発見できず、捜査本部が捜索状況を確認している。
伊藤さんはブレスレットなどは身につけたままで発見されたが、スマートフォンや上着のコートなどの所持品はなく、犯人が持ち去った可能性がある。
元警視庁科学捜査研究所研究員の越智啓太・法政大教授(犯罪心理学)は「所持品を持ち去るなど、身元判明を遅らせる隠蔽(いんぺい)工作をしているが、一部を残し、遺体は遊歩道から近い場所で枯れ葉をかけただけ。手口がずさんで、行きずりの人物による短絡的な犯行の可能性がある」と推測する。
伊藤さんは5月4日午前1時ごろ、自宅周辺で婚約者に「助けて。警察を呼んで」と電話した後に連絡が途絶えた。越智教授は会話の状況から「不審人物に後をつけられ、殺害されたのでは」とみる。また、自宅周辺と遺体発見現場が近いことから「被害者を拉致して別の場所で殺害したら、拉致現場近くに戻って遺棄するとは考えにくい。連絡を絶った直後に発見現場近くで殺害し遺棄したのだろう」という。
最終更新:5月31日(土)22時16分
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