- 『不良倶楽部』
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- 1050円
- ユニバーサル シグマ
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TOP > 100Qインタビュー > 横山剣(クレイジーケンバンド)
1年半ぶりのオリジナルアルバム『ITALIAN GARDEN』のリリースを記念して、「ぴあ」の名物企画「100Q」にクレイジーケンこと横山剣が登場。『ITALIAN GARDEN』収録曲のことから、音楽、車、女、酒(剣さんはノン・ドリンカーですが)にまつわるエピソードまで、アレコレたっぷりと語っていただきました!
Q1 ニュー・アルバム『ITALIAN GARDEN』、完成! いまの気分はどうですか?
寂しいですね、レコーディングが終わって。最後のほうは、いろいろあったんですけどね。ほとんど完成したあとに、「スカート」ってところを「スカーフ」って歌ってるのが見つかったり、違う音を貼り付けてたり。4、5日、音の文字校正みたいなことをやってました。
Q2 今回は珍しく春リリースのアルバムですね。
ずっと希望してたんですよ、P-VINE時代から。なんでいつも8月リリースなんだ! って文句言ってたんだけど、ツアーとの兼ね合いとか何とか、1度流れができてしまうと、それを崩すのが大変だったみたいで。去年アルバムを出さないことで、流れを変えることができたっていうね。
Q3 『ITALIAN GARDEN』はかつて横浜に存在した店の名前。クレイジーケンバンドにとって、どんな場所?
そこから始まったバンドなんですよね、クレイジーケンバンドは。僕らは'97年の結成なんですけど、イタリアン・ガーデンの閉店も同じ年。あれから15年経ったわけですけど、結成当時を象徴する響きとか香りってことで、タイトルにした。あんまり悩むと良くないんですよ、タイトルは。意味はどうあれ、最初にパッと浮かんだやつがいい。今回もそうです。
Q4 アルバムには『不良倶楽部』という楽曲も収録されてますが、剣さんが小学生のときに主幹していたというクラブはどんな活動をしてたんですか?
“子供プレイボーイクラブ”ですね。これはねえ、セクハラです(笑)。会員の男性はふたり。僕とカツマタってヤツだったんですけど、そいつは見張り役で。あとはプレイメイト役の女の子が10数名くらい、入れ替わり立ち替わり――まあ、“こどもヒュー・ヘフナー”ですよね。なかにはエリートの女の子もいたんですけど、クラブでは豹変するんですよ。大儀名分に女の人は弱いんだなって思いました、ええ。
Q5 「いっぱい いっぱい」な世の中ですが、この世を生き抜くためには何が大切?
そんなこといいから、早くこっちへ逃げて! っていう“ざっくり感”が大事なのかな、と。ああしなきゃ、こうしなきゃなんて言ってるうちに間に合わなくなっちゃうからね。四の五の言ってる場合じゃない! っていうミもフタもない現実も直視しなきゃね。
Q6 剣さんにとっての「SOUL MATE」とは?
自分より大切なものかな。自分のなかにあるのか、或いは外にあるのかわからないですけど、それを見つける事が幸せなんじゃないかなって思いますね。
Q7 シングル曲の『ワイルドで行こう!!!』も最高です! 剣さんにとって「ワイルドなヤツ」とは?
チャールズ・ブロンソン! 昔のマンダムのCMでね、テンガロンハットに川の水を入れて全身にザバッっとかけるんですよ。ああいうフルチン感はいいですね。あとはやっぱり勝新太郎さんのハミ出し具合とかね。いずれも僕の先輩に多いタイプです(笑)。いまは絶滅したというか、いたとしてもスルーされちゃうんじゃないですか。ワイルドな人を目にしても、何も感じないし、心に留まらないっていうか。
Q8 「生き残れ」の歌詞にグッと来ました。この曲に込めた思い、メッセージとは?
僕らの世代のヤンチャな人物をモチーフにしてるんですけど、その人はバイクで事故って死んじゃって。で、その人が”おまえは俺の真似をするな。生き残れ”って言ってるような、そんな気がしてたんですよね。
Q9 初回限定ライブDVD『OMAKE!!!:OFFICAL BOOTLEG LIVE DVD』の見どころを教えてください!
これまでDVDになるのはホールツアーばかりで、ライブハウスツアーを映像化したことってあんまりなかったし、ライブハウスならではの活きのいいところが入ってると思いますね。選曲的にもツボというか、いい意味で微妙……あ、微妙じゃない、絶妙な感じになってます(笑)
Q10 アルバムには『シウマイ娘』と『春巻』という曲が並んでますが、シウマイと春巻、どっちが好きですか?
どっちも!!! 春巻なら銀座アスター、シウマイなら崎陽軒が好きですね。
Q11 音楽に目覚めた1曲(1枚)があるとすれば?
目覚める前に楽曲を作ってたんだけど、やられたなって思ったのはバート・バカラックとかフランシス・レイの映画音楽。当時、小学生だったんですけど、”俺がやりたいことを先にやられた!”って地団駄踏んで悔しがってましたね。
Q12 初めて買ったレコードは?
自分でお金出して買ったのは、『ブルーライトヨコハマ』か『オブラディ・オブラダ』。どっちを先に買ったかな? もしかしたら同じ日かもしれないけど、たぶん、『ブルーライトヨコハマ』。'68年かな。大ヒットしてたんですよね
Q13 10代ころに見たライブで、印象に残っているのは?
キャロル! 小学校6年生のとき、神田共立講堂で、慶応が主催する、チューリップが出るロック・フォーク・イベントがあって。ほかには加藤和彦さんとか、はしだのりひこさんが出てたんだけど、いきなりパンフレットに載ってないバンドが登場したんですよ。最初はね、みんな笑ってたんです。パツンパツンの皮の上下で、ポマードの匂いが客席まで来て。自分たちでせっせと楽器を運んでるからローディだと思ったんだけど、そのまま演奏を始めて。とにかく演奏力がピカイチだったし、楽曲のアレンジ、メロディ、アンサンブルもすごく良かった。そのときは矢沢永吉さんの作曲とは思ってなくて、洋楽だと思うぐらいセンス良かった。あとね、ボトムがあったんですよ。ドラムのキック、ベースがドン! って来て。その2、3年前に万博でセルジオ・メンデスも見たけど、衝撃はキャロルのほうが上でした。
Q14 最近買ったCDは?
CDは買ってないし聴いてないなー。DVDだとね、『長江哀歌』っていう中国の映画と、『ゲットレディ・栄光のテンプテーションズ物語』かな。
Q15 初めて作曲したのはいつですか?
物心ついたときから頭のなかでメロディが鳴ってたんだけど、テープレコーダーに記録したのは7、8歳のとき。頭のなかではストリングスも鳴ってるんですけどね、ぜんぶ声だけで録音してるから、人にはぜんぜんわからない(笑)。レコーダーを2台使って多重録音もやってましたよ。メロディを流しながら、ドラムを口で言って(笑)。いまみたいな機械があれば、そうとう良かったと思うけどね。もったいない。
Q16 多彩な作曲センスをお持ちですが、音楽理論を学んことはありますか?
ないです。学校の音楽の成績、「1」だったんですよ。あるとき、レクリエーション会で尾崎紀世彦さんの「また会う日まで」を歌うことになって、クラシックのピアノを習ってる子に伴奏を頼んだことがあって。そしたら、譜面を用意してって言うんですよね。こっちは「そんなの、レコードから音取れよ!」って言うんだけど、それが出来ないんですよ。「この音とこの音とこの音じゃん!」って和音を教えてもダメ。後々、音感みたいなものが大事なんだなってわかるんですけどね。理論より音感!。
Q17 好きなコードは?
テンションコードですね。好きっていうより、脳内に鳴るので必要に迫られてですけどね。前田憲男とプレイボーイズ(「円楽のプレイボーイ講座」)を初めて聴いたときも、メロディに対するコードの当て方とか崩し方がすごく好みで。筒美京平さんもそうですけど、ジャズを通過した人のコード感はイイですね。
Q18 メロディが思い浮かびやすい環境、季節ってありますか?
初夏かな。だいたい3月から9月まで浮かぶんだけど、冬期はあんまり出ませんね。
Q19 この人はすごい! と思う作曲家を思いつくまま挙げてください。
そりゃもう、いっぱいいますよね。筒美京平さんを筆頭に、さっきも出てきたバート・バカラック、フランシス・レイ、ミシェル・ルグランとか。誰が作ってるかわかんないんだけど、ディズニーランドでかかってる音楽もいいですね! あとはユーミン! とにかく、胸をグーッと わしづかみにされるようなメロディが好きなんでね。
Q20 いま気になってるジャンルはありますか?
ジャンルはわかんないけど、相対性理論を聴いたときは電波が来ましたね! やくしまるえつこさん、素晴らしい声ですよね。何だこれは?! と思いました。
Q21 レコード、CDはどれくらい持ってますか?
あんまり持ってないですねー。200枚もないんじゃないかな。あんまり聴かないし。ラジオ番組のときも、曲を選ぶのが大変なんですよ。ぜんぶ自分の曲だとイヤらしいし。
Q22 今日、移動中に聴いてた音楽は?
「自分たちのアルバム(『ITALIAN GARDEN』)。スタッフに聞いてもらえればわかるけど、ずーっと自分たちの曲ばっかり聴いてます。
Q23 デュエットしてみたい女性シンガーは?
和田アキ子さんとデュエットしたいと思ってたんだけど、もうしちゃいましたね。そうね、椎名林檎ちゃんかな。
Q24 コラボレーションしてみたいミュージシャンは?
亀田誠治さん。あの人とは気持ちが通じ合うんですよ。前に1回、ap bankに出たときに“この人は俺の気持ちがわかってる!”って思った。それが亀田さんの上手いところなんでしょうねえ。あとは冨田ラボのサウンドで歌ってみたい。
Q25 どうしても曲が書けないときはありますか? そういうときはどうする?
冬期は殆ど浮かばないんですけど、そういうときはストック曲をブラッシュアップしたりね。出来たての新品が必ずしもイイわけじゃなくて、ワインみたいに何年も経て良くなる場合もあるんで。