特集

http://www.tkrb.jはてなブックマークに追加 livedoorクリップに追加 Yahoo!ブックマークに追加 del.icio.usに追加 イザ!ブックマーク ニフティクリップに追加 Choixにブックマーク Buzzurlに追加  

つくるぶ2万字ロングインタビュー vol.1 「矢野さとるさん」の巻

ゲスト:矢野さとるさん(字幕in株式会社 代表取締役社長、satoru.net運営者)

サービスを作るきっかけはいろいろ。

ところで、さとるさんはどういうときにサービスを作り出すのですか?

サービスをつくるきっかけって、特に決まったものって無いんですよ。その時に僕自身が置かれている状況だったり、ドメインがたまたま空いていたからとか、あと、元ネタが流行っていたからとか。もうちょっと具体的に言うと、SNS統計ページなんかは、livedoorの社員としてSNSを担当していた頃に国内の有名サイトの会員数を調査したかったから作ったんですね。今は更新をさぼったせいでバグがあって、livedoorフレパの会員数がすごいことになっているんですが・・・mixiあたりは割と正確なのかな。これは、せっかく作ったので、自分だけで使うのはもったいないと思って個人的に公開しました。それから、空きドメインの例でいうと、QRCODE.jpとかはそうなんですけど、このドメインが使えるんだったらQRコードがらみのサービスをやろうってことで、簡単にQRコードを生成できるサービスをつくったんですよ。Yahoo!でQRコードって打ち込んで検索したら、かなり上のほうに出ますよ!QRコードのオフィシャルサイトより上に出るかも(笑)で、流行りモノで言うと、やっぱりYouTube関連はたくさん作りましたね。

それから、たまたま他のサービスを使っていて、「これができるんだったら、こう応用できるな」って思って、そのまま開発してしまうこともあって。字幕inとかホントそうですけど、ニコニコ動画を見ているうちに、動画に合わせてタイミングを取って、それに合わせてコメントを出せるんだったら、これを完全に字幕だけに特化したサービスに応用することもできるな、って感じで思いついたんですよ。

アイデアを思いついた後はとりあえずメモ、ですか?それとも、そのまま何か作っちゃう?

思いついたサービスのコアとなる部分は、とりあえず一日で形にしちゃいます。まずは作って、自分の目で見られる状態にしておけば、そこからイメージが湧いてきて、どんどん改良を加えて、さらに発展させていくって感じです。作ったサービスは、まずは、友人に見せたりしますね。で、フィードバックをもらって、サービスを発展させていく。サービスを作っていて面白いのは、ユーザーから反応してもらえることと、そこから新しい関係が生まれるかもしれないことですね。それがすごく楽しくて、絶対にやめられないって感じです。

大量のサービスを作る裏側。

いまいくつぐらいのサービスを運営しているんですか?

satoru.netでいま動いているサービスは約50数個です。サイトに載っているサービス一覧のうち、上のほうのサービスがYahoo!カテゴリーに登録されているものなので、わりと「意味のあるもの系」ですね。ただ、50数個って言っても、本当に動いているのかな、このサービスっていうのもあって(笑)。全部動いていない可能性もあるんですけどね。なんでそうやって50数個のサービスを同時に運営できるのかというと、開発時点で、それぞれのサービスを、それぞれ単独でそれなりの稼働ができるような「手がかからない」状態にしているからなんですよ。もちろん、あとからそれぞれのサービスに僕自身が改良を加えたりすることはあるんですけど。例えばレンタル掲示板作成システムって、まあCGMつくるのともまったく一緒ですけど、人が勝手に使って広められるようにしておけば、放っておいても勝手にユーザーが集まって、彼らが広めていってくれて、プロモーションしなくてもどんどん広がっていきますよね。2ch2ニュースとか、QRCODE.jpとかも一緒ですけど、ほったらかしでも成立してくれるサービスっていうのがポイントなんです。

その中でもお気に入りのサービス、一番好きなサービスはありますか?

あえて、この中で一番を決めるとすると・・・うーん、無いかもしれないなぁ、これっていうのは。でも、あえて挙げるとしたら字幕inなのかな。やっぱり字幕inは、自分が作ったサービスの中で、初めて社会的な意味があったような気がしていて。例えば、聴覚障がい者の方たちに役立つツールになりえたりだとか、ビジネス的な発展もありえたりだとか、世の中とつながりを持てるようなサービスとして可能性が見えやすいというか。今までの作ってきたサービスでは、なかなかそのあたりが難しいなって感覚だったんですけど、字幕inではじめて、そういった世の中とつながれた印象はありますね。

あと、ドメインには思い入れがありますね。satoru.netというドメインは海外のバイヤーから買ったんですけど、千何ドルだったかな。今となっては、なかなか自分の名前でドメインは取れないんだけど、一度取ったら一生の財産になりますからね。自分の名前のドメインを取ると、自分の分身がつねにネットにいるような感覚が芽生えてきますね。

satoru.netのPVはどの程度ですか?また、運営コストはどれぐらいかかるのですか?

satoru.netのページビューは、デイリーで150万PV以上は出ていると思いますよ。サーバは、satoru.netと字幕inでは別のものを使っているんですけど、個人で借りているものが、いま10台ぐらいかな。結構安いサーバを使ってるんで、コストは月に6万ぐらいです。最初は自宅サーバで運営してたんですけど、うっかり足に引っかけてコンセントを抜いちゃったり、、、そういう不安定な状態だったので、なんとかしないとなあという気持ちと、あと、それなりにアフェリエイト収益が出てきたので、ペイできるなと思って外部にサーバを借りたんですね。

個人サイトの運営はあまりリスクも無いですし、徐々にアフィリエイト収入も増えて、それなりに問題なくやっていけてます。収入面では、僕は、自分の生活費とネコのエサ代だけ稼いでいればよいと思っているんですけど、そう思っている人って結構いるんじゃないですか。お金は最低限でいいから、面白いサービスや開発ができたら、それはひとつの幸せかなと思うんですけど。

Flashは表現力を与えてくれた。

最近何か学んだことはありますか?

僕のサービスの中でも、サービス名に「YouTube」とついたものが、文字通りYouTube系のサービスを取り入れた流行りモノ系なんですね。例えば「Flash YouTube Player」は、動画をプレイヤーの中で検索できて、プレイヤー内で見られるように組み上げたものなんですけど、実を言うと、この開発の時に初めてFlashを触ったんですよ。それまでは、きっかけも無くて、全然触ったことが無くて。まあ、この時は、せっかくのよい機会だし、せっかくだからFlashやってみようかなということで、何とかカタチにしたのが、この「Flash YouTube Player」だった訳なんですよ。

それまでは、PerlとかJavaScriptとかばかりいじっていたのですが、それだけだと動画や音声を扱いづらかったりして、表現力に限界を感じていたんですね。Ajaxとかを使えば、ある程度複雑なこともできるんですけど、ちょっと無理矢理感があったりして。そこで、Flashを使えるようになったことで、そういう悩みからも解き放たれて、できることの幅が広がりましたね。

なるほど、サービスを作る上でUIは重要ですもんね。UI以外で工夫したポイントはどこですか?

この「Flash YouTube Player」はYouTubeの動画と他のAPIをマッシュアップしたサービスで、プレイヤー内でカテゴリから動画を検索するみたいに辿っていけるんですよ。ただカテゴリ検索するにしても、Yahoo!カテゴリのAPIだと細かすぎて使いづらかったので、考えたあげくYahoo!オークションのカテゴリー情報からキーを持ってきています。そんな事情があるんで、これを公開したら、多分Yahoo!から怒られるんだろうなと思ったんですね。でも、Yahoo!APIコンテスト応募してみたら、普通に認められて。コンテストへのエントリーを受理されたってことはギリギリOKなんでしょうね。

こういう「ネタがあるから作っていく」という発想というか、ネタをきっかけにその応用を考えていくっていう発想って、技術者ならではなんですかね。色々なネタが揃っていて、まずはそのネタをベースに何かを作っていくと、発想が広がっていくっていうか、作っていくなかで新しく生まれるものって実はかなりあるんですね。初めのアイディアはものすごく小さいものなんですけど、作り始めると、作って行く段階でイメージがどんどん膨らんでいくみたいなことはよくありますね。

「まずつくる」ことでアイデアが広がる。

なるほど、まず作り始める事が重要なんですね。最近作ったサービスにはどんなものがありますか?

例えば、「あなたの目を電脳ハック」ってサービス、これは画像のURLを投げると、その画像を読み込んで、顔の部分にスマイルなイラストをくっつけて投げ返すっていうサービスなんですね。顔の座標位置を特定する機能は誰にでも自由に使ってもらえようにAPIも公開してますけど、このプログラム自体は、インテルかどこかが作ったもので、それが最近ライブラリとして公開されたので、こちらでAPI化しました。

あと、この完全自動検索エンジンの「アンドロイド」とかは、ダラ見表示の検索エンジンがあったら良いなって思って作りました。検索ワードは、gooからRSSで定期的に持ってきて入力させています。「読む」にチェックをつければ、キーワードを音声として読み上げてくれて、音声には、フリーの音声読み上げライブラリを使っています。これもAPIとして公開しました。このライブラリ、基礎が凄くしっかりしてるから、漢字もちゃんと読んでくれて。これをぼおっと見る&聞くだけで、最近どういったものが流行っているのかとか、トレンドを知ることができます。

アンドロイド、面白いですよね。このサービスの企画過程を教えてください。

この「アンドロイド」も、作り始めてからアイデアが膨らんできて、こういうサービスになりました。最初はこんな感じにキーボードでガシャガシャガシャ自動入力させる感じじゃなくって、キーワードがずーっと流れていくみたいなものを作っていたんですね。けど、それだったらあんまり新鮮味が無いなと・・・で、「そうだ!キーワードをロボットに自動で入力させるって面白いな」と思って、入力させてみたら、かなりそれっぽくなってきたんで、試しにカチャカチャ音をつけてみたら、どんどん臨場感が出てきたみたいな。そういう経緯を経て生まれたのがこの「アンドロイド」です。

ここからさらに発展させるのなら、例えばキーボード入力ができないPC初心者向けに、こちらからリコメンドで面白いキーワードだけを見せてあげたりしてもよいかもしれませんね。既存の検索エンジンに、こういう機能を取り込んでも面白いと思います。あと、例えばWeb検索だけじゃなくって、画像検索もできたら面白そうですよね。「アンドロイド」は、YouTubeにはまだ対応できてないんですけど、画像検索は一応できます。画像自体はどこのAPIから持ってきてもよいので、色んなAPIに対応させるよう組み替えることもできますね。また、検索ワード自体もジャンルで絞る等して、例えば女優さんだけとか、アニメキャラだけとか、そういう機能を付けても面白いでしょうね。そうすれば、最近人気の女優スライドショーみたいなものが作れます。

なるほど、エンジニアだからできるサービスの企画方法ですね。

こういうアイデアの発展の事例をもう少しお話すると、例えば「川の流れのように」は、キーワードで検索すると画像が川を流れるように表れてきて、ユーザーが選んだ画像リストを保存・共有するというサービスなんですね。このサービスは、花見をしながら、ぼーっと考えているうちに川に花びらが流れるのを見て思いつきました。こんな感じで、突然の思いつきからスタートすることもありますね。でも、最初から現在の完成形の機能を思いついていた訳ではなくって、この経緯にもやっぱりアイデアの発展があって。初期段階では、何か面白い画像検索のインターフェースは無いかな、って頭の片隅で思っていただけなんですが、そんなときに花見で偶然ヒントを見つけて。で、試しに画像を花びらみたいに流してみたら、こいつはかっこいいなぁと思って、そのまま開発しました。その後、ついでに川の音をつけたら、何だかそれらしくなって、おっいいじゃんって思って。画像の動きも川っぽく蛇行させてみたり、画像を選ぶ時にポチャっていうサウンドを付けることで、より川らしくなってきて。そんな感じで、遊ぶように作りながらアイデアを膨らませていったんですが、あんまり意味のないものになっちゃったので、最後に、検索して選び出した画像を共有できるっていう機能を持たせました。時には、こんな感じで開発が進むこともありますね。

いろんな人とつながりたい、楽しませたい。

これまでも何度か出てきましたが、再度お伺いします。なぜいろいろなサービスを作るのですか?

こうやって色々なサービスを作っていくモチベーションは、やはり、「人のつながり」と、「人のつながりから、できることがさらに広がっていくこと」ですね。あとは、単純に人を楽しませたいという想いです。クラスのなかの面白キャラ的な存在というか、、、残念なことに、学生の頃は得意分野があるわけでは無かったので、目立ちたかったけど日陰に甘んじるしかなかったんですけど。今は、Webがあるので、自分が作りたい物を作ることができて、色々なものを発信していけてるんで、そのあたりも楽しいですね。

そういうモチベーションから作ったサービスだから、とにかく利用してもらうために、最初の頃は色んな掲示板に書き込みまくって、2ちゃんねるとかでは「マルチのさとる」としても有名だったんですよ(笑)。超大迷惑をかけていたというか、マルチポストをしていくうちに、僕のスレッドができて「あいつまたあんなとこにマルチポストしてるよ」なんて書かれたりもしました。2ちゃんねるやはてなからは結構アクセスしてもらいましたね。まあ、最近はそんなことをしなくて、自分のサイト内で新しいサービスを紹介したり、あと、プレスリリースっていう大人の方法を知ってからは、プレスリリースを出してますね。

一人でサイトを作っている人達には同じオーラを感じる。

影響を受けたサイトはありますか?

影響を受けたサイトは「2ちゃんねる」かもしれませんけど、めちゃめちゃ見てるっていうよりは、そのリソースをうまく使って、何か新しいサービスに活かせないかって考えてる感じですね。最近は、2ちゃんねるに書き込んだりしているわけではなくて、2ちゃんねるを見て、何かを作るヒントを探してるって感じなのかな。僕のサービスのひとつのnews.2ch2.netは、2ちゃんねるのリソースを使ったサイトなんですけど、2ちゃんねるの各スレッドの書き込みスピードを計算して、そのスピード順にソートさせて、自動的に面白い話題だとかが上がっていくというサイトです。こういった感じで、とにかくいいリソースは積極的に使わせてもらってるって感じですね。

注目している人はいますか?

最近、Webを「ひとりで作る」系の人がネット系メディアで取り上げられたりしてますが、彼らには同じオーラを感じたりしますね。いわゆるライバル的な感覚というよりも、むしろ、一緒にやっていきましょうよ、みたいな感じですけど。でも、果たして一緒に何かやってみたらできるのかっていうと、なかなか難しいんだろうなと思います。

僕も、これまで作ったサービスは「一人だからできた」感じで、何人かで作ってたら難しかったかもしれません。というのも、開発者って割と自我が強い人が多いので、オレがオレがって感じになって、折り合いがつかずに、じゃ一人でやるよ!みたいになっちゃうみたいな事もありうると思うんですよ。一人で、自分だけで、やりたいことをやってるからモチベーションを保ち続けることができたりとか。まあ、逆に二人いることでお互い励まし合ってできるみたいなパターンもあるんだけど。僕の場合は、一緒にやってくれる他人を意識しちゃうとスピード感が遅くなってしまったり、相手の意見をそれなりに尊重しなきゃとか考えたりしてしまって、うまく進まないこともありますね。

  特集に関する感想はこちら

http://www.tkrb.jp/modules/xhnewbb/viewtopic.php?topic_id=30
(会員登録しなくても投稿できます)