(陽)僕見てみたい。
ひかりちゃんがママのおっぱい飲むところ。
(愛美)そうか。
陽君見たことないんだもんね。
やっと外泊許可が出て陽君の最初のリクエストじゃない。
応えてあげなさいよ。
(陽)ママ?
(聖美)陽。
(愛美)ひかりちゃん。
いらっしゃい。
ママがおっぱい飲ませてくれるって。
さあ。
(峻)やめなよ。
起こしたらかわいそうだ。
大丈夫よ。
いつも機嫌のいい子ちゃんなんだから。
あらやだ。
この子ったら。
私のことママと勘違いしてる。
駄目よひかりちゃん。
叔母ちゃんのおっぱいなんか触ったって。
あのね陽。
ママホントのこと言うね。
お乳出なくなっちゃったの急に。
陽のときはいっぱい出ていくらでも飲ませてあげられたのに。
ママも年取ったのかな。
(愛美)そうだったんだ。
ちっとも知らなかった。
残念だったね陽君。
叔母ちゃんにも赤ちゃんがいれば代わりにいくらでも見せてあげられたのに。
(波津子)バカおっしゃい。
産後の体はデリケートですからね。
よくあるんですよ。
こういうことは。
繁郎。
(繁郎)はい。
(波津子)ワイン頂くわ。
(繁郎)あっ。
(波津子)陽のために乾杯しましょう。
(繁郎)はい。
よいしょ。
ハハハ。
(陽)お布団ふわふわ。
ぽっかぽかだね。
一人でさみしくない?平気。
いいのよ。
久しぶりなんだからパパとママとあっちのお部屋で一緒に寝ても。
もうお兄ちゃんだもん。
きっと僕のせいだね。
僕が早くママをひかりちゃんに返してあげれば。
そしたらきっとまたおっぱいだって。
何言ってるの。
あなたのせいなんかじゃない。
あなたはそんなこと考えなくていいの。
陽。
僕いいお兄ちゃんになれるかな?当たり前じゃない。
ホントに?ママ?あなたがいい子だから。
あなたは今だって世界一いいお兄ちゃんよ。
ママ。
(諏訪)はい。
(陽)ああー。
(諏訪)よし。
OK。
おなかも壊さなかったし。
熱も出なかったし。
異常なしだ。
もう病室へ戻っていいよ。
(陽)はい。
(諏訪)頼むよ塩谷さん。
(百合子)あっ。
はい。
じゃあ行きましょうか。
(陽)うん。
今度はいつおうちに泊まれる?
(諏訪)次はお泊まりじゃなくて退院しておうちに帰れるかもしれないよ。
ホントに?
(諏訪)もうちょっとの辛抱だ。
やった!じゃあね。
ママ。
うん。
後で行くね。
大した回復力だ。
このまま数値が安定すれば本当にいつ退院したっていいくらいです。
あっ。
ずっと心待ちにしてた。
あの子が退院する日を。
指折り数えて夢に見るくらい。
おうちのことを心配されてるんですね。
今回は1泊でしたから何とかぼろを出さずに済みましたけど正式に退院して今のあの家に戻ったらきっとあの子を混乱させてしまうんじゃないかって。
院長は何とおっしゃってるんですか?院長の気持ちは今はもうはっきりと愛美さんに?じゃあ奥さんとは離婚を?離婚?そこまで考えてるかどうかは。
男なら中途半端なことはできないはずだ。
院長はいったいどういうつもりで。
(陽)行かないの?
(百合子)あっ。
ごめんごめん。
ねえ陽君。
おうち楽しかった?
(陽)うん。
自分から答えを出すことはないんじゃないかしらあの人は。
かげろうみたいにゆらゆらと流されるばっかりで。
そのうち愛美に引きずられて下手をすれば先生のおっしゃるとおり本当に離婚ってことにだって。
私怖いんです愛美が。
妹は小さいころからずっと愛情に飢えてきた。
愛を手に入れるためだったらどんなことだってやりかねない。
ましてその愛を私から奪うのならなおのこと。
そのために愛美はひかりを道具にしてる。
道具?自分こそがひかりのママだって。
あの子の母親としての権利をつかみ取ってそこから私の足場を崩そうとしてる。
知らないうちに私たちひかりを物みたいに奪い合ってる。
あの子を右と左で引っ張り合って自分のものにしようとしてる。
何かを犠牲にしなければならないときってあると思うんです。
今のままでいいわけがない。
それだけは明らかなんだ。
打開するためにはきっと大きな決断がいる。
何か大切なものを手放さなければならないことだって。
もしそのためにあなたが痛みを受けるなら私が命懸けで治します。
その傷を。
痛みを。
心が流す赤い血を全部なめとってでも治します。
・
(ひかりの声)何であんたが?ひかりのことはちゃんとお母さまに頼んでおいたはずよ。
(愛美)前にも言ったでしょ。
ばあちゃんに赤ん坊のお守りは荷が重いんだって。
諏訪先生何だって?陽もうすぐ退院だって?私はもう金輪際猿芝居には付き合わない。
一緒に暮らすようになったらこそこそしないでおっぱいあげるわよ。
陽の見てる目の前でね。
ちょっと待ちなさい。
(愛美)どうしたの?もぎ取ったらいいじゃない。
この子が自分の子だって自信を持って言えるなら。
あんたももうさすがに認めざるを得ないんじゃない?ひかりの親は繁郎さんとこの私だってこと。
はっきり言ってくれたもんね繁郎さん。
姉さんより私がいいって。
女として母親としてふさわしいのは姉さんじゃなくて。
あなたはいったいどうしたいの?私を追い出して後釜に座るのが望み?悪くないわね。
最初からそのつもりだったの?私を追い落とすために体を張ってその子を産んだの?何度も言うけどそうさせたのはあんただから。
・
(波津子)ただいま。
ああ。
ひかりちゃんいい子にしてた?
(愛美)おかえりなさい。
お着物の展示会どうでした?
(波津子)よかったわよ。
顔だけでも出してこられて。
ご苦労さまだったわね。
(愛美)顔だけとか言っちゃってまた高いお着物とか注文しちゃったんじゃないですか?
(波津子)お義理がありますからね。
お土産のケーキ一緒に頂きましょう。
ちょっと。
あんた邪魔よ。
そんなところに突っ立ってたら。
はいどうぞ。
(愛美)はい。
わぁ。
すごい。
これどれ食べていいんですか?
(波津子)いいのよ。
これでも。
これでも。
あれでも。
これでも。
(愛美・波津子)ハハハ…。
(泣き声)
(繁郎)泣いてるぞ。
(泣き声)愛美のところへ連れていく気?私じゃ駄目だと思ってるんでしょ?何だよいちいち。
悪いのは私だけ?お母さま愛美のことは許してる。
もちろんあなたのことだって。
責めを負うのは私だけ?全て私がひっかぶって姿を消せばそれで丸く収まる。
あなたもそう思ってるの?姿を消す?いなくなってほしいんでしょ。
愛美とよろしくやるために。
思ってないよそんなこと。
曲がりなりにも10年夫婦をやってきたんだ。
そんな簡単に壊せるものじゃないだろう。
じゃあどうするの?愛美を追い出して今までどおり私と夫婦を続けていく?それとも父親1人に母親2人。
1人ずつ片親の違う子供が3人。
人の目なんかお構いなしに常識外れな破天荒な家族としてやっていく?やっぱりあなたはかげろうよ。
何にも考えちゃいないんだわ。
ふざけるなよ。
僕だって。
この子の母親は誰?答えて。
あなたなんかに聞いた私がバカだった。
・「おかあさんなあにおかあさんていいにおい」・「せんたくしていたにおいでしょ」・「しゃぼんのあわのにおいでしょ」ひかり。
・「おかあさんなあに」スズランが。
お母さんの花が咲きだした。
お母さん。
私をどこへ連れていこうとしてるの?
(百合子)あっ。
そろそろかな。
はい。
体温計出して。
後でお散歩に行ってもいい?
(百合子)いいけど1人で行っちゃ駄目よ。
(陽)普通のお洋服着ていってもいい?
(百合子)パジャマでいいじゃない。
だってカッコ悪いんだもん。
病気みたいで。
あっ。
ご苦労さま。
諏訪先生もご一緒?
(百合子)先生はさっき院長先生にお話があるって。
主人に?
(百合子)ええ。
(諏訪)《男なら中途半端なことはできないはずだ》《院長はいったいどういうつもりで》《私が命懸けで治します。
その傷を。
痛みを》
(百合子)たぶん陽君の退院のことだと思いますけど。
そう。
(百合子)経過が順調過ぎて困るなんて何だか皮肉ですね。
えっ?
(百合子)本人は退院を楽しみにしているのに受け入れる方の態勢ができてないんじゃ。
それどういう…。
失礼します。
そうですか。
連休前に退院できそうですか。
いやよかった。
いや正直こんなに急激に回復するとは思ってなかった。
諏訪先生のおかげです。
大丈夫なんですか?ホントに退院させて。
奥さんは迷ってらっしゃいました。
何か話したんですか?女房が家のこと。
普通じゃないってことぐらいはたから見てたって分かります。
まして私はひかりちゃんが生まれたときの様子を目の当たりにしてますから。
(愛美)《繁郎さん》《繁郎さん》《あっ》
(聖美・愛美)《ううー》
(諏訪)何とかなるって思ってらっしゃるわけじゃないですよね?どうするべきかちゃんと対策を考えてらっしゃるんですよね?いや。
どうするべきって言われても。
医療の現場に行き当たりばったりは通用しない。
それと同じです。
僕は院長を尊敬してきた。
まるでかげろうのよう。
いてもいなくても変わらない。
陰口のように聞こえるけどそこにこそ院長の患者に対するさりげない優しさが潜んでる。
そう思ってきたんです。
でも本当に白か黒かを決めなければいけないときは誰よりも厳しく断を下す。
それが本当の優しさじゃないんですか?諏訪先生。
あなたいったい何を?院長は愛してるんですか?聖美さんを。
妻として陽君とひかりちゃんの母親として。
聖美さんと愛美さん。
院長にとってひかりちゃんの母親はどっちなんですか?なぜ先生がそんなことを?ゆうべ聖美にまったく同じことを聞かれた。
ひかりの母親は誰なのか。
どっちだと思ってるのかって。
答えられずにいたらあなたは何も考えてないって一刀両断にされました。
でも世の中にはいくら考えたって答えの出ないことがある。
決断力のない僕のような人間に医者の資格はない。
確かにそうなのかもしれません。
僕は愛してますよ。
聖美のことを妻として。
かといってああいう形でひかりを授かった以上愛美さんをむげにすることはできない。
これは僕と聖美と愛美さん。
3人が背負った十字架です。
一生かけて3人で罪を分け合っていくしかないんです。
ひかりは地上に舞い降りてきた天使だ。
あの子の背中には軽くて清らかな真っ白い羽がある。
その背中に罪の重荷は載せられない。
真っ白い羽をつぶしてしまうわけにはいかないでしょ。
そうやってあなたはいつまでも奇麗なことを言ってればいい。
流れる血から目を背けて玉座にふんぞり返ってればいい。
諏訪先生。
主人と何を?先生。
(弘明)《自分が生まれてきた意味は何なのか》《俺はいったい何者なのか》《あなたの存在がそういう気持ちを呼び覚ますんです》《きっとあなたが生まれながらの聖母だから》・
(林田)どうなさったんです?ぼんやりして。
(弘明)あんた覚えてるか?俺を産んだ女のこと。
(林田)はっ?
(弘明)どんな女だった?どんな女って。
どうしてまた急にそんなことを。
(林田)弘明先生?
(弘明)ふと思っただけ。
いいんだ別に。
主人がそんなことを?
(諏訪)詭弁です。
妻としてあなたを愛してるけど愛美さんもむげにはできないなんて。
このまま陽君が退院してなし崩し的に新しい生活が始まればどこかで必ずひずみが生まれる。
子供たちだっていや応なしに巻き込まれて傷つくことになるんです。
正直言って失望しました。
院長に。
どうすればいいと思ってらっしゃるんですか先生は。
子供たちを傷つけないためにはどうするのが一番いいと。
あなたは院長と別れるべきだ。
それしかないと僕は思っています。
考えてもみなかった。
私が家を出ていくなんて。
出ていくのは私だっていくら愛美に責められても減らず口だと思って意にも介さなかった。
でも先生から離婚って言葉を聞いたとき急にリアルに感じられたんです。
そういう現実が。
私がいなければうまくいくんでしょうか?私が身を引けばみんなが幸せになれるんでしょうか?陽の病気がよくなることだけが私の望みだった。
その望みがかなったんだもの。
他のものはもうみんな愛美に明け渡してしまえばいいんでしょうか?院長だってホントはそれが一番いいと思ってるに決まってる。
悪者になりたくないから口にしないだけ。
ひきょうなやり方です。
でもひかりは。
この子は私が願ってこの世に生まれてきてくれた子なんですよ。
この子を置いていくことは。
陽君とひかりちゃん。
あなたどちらが大切なんですか?2人をはかりに掛けるのが残酷だってことは分かっています。
でもあなたは選ばなければいけない。
院長のように逃げてはいけない。
(諏訪)自分が望んで生まれた子。
私こそがあなたのママ。
そうやってひかりちゃんに語りかけながらあなたはホントは自分自身に言い聞かせている。
そうしなければ確信が持てないのなら答えはとっくに出てるはずです。
ひかりちゃんには実の両親がいる。
あなたは素直に陽君だけに愛を注げばいい。
陽にだけ愛を?無理だわ。
ひかりと比べる以前の問題よ。
いくらよくなったといったって陽の白血病は完治したわけじゃない。
ここから連れ出すことは。
僕がそばについてます。
陽君の主治医である僕が。
先生が?
(諏訪)いつでも何があってもあなたと陽君のそばにいます。
新しい生き方を探しませんか?僕とあなたと陽君と3人で。
2014/05/20(火) 13:30〜14:00
関西テレビ1
聖母・聖美物語 #36[字][デ]【愛の母子篇〜十字架】
柳沢家に居座り繁郎(原田龍二)や波津子(丘みつ子)から大事にされる愛美(三輪ひとみ)を前に聖美(東風万智子)は孤独感を深めていく。そんな聖美に声をかけたのは…
詳細情報
番組内容
聖美(東風万智子)は、やっと家に帰ることができた陽(平林智志)から、ひかりに母乳をあげるところを見たいとせがまれる。愛美(三輪ひとみ)は皮肉めいた笑みを浮かべ「陽の願いをかなえてあげなさいよ」と聖美を追い詰めるように言う。聖美は覚悟を決めて…。
番組内容2
聖美は、小児科医の諏訪(古山憲太郎)に対して、つい家のことの愚痴を言ってしまう。すると諏訪の口から“離婚”という言葉が飛び出す。離婚など考えたこともなかった聖美は衝撃を受ける。諏訪は、さらに聖美を思いやる言葉をかけて…。
母屋では愛美がますます増長し、繁郎(原田龍二)や波津子(丘みつ子)も愛美を労わるばかり。聖美は、ますます孤独感を深めていく。
出演者
柳沢聖美:東風万智子
森尾愛美:三輪ひとみ
柳沢繁郎:原田龍二
柳沢弘明:金子昇
柳沢波津子:丘みつ子
星川真輔:風間トオル ほか
スタッフ
企画:横田誠(東海テレビ)
原作・脚本:いずみ玲演
演出:吉田使憲
プロデュース:西本淳一(東海テレビ)
中頭千廣(TSP)
神戸將光(TSP)
齋藤頼照(TSP)
音楽:辻陽
主題歌:「炎の花」ハルカ ハミングバード(ユニバーサル ミュージック)
制作著作:TSP
制作:東海テレビ
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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