(KIKI)ここは東京の谷中。
昔ながらの建物やお寺が点在する情緒ある町並みです。
この町を拠点として活動されている画家の山口晃さんをお迎えして絵を描くってどういう事なのかを考えていきたいと思います。
山口さんもよく歩くという散歩コース。
そこにあるお寺で待ち合わせです。
こんにちは。
山口さん?
(山口)はいさようです。
こんにちはKIKIです。
こんにちは初めまして。
よろしくお願いします。
こちらこそお願い致します。
今回の講師は…一見日本画?と思うような作品で知られる山口さん。
実はアクリル絵の具など洋画の材料で描いているというからびっくりです。
空から見下ろした東京・日本橋の風景。
雲の下には江戸情緒あふれる街角が…。
いや時代を超えた人々が一堂に会して行き交っています。
自動車まで走ってますねぇ。
何とも不思議な風景です。
こちらは戦国時代の合戦図?しかしよく見ると戦車や車輪の付いた馬など意外な乗り物が描かれています。
細部まで丹念に描き込まれた山口さんの作品。
その中には今と昔が時を超えて交じり合いあっと驚く意外な物が盛りだくさん。
山口さんにはユニークな物の見方があるんですね。
何かやっていくっていう事はどんどん見方が深まったりというところもあるんですけど逆にいうと見方が出来上がっちゃうって事でも…。
慣れで描いているところがあったりするという事ですか?手癖みたいな…言葉は悪いんですけども。
人っていうのは割と見てるようで見てないんですね。
ですから「あっ何だ手癖だったんだ」とか「覚えてる形を描いてたな」っていう時にまっさらに物に向かうってどういう事なんだろうまっさらって可能なのかな?とか。
(生徒たち)こんにちは〜。
よろしくお願いします。
(生徒たち)よろしくお願いします。
山口さんの創作ワークショップ。
…が集まりました。
山口さんに一目お目にかかりたいという美術専攻の皆さんです。
みんな美術は得意なんだね。
デッサンというのは描く技術というんで手の技と思われがちですけども目の…。
見ないとやっぱり描けない訳ですね。
ただ単に見てると思ってるところからいろんな経験が既にして入り込んでるんですね。
経験っていうのは自分たちを助けてくれるものなんですが逆にいうとそれによって縛られる部分もあるんですね。
なるほど。
まっさらな目で物を見るのは難しいんだ。
で「あなたのまわりの誰かを描く」という今日の授業ですが…。
石こうを描いて頂きます。
石こう像か。
こちらが今日のモデルさん?これはどうした事でしょう。
なぜか逆さになっているんです。
(生徒)えっ!
(生徒)うそ〜。
いい反応ですね。
なるほど。
最初の課題は石こう像のデッサン。
でもなんと逆さまなんです。
逆さまになった顔って何だかちょっと違って見えますね。
3人のモデルさん…いやいや逆立ちした石こう像をグループに分かれて描いていきます。
結構皆さんいきなり描き始めてますけども大丈夫ですか?皆さん見てますと描き始めるのが早いですね。
もう少しモチーフと対話して自分の中でのみ込んだ上で画面にもう一度向かうようにして下さい。
逆さまの顔は見慣れた顔と違って顔としてイメージする事が難しいみたい。
皆さん戸惑っているようですね。
多分ずれてるんですけど…顔だって思わない…なるほど。
顔と思わず一つの形として見るんですね。
さあうまくいくかな?アートってちょっとエッチよね。
あらやだ。
えっ誰?トットトットットットット〜。
トトットットットットット〜。
トトットットットッ…。
ああら?あっ知ってるわよこれ。
え〜っとあれよねあれ。
あの有名なやつよね。
う〜ん…。
あらやだひげ?やだわいたずら書きして。
有名なやつなのよこれ。
あ〜ちょっと!ひげ取っちゃ駄目!えっ?それアートなんです。
アート?ひげもアートなんです。
アートですって〜?これはマルセル・デュシャンという作家のアート作品なんです。
レオナルド・ダビンチの名作「モナ・リザ」の複製品に手を加え自らの作品としたのです。
市場に出回っていた「モナ・リザ」のイメージを使って芸術とは何かを問いかけたこの作品。
これ以降複製品や名画に全く違う光が当てられるようになったんですよ。
どうです?へぇ〜。
女の人がひげ生やせばアートって事なのね?あっいやそういう事では…。
じゃあ私もひげ生やそうかしら。
それはやめた方が。
ですから…。
何よ冗談よ。
何本気にして!嫌ねぇ。
あすいません。
はいではおしまいにして下さい。
石こうをひっくり返して頂いて。
答え合わせではないですけどもやってみましょうか。
さあ描いた絵をひっくり返してつまり正しい顔の向きにして見てみましょう。
思いどおり描けたのか皆さんちょっと心配顔ですねぇ。
みんな真っ黒なのいいですね。
腰が引けてないというか。
みんなガリガリガリガリどんどん突っ込んでった感じがして。
こういう俳優いたよね。
誰だっけ?これねなかなか表情が…。
ブルータスより表情豊かですね。
ここ結構明るいけどもガッと黒が乗っちゃうので明るい中での豊かな色の調子がいえるといいんですよね。
顔がすごく下膨れのパジェントとは違ったかわいさになってしまったんですが。
明暗の調子はとってもいいですね。
暗いんだけども黒くないっていうのがね。
暗さが出てて…黒さじゃなくて。
そういうのが描けてるのがよくて…。
悲しげな顔をしないで…。
ちゃんとヘルメスですけどね。
いやいやそんな…。
ダッダッと大きくこう。
バンバンバンと切り替わるところを意識するともっと形にめりはりがついてくると思います。
顔ってこんなものだという思い込みを時には捨ててまっさらな気持ちで見つめる事も大切なんだね。
僕たち…。
(一同)アート調査隊。
鏡よ鏡一番美しいのは誰?…という訳で6人の美女が勢ぞろい。
東京・原宿で調査開始!やっぱ色が白いのと雰囲気が。
目大きいしクリクリしてて。
Ah,Ithink….Thankyou.
(隊員)Why?Ilikeeyes.…blueband.この人が純粋さがありそう。
(一同)結果発表!イェ〜イ!
(隊員)美女調査の結果グランプリは…。
フランス印象派ルノワールの…ルノワールのパトロンだった銀行家ダンヴェール氏の娘です。
光と影の画家ルノワール。
子供の肖像画を数多く残しました。
今日の鑑賞ワークショップ。
参加してくれるのは…。
(生徒たち)旭丘高校!イェ〜イ!まず作品をじっくり見てみましょう。
それではここには何が描かれてますか?目に見えるもの。
ピンク色の服を着たおさげの少女。
椅子に座った少女。
(小泉)ピンクの服を着たおさげ髪の椅子に座った少女ね。
ほかには?ほかには何が見えますか?扉ですか?
(小泉)後ろに扉がありますよね。
(生徒)その後ろにある扉の線が斜めに描かれていてより少女のまっすぐこっちを見ている感じが伝わってきました。
さすがだよね。
(生徒)全体的にワントーン落としたみたいな色で描かれているので…この少女の性格はどういうような人だと思います?すごく優しそうな感じがします。
(小泉)優しそうな感じがする。
それはどの辺りを見て?目がまっすぐこっちを見てる感じが優しそうだなと思いました。
着飾ったりしてなくて朴とつとした感じがかわいらしくていいと思います。
(小泉)ちょっと口が開いてますよね。
なぜ口が開いたままを描いたんだろう?ポーズを取らせるとかそういうのではなくて…そこを直させてしまったらもったいないんじゃないかと…。
これは近くの農夫の娘さんでよく知ってる人という事です。
彼女の自然に表れてる自然体だっていう顔の表情はそれをこの作家がとても描きたかったのかなという事がひとつ感じられますけどね。
本当の彼女を知ってそれを描きたいっていうような雰囲気を思いました。
この少女に対して愛情を持ってたというのが伝わると思いました。
モジリアニが36歳で世を去る1年ほど前に描かれました。
このころ娘が生まれて父となったモジリアニは数多くの子供の肖像画を描いています。
山口さんの高校生時代ってどんなだったんでしょう。
油絵っていうようなのとか正規の美術教育っていったら変ですけど画塾に行ったりとか全然してなかったんですね。
美術ではないんですね落書きっていうんですか。
ノートの隅にちょこちょこっと描く感じですか?あれです。
ですから美術っていうと一つの画面に一つの主題ですけど僕落書きですからこちょこちょこちょこちょ。
作品になんない。
でも今伺っただけでも今につながってるような気がしたんですけれど。
そうですね。
今につながるような…ずっと子供のころからやってた想像した物を形にするっていう作業をやってました。
山口さんの創作ワークショップ。
続いての課題は一体何でしょう。
足を描いてもらおうと思うんです。
足なんですけどもはだしの足を靴を脱がないまま描いて頂きたい。
2つ目のモデルさんはなんと自分の足。
しかも靴を履いたままはだしを描けって山口さんちょっと意地悪?毎日何気なく見ている自分の足ですが見ないで描くとなるとちょっと…。
ヒントは靴の上から見る足だけ。
自分の足ってどんなだったっけ?ここはふだんはよく動く部分ここは動かないでキュッとシュッとしてる部分が出てくると…。
「キュッとシュッと」って山口さんそんなヒントってありますか?よし自分の手で触ってみよう。
足って何だっけ?って…もう忘れました。
かかとも全然想像できないんで。
付け根とどうなってるのかも分からないんで。
それでもだんだん仕上がってきましたね。
皆さんかなり上手に描けているようですが自分の足がこんなものかどうか不安。
正解は日本が誇る飾北斎の「冨嶽三十六景凱風快晴」でした。
別名「赤富士」とも呼ばれています。
「あなたのまわりの誰かを描く」まさかそれが自分の足だとは。
みんな自分の足にどれだけ近づけたのでしょうか。
はいではおしまいにして下さい。
お疲れさまです。
じゃあ答えを合わせてみましょうか。
スポ〜ンってやっていい方は自分の足見て下さい。
違いますか。
おやおやうまく描けてると思ったけれど自分の足とは随分違っていたようです。
ここが違ったっていうの何かある人いますか?どこ違いました?あ〜なるほど。
はい。
正直もっと似てるかなと思ったんですけどやっぱりイメージと実物って違うな〜って。
うん。
確かに指の長さがちょっと違っていたみたい。
骨に対して筋肉の付き方が違う部分があったりしたところですね。
実際はそれほど骨張っていませんでした。
ふだんからちゃんと見ているか?そうまっさらな目で。
山口さんそんな事を問いかけたかったのでしょうか。
今回高校生にワークショップをして頂いて実際にはどんな感じに思われました?石こうのデッサンなんですけどもぐわ〜って描いちゃうんですね。
待て待てって思うんですけど。
でもそれって子供のダ〜って駆け出す感じなんですね。
そのダ〜がありつつそれをいかに操ってやるかというんですか好き勝手に暴れてるんだけど結果的にいい所に落ち着かせる猛獣使いなそういうのを持ってるのが多分プロの作家だと思うんですね。
彼ら猛獣は持ってるので元気を落とさせ過ぎずにその猛獣をうまい事扱っていくっていう。
山口さんの中にも猛獣がいるという事ですか?僕のはたちの悪い獣がですねすぐだじゃれを言いたがるとかそこは真面目に抑えてけってところでおかしな事を言いたがるというような。
それは絵の中にも表れたり?もちろんですね。
絵の中で「何やってんだこの人」って思うところは多分その獣がぼそぼそっていたずらしたとこですね。
今日はありがとうございました。
申し訳ございませんでした。
あれ〜?今回のテーマは…絵を描く事って上手に描けるってだけじゃないのね。
その前にしっかり見るのがすっごく大切とか。
いろんな物をしっかり見て見る力を磨かなくちゃ。
山口晃さんの風景画。
一つの街にいろんな時代の人や乗り物が描いてあるのよね〜。
こんな風景もあるのね。
この子ご近所のお嬢さんですって。
ホントに「まわりの誰か」を描いた人なのねモジリアニって。
そして…これすごく有名な絵だからみんな知ってるかしら?「赤富士」って呼ばれているのよ。
アートってすてき!2014/05/22(木) 14:20〜14:40
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 芸術「美術 あなたのまわりの誰か(1)〜描く〜」[字]
今回は私たちの身近にある素材に目を向けて描く絵画表現の基礎デッサンを画家 山口晃さんのワークショップで学ぶ。ポイントは3つ 1.人物画 2.風景画 3.版画
詳細情報
番組内容
身近な世界や生活・社会などを、自分の周りにある人や物を手がかりに描いてみよう。今回は私たちの身近にある素材に目を向けて描く絵画表現の基礎デッサンを、画家・山口晃さんのワークショップで学ぶ。描くことは手の技術だと思われがちだが、実は目で「見る」こと。目の技術が大切なことを知ろう。ポイントは1.人物画、2.風景画、3.版画の3つ。
出演者
【講師】画家…山口晃,【司会】KIKI
ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
ドキュメンタリー/教養 – その他
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 480i(525i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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