ストロベリーナイト #01 2014.05.22

(足音)
(玲子のうめき声)
(ナイフの刺さる音)
(玲子)《あっ!》
(瑞江)《玲子玲子?》《玲子》《玲子!》
(アナウンサー)東京練馬区の私立女子大学生ヤマモトマイコさんが殺害されその家族が行方不明になっている事件で警視庁は昨日元交際相手で住所不定無職の関本純一容疑者を逮捕しました。
警視庁は遺体の刺し傷が数十カ所に及ぶことなどから交友関係を中心に捜査。
関本容疑者が犯行を自供したため逮捕しました。
関本容疑者が行方不明になっているヤマモトさんの両親と妹についても事情を知っているものとみて詳しく追及しています。
(アナウンサー)今日の占いカウントダウンハイパー。
1位はしし座のあなた。
今日は何をやってもうまくいく日。
諦めたことに果敢にチャレンジ。
(瑞江)そこにあったけどあなたの?
(玲子)そう。
(瑞江)お母さん聞いてない。
(玲子)私のだから。
(瑞江)一人暮らしするなんて聞いてないわよ。
いやだから許しませんからね。
女の子が家を出て一人暮らしなんて。
女の子って。

(雑誌をたたきつける音)
(瑞江)何で笑うの!母親が娘の心配して当たり前でしょ!
(忠幸)大きい声出してどうしたんだ。
いってきます。
(瑞江)待ちなさい。
仕事始めるときに約束したわよね。
ちゃんと家から通う結婚するまでは家を出ないって。
あなた結婚するの?どんな人?そんな人いませんいってきます。
(瑞江)だったらちゃんと家にいなさい。
ねえもう遅れるから。
いくらねしっかりしてるつもりでも女は女なのよ。
お母さんねあなたのこと…。
もういいかげんにして!心配しちゃいけない?母親なのよ?・
(ドアの閉まる音)
(菊田)おはようございます。
ああおはよう。
ねえ見た?練馬の帳場のニュース。
(菊田)ええ。
思ったより早かったですね。
もうちょっと手間取ってくれれば増員かかってうちにもでかいヤマとるチャンスがあったのに。
それに見た?連行のときあの日下のどや顔ホントムカつく。
(日下)悪かったなこんな顔で。
ハア…。

(橋爪)日下お疲れ〜。
(一同)おはようございます。
(橋爪)いや〜今日は気持ちよく上に報告できるわ。
(今泉)あれだけのヤマだ。
時間かかんのはみんな覚悟してたんだからこれだけのスピード解決は大したもんだよくやった。
(日下)ありがとうございます。
(橋爪)報告書もスピーディーにな。
(日下)はい。
(今泉)日下ちょっといいか?失礼します。
(橋爪)ああ。
(湯田)コーヒー入れましょうか。
お願い。
(菊田)俺はいい。
(湯田)主任と同伴出勤ですか。
言葉の使い方大きく間違ってんだよ。
コーヒー。
(湯田)はいすいません。
(橋爪)在庁待機のお嬢ちゃん。
はい。
(橋爪)せっかく日下が大きいヤマとった翌日だ。
今日何かあってもこの前みたいにどじ踏んで足引っ張るなよ。
じゅうぶん心得ております。
じゃあ頼むから二度と適当な女の勘なんかで動いて捜査ぶち壊すな。
分かってんな?お嬢ちゃん。
姫川です。
(橋爪)これは失礼お姫さま。

(日下)姫川。
はい。
人のデスクに荷物置くなって言ってんだろう。
(湯田)あっすいません。
自分のです。
すいませんすいません。
(舌打ち)奇麗過ぎて気持ち悪。
お前は少し片付けてもいいんじゃないか。
ハア…。

(踏切警報機の音)だいぶ時間過ぎてるしそろそろ帰りますか。
(石倉)そうですね。
(菊田)とか言ってると来たりするんですよね。
だといいけど。
負けた。
・来た。
はい姫川。
(警察官)ご苦労さまです。
お疲れさま。
(警察官)ご苦労さまです。
お疲れ。
(小峰)おうお嬢ちゃんか。
においでも嗅ぎつけてきたか。
はい?
(小峰)お前が好きそうなホトケさんだからさ。
おっ新顔だな。
葉山巡査長です。
鑑識主任の小峰さん。
葉山です。
よろしくお願いします。
(小峰)そりゃお気の毒に。
いいですか?ああ。
吐くなよ。
ご心配なく。
失礼します。
(菊田)失礼します。
(石倉)失礼します。
(湯田)失礼します。
(葉山)失礼します。
(菊田)ひどいなこりゃ。
動かしてませんよね。
(小峰)ああ。
このとおりレールの上にきちんと縦に載っかってその上を鉄の車輪が通過したってわけだ。
頭の先から股まで縦に真っ二つにれき断。
何かアジの開き?すいません不謹慎でした。
所持品は?
(小峰)おう。
(鑑識官)はい。
(小峰)財布と鍵。
尻のポケットからはみ出してた。
携帯は?
(小峰)ないよ。
破片もなし。
そうですか。
(菊田)米田靖史34歳。
住所は練馬区豊玉北。
(葉山)米田靖史…。
知ってるの?確か10年前に飲酒運転で踏切に車突っ込んで列車にぶつかった男が米田靖史って。
何線で?あっこの線ですね。
えっ?もしもし國奥先生?ちょうどよかったです。
えっ?いや今フグとかそんなこと言ってる場合じゃないんで。
いやだからちょっと待って。
ノリその列車事故のことすぐ調べてもらって。
(葉山)はい。
(今泉)お疲れさん。
(一同)ご苦労さまです。
(今泉)おいおいこりゃすんごいことになってんな。
れき死体です。
いいですね先生検視終わりしだいすぐそちらに送りますのでよろしくお願いします。
フグは近いうちよろしく。
ご苦労さまです。
(今泉)うん。
たぶん帳場たつことになるだろうけど所轄が今別の帳場たってて人員調整できてない。
今動いてる連中も流動的ってことだから取りあえずはお前たちで初動を頼む。
はい。
駅は所轄が当たってるから今夜の分はあっちでまとめさせてお前にあげるように言っておく。
お願いします。
(今泉)じゃ俺は所轄寄ってから本部に戻るからよろしく〜。
(葉山)ご苦労さまです。
主任。
10年前の事件の資料本部に頼んでおきました。
戻ったら全員にまとめて配って。
はい。
(小峰)おいお嬢ちゃんよもたもたしてるといつまでも電車動けなくて迷惑だぞ。
はい。
じゅうぶん承知しております。
菊田。
(菊田)はい保さん。
(石倉)おう。
(菊田)湯田。
(湯田)はい。
所轄の都合で今夜は取りあえずうちだけで動くから。
(一同)はい。
所持品で免許証以外に何か出てきた?
(菊田)今日の日付の飲み屋のレシートが。
1人で飲んでたのね。
保さんここお願い。
はい。
駅は所轄が当たってるから菊田と康平は目撃者。
(湯田・菊田)はい。
ノリは私とホトケさんとこ当たるわよ。
もうこの時間だから何時?9時8分です。
じゃあ12時に本部集合。
いい?このヤマ絶対とるわよ。
(一同)はい。
ノリあっち側に車回して。
(葉山)はい。

(石倉)8億6,000万?
(店長)ええそんな金あるわけないだろうって。
(石倉)電話の相手にそう言ってたの?
(店長)うん。
ちょうど金もらってるときにかかってきてそのそこんとこでガーガー文句言いながら出ていってしまったんですよ。
いつもはレシートなんかもらわないのにお釣りと同時にばっと一緒にこう持っていって。
(石倉)今まで誰か連れてきたことありますか?
(店長)さあ。
ああおい。
この人いつも一人だよな?
(店員)ええ。
けど今日はいつも以上に荒れてましたね。
いつも荒れてるの?
(店員)はい。
(客)すいません。
ビールまだ?
(店員)生ビールはい。
あっやってやって。
また手が空いたら聞かせてもらうからハハ。
はいお疲れさま。
(葉山)お疲れさまです。
やっぱり持ってるわよね携帯。
さあやるよ。
(葉山)はい。
何で名前覚えてたの?
(葉山)はい?目と手は動かしたままでいい。
米田靖史のこと。
担当してたわけじゃないんでしょう?
(葉山)参考書にあったんです。
なるほどね罪状は?
(葉山)汽車転覆致死罪が立件できず業務上過失致死傷罪でした。
危険運転致死傷罪じゃなくて?
(葉山)いや。
ああ10年前はまだ法律できてなかったか。
ねえ。
これごみ箱のつもり?ノリ。
(葉山)はい。
あんたの記憶正解。
「都市中央鉄道列車事故被害者と遺族の会」会長小川睦男さん。
(呼び出し音)どう思う?これ。
(呼び出し音)
(石倉)ああこの事故もう10年にもなるのか。
(湯田)朝まで飲んでそのまま飲酒運転して踏切に突っ込んで電車と衝突。
えっ?死者38人も?
(葉山)ケガ人と合わせて100人以上出しておいて米田本人はほんのかすり傷程度。
(菊田)その上たった懲役5年ときたからなあ。
遺族はやりきれないだろうなあ。
(今泉)ホトケさんは10年前の列車事故の米田靖史で確定したのか?
(葉山)はい。
ご苦労さまです。
電車の運転手の証言によると線路付近に人の動きは認められなかった。
レール上の米田に気付き急ブレーキをかけるも時すでに遅し。
電車が米田に至るまでに米田の体に動きは見られなかったとのこと。
動いていないか。
はい。
康平薬物は?まだ連絡来てません。
急がせて。
アルコールの正確な数値もね。
(湯田)はい。
(今泉)周辺の目撃者は?今日のところゼロです。
所轄によると米田には鉄道会社および被害者遺族への賠償金として8億6,000万円の支払い義務があったそうです。
(今泉)おお。
保さんが飲み屋で聞いてきた額と一致。
はい。
金の額は電話の相手から言いだしたようだと言ってましたから事故の関係者かもしれませんね。
(米田)《俺がそんな金持ってるわけねえだろう》《8億6,000万8億6,000万って何度も言うんじゃねえよ》《ああ?それどういうことだよ?》米田が電話で話しながら店を出たのが7時。
現場の線路までは徒歩15分。
電車にひかれたのが7時55分。
空白の40分何をしていたのか。
米田の携帯が消えてるのも引っ掛かりますね。
確かに。
係長帳場の方どうなりました?明日の午後にはたつ。
姫川それまではあくまでも基本的な動きでいいからな。
くれぐれもこの前みたいに突っ走るなよ。
はい。
よし。
じゃあ俺は管理官と話してから帰る。
お疲れ〜。
(一同)ご苦労さまです。
さてと晩ご飯行きますか。
そうなんすよねびっくりすることに食べてなかったんすよね。
あの僕今日はこれで。
行くぞ飯。
店は第2の会議室だ。
はい。
うちに来て1カ月半か。
(菊田)ああ葉山ですか。
どう?カワイイ後輩は。
(菊田)仕事はしっかりしてますね。
愛想はないですけど。
さっきもほとんどしゃべってなかったわよね。
目の前のヤマにもっと首を突っ込めっての。
でも今日も参加はしたわけだしあれじゃないですか?思ってることがうまく表面に出ないっていうか出せないっていうか。
いるんですよそういう人間って。
でもノリの場合何かそれともちょっと違う気がするのよねえ。
何か違うまっもうちょっと時間かかるか。
ていうことでしょうね。
問題はアジの開きの方よ。
これには時間かけられない。
汚名返上と打倒日下が懸かってるからね。
あっ私あっちだから。
ありがとう。
いいんですか?ここで。
うん。
バッグ。
ありがとう。
じゃおやすみ。
(菊田)おやすみなさい。
ハア…。

(ドアの開く音)
(忠幸)まだ寝ないのか?玲子はどうせ泊まりなんだろ?
(瑞江)のんきね。
私はいやだから。
一人暮らしなんて。
(忠幸のため息)
(忠幸)もう玲子も大人なんだし…。
(瑞江)あの子が出てくのは結婚するときです。
普通に幸せな結婚して昔のことなんて忘れるくらい幸せな結婚してそれまでは親が守ってやらなきゃ駄目なのよ。
あのとき私のせいで…。
(コップを置く音)やめろ。

(呼び出し音)では退院してすぐに会社を辞められたんですか?
(駅長)ええ。
引き留めはしたんですがやっぱりショックだったんでしょうねえ。
続けていく自信がないと言いまして。
(石倉)失礼ですがこの会長代行というのは。
(水沢)あああの前の会長が最近辞めましてね。
まあ取りあえず副会長の私が代行ということで。
小川さん辞められたんですか?
(水沢)ええつい半月ほど前に一身上の都合でどうしても辞めたいと。
そうですか。
(水沢)ところで米田やっぱり殺されたんですか?それはこれから色々と調べた上で。
(水沢)あいつはね自殺なんかするようなやつじゃありませんよ。
そいつは自信持って言えます。
まあ会としては賠償金のことなんかあるんで複雑なんですがね。
私個人としては誰だか知らないがよくぞ殺してくれたそう思ってます。
あああれ徳山君が描いた物です。
きっちりした性格が出てるなって思ったもんですよ。
印刷じゃないんですか?そう思うでしょ?でも手描きなんです。
あの後ろのポスターも。
もしもし保さん?えっ?小川さんが会長を?そう私これから菊田と合流して小川さんの家に行ってみます。
全然連絡取れなくて。
(山崎)米田ってやつはねもともと生きてる価値なんてないんだよ。
(山崎)できることなら私が殺してやりたかったよ。
この手でさ。
(山崎)あいつには妻と子供を殺されてんだ。
金なんて関係ねえ。
心底殺してやりたいと思ってるよ。
どうも失礼しました。
それで先ほどの続きなんですが米田は遺族会の会合には毎回顔を出していましたか?はい姫川です。
はい分かりました。
失礼します。
18時から捜査会議急ごう。
(菊田)はい。
(橋爪)ホントにあの女は余計なことしてないんだろうな。
(今泉)先日の件は本人も反省してますし一応念も押しておきました。
(橋爪)それなら安心だって言えないのがあの女なんだよ。
(今泉)まあでも私としては信じるしか…。
(橋爪)お前だからな今泉。
あいつを引っ張ってきたのはお前だ。
俺反対したよな女なんかいらないって。
(今泉)はい確かに。
しかし姫川が解決した事件も数多く…。
問題は今なんだよ。
今だこの先だ。
分かってるな?はい。
(チャイム)すいません。
裏回ろう。
(菊田)はい。
ごめんください。
小川さん?
(菊田)主任。
分かってる。
菊田。
実春さん。
(菊田)2階見てきます。
お願い。
菊田!何か足りない。
(菊田)もしもし菊田です。
(菊田)ここで殺してわざわざトイレまで運んだのか。
にしては血痕がまったく残ってない。
奇麗に片付けたもんね。
(菊田)確かに。
げっガンテツのとこのじゃない。
(菊田)ですね。
ガンテツが来る前にさっさと逃げよめんどくさい。
(朝倉)ご苦労さまです。
あの…。
状況はこちらの所轄の方に説明してあるから。
こっちは別件で忙しいんでよろしく。
(朝倉)いやあの…。
死後4日ってことは小川さんの米田殺しはあり得ない。
(菊田)逆に米田が小川さんをというのは。
それはない。
米田の部屋すごく汚かったもの。
つまり例えば日下が人を殺すとしたらものすごく奇麗に殺すだろうってことあのデスクみたいに。
(菊田)はあ。
あっもしかして。
そう。
小川さんを殺した人間が米田も殺した。
だとするとガンテツと合同捜査ってことに。
になったら汚い手で足元すくわれてうちは前のヤマの汚名返上どころじゃなくなるってことよ。

(佐藤)どうも〜。
これどうぞ。
ヘヘヘ。
ちょっといいことあったもんで。
ヘヘヘヘ。
保さん悪いけどノリ他に向かわせていい?ええ。
じゃあそういうこと…えっ?
(菊田)分かりました。
ありがとうございました。
分かった。
じゃあ私はそっち向かいます。
何て?小川さんの携帯まだ見つかってません。
それと両胸に圧迫痕が見つかりました。
圧迫痕?
(菊田)死亡後についたものと思われるそうです。
殺した後で?何で?主任保さんと合流ですか?そう。
はい姫川。
康平に動物虐待の件頼んで。
はい。
えっ?付着物?どっから出たんですか?
(大山)はい飛び散った肉片の一部から微量の繊維が見つかって調べたら紙おむつに使われてるものでした。
あっいやでも被害者は紙おむつなんか当ててなかったですよね。
紙おむつ液体の吸収…。
紙おむつで止血は可能だよな?ええ大きさや出血量にもよるでしょうけどできますね。
それだ。
だから圧迫痕。
大山君中野区鷺宮で発見された小川睦男さんの遺体からも服以外の繊維が出るはずだから調べて連絡して。
(大山)あっはい。
ありがとう助かったよ。
(警察官)大変お待たせしました。
こちらになります。
(湯田)どうもうわっ。
(警察官)それが一番古くて1年前のものです。
えぐいことすんなあ。
(警察官)ちょっと異様だったんでこちらも警戒はしていたんですがそれが半年前ですね。
その後間隔がどんどん短くなって。
うわ〜。
(警察官)それが1カ月前ですね。
でその次が3週間前です。
この犬の大きさは?体長50cmの成犬です。
(多田)もちろん知っていますよ。
あの男さえいなければ私のケガはもっと軽く済んだんですから。
じゃあ多田さんは事故のとき前から2両目の車両に乗ってらしたんですか?
(多田)そうです。
多田さんが被害者の会に入っていないのはもしかしてそれが理由ですか。
(多田)ええ。
あいつを擁護するような人が会長をする会には入りたくありませんでしたから。
小川さんと彼徳山さんの関係を知ったのは新聞の記事か何かですか?
(実春)《すいませんあの定期落としちゃったんですけど届いてませんか?》
(実春)《おはようございます》
(坂本)あの朝の改札での挨拶だって要は彼女に声を掛けたかっただけなんですよ。
(坂本)彼女のこと下の名前で呼んでたときにはさすがにびっくりしましたけどね。
そんなに親しくなってたんですか?
(坂本)いやいやあの本人に向かってじゃなくて。
あの事故のときに。
(葉山)10年前の?ええ。
徳山と僕は改札にいたんです。
とにかくものすごい音がしたんで何かまずいことが起きたっていうのはすぐに分かりました。
でそのとき彼が小さい声だったけど確かに言ったんですよ「実春」って。
(徳山)《実春》
(坂本)でものすごい勢いでホームに走りだして。
(葉山)現場へ向かった。
じゃあ最初に来たのが徳山さん。
ええ。
真っ先に走ってきた駅員でした。
当然私たち乗客を助けに来たんだと思いましたよ。
ところがあいつ彼女しか見ていなかった。
小川実春さんですね。
(多田)ええ。
あいつ「実春実春」って彼女の腕をつかんで無理やり窓から引っ張り始めたんだ。
あいつが引っ張るたびに不安定に傾いてる車体は揺れるんですよ。
周りにいる人間はみんなやめろって言いましたよ。
でもほとんどの人間がケガをしたりパニックになったり。
遠くにいる人は何が起こってるか分かんなかっただろうし。
で…。
(多田)あいつが彼女を窓から引っ張り出したその後すぐですよ。
ギシギシギシギシって嫌な音がして車体が横転したのは。
それからはもう地獄だった。
(実春)《うちの庭のバラなんです》《あっ今度駅に飾る分持ってきますね》
(実春)《いってきます》
(多田)徳山がやったことをはっきり見ていた人間はほとんど亡くなって生き残った私が何を言っても相手にされなかった。
そりゃまああの車体はいつ倒れてもおかしくなかった。
そうなんでしょうけどでもどう考えたってあいつがあんなことしなければそれに小川さんはあいつを駅員の鑑みたいに思ってて。
考えれば考えるほど腹が立って。
半月ほど前でしたかね小川さん呼び出して徳山がやったことを言ってやりましたよ。
あなたの娘は徳山に殺されたんですよって。
小川さんは何て。
そりゃ驚いてました。
間接的にしろ徳山を英雄のように扱った片棒を担いだんですから。
小川さんはそのとき徳山さんと会うというようなことをおっしゃってませんでしたか?まあ確かめに行くぐらいはするでしょうねあの様子だと。
そうするべきなんだよ。
(多田)もういいですか。
お話しすることは全て話したつもりです。
はい。
ありがとうございました。
長い時間ありがとうございました。
(多田)あっ大丈夫です。
お気遣いなく。
失礼します。
ご協力感謝します。
小川さんが亡くなったこと言えませんでした。
でも知ることになる。
保さんみんな集めて。
(石倉)はい。
(菊田)これが徳山の写真です。
鉄道会社の本社に残ってたデータを送ってもらいました。
これにプラス十何歳?
(菊田)12歳です。
で康平の方は?
(湯田)ありました。
主任がおっしゃってた異様な動物虐待。
全て徳山が鉄道会社を辞めてから発生しています。
(石倉)これって全部…。
縦に真っ二つ。
おそらくこれが今回のヤマのスタート。
住民票の方は?
(湯田)以前住んでいた場所から転出届を出したきりでした。
その後どこにも転入届は出てません。
事故で受けたケガの治療をしていた病院にも当たりましたけど退院後は来るように言われていた通院検査にも来なかったそうです。
仕事を辞めてからぷっつり姿を消したわけか。
米田が出所して実家のある大分に引っ込んだのが5年前。
再び東京に来るのをじっと待ってたってわけだ。
大分で殺しても徳山には何の意味もないもん。
米田が東京に出てきてここ1年ちょっとずっとチャンスをうかがってた。
怖過ぎますね。
そういう人間とまともに対峙しちゃったわけだ小川さん。

(引き戸の開く音)
(葉山)ハアハアハア遅くなってすいません。
お疲れどうだった?
(葉山)ネットカフェです。
半年前に徳山に偶然会った元同僚が徳山の話しぶりから見て都内のネットカフェを転々としているようだったと。
徳山はきっとまだ現場の近くにいるはず。
近辺のネットカフェ総ざらいするわよ。
(湯田)はい。
(葉山)あの。
何?近所にいると思う根拠は何ですか?勘。
(菊田)4時22分です。
急ごう。
うん取りあえず出よ。
(湯田)はい。
すいませんこういう者ですが。
(店員)はい。
この男性は今いらっしゃいますか?
(店員)う〜ん…。
(葉山)こういう人間を捜してるんですけどここにいらっしゃいませんか?
(店員)ちょっと待ってください。

(菊田)主任。
向こうはまったく駄目でした。
ここ。
行くわよ。
はい。
(今泉)姫川何度言わせるんだ。
連絡してこい。
(橋爪)おいお嬢ちゃんはどうなってんだ。
(今泉)6時ということは分かってますんでそれまでには。
(橋爪)会議の前に俺にちゃんと説明してくれないとこっちが困るんだよ。
すぐ呼び戻せすぐ。
(今泉)はい。
姫川どこにいるんだ。
(店員)まっこの人ですかね。
今いるかしらこの人。
(店員)さあ僕もちょうど今仕事入ったとこなんで。
ブースは11番なんですけどね。
そうちょっと失礼するわね。
菊田。
ですね。

(電車の走行音)・私が犯人だったら。
やっぱり現場に戻ってきたくなる。
だってこんなに奇麗な満月だものねえ。
米田と小川さんあなたが殺したんですよね?徳山和孝さん。
(徳山)何なんだあんた。
警視庁捜査一課の姫川です。
ゆうべの今ごろどちらにいらっしゃいました?「リラックス」っていうネットカフェですよね。
さっき調べてきました。
ちゃんとあなたの名前ありましたよ。
じゃあ4日前の夜は?
(徳山)ここ1週間夜はずっとあそこにいる。
ですよね。
それも調べてきました。
じゃあ別に用はないだろう。
米田靖史が死んでどう思いました?あの男のせいであなたもつらい思いをしてきたでしょ?職を失い家を失い愛する人を失った。
さぞかしうれしかったでしょうね米田の死は。
しかもあんな無残な死に方だし。
知ってるでしょ?新聞読んでれば。
ブースにいっぱいあったし新聞。
どう思った?驚いたね。
あいつがこんな近くで殺されるなんて。
でもまあ自業自得っていうか似合ってるよ。
干物みたいな惨めな死に方が。
どうして殺されたって思うの?えっ?まだ自殺か他殺か分かってないのに。
新聞でも殺されたとは書いてないわよ。
いやあんたがさっきそう言ったから。
あらそんなこと言った?それは失礼。
(米田)《おいホントに8億6,000万払わなくて済む方法があるんだろうなあ》《ええ》《僕もあの遺族の会にはうんざりなんですよ》《乗客を助けようとしたのにまるで殺したみたいに言われて》
(米田のうめき声)
(ため息)失礼しますよ。
でもやっぱり小川さん殺したのがまずかったわよねえ。
あれであなただって分かっちゃったもの。
10年前の事故のことで小川さんに責められたんでしょ?警察に言うって言われた?でもそんなことされたらあなた米田を殺せなくなる。
(小川)《謝りに来たって無駄だ》
(徳山)《もう一度ちゃんと話を聞いてください悪いのは米田だ実春さんを殺したのは米田なんですよ》
(小川)《米田もお前も同罪だ警察を呼ぶ》
(徳山)《ちょっと待ってください》
(小川)《放せ!》でも右の胸まで刺しちゃうんだもんなあ。
自分の作品のために。
米田のれき断遺体を見たときに思ったの。
これは左右対称シンメトリーであることに異様な執着のある人間の犯行なんじゃないかって。
でもいくら邪魔だからってトイレットペーパーのホルダーまで外しちゃうのはやり過ぎ。
何を訳分かんないこと…。
まだ話は終わってない。
小川実春さんはあなたが車内から引きずり出した直後に倒れてきた車体の下敷きになって亡くなった。
右半身は表に出ていたそうね。
あなたにとって最も美しいものが壊れた瞬間。
でもそれはあなたが壊したのかもしれない。
違う。
俺は助けようとしたんだ。
米田だ。
米田さえあんなことしなきゃ…。
だから米田に復讐した。
いやそうじゃなくてただ…。
(菊田)両事件当該時刻身代わりの人間が徳山のブースに入っていくのが店の防犯カメラに記録されてました。
そんな…。
そうあの店の防犯カメラはダミーだったの。
常連のあなたはそれを知ってた。
でも1週間前警察の指導が入って本物を取り付けたことは知らなかったみたいね。
あとねあなたさっき米田の遺体のこと干物みたいって言ったけど新聞には「2つにれき断された遺体」としか書かれていないの。
縦か横かは分からない。
確かに見たんだ。
新聞か雑誌か何かで。
あり得ないの。
アジの開きみたいだったことをマスコミに発表しないのを決めたのはこの私だから。
あなたのブースからトイレットペーパーのホルダーも見つけちゃったし。
あれ困ったでしょ。
おんなじ物買ってきてブースの両側につけるわけにいかないものねえ。
小川さんと米田を殺したのはあなたね?実春さんがあんな状態で死んでからあなたは欲望を止められなくなった。
(徳山)《うわあ〜!》復讐というあなたの勝手な大義名分がそれに拍車を掛けて動物から始まり最後は米田と決めていた。
俺はそうあるべき形に戻しただけだ。
そんな言い分が警察に通用すると思ってんの?だって奇麗だったろ?あんた全部見たんだろ?ハア…あのね夕焼けで光るレールも満月も奇麗だと思う。
でもあんたがやったことは全然違う。
あんなの命への最も美しいものへの冒とくよ。
最低なめてんじゃないわよ!菊田。
はい姫川。
(今泉)姫川どこにいる!ああ…。
今何時だと思ってんだ!
(橋爪)貸せ。
貸せ貸せ。
ふう…姫川!お前は俺をなめてんのか!お前のせいで俺が所轄でどれだけ恥かかされたと思ってる。
(橋爪)処分だからな処分。
覚悟しとけ。
いったいどういうことなんだ。
帳場たって最初の会議がどれだけ大事かぐらい分かってるだろう。
はい。
すいませんでした。
でも…。
(今泉)でも何だ!もう逮捕しちゃったんです。
あっ?逮捕した?はい。
連絡怠ったことは本当に申し訳ありませんでした。
何しろ昨日から時間が止まっていたもので。
2014/05/22(木) 15:53〜16:48
関西テレビ1
ストロベリーナイト #01[再][字]

「シンメトリー」
竹内結子 西島秀俊 
小出恵介 宇梶剛士 
丸山隆平 桐谷健太 
遠藤憲一