(桂木麻子)行かなくちゃ。
(各務徹夫)君の暮らしを俺は壊してしまったのか?何歳だったろう。
君はまだ小学校に行く前だ。
俺は君のママゴトのお客になった。
君は「待っててくれ」というようなことを言ってどこかへ行った。
俺は待ってた。
でも君はそれっきり戻ってこなかったんだよ。
覚えてないわ。
だんだん日が落ちる。
俺は独り…心細くってね。
あれが女に振られた最初の記憶だ。
ごめんなさい。
君がやっと戻ってきた。
こういう運命にあったと思いたい。
私も…。
(久藤恭太)わ〜っ!
(安宅康信)おいっ!立てるか?よいしょ!ケガは?痛いとこない?ここ擦りむいてる。
大丈夫大丈夫!気をつけ……。
・・はい。
あなた…。
さっき?ゴミを出しに行ってたの。
近所の方と立ち話になって…。
(桂木謙介)結構なご身分だ。
今東京駅だ。
このまま会社へ行く。
帰りのことは分からん。
切るぞ。
(パトカーのサイレン)
(和栗警部補)お待ちしてました。
鎌倉北署の和栗です。
(平井警部)神奈川県警の平井です。
現場はこちらです。
(シャッターを切る音)
(和栗)被害者は畑山欣造さん61歳金融業。
死因はごらんのとおりです。
ロープを二重に巻いてか?争った跡がないな。
ロープを外そうともがけば自分の爪で傷つけるのだが不意打ちをくらったかそれとも手を押さえていた別の人間がいたか?共犯者…?金庫ですか?額の少ない借用証がこれだけありました。
現金などはなし…入っていたかどうか今のところは…。
家族は?10年も前に奥さんを亡くしてます。
子供はいません。
独り暮らしか…。
はあ。
外から侵入した形跡は?全く見当たりません。
死亡後時間はたってない…。
通報は朝10時。
掃除のおばさんが発見しまして…。
検視官が視た死亡推定時刻は午前6時半前後です。
男の独り暮らしにしては片づいてますね。
(パトカーのサイレン)
(平井)これは女の趣味ですね。
は…?女が出入りしていた噂は?まだそこまでは…。
パジャマを脱ぎ着替えた…。
客かな…?6時半に客ですか?親しい顔見知りとか…。
金銭がらみか?いずれにせよ金庫は畑山さんが開けた。
ま手口はともかく6時半ごろ周辺で不審者を見なかったか目撃者を捜そう。
はい。
(テレビ記者)殺されたのは畑山欣造さん61歳です。
北鎌倉は自然を大切にした閑静な場所ですが言い方を変えれば寂しい場所です。
被害者の家の外はすぐ雑木林になっていてそこに沿って小道が通っていますが犯人は犯行後この道に出るしかありません。
6時半前後犯人はこの道を通り逃げたはずです。
警察では被害者周辺の捜査と…またこの道で不審者を目撃した人がいないか調べています。
(物音)・もしもし群馬医科大学ですか?公衆衛生学の各務助教授をお願いします。
・・はいもしもし麻子さん?北鎌倉の金融業者?殺人!?いや…テレビは見ていない。
もしもし…。
私は見たのよ。
いえそれが犯人かどうか分からない。
でも男の人を二人見たの…。
朝6時半ごろ…。
その時間に人が殺されたのよ。
ダメだ…警察に行っちゃいけない。
君と俺は…ただ女と男ということだけじゃない。
もっと大きなものを背負ってしまっている。
電車の中で十何年ぶりかで会ったのも偶然だがもっと大きな偶然が俺たちを縛りつけている。
身動きできない。
ちょっと待って…。
もしもし俺たちのことを知られるわけにはいかない。
二人の秘密だそうするしかない。
マスコミに漏れたら波紋が広がる。
いやそんなもんじゃない。
嵐だ。
分かるだろ?ええ。
君の苦しい気持は分かるよでも…警察はきっと君以外の他の目撃者を見つける。
今はそう思うことにしよう。
講義の時間だ。
切るよ。
(和栗)この先に知り合いの剣道の道場があります。
朝稽古があってみんな7時前には来るのでここを通る者がいるかもしれない。
当たってみよう。
(掛け声と竹刀の音)こっちですか?久藤恭太君のお母さん?
(久藤初江)はい。
鎌倉北署の和栗です。
あの…恭太が何か!?
(平井)とんでもない。
ちょっと尋ねたいことがあってお待ちしてました。
ここ。
ここに落ちた。
そしたらおじさんが助けてくれた。
(和栗)おじさん?どんな…?
(恭太)見たことない人。
(初江)そうじゃなくて年とか体つき顔とかよ。
お父さんぐらい。
(平井)お父さんお年は?35…今35歳です。
太ってた?痩せてた?どっちでもない。
背は?おじさんたちと比べて…。
もっと高い。
このぐらい?他に特徴はなかった?例えば顔にホクロがあるとか。
ホクロじゃなくても何かあるでしょ?よく考えて思い出しなさい!だって…。
だってじゃないの!
(平井)お母さん…。
服はどんなだった?ジャンパー。
色は?う〜ん黒。
生地は?化繊とか革とか…。
恭太!お母さん…。
その人どっちから来た?恭太。
転げ落ちて見上げたらその人が来てくれてた。
すみません役に立たなくって。
他に誰か会わなかった?女の人。
女の人?僕たちを見てた。
君とその男の人?どういう人?お母さんより白くてきれいな人。
こういう人って言える?優しい人。
なぜ分かるの?優しかったから。
その人どっちから来たの?こっち。
こっちか?僕の前を歩いてた。
追い越したよ。
こっちから来たんだね。
(恭太)うん。
ありがとう。
また協力していただきますがその時はよろしく。
さどうぞ車の方へ。
あの…。
さっき恭太が「お父さんぐらい」と言ったことですが…。
はあ。
恭太は父親のことを覚えておりません。
恭太が満1歳の誕生日を迎える前に女が出来て…逃げられてしまいました。
別れる別れないで私は何度か会ってますが恭太は父親に会っていません。
(和栗)旅館です。
「芳鹿荘」。
こんなとこに旅館?会合とか句会などで使うようです。
恐れ入ります。
今朝早く発ったお客さんいませんか?
(仲居)ええ7時すぎにおひとり…。
7時すぎ…男?ええ。
その男性はひとりで?は?いえまあ〜。
女連れ…?殺人事件の捜査をしてるんだ変に隠されては困る。
うちのお客さんは関係ありませんよ。
それはあんたが決めることじゃない。
女連れでしたね?朝7時男はひとりで帰った。
女はどうしました?あなたの口ぶりじゃ女の方が先に帰り男はその後で帰った。
そうでしょう?はい。
女性が帰ったのは?それが気がつかなかったもので…。
色白の美人?はいそれはきれいな方で。
泊まりは初めて?2度目です。
最初は1か月程前…。
一応宿帳を見せてください。
はい。
どうも実名を書くような仲とは思えません。
しかし坊やが会った女とみていいようですな。
(テレビの音声)男は35歳ぐらい身長は約175センチメートル。
中肉で黒いジャンパーを着ていたということです。
(玄関のチャイム)はい。
(謙介)俺だ。
あなた?お帰りなさい。
ご苦労さま。
2〜3日は息をつけると思ったが明日また群馬の工場へ行くことになった。
だってきょう戻ったばかりでしょう?会社の命令だ…言われれば逆らえない。
大変ね。
どれだけ大変か分かってるのか!?どれぐらいって言われても…。
まあ〜いい。
男の仕事が分かるわけがない。
いい形で問題が片づくと思ったが…。
どんな問題だか覚えてるか?ええ2年前群馬に出来た工場の排水が周囲の畑を汚染したという騒ぎが起こって…。
群馬医科大学に分析を依頼したんだ。
半年がかりで公平に分析してくれたのは助教授の各務徹夫だ。
各務助教授の分析結果はうちの工場排水も無罪とはいえないがそれより周りのいくつかの小さな工場との複合汚染だ。
それが結論だった。
そういう結論が出た以上うちも程々の補償金は出すつもりでいたが農家側はその程々が気に入らない。
他の小さな工場相手より大企業のうちから大金をむしり取りたい。
各務分析とうちと癒着している…とこうだ。
冗談じゃない。
農家側は独自に別のところに分析を依頼した。
分析にはまた半年以上かかる…。
多分向こうに有利な分析が出るはずだ。
そうなったら泥仕合だ。
裁判になるかもしれぬ。
息のつまるような毎日が俺には延々と続くんだ。
そしてお前はのうのうと暮らす。
そんな…。
お前に力を貸してくれというわけにもいかん。
お前は能なしだ。
(店内の騒音)
(土倉社長)ああ畑山さん大変なことだった。
畑山さんの貸し付け帳では1千万円借りてますね。
それで刑事さんが…。
9か月前に借りてます。
機械の入れ替えで大変なんだ。
お客さん新しいもん好きだから。
返済の方は?税務署みたいだね。
ただいまお見せしますがね…。
はい返済計画どおり毎月25日にキチンと払ってますよ。
几帳面なんだ。
畑山さんに…女はいませんでしたか?女…?女がいた…と見てるんだが。
私もそう思う。
2か月前だったかな?そう2か月前の25日だ。
返済は現金を自宅へ持参する約束なので朝訪ねると家を出てくる女にバッタリ鉢合わせだ。
化粧は濃いがいい女でね。
お尻にピッタリのズボンでさ。
あっいや…パンツね。
その女は?畑山さんはお客さんだと言ってたけどね。
貸し付けリストには女の名前はない。
やっぱり……ね?あの女ねうちの店で何度か見かけてますよ。
どこの誰だか分かるかな?いや〜それは…!?あっ!この女ですよこの女!ちょっと申し訳ないけど…。
(林奈津美)何!?ちょっと…。
畑山さんの件でちょっと。
畑山さん?私がいい子ぶっても警察はどうせ調べるんでしょ?本当のことを言いますよ。
私ね畑山さんにお手当もらってました。
一緒に暮らしてた?私はいいって言ったけど…「週に1回通って来い」というの。
それも泊まらなくていいって。
信用してないのよ。
畑山さんが殺された日何してた?朝6時半から行かないわ。
他の目的があれば…?いやだ私が殺したってこと?いやいや。
前の晩から朝にかけてどこにいた?大抵は寝てるけどあの晩朝までマージャンやってた。
マージャン?誰と…?うちの店のママとお客さん二人。
店が終わってからママの家へ行って始めたのが2時ごろだからすぐに夜明けよ。
ママに確かめるといいわ。
畑山さんともめてたそんな人に心当たりは?仕事の話は一切しないわ。
私と会う時は頭も体もあのことだけ。
お金を払う分元を取ろうと思っていたみたい。
もういいかしら?ツイてきたとこなの。
あの女しばらく張ってみよう。
彼女ですか?殺しの手口は男だけど…。
早速!私が見た男の人とは特徴が全く違うのよ。
特徴とまではいえないけど…背の高さ肉づき服装年齢…全く違うのよ。
警察があの情報を基に捜査をしてるとしたらムダな努力だわ。
あのテレビや新聞の情報はあの少年のものとは違うのかもしれない。
そうだとしても私は不審な男性を確かに見たのよ。
黙っているのが私つらくて…。
君が警察に行ったとする。
警察は君の言うことが事実か確かめたいだろう。
そして君のことも調べる。
まず住所名前…。
その君がなぜあの日朝6時半ごろ自宅から随分離れたあの道を通ったのか?何の用で…?「散歩していた」じゃ通らない。
正直に言うしかない。
君の相手の男は俺だ。
俺はといえば君のご主人から工場排水の分析を頼まれた男だ。
全く偶然だった。
君と会ったのも偶然だった。
分析を頼んできた桂木謙介さんが君のご主人だったなんて想像もできなかった。
大体君が桂木姓だなんて知らなかった。
俺にとってはただ「麻子さん」でしかなかった。
工場排水の分析はご主人の会社が少しほっとする結果が出た。
俺は研究者として何ら恥じるところはない。
学問として公正に分析した。
でももし君と俺のことがマスコミに漏れたら何を勘ぐられるか分からない。
会社に有利な分析を誘導するために…会社側の桂木謙介が妻麻子を各務助教授に差し出した。
そんな…。
マスコミにも良心的なものや下品なものもある。
ひょっとしてあの情報が正しくて君の方が誤りということもある。
俺…その少年に会ってみようかな。
えっ?君が会った子供にさ。
俺は顔を見られてないから大丈夫うまくやる。
そのうえで君の気のすむような対策を考えよう。
(シャッターを切る音)鑑識からの報告です。
殺人の現場で採取したこの毛髪ですが何となく変なので科捜研で検査してもらったら円形脱毛症にかかってる男性のものだというんです。
円形脱毛症?ええ。
ポコっと髪の抜けるアレです。
ああ。
被害者の畑山さんを調べましたがそんな症状はなく犯人のものと思われます。
円形脱毛症…皮膚科ですね。
皮膚科の病院を当たりましょう。
治療中の男性。
年齢は35歳くらい…。
警部あの子の言うことは…。
ああ…ま年齢はともかく男性ということで…。
はっ。
おい!大丈夫か?うん。
あ行っちゃ駄目だ。
警察に来てもらおう。
私の見たところ身長は180センチぐらい。
年齢は20歳代後半かな?髪の長さはこれくらい…。
体つきは?どちらかというと痩せぎすで日焼けして精かんな感じ。
実際に逃げ足も速かった。
どんな服装でした?ブルージーンズにグリーンぽいジャンパーでした。
あの…円形脱毛症をご存じですか?そんな症状は?そこまでは…。
髪の毛の色は?普通の黒髪です。
じゃ手配します。
先生失礼ですが名刺をいただけますか?あ…はぁ。
この後もまたご協力願うことになると思いますが…。
挨拶が後先になりましたが県警捜査一課の平井です。
なぜ朝早くこんな場所に…?私公衆衛生が専門でこの辺の水質検査をしてみたくてそれで。
恭太!お母さん恭太君は大丈夫です。
この方が助けてくださった群馬医科大学の各務先生。
ありがとうございました。
いやたまたま運よくといいますか…。
恭太君先生の話だときょうの男はこの間助けてもらった人と違うようだが…。
違う!「違います」でしょ?助けてもらった人というのは…?先日この先で殺人事件があったんです。
朝ちょうどこんな時刻に…。
この子がふだん見かけない男に出会ってるんです。
しかしその男と今朝の男は別人らしい。
その前に会った男とはどんな男…?心当たりでも…?いえそういう訳では…。
その時この子は女性にも会っていてきれいな女性だったと言うんですが心当たりは…?えっ?私はここを通るのは初めてですから…。
刑事さん恭太が危ない目に遭ったのはあの殺人事件のせいですか?恭太君には警備をつけます。
しかし朝稽古は当分休みだね。
恭太君自転車は後で届けるから…送ろう。
(テレビの音声)金融業者殺害現場の近くで少年が襲われる事件が発生しました。
この少年は事件当日の朝不審な男を目撃しており警察では殺人事件との関連をくわしく調べています。
《私は殺人事件の起こった朝6時半頃北鎌倉の小道で剣道着の少年と不審な男性を目撃しました。
その男性は年齢40歳半ば。
身長170センチぐらい。
少し太り気味で黒いカバンを持っており顔からは温和そうな印象を受けました。
服装は黒いジャンパーではありません。
黒いコートでした。
テレビ等で報道されている特徴は全く違います。
私は目撃者として警察が捜していらっしゃるその女です。
訳があって名乗り出るわけにはいきません》「テレビ等で報道されている特徴は全く違います。
私は目撃者として警察が捜していらっしゃるその女です。
訳があって名乗り出るわけにはいきません」
(平井)刑事課じゃなく捜査課…。
消印大船郵便局…。
わざわざ出かけて投函したのかねえ?いたずらじゃないですか?いたずらですよ。
そういう疑いがあっても無視できないでしょう。
しかし久藤恭太の証言とは…?ともあれこれも視野に入れときましょう。
それより昨日久藤恭太を襲ったヤツですが我々はこの事件は複数犯の可能性があると考えた。
その一人が姿を現した。
はあ。
恭太君が襲われた現場からの毛髪の鑑定結果が出ました。
殺害現場で採取したのと同じ円形脱毛症で同一人物のものとみて間違いないそうです。
かなり広域に皮膚科の病院に当たったところ円形脱毛症の患者は18名です。
よし対象を25歳前後の男性に絞って当たろう。
ありました。
(ノックする音)ちょっと大家の所へ行って来ます。
(大家)中谷さんここのところ見かけませんね。
いつから?…と言われても…。
大家だからってねえ毎日つきあってもないでしょ?
(和栗)中谷さんの仕事は?建築作業員だって聞いてますよ。
家賃はきちんと払ってましたか?ええでも…。
去年半年分ためたことがあって保証人に連絡したらその人がすぐに…。
保証人?うん。
母親違いの兄だそうで年が違うんですって。
その人の住所氏名分かりますか?ええ。
契約書があるから。
持って来るんですか?いや行きますよ。
じゃお兄さんはきちんとした人なんだ。
ええ弟の6か月分をポンとですからね。
あのもしやと思って伺うんですがこの女性に見覚えは…?なんだかはっきりしない写真ですねえ。
ああ時々中谷さんの所へ来てた女性じゃないかしら。
ハハ…やっぱりそうだ。
ほらこの隣の人中谷さん…。
(平井)これが中谷浩司?そうですよ。
へえパチンコに行ってたんだ仲よく。
あ…講義中と聞きましてお待ちしてました。
そりゃどうも。
研究室へどうぞ。
はい。
どうでしょう?久藤恭太少年を襲った男。
この写真ではどうも…。
髪の形の印象は似てますが。
これは運転免許証の写真を拡大したものです。
私のひと言がこの男の命運を分けるわけですねえ。
そんな理屈で考えることないですよ。
悪いヤツなら野放しにしてはおけない。
それだけのことです。
恭太君を襲ったのは…この男だと思います。
(小鳥の鳴き声)お待たせ…。
歩こうか。
警察は容疑者をワリ出したようだ。
君はもう心配することないよ。
君があの日出会った40歳半ばの男は事件に関係なかったみたいだな。
その男は窪みに落ちた少年を助けたんだろう?人を殺して逃げた男が人助けするっていうのも矛盾した話じゃないか。
君は警察に手紙を送ったけど何の反応もない。
マスコミも騒がない…。
騒がないはずだ。
警察は全く違う男に的を絞ってる。
俺がその男に出くわしたのも皮肉だ。
いや上出来だ。
君は何も心配することはない。
取り越し苦労だったんだ。
俺たち…これっきりにしなきゃいけないんじゃないかな?…えっ?会うのはこれっきりにしなきゃいけないんだよ。
私たちのこと…徹夫さんは運命だと言ったわ。
今もそう思ってる。
じゃなぜ…?なぜ…なぜを君は百も承知で聞いてるんだろう?聞きたいの…。
そうだね…。
ちゃんと言葉にしよう。
俺も自分に言い聞かせなきゃいけない。
俺は妻を亡くして独身だ。
君が桂木謙介さんと別れたら一緒になりたい。
いっそ駆け落ちでもいい。
でもそうはいかない重いものを俺も君も君のご主人も背負ってしまった。
社会的に大きな責任を背負ってしまった。
自分の気持に素直であればいいというわけにはいかないんだよ。
どうにもならないんだよ。
(シャッターを切る音)あっこれです。
(事務員)いらっしゃいませ。
あの…安宅康信さんおられますか?あはい…ちょっとお待ちください。
安宅康信は私ですが…。
警察が何のご用でしょうか?ええどこか話ができる場所がありますか?ああお茶でも飲んでひと休みしておいで。
はい。
中谷浩司さん弟さんですよね?ええ弟ですが一緒に暮らしたこともないんです。
お母さんが違うと伺いましたが。
…調べたんですね。
お尋ねは浩司…それとも私ですか?いやもちろん弟さんの方です。
もちろん?どういうことで…?北鎌倉で起きた事件について弟さんに聴きたいと…。
北鎌倉…。
殺人事件ですね?ご存じで?ええ。
この近所で知らない人はいないでしょう。
弟さん今は…?知りません。
弟とはいえ一緒に暮らしたことはないんです。
しかし弟さんが滞納した部屋代去年ポンと払ってますね。
ああよそ様に迷惑かけるの大嫌いなんです。
弟さんといつ会いました?さあ…あれがうちに来る時は大抵金の無心です。
不愉快なことは忘れるようにしてます。
もう2〜3か月は会ってないでしょう。
私の親父は…私が3〜4歳の時に私と母を捨てていなくなったんです。
母は頑張って私を育ててくれました。
大学にも行かせてくれました。
卒業を待ってたように母は亡くなりましてね。
力を使い果たしたって具合でした。
父のことなど思い出す間もありません。
毎日のことで精いっぱいで…。
私が独立して自分の会社を持ったころ突然父が現れましてね。
怒れないほど衰えてましたがなんと私より一回りも下の弟がいると…。
それが中谷浩司でした。
もう逮捕状請求できるので言いますが…。
はい?中谷浩司には殺人の容疑がかかっています。
改めて聞きますが中谷浩司の行き先に心当たりはありませんか?下手にかばうと被疑者隠匿の罪になるので念のため。
分からないと言ってるでしょう。
1か月ほど前でしたが…浩司がもうけ仕事に乗らないかと男を一人連れてきたことが…。
中国の特別な蜂蜜を買いつける権利を持ってるとか…。
木倉といいました。
名前は木倉。
そう木倉和雄。
私…断りました。
その男の名刺かなにか…?あぁ…捨ててしまいました。
…あ年は35歳ぐらい。
背丈は175センチ中肉で…。
実は北鎌倉の事件のニュースの不審な男となんとなく似てる気がして気にはなってましたが…。
いや不審な男を見たわけじゃないから勝手にそう思っただけで…。
ついでに事件の朝6時半ごろあなたはどうしてました?アリバイです。
これはどなたにも聴くことですが?家内の病室に泊まってました。
病院?はい。
家内は…末期のがんでして…あと何日…と指を折って数えるような命です。
朝のそのころなら私は家内の顔を見て「きょうも生きててくれた」と思った…そんなような時刻でした。
(和栗)木倉和雄35歳。
手がかりはこれだけか。
ま当たってみます。
和栗さん…。
理由があって名乗り出られない女性の手紙…。
あの中の男の特徴と安宅さんなんか似てませんか?言われてみればそんな気もしますがありふれた中年ですからね。
念のため安宅さん内偵しましょう。
特に金銭と営業状況。
そして北鎌倉の畑山さんとの金の貸し借りについて。
・・もしもし…。
はい桂木です…。
はい麻子は私ですが…。
(男の声)北鎌倉で金融業者が殺された朝近くの道で不審な男を目撃しましたね。
…はあ?その件を詳しく知りたいんです。
私鎌倉北署の者ですがこれから伺っていいでしょうか?いえいえそれはちょっと…。
あの明日…私から連絡をしたうえで…。
時間がないのですぐにお会いしたいんです。
じゃ出て来ていただけますか?はい。
男の声:お宅からまず横浜新道へ出てください。
そして藤沢方面へ向かい湘南バイパスに入る。
しばらく走ると左側に「ティラミス」というモーテルがあります。
そこで車を止めてください。
そして目印として車のルームライトをつけておいてください
(パトカーのサイレン)
(野田)藤沢中央署の野田です。
所轄が違うのにすぐ連絡いただいて。
県警の…。
平井です。
中谷浩司…。
やっとたどりついたらこの始末ですか?和栗さん…。
ああやっぱり円形脱毛症…。
発見者は…?昨日から受付にいた人が外に…。
この方たちにさっきの話をしてくれませんか。
お手数ですが…。
(従業員)朝8時までの約束だったのに電話にも出ないから来てみたんです。
けどノックしても返事がないのでスペアキーで開けてみたら…。
解剖の結果によりますが検視官の視たところ酒を飲んで寝込んだところで首を絞められたようだと。
(従業員)昨夜9時にチェックインした時車の助手席に女の人がいました。
けど今朝部屋を覗いた時はあの死んだ人だけでした。
女の人はいませんでした。
女…?名前は…?名前なんか聞きませんよ。
この女はどう…?さあ…何とも言えません。
私たちお客さんをじろじろ見ないですから。
女の人サングラスをかけてたし髪の毛を垂らして顔半分隠してるってふうでした。
見られたくなかったんでしょ。
大抵はね。
その女林奈津美に間違いないです。
彼女には捜査員がついてるはずだが…。
確認します。
和栗だ。
どうだ林奈津美のアリバイは?そんなはずないだろう!目を離したのか?
(刑事)そんなことないです!夜8時から12時まで私と他2名が見張ってました。
林奈津美は勤め先のバーから一歩も出ていません。
林奈津美のアリバイは完ぺきです。
証人は…警察です。
あ通帳がありました。
残金は8,000円。
金目のものはなさそうですね。
金貸しを殺して金庫を空にしたわりには懐が寂しすぎます。
木倉和雄の痕跡は何もない。
木倉…あ中谷の金もうけの相棒…?何かあれば名刺か住所かあるはずだが何もない。
もしもし…車の所有者…はい。
アタカヤスノブ…?中谷浩司との関係は?兄です。
えっ?しょうのないヤツでしたが…こうなるともっと話しておけばよかったと後悔します。
話していればどんな暮らしをしていたのかどういう人間とつきあいがあったのか殺されるほど恨みを買ってたのか分かったと思います。
しかし私は何ひとつ分かりません。
あなたの車を中谷浩司がなぜ使っていたのでしょう?はぁ…分かりません。
私は昨夜8時に家内の病室に行きました。
ナースステーションにケーキを持ってったので調べてもらえば…。
あなたのアリバイじゃない。
…えっ?車のことです。
あっ…ああ…。
私の車は家から離れた所に置いてますので知らせを受けるまで私の車が使われたとは知りませんでした。
家内の病室に泊まって今朝帰って来たんですがきょうは車を使う用がないから車のことなど考えてもみなかったんです。
あの車のキーは?なぜ浩司がキーを持ってたのか見当もつきません。
あ…実際私はこうして持ってます。
いつだったか浩司に車を貸したことがあります。
その時にキーをコピーしたのかもしれません。
そうとしか考えられません。
(平井)ちょっと気になるんですが…安宅はしゃべりすぎじゃないですか?一度恭太君に会わせてみますか?中谷浩司を殺ったのは安宅ということですか?いや…ちょっと気になっただけで…。
兄弟仲が冷えていてもそりゃないでしょう。
安宅の内偵は…?業務内容金銭のこと。
調べてます。
それは金貸しの畑山殺害の動機についての調べでしょうが…畑山殺害は中谷浩司の犯行と分かりました。
がその中谷が殺され一緒にモーテルに入った女が消えた。
もともと中谷の他に共犯者が…と私たちは考えましたよね。
そして共犯者はつい男だと決めてましたが実は女の可能性が…?林奈津美にアリバイがあるなら謎の女がもう一人…。
全く捜査線上に浮上してこない女…。
一人だけいます。
事件のあった朝北鎌倉の小道で少年に顔を見られた女…。
はい和栗です。
ああ藤沢中央署の…。
タクシーの運転手からの情報で昨夜9時半ごろモーテル「ティラミス」の前に停車した車があったと…。
女が一人運転席にいたそうです。
みとれるような美人だったと…。
(記者)年は?30歳ぐらいかな〜。
夜の雨の中で女のとこだけがボーっと明るいからほんといい女…。
今思えば怪しいねえ怪しいよ…。
カーナンバーは?いや見てないよ〜。
こんな事件が起こるとは思わないから…。
車種とか色は?覚えてるよ商売柄。
(運転手)色はシルバー。
(テレビを消す音)・もしもし群馬医科大学ですか?各務助教授をお願いしたいんですが…。
どなた?いきなり失礼じゃないですか!どなた!?いきなり失礼じゃありませんか!私…林奈津美といいます。
どういうつもりか知りませんがお帰りください。
フフ…随分ね。
私中谷といい仲だったのよ。
ナカタニ…?モーテルで殺されてた男。
中谷は前からあなたを知ってたそうよ。
ねえここ寒いわ!中に入れてね。
(ドアを閉める音)随分…いい暮らししてるのね。
すぐ近くに新築のマンションがあるでしょう?中谷はあの工事の時に作業員で働いてたの。
だから北鎌倉の小道であなたに会った時あっ!と思ったそうよ。
フッ…ほら金貸しの畑山が殺された朝。
あなた旅館から出て男の人と別れた後…。
中谷もビックリしたそうよ。
何しろ畑山を殺してきたところだから…。
ところが何日か後に彼はあなたのお相手に会った。
群馬医科大学の各務助教授。
えっ!?フフフ…私よく知ってるでしょう…。
あなたのお相手のことなんてだ〜れも気づいてない。
知ってるのは私…ひとり。
中谷が突き止めたの。
彼は…あの朝あなたの他にもう一人剣道着の小学生に会った。
それが心配でその子を襲ったら邪魔が…。
その邪魔をしたのが各務助教授。
まあその時は名前なんか分からない。
あなたと旅館に泊まった男としかね…。
で中谷は後をつけて突き止めたの。
あなた…大変な秘密を持ってるのねえ。
私中谷に「子供を襲うより桂木麻子が先じゃないの」ってそう言ったの。
そしたら中谷は「あの女は警察には何もしゃべらない」って言ったの。
フフ…でも中谷がどうしてあなたを殺そうとしなかったか…。
あなたに会って分かったわ。
フッ…中谷のヤツあなたをモノにしたかったのよ。
えっ!?中谷はあなたを誘った。
そうでしょう?モーテルに行ったでしょ?行かない。
ウソ!私…今あなたの車見てきたわ。
車の種類も色もテレビで言ってるのと同じ…。
あなたタクシーの運転手に見られてるのよ。
秘密を知ってる中谷をあなた…殺したのね?そんな…人を殺すなんて。
私は…人を傷つけたりできません!あ〜あまそんなことどうでもいいけどね。
中谷が生き返るわけじゃないし。
過ぎたことよりこれからを考えなきゃね。
ねえ…2,000万円用意してくれない?…2,000万円!?私…アメリカに行こうかと…。
姉が居るのよ。
いっそアメリカで暮らそうと思って。
2,000万円あれば何とかなりそう。
やり直したいの。
今までは行き当たりばったりで…。
男に甘えてればいい目を見られると思ってたけどこの辺で何とかしなきゃ駄目よね…。
あんた笑うかもしれないけど私…結構本気なのよ。
あんたとは間違いなくこれっきりと約束するから。
2,000万円何とかしてよ。
そんな大金私には…。
ちょっと!何もかも忘れてあげるのよ!でも…。
3日待ってあげる。
3日後また電話する。
(和栗)安宅康信の不動産屋ですが火の車だったようです。
そう…。
こんな時代ですから無理なのに土地転がしでしくじったらしいです。
家も抵当に入ってるし借金のことで訴えられそうだったが700万円を返済して差し押さえを免れたとか。
返済した時期は?これがなんと畑山さんが殺された4日後です。
畑山殺しは中谷と安宅の共犯…。
そうです…その後いわば仲間割れ。
で…安宅が中谷を殺した。
兄が弟を…ですか。
そうは思いたくないと前にも言いましたが…。
人の絆を信じたいけど仕方ないですかね。
寂しいことです。
しかし警部証拠は何もありません。
それにモーテルの殺人はどう考えれば…?何しろ中谷の運転する車に乗ってたのは女ですから…。
そう…そのことですよね。
(金髪の男)痛てえんだよ!この野郎!イテテ…こらっ!強く引っ張るなよ!男でしたよね?ええ…。
近ごろの若い男は髪を染めたり伸ばしたり。
モーテルに入った時連れは女と思ったが実は…中谷だった。
はあ?いや中谷はその時すでに殺されていた。
女の服を着せ…そう中谷は髪が長かった。
サングラスをかけさせて…。
モーテルの従業員はちらっと見て女だと思った。
運転していた男は…?…安宅康信!しかしモーテルの従業員は中谷だったと証言してます。
中谷だと錯覚したんだ。
車に乗ってたのは男と女。
部屋では中谷が死んでいた。
だから…車の男は中谷だとそういうことです。
証拠がありません。
車のハンドルの指紋ももともと安宅の車だから指紋はあって当然です。
引き続き安宅から目を離さないように。
はい。
それからもうひとつ畑山さんが殺された朝近くの小道で不審な男を目撃し手紙をくれた氏名不詳の女。
その女がカギを握ってるはずだ。
・奈津美:もしもし…私。
約束の電話よ…これから約束のもの取りに行くわ。
・あの…主人が居ますし家では困ります。
明日…人目のないところで…遅いなあ…もう1時間以上待ってる。
徹夫さん…私警察へ行く。
えっ!?独りで行く。
もとはといえば私が…。
ただ気持に任せてあなたと…こんなことになってしまったから…。
気持に任せて…ただそれだけのこと?徹夫さん…運命だって言ってくれたでしょう?今でも私そう思ってる。
でも…私たち…もう二度と会わない方が…いいのよ。
私たちを縛りつけてるものが厳しすぎるのよ。
ただ…夫と別れてあなたのもとへなんてそういうわけにはいかないのよ。
徹夫さんもそう言ってたわ。
そんなことをしたら桂木もあなたも傷ついてしまう。
ただ傷つくだけじゃない。
人間の…信用や信頼や…価値までも傷つけられてしまう。
桂木さんから依頼された分析の結果については恥じるところはない。
いくらあなたが正しくても私が不純な気持はないといくら言ってみても世間はそうは見ないでしょう。
不倫は…不倫でしかないのよ。
私が…それを隠そうとしたばかりに男の子は危ない目に遭い中谷という人は…殺された。
そして奈津美という人が出てきた。
…あの人どうして来ないの?また何か起こりそうな気がする。
早く警察に…。
そして全部話す。
奈津美さんのことも…。
俺も一緒に行く!駄目よ…あなたの名前は絶対出さない。
あなたは来ちゃいけない。
(小鳥の鳴き声)お願いだから来ないで!気持はうれしいけど…。
あなたを巻き添えにするくらいなら…私…この秘密を抱えて一生苦しむことにします。
私…独りで大丈夫。
(暴走して来る車の音)
(タイヤがきしむ音)
(人をはねる音)徹夫さ〜ん!!徹夫さ〜ん!ああ…ううう…。
徹夫さ〜ん…。
(心電図の音)あの…失礼ですが…。
金融業者が殺された事件のことで警察に電話をくださったのは…。
私です。
桂木麻子と申します。
…あの朝北鎌倉の小道で不審な男の人を見たのは…私です。
…捜しましたよ。
捜査課宛に届いた手紙正しくは刑事課ですがね…。
訳あって名乗り出るわけにいかないとありましたが?理由は詮索しません。
見ていただきたいものが…。
安宅:気をつけなよ…あの朝あなたが見たのはこの男じゃありませんか?…そうです。
裁判に出て証言できますか?…裁判?ええ。
あの…あの…。
この男のアリバイを崩すにはあなたの証言が必要なんです。
ああ警部!ひき逃げの車を押さえました。
犯人は?逮捕しましたが…。
実は…。
どうした?犯人の名は桂木謙介。
…うそ!?主人が…私を…!?桂木謙介に間違いありません。
うっ…うっうう〜っ!妻は私を裏切りました。
なんとなく気配がおかしいので私は探偵社を頼んだんです。
その報告書を見て私はがく然としました。
これはただの裏切りじゃない。
相手があの男でなかったら妻を抹殺なんて…考えなかった。
…せいぜい離婚です。
しかし…そんな生ぬるいことで片づけられる問題じゃなかった…。
抹殺です!妻の不始末が世間に知られる前に消さなければならなかったんです。
妻とあの男のことがマスコミに知られたら…。
世間に知られてしまったら…。
テレビ記者:工場排水の汚染について鑑定依頼を受けた助教授がなんと工場側の担当者の奥さんと通じていたというんです。
鑑定結果は工場側に有利なものでした。
住民も改めて怒りをあらわにしております何度もそんな夢を見ました。
でも…事実は消すことができないんです。
会社は大損害を被り私は…破滅です。
妻の裏切りで…。
二重の裏切りです。
私はただ黙って…破滅を待つべきだったんでしょうか?手をこまねいて首を洗って…待つべきだったんでしょうか?これしか…方法がなかったんです。
くっ…くっ…くうう…。
(心電図の音)
(小鳥の鳴き声)また会えたわね。
男の人に助けてもらったのよね?どんな人だったの?お父さんみたいな人。
お父さん…?お父さん…僕覚えてないんだ。
でも…お父さんみたいな人。
恭太君とお父さんね?うん。
黒いジャンパー背が高いんだ。
お父さん…僕のとこへ戻って来たと思っちゃった。
お父さんにきっと会えるわ。
…僕遅れちゃうから!会えるとは思いませんでした。
私の罪は…ここから始まりました。
でもう一度この場所に立ってみる気持に…。
この先どうすればいいのか考えてみようと思ったんです。
私…さっき女房を亡くしました。
また独りぼっちになってしまった。
この年で独りぼっちもないもんだと自分をあざ笑いながら…。
しかし俺のやってきたことは一体何だったんだと今…ひどく虚しいんです。
私はここで不渡りを出したらおしまいというところに追い詰められてました。
その一時しのぎの金欲しさに弟に手伝わせて畑山さんを殺しました。
そして次に弟の中谷浩司を…。
あいつがあなたを強請ろうとしてるのを知ったからです。
「やめろ!」と言ったが…。
あいつはせせら笑って私を強請ってきた。
そして…モーテルで…。
あなたにもちょっとだが協力してもらおうと考えた。
警察の捜査を混乱させるためにね…。
あなたをモーテルに呼び出したあの電話…あれは私です。
林奈津美さん…奈津美さんも!?あいつはあくどい女だ!私…みんな知ってるのよ。
あんたが畑山さんを殺して金庫の金を奪ったこと。
その金を独り占めして弟の中谷を殺したこと。
あんた…ただじゃすまないわね。
どうしたらいいんだよ!そうね…どうしようかな。
うっ!?あっ!ああ〜っ!!そして…山の中に埋めた。
私を殺せばよかったじゃないですか。
目撃者の私を殺してしまえばあなたも安心だしそれに私が居なければ弟さんも奈津美さんも私を強請れなかった。
あなたもあの男の子も殺す理由はなかった。
奈津美たちは悪だ!毒虫のような害虫だ!私がこんなことを言えた義理じゃないが…。
私あなたのことを警察に言いました。
今はっきり決心しました。
私目撃者として裁判に出ます。
畑山さんが殺された朝ここであなたに会ったと証言します。
そのことであなたのアリバイは崩れます。
あなた…私に「殺して」と言ってるみたいだ!私…何もかも失いました。
私の罪です…。
弟さんや奈津美さんが私のせいで命を落とした。
そんな気がしてきました。
私の背負った罪は重すぎて途方に暮れています。
私の罪も…ここから始まった。
もう…居場所が…なくて…。
…ここへ…来てみたんだ。
うっ…ううう…。
あなたと…同じだ。
(心電図の音)徹夫さん…。
徹夫さん。
徹夫さん…。
2014/05/23(金) 13:00〜15:00
テレビ大阪1
午後のサスペンス 目撃〜ある愛のはじまり〜[字]
北鎌倉豪邸殺人事件!朝霧の小道。密会帰りに目撃した不審な男は殺人犯!?美人妻を襲う第2の惨劇。
詳細情報
番組内容
閑静な北鎌倉の邸宅で、一人暮らしの老人が絞殺されるという事件が起こった。被害者の名は、畑山欣造。金融業を営む六十一歳の男性だった。死亡推定時刻は午前六時前後。争った形跡はなく、強引に外から侵入してきた様子も見られない。ただ、室内の金庫の扉は開けられたままで、中には額の少ない借用書だけが入っていた。
番組内容続き
神奈川県警では、被害者周辺の捜査はもちろんのこと、午前六時半前後に現場近くで不審者を目撃した人がいないか調べることにする。桂木麻子は、テレビで記者が事件のあらましを報告するリポートを、息をのむように見つめていた。実は麻子は、事件のあった朝、夫の謙介には内密に、北鎌倉の旅館で、幼馴染みの大学准教授・各務徹夫とともに朝を迎えていたのだ。
出演者
桂木麻子・・・沢口靖子
桂木謙介・・・峰岸徹
平井警部・・・永島敏行
和栗警部補・・小野武彦
野田刑事・・・宍戸勝
安宅康信・・・金田明夫
林奈津美・・・いしのようこ
中谷浩司・・・成田涅
久藤恭太・・・谷野欧太
久藤初江・・・斉藤林子 ほか
原作脚本
【原作】夏樹静子
「目撃 ある愛のはじまり」
【脚本】岡本克己
監督・演出
【監督】松島稔
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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