(テーマ音楽)
みちのく北上川です。
4月下旬。
宮城県の石巻駅から川の下流域へと向かいました
震災のあと臨時に運行されているバス。
下流の町に向かう唯一の公共交通機関です
一日3便。
運賃は100円。
住民の足として暮らしを支えています
もう3年余りたつんだけどやっぱりまだまだいろんなとこで復旧工事だ。
北上山地に源を発し太平洋へ注ぐ北上川。
その河口に広がるのが石巻市北上町です
3年前この「母なる川」を津波が遡りました。
北上町では亡くなった人行方不明の人は267人に上ります
海に面した十三浜地区です
今も岸壁の8割は崩れたままです
海草だ。
自然の力っていうのはすごいね。
壊す方も生える方もね。
ここはワカメや昆布ホタテの養殖で栄えてきました
朝刈り取ったワカメは湯通しして塩漬けにしていきます
震災の年の秋いち早く再開したのが育ちの早いワカメの養殖でした
三陸ワカメの中でも肉厚で風味豊かな事で知られています
49世帯が暮らしていたこの辺りは高台の2軒を除き津波に流されました。
さら地に建っているのは漁具を拾い集め共同で建て直した作業場です
仮設住宅からこの作業場に通いワカメ養殖を再開した方を訪ねました
ごめんください。
あ〜どうも突然すみません。
おはようございます。
おはようございます。
佐藤のり子さんです。
この3か月間朝から晩まで出荷作業に追われてきました
一緒に手を動かすのは今はばらばらに暮らしているかつてのご近所さんです
出荷っていうのはいつまで続くの?一応今日が最後なんです。
えっ!北上町の白浜から小滝までで午前と午後で分かれて出荷になります。
そうなんだ〜。
もう春のワカメ漁は終わって今日が最後の出荷っていう…。
そうですそうです。
追い込みだね。
忙しいんだ?そうなんです忙しいんですね。
(笑い)
メカブの近くの一番風味が良いという葉を丁寧に切り取ります
箱詰めにするのは夫の佐藤徳義さん。
この地で代々漁師を続けてきました
北上川が運んできたミネラルを豊富に含む自慢のワカメです
他の海と違うところっていうのはやっぱり北上川の河口の真水と海の水の混ざり具合っていうかその辺のバランスが良いと思います。
う〜ん。
だから海草そのものがコシが強くて甘みがあるんだと思います。
自宅船作業場。
震災で全てを失った2人。
2か月後夫はがれき撤去の現場で働き始めました
それでも事あるごとに口にする海への思い。
妻は「好きにしたら」とそっと通帳を手渡しました
でもやっぱりこの人は海を捨てきれなかったみたいで。
1年間海しないで自分の船が無くて過ごすっていうのは複雑な思いがあったと思うんですけど。
やっぱりここに生まれて小さい時からこの海好きで海やってきたから今更海やめろっていうのは言ったって多分聞かないと思うんですよ。
今年1月真新しい船が届きました
それまで知り合いの船を借りて沖に出ていた佐藤さん
貯金を取り崩し借金をして再び手にした自分の船です
去年よりはちょっとは楽ができっかなと思って。
船が大きい分余裕がある分そう思いましたね。
うれしかったっていえばうれしかった。
まあ心配な面もあるけどもね。
でも今までこういう生活ずっとしてきたんだしまあなんとかなるだろうと思って始めました。
北上川の下流域にはおよそ10kmにわたって広大なヨシ原が広がります
古くからかやぶき屋根に使われてきたヨシ。
津波で7割がなぎ倒され水没しましたが少しずつ回復してきました
火入れです
刈り取ったあとの古いヨシを燃やし新たな芽吹きを促します
広い範囲を一気に燃やすため作業は慎重に行います
この日は右側海からの強い風。
煙に巻かれないよう風上に進みながら火を入れていきます
今ここでは風物詩になってしまって。
もう何十年とやってる間に。
だから俺たちにとっては春春一番。
(笑い声)
焼き払われた河原に芽がよみがえる時を待ちます
北上川の河口域は災害の危険度が高いとして市の条例によって新たに家を建てる事が禁じられました。
その一つ吉浜です。
58軒のほとんどが津波で全壊しました
門柱だけが残る土地に折に触れ帰ってきている人がいます
こんにちは。
こんにちは。
精が出ますね。
は〜い。
今日はほうれんそうを摘みに来ました。
ああこれほうれんそう?ほうれんそうなんですよこれ。
ここで生まれ65年を過ごした鈴木光子さんです。
あの日自宅の2階に避難し助かりました
ああ…。
ここに建ってたんです。
あらら何にもない。
何にもないんです。
家は津波にえぐられ解体されました。
無事だった夫と隣町に移り住みましたが今も車で30分以上をかけて通ってきます
花とか野菜とか大好きなので。
それをね育ててるんです。
でも向こうに家が新しくあれば向こうで育てれば…。
(笑い声)思うでしょうけどやっぱりふるさとが一番なんですよね。
ちょっと見て。
かわいいでしょほら芽出てきて。
春用の大根。
芽出てくるこのかわいいあれがすごく私感動的なんですよ。
ここからこうね芽出てきてるんですよ。
これゆずの。
ほらこれ。
う〜ん。
だからやっぱり足運んでも助けてやらないとね。
海水を浴びた土を入れ替えこの3年少しずつ作物や草花を植えてきました
震災後最初に植えたわすれな草です
塩分にも寒さにも負けない強い花です
今年鈴木さんにもう一つの楽しみが出来ました
これは偶然にもこの倉庫の上に上げてたんですけど。
130年以上続いてきた吉浜の春祭り神輿渡御
人々が総出で参加し五穀豊じょうを願います。
13年前に途絶えていましたがちりぢりになっている住民が声をかけ合い開催する事を決めました
間もなく懐かしい皆が帰ってきます
この春最後のワカメの出荷を終えた翌日。
佐藤さんは海に向かいました
半年の間ワカメを養殖してきた網を引き揚げます
これからは初夏の昆布漁。
季節とともに移りゆく海です
佐藤さんの末息子小学6年の寛哉くんです
自慢の父の船
漁の合間一度だけ乗せてもらいました
佐藤さん一家が暮らす仮設住宅は浜からおよそ8km離れた高台にあります
こんにちは。
こんにちは。
最後のワカメ。
メカブ。
新鮮。
いつもありがとうございます。
ネギある?ネギ?ネギありますよ。
どうもすみませんお世話になります。
どうも〜。
佐藤さん一家は夫婦と両親寛哉くんの5人暮らしです
寛哉くんは3人きょうだいの末っ子。
震災後兄と姉は就職と進学で地元を離れました
父と母の苦労を間近に見てきました
だってもう4年たったけどね本当に。
何て言えばいいんだ…。
短いように感じるよね。
全部短いように感じるの。
いつも2人で海に出ていた佐藤さん夫婦。
しかし去年のり子さんにがんが見つかりました
船には乗らず浜の仕事で夫を支えてきました
ほんとは2人でけんかしながらワカメ刈りをする予定だったんですけど残念です。
来年辺りからは。
けんかして?けんかしながらも多分行けるといいんですけど。
いいからいいから。
(寛哉)けんかしなくていいから。
やっぱり2人で行くと仕事が早いので。
1時間かかるところを30分で2人でとか時間違うので2人で行くっていう感じなんですけど今年は1人でなんとか頑張ったみたいです。
感謝状あげたいです。
火入れから1週間後。
ヨシが芽吹いていました
燃えた大地に残った根はまた命を育みます
(掛け声)
4月最後の日曜日。
吉浜の御輿渡御が復活しました
(お囃子)
ふるさとを離れて暮らす吉浜の人々
懐かしい顔が戻ってきました
(掛け声)
傷ついてもこの地に寄せる豊じょうへの願いです
(掛け声)
(お囃子)
(テーマ音楽)
(テーマ音楽)2014/05/24(土) 05:15〜05:40
NHK総合1・神戸
小さな旅「母なる流れ〜宮城県石巻市北上町〜」[字]
震災の被災地、宮城県石巻市北上町。北上川の河口に沿って広がります。ヨシ原の火入れ。ワカメ養殖再建の物語。さら地の故郷に花を植える女性。復興へ歩む人々を訪ねる旅。
詳細情報
番組内容
宮城県石巻市北上町。東北一の大河「北上川」の河口に沿って広がる町です。震災で、津波は川を遡り、深い爪痕を残しました。それでも、北上川に群生するヨシ原では、今年も春の火入れが行われます。浜では、ワカメの出荷作業。全てを失いながらも、作業場を再建し、船を手に入れ、海に向かう家族がいます。そして、さら地となった故郷に通い、畑を耕し続ける女性。集落では、春の祭りが復活します。復興へ歩む人々を訪ねる旅です。
出演者
【語り】国井雅比古
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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