弱くても勝てます 〜青志先生とへっぽこ高校球児の野望〜 #7 2014.05.24

(亀沢)やっぱり学校辞めることにします。
(璃子)先に進めたんですか?好きなものを捨てた後にです。
(田茂青志)それを答えてしまうと亀沢にどう接していいか分からなくなる。
(亀沢)最初っから決めてたんだ。
ずっと前から決めてたことなんだ。
本日退学届を提出しました。
(白尾)新聞配達もなくなったしお前らもう来ないかと思ってたよ。
(赤岩公康)そりゃまだ寝てたいけど勝手に目が覚めちまうんだよ。
(江波戸)もう習慣だね。
(岡留)迷惑な習慣植え付けやがったな亀沢も。
(白尾)おいだからお前達素振りは下でやれって。
習慣だよ習慣。
イチニイチニ。
後ろに回せ。
こうやって席空けといても亀沢戻って来ないぞ。
前詰めろ。
(白尾)いえその席は永久欠番です。
何言ってんだよ。
こうやってプリント配る時だって不便だろ前に詰めろ。
(樽見柚子)監督!じゃあ何か?お前達はこうやって席を空けとかないと亀沢のこと忘れちまうのかよ?詰めろ。
何か妙に静かですね。
(志方)ああっ!どうした?志方。
やっぱり無理です!この先ずっとレギュラーなんて。
(樫山)じゃあお前はず〜っと補欠のほうがよかったのか?よかった!僕はなるべく気楽なポジションで樽見さんを見ることだけに集中したいんだ。
あんた野球に集中しなさいよ!志方!スカウト組の根性見せろよ。
亀沢いなくなってもう俺とお前の2人しかいねえんだよ。
僕にそんな仲間意識ないです。
何だと?この野郎。
おいよせよせよせ!よせ!とにかくみんなおとなしいぞ。
これじゃ前に逆戻りだなぁキャプテン?あっ…そうだね。
え〜っと…。
確かに亀沢はいなくなっちゃったけどみんなの心の中には生きてるはずだから。
お前それじゃあ亀沢が死んだみたいじゃねえか。
ごめん。
取りあえず声出すぞ声!お〜!出遅れんな!来いロンゲ!
(樽見楓)いつも当たり前のようにここにいた人が急にいなくなるっていうのはね…。
自分の体の一部が欠けたみたいで何となく不安定になるのよ。
私だって主人がいなくなった時しばらく店に立てなかったもの。
あらこれじゃあ江波戸君と同じね。
亡くなった人に例えちゃいけないわ。
でも見慣れた風景には見慣れた人も含まれるってことですかね。
そう。
そこに座ってる青志君も含めてこれが私の『サザンウインド』よ。
ということで今週の金曜日は開校記念日だ。
この3連休を使って我々は強化合宿を行う。
合宿かぁ。
部活っぽい!そんな急に言われても俺には厳格なタイムスケジュールが…。
この3日間は忘れろ。
無理です。
部屋は個室ですか?僕は一人じゃないと眠れません。
何だよだらしねえな。
家出してたお前とは違うんだ。
いいか俺も孤独を愛する男だよ。
お前らとなんか3日も一緒にいたくはない。
いい関係でいたい相手とは旅行に行かないとまで決めている。
ただ強い絆が生まれるのもまた旅行なんだ。
来る夏の予選大会このメンバーで戦い抜くためにもこの面倒なイベントから逃げず参加してもらいたい。
強い衝突を経て認め合い一枚岩の野球部になってもらいたい!
(部員達)はい。
聞こえない!
(部員達)はい!璃子さんの連載読んだか?
(牛丸)読みました。
(志方)まさかあの監督が…。
(伊勢田)『堂学』に大量エラーでコールド負け。
僕達と同じだ。
しかもこの記事が本当なら最大の敗因は…。
言うな樫山!ああ。
監督だ。
ほとんど監督のせいで負けてる。
まるで「監督対『堂東学院』」といった感じですね。
にもかかわらず今の監督の『堂学』関係者に対する態度はどうだ?ここにはあなたが思い描くような異常な野球はありませんよ
(谷内田)どちらが異常かすぐに分かるさでも聞いて!たとえヘタクソでも監督は…。
(机を叩く音)何て強えぇ人なんだ。
えっ?惨敗の引け目なんか微塵も感じられない。
いやむしろ勝者の佇まいだ。
監督は身をもって教えてくれてるのかもしれない。
勝ったからって偉くない負けたからってダメじゃない。
そ…それだ!そうよ!これではっきりしたぞ赤岩。
はい。
『堂学』は俺達だけじゃなく監督にとってもリベンジすべき相手だったんだ。
いや〜そうだったんだな知らなかった。
え〜びっくり〜!『甲子園』に行くには『堂学』は避けては通れない存在だ。
次は勝つ!監督のためにもな!お〜!勝つぞ〜!お〜!
(増本)合宿する予算なんてありませんよ。
別に何も高級ホテルに泊めろと言ってるわけじゃないんですよ。
大体今週末なんて急過ぎる。
だったらそこを何とかするのが部長でしょ?だったら学校に泊まればいいじゃないですか。
それじゃダメなんですよここを離れないと意味がないんだ。
監督…もしや部費を使って旅行を?はっ?ちょっと…。
それなら協力してやれなくもない。
部員達は無理だけど我々だけなら研修旅行という名目で…。
えっ?我々2人で旅行に行くんですか?現地に着いたら別行動で…。
イヤですよ。
これ以上あなたを嫌いになりたくない。
嫌いだったの?ほぉ〜これが第1回の親善試合の時の写真。
(三條)うん今からおよそ100年前だ。
両校の創立が近いところから始まった伝統だとか?その通り。
わが校の創立が明治13年。
『堂東学院』が…。
明治33年。
つまり『城徳』のほうが20歳も年上なんですね。
まぁそうだが?『城徳』のほうが20歳も年上なんですね?そりゃ…そりゃね『堂東学院』には専用の合宿所はあるけれど…。
年長者の頼みは聞くべきだと思うんですよね。
そりゃムチャだよ。
他校に貸すわけがないだろ!いやムチャかもしれないけど頼んでみてくださいよ!年長者として!ね…年長…。
ハァ〜。
もう〜…。
君も少しは年長者を敬いなさいよ。
いいか場所が決まった。
場所は『堂東学院』専用合宿所だ。
(光安)えっ!『堂学』の!?反応早いね光安君。
いやおかげで驚けなかったよ。
すいません…。
『堂学』に借りをつくることになります。
何言ってんだよ。
うちと『堂学』はもう100年以上の間柄だぞ?そう水くさいことを言うな。
それは貸した側の言い分じゃ…。
あの合宿所には『堂学』の部員も?いやその予定はない。
(樫山)監督!やっぱり俺はみんなと別行動をとらせてください。
だからそれじゃ合宿の意味がないだろ。
72時間も樽見さんと一緒かぁこれは持久戦だなぁ。
あんた来なくていいよもう!自宅で1人合宿!璃子さん取材に来てくれるかな。
(璃子)こんなネタを逃すてはないわ。
いつからいたんですか?おし!じゃあ『堂学』の合宿所で気兼ねなく衝突と和解を繰り返そうぜ。
お〜!一枚岩の野球部だ。
・お〜!・
(伊勢田)大丈夫『堂学』の部員はいないよ。
(光安)どうかな。
別にいいじゃないかバレたって。
でもやっぱり気まずいよ。
何か変な感じになったら僕がフォローするからさ。
(光安)うん頼むよ。
(増本)こんな施設まで持ってるなんてさすが全国レベルの学校は違うな。
あっ!
(増本)『堂学』の鬼監督だ。
(樫山)あっ鬼だ!こっち来た〜。
シッ聞こえる!
(峠)こんな時間にやっとおでましか。
わざわざお出迎えありがとうございます。
じゃあ『堂学』もここで合宿を?仕方なくね他校だけに使わせるわけにはいかないでしょ。
あのそろそろ部屋のほう案内してもらってもいいですか?チッ何を偉そうに。
荷物は自分で運びますから。
当たり前だ!ハァ〜。
一体うちにどれだけ負担をかける気だ。
それは恩を売っていると理解していいんですか?せめて感謝を表すくらいする気はないのかね。
やっぱり『堂学』もいるのかよ。
(江波戸)えっ全員一緒の部屋?
(白尾)大体こんなもんだろ。
諦めろ。
絶対眠れない。
おい牛丸!場所取りまず3年からだぞ。
僕は全体を見渡せる場所じゃないと落ち着かないんです。
何だそりゃダメだ。
ああ。
片せ!
(白尾)ほらさっさと着替えて練習行くぞ!この間璃子さんの書いた記事読んであ〜この人は『城徳』野球部にすごい愛情持ってくれてるんだなってすごく感激したんですよ。
ありがとうございます。
なのに相部屋だなんて聞いてなかった!もうホテルぐらい自分でとってから来てくださいよ!だって取材費が全然下りなかったのよ。
分かるけどさ!え〜!?ねぇ日焼け止めこんなの使ってんの?いけないんですか?ダメよ!マネジャーだって屋外に長時間いるんだしこういうの使わなきゃ。
あっそれ知ってる!すごい高いやつですよね?宿泊費としてあなたにあげる。
ホントに?ありがとうございま〜す。
チョロいな。
(峠)もう終わりか?鬼ノックに耐えられないヤツは帰れ!何度言わせてんだ!こんな端っこに追いやられたら学校でやってるのと変わらないじゃないか!まぁこっちは間借りさせてもらってる立場だし。
あれは相当きつそうね。
(峠)何だそれは!控えに回るか?お前の代わりなんかいくらでもいるぞ!
(岡留)すげぇな。
(江波戸)すごいね。
・だぁ〜!・・うお〜!・・うわ〜!・・うお〜!・
(江波戸)みんな手に何か持ってる。
ペットボトル中に砂が詰まってます。
よ〜し1分休んで階段ダッシュもう1本!
(部員達)はい!何か一人元気なヤツいないか?
(白尾)3年の吉永藤一郎です。
(璃子)『堂学』のエースで4番よ。
吉永藤一郎。
あ?そんなヤツ親善試合ん時いたか?ケガでベンチにいたんです。
なっ。
おいこっち来るぞ。
お前らがジロジロ見るから…目そらせ早く。
(吉永)祐太。
おい祐太。
祐太どいつだ?誰でもいいから返事してやれ。
やあ。
えっ光安君?えっ?兄貴が挨拶に来てやってんださっさと返事しろ。
ごめん。
(峠)はい時間だ!全員立て!
(部員達)はい!・すぐ準備しろ!・
(部員達)はい!えっ兄貴?はい兄です。
・ほら早く下れ!・
(部員達)はい!・スタート!・
(部員達)はい!もっと早く教えてくれればお前から『堂学』の情報聞き出せたのに。
お前を使って『堂学』のエースに毒を盛ることだってできたのに。
そうそれよ!毒は比喩だよ。
えっ?いや無理です。
親が離婚してから兄とは一緒に暮らしてないんで。
(江波戸)それで名字が違うのか。
そういうことです。
言い出さなかった理由は何なんだ?入部するなり赤岩さんが『堂学』のせいでやめたって聞かされて。
その後も赤岩さんが道場破りでコケにされて先輩達の中で見る見る『堂学』が悪者になって行くもんだから…。
全部俺のせいじゃねえか。
ばかだなそれくらいで。
いやでも分かるよそれでいじめられるかと思うとな。
いじめねえよ!いや岡留とは言ってないよ。
つまりかつて『堂学』に完敗した俺にも気を使ってるっていうことだよな。
えっ?いやち…。
そうなんです光安はそういうヤツなんです!違います!お前フォローするとか言って全然じゃないか。
くだらん!わざわざお前をいたぶるぐらいで解消する恨みなんだったら野球なんかするか!ああそうだ!そうよ。
野球なんて回りくどい。
面倒くせぇな。
ばかにすんなよ光安!見くびってる。
図に乗るなばか。
すいませんでした。
ほら手止めない早く作ろうおにぎり。
お腹すいた!攻撃の回のないチームで素振りが何の役に立つ?うちはどこよりも攻撃の野球だ。
やめろ悲しくなる。
うちの練習見てどう思った?本当ならお前もいた場所だぞ。
今いる場所にホントもウソもない。
ある!俺のチームメートかライバル校の4番。
それが本当のお前だ!中学ん時からとっくにそう決まってたんだ。
勝手に決めるなよ。
俺はお前と勝負がしたかった。
過去形やめろよ夏の大会これからだろうが。
初戦で当たる保証がどこにある?初戦じゃなくたってお互い勝ち上がればいずれは…。
そういうのは勝てるチームにいてから言ってくれ。
勝てるよ。
いや…勝とうとしてるよ。
ああ全力でしてる!ばかにするのもいいかげんにしろ。
おい祐太俺がお前の前で一度でも『東大』に行きたいなんて言ったか?え…。
俺がもしそう言ったらお前どう思う?朝から晩まで野球一色の俺達がそう言ったらお前らどう思うんだよ!いいかシャトルから目離すなよ。
・スタート!・・はい!・あっ!こら!そんなもんが限界なら野球なんてやめちまえ!さっさと帰れ!怖っ。
代わりに帰ってやりたくなるな。
チッそれどんな思いやりですか!おいお前らまた声出てないぞ!
(白尾)おい出遅れてんぞ!声出せ声!おい声!
(峠)声だけじゃなく体動かせ体!・うわ〜!・・行け〜!・・よっしゃ〜!・さっきぐるっと回ってみたけどこの辺店何にもないな。
山の中ですからね。
あっ前の道を下ったほうに少し明るい一角が見えたけど。
えっ?どこどこ?あっじゃ偵察行っちゃう?案内しろよジャーナリスト!あっ…。
チッ。
この部屋やけに響くな。
(峠)しっかり食べろ。
(部員達)はい。
10分後にバットを持って玄関前に集合。
(部員達)はい。
食事が終わったら自由時間な。
明日に備えてゆっくり休め。
(部員達)はい。
なぁみんな聞いてくれ。
話があるんだけど。
このままでいいのかな?
(峠)もっと力強く振れ!速い球を打つってイメージするんだ!
(部員達)はい!ねぇやっぱやめようよ明日も早いんだし。
それは『堂学』だって同じだよ。
『堂学』より一回でも多く振ってやろうぜ。
待ってよだって今日の練習メニューはもう…。
よ〜し行くぞ!
(部員達)はい。
(白尾)声出せ!はい!
(部員達)イチニ。
イチニ。
イチニ。
(部員達)イチ二。
『城徳』はマネジャーまで素振りすんのか。
イチニイチニ。
(部員達)イチニイチニ。
イチニイチニ。
(部員達)イチニイチニ。
イチ二!
(峠)こら!何勝手にやめてるんだ。
続けろ!
(部員達)はい!ハァ…。
・あ〜・・ハァ…・何だよあいつら徹夜で振るつもりかよ。
(岡留)化け物が!もう永久機関ですよね。
あ〜!何やってんだ?お前ら。
いやまだちょっと風呂って感じじゃないんで。
この世で最も嫌いなのは男の裸です。
後で入るよ。
お前らここまで来て何やってんだよ!さっさと脱げ!
(白尾)脱げ!
(志方)イヤだやめてあ〜。
(志方)イヤ〜イヤ〜イヤ〜。
(江波戸)やだやだやだ…。
ふぁ〜。
あんなのにホントに勝てんのかな。
おいいまさらその疑問かよ。
だからさ俺達がやろうとしてんのは勝てなさそうでも勝とうってことだろ?でもそれってむなしくないか?あっ?赤岩お前そんなつもりだったのかよ。
白尾。
そんなつもりじゃなかったけど…。
なぁ俺だけかなそう思ったの。
(激しく頭を洗う音)志方!シャカシャカシャカシャカうるせぇよ。
すいません。
兄はあんなこと言ったけどやっぱり野球と勉強は違うと思います。
全然違うよ勉強は野球ほど偶然ないからね。
でも『堂学』の野球はうちより偶然が少ない気がする。
偶然に頼らない人間の集団って感じですよね。
(岡留)あ〜!やめだやめだこんな話!おい!誰か背中流せ!江波戸お前じゃねえよ!後輩だ後輩。
いやもう上がるんだお先に。
さっきは悪かったな。
あんなこと言うつもりじゃなかったんだ。
いいよ。
親父はなホントは俺なんかじゃなくてお前について来てほしかったんだ。
当然だ俺の頭じゃ医者なんて継げないからな。
だから俺はお前がこんな所にいるの見ると何やってんだって思うんだ。
野球なんてやってる場合じゃねえだろ。
ごめん。
読ませてもらったよ。
利根さんが喜びます。
これでやっと君がうちにかみついて来る理由が分かった。
縁は感じてますけど別にかみついちゃいませんよ。
かみつこうにも歯が立たないしな。
今回は貴重な機会をありがとう。
君らが隣にいると私も選手達も自分達の野球に自信が持てる。
いえいえそれはお互いさまですよ。
どういう意味だ?ハァ…。
俺はずっと『堂学』みたいな強豪校が異常でうちみたいな弱小校が普通だと思ってたんですよ。
だからこそ普通な俺達は異常なことをしなければならないとも。
でも練習を見て安心しました。
『堂学』が異常なのは強さだけで練習は至って普通だった。
そこで一層決意を固めたんですよ。
彼らが思い付かないような異常なことをしてやろうってね。
安心したまえ。
今のままでも『城徳』は十分異常さ。
野球に見えないぐらいな。
ありがとうございます。
痛い痛い…!痛いもう!こんなになるまで素振りして。
『堂学』に勝つにはこれぐらい…。
もっとマネジャーなりの戦い方があるんじゃないの?どんな?そうだねぇ日焼けした?あっ!やだもう…。
よし現状維持!
(物音)
(岡留)赤岩!やる気ないんだったら帰っちまえよ!俺は問題提起しただけだろうが!もうやめろって!
(江波戸)落ち着こう落ち着こう。
(岡留)うるせぇな!
(璃子)ちょっと!ケンカ?赤岩君!ちょっと!もう…。
痛った!痛ったい!てめぇ何やってんだよ!知らねえよ!関係ねえ…!入って来んな!あっ監督!
(璃子)監督。
衝突は望むところだほら続けろ。
あっいや…。
もういいっす。
で原因は何なの?つまりそのこのまま勝てるかどうかという。
俺は負けるとは言ってないよ。
あっ言ってないよね。
(岡留)言ったじゃねえかよ。
あっニュアンスはね。
(白尾)監督勝てますよね?このまま練習量もっともっと増やせば。
無理だろこれで学校帰ったらまた週1しかグラウンドが使えない日常が待ってるんだよ。
つうかさお前らそろそろ現実受け入れろよ。
寝ろよ。
・じょ〜とく〜!ファイ!・・オ〜!・・どうとう〜!ファイ!・・オ〜!・
(白尾)出遅れてるぞ!
(楓)はい。
すいませんこんなにたくさんありがとうございます。
たくさん食べて頑張ってもらわなきゃ。
ありがとうございます!ありがとうございます!・失礼します!・あれ?『武宮高校』。
・あれ?・
(白尾)『武宮』?何でだよ。
(白尾)聞いてたか?お前。
(樫山)いや知らなかったっす。
弱いフリされたところね。
(浦瀬)これはこれは田茂監督先日はお世話になりました。
『武宮高校』もここで合宿を?いえいえ『堂東学院』との練習試合に呼ばれまして。
『堂学』と?よっぽどうちの国友を警戒しているらしい。
(国友)あっいえそんな…。
シャキっとせいシャキっと!すいません!
(増本)急に豹変すんだよな。
この間の…。
(国友)はいすいません!じゃあ失礼。
あっ。
峠監督は自分達の自信がつく相手がお好きらしい。
行くぞ!失礼します。
(部員達)失礼します。
あら晴さん!
(赤岩晴敏)ここらで勝って学校の知名度を上げてもらわんと。
親父!スポンサーとしては。
お願いします!お願いします!ねぇ『武宮高校』の実力は?エースの国友はいい球持ってます。
得点力もありました。
うちが相手だったからね。
お〜!あいつお前の兄貴なの?速い球投げんな〜。
・アウト!・・ホーム!ホーム!行ける…!・・アウト〜!・・アウト〜!・何か別世界だな。
ピッチャーのクセはつかめそう?光安の兄貴のほうは難しいけど国友のほうは少しはクセ見えて来たかな。
(主審)ボール!国友!何やってんだばか野郎!
(主審)ボールフォー!ゲーム!ありがとうございました!ドンマイ!
(ICレコーダーの操作音)お疲れさまです。
今日はまさかこんな所で名将同士の対戦が拝見できるなんて夢にも思いませんでした。
対戦だなんて大げさな…ただの練習試合です。
おっしゃる通り。
うちの選手もいささかオーバーワークで実力の半分も出せてなかった。
うちも軽めの調整といった感じで。
わが『堂学』相手に調整ですか。
『武宮』が調整するのは技術面よりメンタルじゃないかしら。
特にあのピッチャーの国友君?楓さん。
もしかすると彼はフォームにこだわり過ぎてるのかもしれない。
意識が相手よりも自分に向いてるように見えたわ。
たった1試合でそれを?失礼ですがあなた…?長年『城徳』野球部を支えて来た喫茶店オーナー樽見楓さんだよ。
喫茶店の?『城徳』の名前が出ると途端に説得力を失うな。
どういう意味よ。
田茂監督は両校と対戦してみてどんな感想を?強いなと思いましたよ。
まぁうちが信じられないぐらい弱いから『堂学』もまた『武宮』もやたら強く見えましたね。
君にしては珍しく素直だな。
愚直に練習を積むことです。
そうすれば『城徳』だって強くなる。
いえ強くなる気はないんですよ。
えっ?ないの?いや仮にうちが『堂学』と同じ練習をしたところで強くなることはまずあり得ない。
だからうちが勝つための方法とは違うんです。
練習以外に勝つ方法はない。
(浦瀬)その通り練習しなさい。
いいえ『城徳』は練習をしません。
ある意味…。
(樫山)正直ちょっと「めざせ『甲子園』」とか「打倒『堂学』」とか言ってるのが申し訳なくなって来ました。
(志方)「打倒『武宮』」とかは?そっちは行けるだろ。
(牛丸)今日の試合を見ても思いました?
(岡留)行けるよ…なぁ江波戸。
あっ…ああ。
いやお前はっきりしろよ!キャプテンなんだから!何だよ。
ちょっと考えさせて。
はぁ!?何をだよ!
(ドアが開く音)
(璃子)ここだったんですね。
ねぇ教えてください練習しないってどういうことですか?行間を読んでくださいよ文系でしょ?理系なら明確に説明してください。
(ドアが開く音)江波戸。
あっ監督。
やっぱり弱いと負けるよな。
普通はね。
『武宮』は『堂学』より弱かったから負けたんだよ。
でもやっぱり私はさ強いチームの連勝よりも弱いチームの1勝が見てみたい。
私はそっちのほうが感動すると思うんだよね。
フフフ。
あ…あのさ柚子。
んっ?何?俺さ…。
痛い痛い…!ウソだろ!そんな強く…。
あっごめん違う違うあの素振り…。
素振り?
(バットが落ちる音)あっえっと…。
夕方は涼しいなぁ。
(バットが落ちる音)男子校だしな。
うぅ…。
(江波戸)毎年キャプテンは何となく決まるのが『城徳』の伝統なんです。
何となく?とはいえなったからにはちゃんとしたいと思うしだんだんチームのやる気が増して行くにつれて余計そう思ったんです。
それでちゃんとできてるの?いや…できてないと思います。
やる気はあるんですけど…。
いや実はそれほどないのかもな。
(璃子)そんなこと言ったら私だってやる気があるのか?って聞かれたらまぁそこまでないような気もするし。
じゃあないのか?って聞かれたらないこともないからあるって答えるし。
曖昧よやる気なんて。
曖昧ですね。
何か野球にかかわることは全部曖昧です。
まるで国語みたいだ。
えっ国語?他の教科にはちゃんとみんなプロセスがありますから。
でも国語にはなくて…。
必死に考えて答えを出しても模範解答と同じにならないんです。
じゃあ必死に考えなきゃいい。
えっ?お前達はさ何でも答えを求め過ぎなんだよ。
野球に対してもキャプテンの役目に対してもだ。
できるできないで散々迷って結局身動き取れなくなってるじゃないか。
それで監督は「思い切り振れ」とか「とにかく振れ」って。
そうです。
だって考えてもプロセスがないんだったら「取りあえず」とか「差し当たり」って感じでやったほうが早いんじゃないのか?なるほど。
取りあえず差し当たりか…。
もうちょいがっつり行きたい…。
今週いっぱい追い込まないと。
・どうした?・あぁ…先行っててくれ。
(部員達)はい!
(光安)あれ?兄ちゃん。
待ってよ!あのさ…。
取りあえず差し当たり取りあえず差し当たり。
(白尾)勝負ってここでか?
(吉永)お前には悪いが俺は『城徳』が予選を勝ち抜くなんて信じてない。
今しかチャンスはねえんだ。
勝負しろ白尾。
いいよ。
ただしお前がその勝ち抜けないチームを倒してみせたらな。
俺の打順は9番。
うちの選手が一人でも打ったら俺との勝負はなしだ。
すぐに片付けるから素振りしてろ。
よし。
よし。
行って来い!『堂学』の吉永対『城徳』野球部?いいんですか?勝手にあんなことを…。
今回の合宿の締めにふさわしい相手じゃないですか。
1番赤岩来い!
(白尾)よし!打て!頑張れ!
(岡留)打てよ赤岩〜!速っ!振らなきゃ当たんないよ赤岩君!分かってるよ!うあっ!チッ。
2番岡留!あ〜!うぅ!クソ!!7番光安!頑張れ光安!光安!お前兄貴超えろよ!
(光安)勉強ならちゃんとしてるから心配しないでようちはみんな勉強が一番大事だしでも野球も好きだからできる範囲で一生懸命やってるんだできる範囲でだと?それが中途半端って言ってんだよ!クソ!今のいっちゃん速いな。
弟相手に。
次!あっお願いします。
これで最後の一人だぞ。
いいかげん準備しろ!いいから投げろ!8番江波戸!取りあえず差し当たり。
取りあえず差し当たり。
よ〜し!
(白尾)おい江波戸!江波戸!おい!入ったぞ!すごいじゃん!取りあえず打ったら…。
差し当たり打ったら入っちゃった。
すごい江波戸君。
『堂学』のエースから打っちゃった。
いいスイングだ。
当たりはまぐれでも。
やっぱり勝負は予選だな。
くじ運が良ければな。
グラウンドで俺達がやることは練習じゃない。
練習っていうのは同じことを繰り返して体得するっていう意味だろ?でも俺達には十分に繰り返す時間はないしそもそも何を繰り返したらいいのかっていうのがよく分かってない。
じゃあ何を?実験と研究ですよ。
グラウンドを実験の場として考えるんだ。
それぞれに自分は何ができないのかじゃそれをできるためにはどうしたらいいのかというのを考えて取りあえず仮説を立てて実験をするんだ。
で結果が出たら次の仮説を立てる。
実験をするそれの繰り返しだ。
例えば『堂学』だったらしっかりと練習時間をこなしたからこそ生まれる「負けない」というのが自信になるんだ。
でも俺達はどう頑張ったってそんな練習時間は割けない。
だからそれは無理。
じゃどこに自信を持つか。
実験で分かった必要十分な練習を徹底的にやる!それを自信にすればいいんだよ。
つまり俺達は必要な練習しかしないんだ。
ピッチャーはストライクを取れば必要十分。
バッターはボールを遠くに飛ばせば必要十分。
ダブルプレーは必要以上だから取る必要はない。
重りを持ってダッシュするのも必要以上。
よそのチームは無駄な練習をしてると考えて俺達はチームに必要な練習を徹底的にやるんだ!必要十分な練習の質と量。
それにこだわってもらいたい。
いいな。
(部員達)はい!さっどうぞ。
必要十分。
これより江波戸と樽見全国高等学校野球選手権大会…。
神奈川大会抽選会へ行ってまいります!よ〜し!行って来い!よろしく頼んだぞ。
(江波戸)はい!よ〜し!円陣組むぞ!よ〜し!初戦で『堂学』頼むぞ!いや!いや!初戦は弱いチーム頼む!『堂学』でいいじゃねえか!なるべく弱いチームがいい!ハァ…。
もうバラバラじゃない!遅れるぞもう何でもいいから引いて来い。
何でもいいから引いて来い!お〜!差し当たり引いて来い!お〜!取りあえず引いて来い!お〜!よ〜し!引いて来い!気持ちで負けんな!出遅れんな!いってきます!いってきます!監督〜!決まった〜!決まった1回戦。
どこ?『武宮高校』。
ウソ!?『武宮』?『武宮』か。
『武宮』。
『武宮』…。
(増本)よかったじゃないか1回やってるし。
でもちょっと強いか…。
監督。
今回ばかりは本気で相手にしてくれそうだな。
2014/05/24(土) 21:00〜21:54
読売テレビ1
弱くても勝てます 〜青志先生とへっぽこ高校球児の野望〜 #7[字][デ]

城徳野球部、初の強化合宿!盛り上がる部員達。だが堂学の合宿所で行うと聞くと、光安(平岡拓真)は途端に焦り出す。光岡は、堂学とのある「繋がり」を隠していて…

詳細情報
番組内容
城徳野球部、初の強化合宿!
堂学の合宿所を間借りして行うことになり「打倒堂学!」と部員達が盛り上がる中、光安(平岡拓真)は複雑な表情を浮かべていた。実は光安は堂学野球部とある「繋がり」があることを隠していた…
闘志を燃やして挑んだ合宿だったが、堂学の練習をすぐ横で目の当りにし、その気持ちは萎んでいく。朝から晩まで野球に全てを捧げる堂学野球部を見て、自分達の挑戦は無謀だと不安になる城徳野球部だが…
出演者
二宮和也
麻生久美子
福士蒼汰
有村架純
中島裕翔