タイムスクープハンター「元祖なでしこサッカー」 2014.05.24

(沢嶋)
熱狂的なファン。
世界中で愛されているスポーツサッカー。
日本に伝わったのは150年前ごろと言われている。
サッカーが普及し始めて間もない頃驚く事に男性に交じり選手としてプレーする女性が既に存在していた。
一体どんな女性なのか?興味を持った私は早速大正時代にタイムワープ。
取材を開始する事にした
え〜アブソリュートポジションN986W524E618S317。
ポジション確認。
アブソリュートタイムB0873465年38時56分55秒。
西暦変換しますと1921年5月4日10時23分58秒。
無事タイムワープ成功しました。
コードナンバー638316これから記録を開始します。
沢嶋雄一。
彼はタイムスクープ社より派遣されたジャーナリストである。
あらゆる時代にタイムワープしながら時空を超えて名もなき人々を記録していくタイムスクープハンターである。
外国人によってサッカーが紹介されてから半世紀がたちようやく日本にもクラブチームが誕生する
私はその女性たちを取材するためクラブを訪れた
あっいましたいました。
いましたね確かに女性が。
女性選手が2人いますね男性に交じって。
腕前もかなり上手なようですね。
歴史の浅いサッカー界に突如として現れた女性選手。
一体どんな人物なのだろうか?早速取材を開始する事にする
この時代の人々にとって私は時空を超えた存在となります。
彼らにとって私は宇宙人のような存在です。
彼らに接触するには細心の注意が必要です。
私自身の介在によってこの歴史が変わる事もありえるからです。
彼らに取材を許してもらうためには特殊な交渉術を用います。
それは極秘事項となっておりお見せする事はできませんが今回も無事密着取材する事に成功しました。
上村トシと南沢あき子。
2人にインタビューを試みる
あっすいません。
ちょっとよろしいでしょうか。
はい…。
何でしょう。
いえ…。
いえそんな事は…。
いや私は…。
私はただ…なるほど。
あっそれはあの…。
フットボールをやり始めたきっかけなんていうのは…。
そういう紋切り型の質問はもうやめませんか?おい始めるぞ!
(上村南沢)はい。
なぜか口が重く話してくれない。
かなり警戒している様子だ
(コーチ)あんた…えっ知らないんですか?
(コーチ)ああ。
ただ…そうなんですか…。
ああ。
彼女たちはどうやってサッカーがうまくなったのか?その手がかりが四国香川県の丸亀にあるかもしれない。
私は早速調査に乗り出した
本部本部こちら沢嶋応答願います。
はいこちら古橋。
今東京蹴球団の取材中なんですけど。
女性選手の件ですね。
ええ。
女性2人の過去がどうしても気になって調査したいんですがちょっと取材が難航してまして。
どういう事でしょう?取材拒否されてしまったんです。
沢嶋さんにしては珍しいですね。
ええ。
それで何か少しでも手がかりがあればいいなと思っておりまして。
彼女たちは四国の香川県の丸亀市出身だという事は分かってるんですけど…。
丸亀ですね。
出てきました。
沢嶋さんちょっとこれをご覧下さい。
この写真は2010年に丸亀市の資料館で発見されたものなんですが…。
女学生ですか?はい。
1921年ごろの香川県立丸亀高等女学校の様子を写したもののようです。
袴姿でボールを蹴り合ってますね。
(古橋)はい。
一説によると日本で初めてサッカーをやった女性たちと言われています。
そうなんですか。
当時この女学校ではサッカーが盛んに行われていたようです。
彼女たちはそこの学校の卒業生だという可能性はありますね。
その可能性は高いですね。
分かりました。
ではその丸亀の高校に行ってみます。
了解しました。
タイムワープ先はいつにしますか?彼女たちが在籍していた時期から考えると4年くらい前でしょうか。
そうですね。
では4年前の大正6年に遡ります。
了解しました。
すぐにタイムワープ準備します。
お願いします。
1917年大正6年丸亀市。
私は香川県立丸亀高等女学校の校庭に降り立った
いましたいました!女生徒たちがサッカーをしてますね。
そこには雨をものともせずサッカーに夢中になる女学生たちがいた。
1906年明治39年の「香川新報」によると丸亀高等女学校の運動会で「フットボール」つまりサッカーが行われたとの記事が掲載されている。
この女学校ではサッカーを早くから体育の教育に取り入れていたようだ。
彼女たちの中にあの2人がいないか捜す事にする。
だが…
(教師)何を破廉恥な!女性をのぞき見するなんて!あいや…私は決して怪しい者ではございません。
そんな格好してたら怪しいに決まってるじゃないですか。
ある人?上村さんと南沢さん…在校生にいたかしら?いやそこまではちょっと…。
ありがとうございます。
こちらでお待ち頂けますか?すぐ用意いたします。
おおむね12歳から16歳までの女子が通学していたが通えるのは経済的に余裕のある家庭の子供たちであった。
果たして2人はいるのだろうか?
そうですか…。
いると思ったんですけどねぇ。
用意してきます。
丸亀高等学校創立80周年の記念文集では卒業生が「フットボールが好きで大根足を笑われた」と思い出をつづっている。
サッカーに夢中になっていた女子生徒の姿がうかがえる
卒業名簿を数年分くまなく探す。
しかし上村トシ南沢あき子の名前はとうとう見つける事ができなかった
やはりうちの生徒ではないようですね。
そうみたいですね。
分かりました。
他をあたってみます。
申し訳ありません。
お役に立てなくて。
ありがとうございました。
何の手がかりも得られず私は途方に暮れた。
このまま2人の素性がつかめなければ調査は終わってしまう。
…とその時だった
(中村)あの〜!はい。
ええそうなんです。
えっ本当ですか?はい。
2人の友人だという女学生中村はる。
彼女のおかげで何とか取材を続ける事ができた。
私は案内されて上村トシの自宅へ向かう
いえ…そうですか。
この時代誰もが中等教育を受けられるわけではなかった。
2人は尋常小学校を卒業したあと家業を手伝っているようだ
えっ…あっはい。
あっほんとですか?はい。
そうなんですか。
ああはい。
あっほらいましたよ。
トシちゃん!あきちゃん!
ちょうど家の裏庭に彼女たちはいた。
上村トシと南沢あき子。
東京蹴球団にいたあの2人である
こちらの方があなた方の事を捜していて。
(2人)はじめまして。
(中村)どうしたの?2人とも。
陸軍宿舎に?
どうやら2人が大切にしていたサッカーボールを陸軍に没収されてしまったらしい。
そのボールを奪い返すため陸軍の宿舎へ向かうという
でしたら私も同行します。
いいじゃない!何かあった時男の人がいた方が助かるかも。
そうね。
すいません。
ありがとうございます。
やはり話してくれない。
何かよほどの理由があるのだろうか?私は3人に同行する事にした
庭にはボールを蹴って遊ぶ兵隊たちの姿が。
このボールが彼女たちのものだという
(中村)じゃあどうするの?
(中村)どういう事?
(上村)彼らと戦うの。
戦うったって…
(上村)やるしかないわ…。
はる。
(中村)うん。
彼女たちのサッカーボール奪還作戦が始まった。
作戦はまず上村トシと南沢あき子の2人が兵隊たちにサッカーゲームの試合を持ちかける。
次にシュートを装いボールをゴール裏の茂みに蹴り上げる。
そして茂みで待機する中村はるがボールを拾い隠れながら逃げるというシナリオだ
じゃあ作戦どおりに。
(中村)任せて。
2人とも気をつけて。
(上村南沢)うん。
果たしてうまくいくのだろうか?
あなたはこっちへ一緒に来て下さい。
私はモスキートカメラを放って試合の一部始終をモニタリングする
(南沢)突然押しかけちゃってすみません。
女学生だと偽る。
突然の女子の登場にまんざらでもない様子の兵隊たち
えっ?驚いたな。
そうなんですか?へえ〜。
それで…お願いします!どうします?いいじゃないか。
お前ら相手してやれ。
まずは第一関門突破
(上村南沢)ありがとうございます!
中村は茂みの中を進み配置についた
いいな。
はい。
いいな!はい。
そしてついに2対2のミニサッカーゲームが始まる
では始め!
ボール奪還へのキックオフ!
上村がボールを奪う
想像以上にうまい。
女性だと思い侮っていた男たちが本気になる
上村と南沢も熱くなる
いつの間にか作戦を忘れてゲームに集中してしまっていた
あの子たち真剣になっちゃってる。
もう…何やってるのかしら!ほらいけ!ふがいない!お前ら何やってんだ!意外と強いんですよ。
女子には負けられないというプライドからか男たちに焦りの色が見える。
試合は彼女たちのペース
こっちこっち。
兵隊たちに疲れが出始める。
その時だった!上村が隙をついてロングシュート
しかし高さが足りず茂みには届かない。
竹でこしらえた簡易ゴールの脇をそれて得点にもならなかった
ああっ…!
タイムアップが迫る。
負けられない戦い
南沢がカット!残り時間5秒
南沢が繰り出したパスに上村が絶妙なシュートを放つ
ボールは見事中村のいる所に飛んできた
さあ急ぎましょう。
はい。
急ぎ茂みを離れる
やった!
タイムアップギリギリ。
ゲームは2人の女性の勝利で幕を閉じた。
ボールを手に入れた中村。
2人と示し合わせた場所を目指す
一方宿舎では…
(南沢)とても勉強になりました。
(上村)ありがとうございます。
また遊びに来いよ。
俺たちでよければまた相手してやるから。
はい!さよなら。
ああ気をつけてな。
兵隊たちに別れを告げた2人が中村との待ち合わせ場所へ向かった。
作戦成功!だがその時だった
どうしました?
行く手にたむろする男たち。
先ほどの試合を見物していた兵隊たちだ
どうしましょう…。
えっ?旦那?お願い!あっはい。
えっ?ちょっと…。
ちょっと…。
それ貸してもらえますか?あっはい。
ああなるほど。
なんと妊婦を装うという大胆なアイデア。
うまくいくのだろうか?
ありがとうございます。
あ…あの…5か月…。
これは失礼。
とんでもないです。
それでは失礼します。
中村の機転で何とか突破する事ができた
あっ…ああっ!
(中村)大丈夫?はるったら何?そのおなか。
ちょっといろいろあって。
この方にご協力頂いたのよ。
ありがとうございます。
いえ私は何も。
(中村)ほら!よかった!よかったですねボールが戻って。
まだ終わってないわ。
必死に取り返したボール。
ボールは2人のものではないという。
一体どういう事なのだろう?私は彼女たちの後を追った
それにしても2人とも熱くなっていたようだけど。
そもそもなぜ2人はあれほどサッカーが上手なのか?そしてこの地方の女学校だけがどうしてサッカーが盛んなのか?私はますます気になり始めていた
このあとその理由がついに明らかとなる。
林を抜けていくとそこには…
海辺近くの広場。
簡易的な塀で仕切られている
南沢が何やら合図を送る。
すると…

サッカーボールは俘虜収容所にいたドイツ人のものだったのだ。
1914年第一次世界大戦が勃発。
捕虜となったドイツ兵は日本各地に設置された俘虜収容所に送られたという。
丸亀では本願寺塩屋別院を収容所として使い300人余りの俘虜を収容していた。
ここは彼らの運動場である
ええ。
はい。
ドイツ人捕虜たちの生活は制約されながらも比較的自由が認められ優遇されていたという。
大正時代日本は世界から認められる事を望み捕虜を人道的に扱う事を守ろうとしていた。
ドイツ人の知識や技術を積極的に学ぼうと交流も盛んに行われていた。
丸亀高等女学校ではドイツ人捕虜によるバイオリン演奏が行われ女学生たちへの演奏指導に貢献している。
丸亀高等女学校でサッカーが盛んだった理由。
その一つにドイツ人捕虜の存在が影響を及ぼしていたと考えられる

(衛兵)集合!
(ドイツ兵たち)ダンケシェーン!
言葉が分からぬともサッカーを通じてお互いが分かり合える。
そこには戦争という悲しい事実を超えた友情があった
それでは私はこの辺で失礼します。
そうですか…。
フットボール頑張って下さい。
はい!ありがとうございます!さようなら。
さようなら。
彼女たちの姿を見送り私は取材していた大正10年に戻る事にした
本部本部タイムワープをお願いします。
大正10年再び東京蹴球団
男子選手と共に練習に励む2人の姿を見て感慨深い。
ところがこれ以降女子サッカーは苦難の道を歩む。
「危ない」「女がやるものではない」という論調が高まり時代背景も相まってなかなか普及する事はなかった
サッカー日本女子代表なでしこジャパンがワールドカップで初優勝を飾るのは90年後の事である
以上コードナンバー638316アウトします。
2014/05/24(土) 23:30〜00:00
NHK総合1・神戸
タイムスクープハンター「元祖なでしこサッカー」[字]

シーズン6の第7回。時空ジャーナリストの沢嶋雄一(要潤)は大正時代へタイムワープをする。サッカーの普及がまもないころ、珍しい女性サッカー選手2人に密着取材を行う

詳細情報
番組内容
1921年、東京の運動場でボールを蹴り合い、サッカーの練習に励む若者たち。男性選手にまじって練習を行うのが女性選手、上村トシと南沢あき子。華麗なパス、見事なシュート!なぜ、サッカーがうまくなったのか?いつから始めたのか?沢嶋雄一は聞き出そうとするが、二人はかたくなに答えてくれない。仕方なく別ルートから調査を続けるうちに、二人は香川県の丸亀出身であることが明らかになる。そして、意外な事実が判明する。
出演者
【出演】要潤,杏

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドラマ – 国内ドラマ
バラエティ – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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