(福島)皆さんおはようございます。
番組の案内役を務めますMBSアナウンサーの福島暢啓です。
この「らくごのお時間」では毎回大注目の噺家さんをクローズアップし落語一席とインタビューをお届けしています。
さて今私がいますのは先日ここちゃやまちプラザのステージで番組の寄席を開きました。
これまで番組に登場した私のイラストなども展示しお客さんには落語を二席ご覧いただきました。
その中から本日は桂紅雀さんの落語をご覧いただきます。
(桂紅雀)「びっくりしましたね私」。
芸歴19年…。
紅雀さんはさあ今回の演目は…。
毎晩…。
(出囃子「さいさい節」)
(出囃子「さいさい節」)
(拍手)ええ〜とってもノリのいいお客様でございましてね先ほどから袖で聴かせていただいてましたがうれしいかぎりなわけでございますが私の方もよろしくおつきあいをいただきます。
まあ私のところはお酒の話なんですけれどもこの…噺家っちゅうのは大変お酒が好きでございましてねな〜んでもお酒飲むんでございますよ。
なんやいうたらお酒飲むんですね。
なんやいうたら打ち上げですよ。
ざこば師匠が動物園前という大変風紀のいい所に寄席小屋を作らはりましてねそこでねまあいうたら定席っちゅうのをやってるんです1日から20日まで。
月のうちのまあいうたら20日だけ落語会を常時やっていらっしゃってそういうところへ私ら米朝一門ですから出させていただくんですけど3日も4日もやっぱり出番が続きますんでねですからまあいうたら顔ぶれはそない変わりませんけれどもなんやいうたら毎日打ち上げやいうんですよ。
打ち上げやいうて。
そない打ち上がってないのに打ち上げやいうてね。
ええ。
ねえそらいろいろありますわいな。
そらねもうくたくたで疲れてちょっと休みたいな思う人もやっぱりいはりますんでそんな方が重なるときなんちゅうのはねそない盛り上がりませんけども噺家の側はそんなこと無視して打ち上げやいうて行くんでございますよ。
盛り上がるときもまた…ねっ打ち上げやいうて行くんでございます。
いいですね飲んでましたらねたまらんのです。
そんでまた動楽亭みたいな所へ行くとですね師匠連とご一緒ですから私らなかなか大変なんです。
というのがやっぱりざこば師匠も出ていらっしゃいますでしょ。
機嫌を損ねるとね大変なんでございますね。
ちょっと女性的なところ持っていらっしゃいますんでね意外としつこかったりなんかしますんで。
ご機嫌損ねないようにできるかぎりですね楽屋でご一緒になるときは5つ6つなんかこんな話題ならどうかなとかあんな話題なんかしてみたらどうかなと師匠とお話しできるような話題をいくつか用意させていただけたらなってなことを考えながら行かしてもらうんですけれどもね。
ほんでまたそういうときにですね楽屋で一生懸命お話をさせてもうてから「今日は打ち上げ行くぞ」ということを言いださはりましたらですねこれがまた大変なんです。
打ち上げ行ったら打ち上げなりの話題がまた必要ですから。
もうですからほかの人が落語やってはりますけれどもそんなもん誰も聴いてませんね。
打ち上げ行ってからどんな話題振ろうかみんな一生懸命楽屋で考えて。
ほんで打ち上げにいざ行くいうたらざこば師匠見てましたら…。
私らあの〜落語の中にですね酔っ払いの出てくる噺ありますからちょっと研究するためにも飲みに行くのはええことなんですけれどもねそういうところに参考にさせていただくのにざこば師匠はもってこいでございましてね。
酔うていく様っちゅうのがね決まっておりましてだいたいアルコールが進んできましたらまぶたが重力に負けだすんでございます。
えらいもんですね。
こういう形で皆さんを見るようなことはないんですね。
ちょっと薄目になるんです薄目に。
ほんで薄目になってるぞという自覚はまだちょっとおありになりますのでね次の動作といたしましてはこのまぶたをなんとか開けなければというわけでね今度はね眉毛が上がるんでございます。
これが酔うてる人の絵ですね。
ざこば師匠は左手ですね…。
ほんでもっと酔いが進みますと左目つむるんでございます。
ほんであの〜この回転がですね高速になりだすんです。
これがざこば師匠の酔態でございますがね面白いですね見てますと。
ほんでおつきあいしてるうちはいいんです飲んでるうちはね。
ちょいちょいなんかあの〜電車で帰るとか言うて…地下鉄で帰るぞって。
ねえそんなこと…酔狂なこと言わはる。
酔ってるからしゃあないんですけど。
言いださはるんでございますよね。
飲んでるうちは…飲み屋では別にかまわないんですけれども地下鉄とか不特定多数の方が乗っていらっしゃいますんでなんちゅうてもざこば師匠は落語界の宝…スターでございますから皆で守らなければいけない。
そんなん一人で乗せるわけにはいきません。
一応変装してますけれどもねサングラス掛けてハンチングかぶって。
それでもやっぱり分かる人には分かりますから危ないからね世の中危ないですからついていかないかんいうわけで我々若手が一緒についたりするんです。
もうだいぶ稼いではるんですからタクシーで帰ってくれたらいいんでございますけれどもそこらねちょいちょい酔わはるとね気分が高揚しまして面白いことしてみたくならはるんでしょうね。
そのときもそうです。
私とひろば君いうてざこば師匠のお弟子さんがいてましてね彼が師匠思いでございますからね一緒に乗ってほんで彼がいてたら安心だろうと思って乗ったときです。
もう終電間際ですから混雑しておりますわね。
ほんでちょっと酔うた人もいてはりましてねちょっとお酒の臭いが充満してるような車内でございますわ。
でそこに乗り込んだんですけどね難波でございますからそこそこ混み合っておりまして前の座席…地下鉄御堂筋線ですが6人掛けに5人座ってはるんでございますね。
若いにいちゃん真ん中に3人座ってますねん。
もうざこば師匠これ見たらじっとしてられませんね。
つり革につかまりながら間の隙間をじ〜っと見てはる。
(笑い)私横で見ながらなんか起こらんかったらええのになと思ってましたらねざこば師匠がその若いにいちゃん…左端のにいちゃんにね「にいちゃんそこ空いてるか?」。
空いてないんでございますけれど無理くりですわ。
「空いてるか?」。
おにいちゃんええにいちゃんで「えらいすんません」言うて「ちょっと詰めます」言うて詰めてくれはりましてええにいちゃんやな思って「ありがとうございます」ってね私も礼言うて。
ほんでざこば師匠がうんうんうん座っていった。
一度コンタクト取れたもんですからお酒の酔いも高じてますんでね止まりませんよね。
こうじ〜っとこう…相手の人の顔を見ながら「にいちゃん悪いけどなこいつらはええねん。
こいつらみたいな若いやつはほっといたらええねんけどなわしみたいな年配の人が前に立ったらにいちゃんから席譲らなあかんのと違うか?」と言わはったんでございます。
これ怖いですよ今日びはね。
若いにいちゃん何するか分かりません。
危ない子もいてますからね。
なんや忍ばしてた刃物でねブスッといくようなね痛ましい事件ありますから。
突然キレるという話も聞いてますからねブスッといかれたら危ないじゃないですか。
いやまあこれはこれである意味日本のためなのかもしれないんですけれどもまあしかし落語界の宝ですから私ら守らないけません。
前のつり革につかまりながらにいちゃんに通訳するわけです。
「いやいやあのねあのねあのねこの方は年配の方を見たら若い人は自分の方が体力あるんだからすっと立ち上がってですねできたら席を譲ればいいんじゃないのかなということを今お話しして」…。
私日本語と日本語の通訳をいたしまして…。
必死です危ない目に遭わんよう。
ほなそのにいちゃんええ人で「えらいすみません。
これから気ぃつけます」って言うてるんで殊勝な子やな思ってね。
ところがざこば師匠止まりません。
かばんの中見せろとかね始まってえらいことになってほんで最終的に「おいちょっとにいちゃんなあ名前…にいちゃんなんちゅう名前や?」いうてね聞かはったんですね。
名前…パーソナルな話題を聞きたくてしょうがないんでしょう。
「にいちゃん名前なんちゅうねん?」言うて。
ほなその若いにいちゃんすごかったですね。
そのときの答えがまっとうでしたね。
「人に名前を尋ねるならおじさんから名乗らなければいけないんじゃないでしょうか?」。
すごいでしょ?今日びまっとうな子いてた。
すばらしい出会いやな思ってね。
これはもう私通訳入ったらあかん黙って見てないかん思ってねじっとざこば師匠見てましたらさすがざこば師匠スターですね。
やることちゃいますね。
サングラス持ってハンチングを持って「桂ざこばです〜!」言うて…。
(笑い)ほんならその若いにいちゃん「ざこば師匠や!」言うて座席からびょ〜ん飛び上がって。
ほんならもう友達だったんでしょうね連鎖的にこの横のにいちゃんも「ざこば師匠や」。
「ざこば師匠や」。
前の関係ないおばちゃんまで「ざこば師匠や」言うて飛び上がってますねん。
ほな師匠はうれしかったんでしょうね。
そりゃね名前…「おじさんから名乗らなければ」いうてね「おじさん」と言われてた人が急に「師匠」に格上げですからめちゃくちゃうれしかったんでございましょうざこば師匠「おいにいちゃん今から飲みに行くぞ!」言うて。
行かれへんっちゅうんでございますけれどもね。
酔っ払いはすごいですよ。
もう止まらないですからねしゃべりだしますと。
うん酔うてるとね噺のネタにも使うんですけれどもねちょっと変わった行動というか訳が分からなくなってくるところなんちゅうのもありましてね。
酔うてますとねベロベロですからね…。
「いやうれしいな。
いやうれしいよ。
あんたと飲んでたら時間忘れるで。
ありがたいねここで飲んでるとね。
あっ!えらいことしたぞ。
おい!くそったれ〜飲み過ぎや。
あんなとこにお日ぃさんが出てますよ。
あんたと飲みだしたんは確かゆうべやったと思いますけどねゆうべから飲んでお日ぃさん出るまで飲んでしもたら飲み過ぎです」。
「なんですか?えっ?お日ぃさんが出てる?ははははっ。
あれお日ぃさんに見えるの?酔っ払い。
ひひっ」。
「当たり前や」。
「あれはお月さんやないか。
えっ?あれは満月ですよ今日は。
お月さんとお日ぃさん見間違うたらあかん」。
「えっ?なんですか?お空にあれ…あれお月さんちゃうお日ぃさんや。
それが証拠に目がちかちかっとした。
あれはお日ぃさん」。
「いえいえあれはお月さん」。
「ちょ…ちょっと待って。
二人ともベロベロやろ?こんなもん正しい答え分かるわけあらへん。
ちょうどええあんばい向こうから人歩いてきた。
あの人に聞いてみよう。
うん。
あの人に聞いたら正しい答え教えてくださいますよ。
えらいすみません!ちょっとお尋ねします。
違うそっちじゃないですよ。
ちょっとお尋ねします!」。
「なんですかぁ〜?」。
(笑い)「あの人もえらい酔うてるで」。
「違う…違うんです。
私ら二人ベロベロでねお空に浮かんでんのお日ぃさんかお月さんか分からんように…。
あれどっちですか?」。
「えっ?なんですか?えっ?お空に浮かんでる…あれ…あれ…あれですか。
えらいすみませんね私この町内の者やないさかい分かりまへんねん」。
(観客たち)はははっ。
訳が分からんことになってしまいましてね酔うてますと歌の一つも出るんやそうで。
「・ええ〜〜〜」。
「ふぅ…」。
「・びぃ〜〜〜」。
「・わい〜おお〜しょうにして」。
「・ひえ〜ながぁ〜〜」。
「・おぉ〜」。
(観客たち)はははっ。
「絶好調やな」。
(観客たち)はははっ。
トントン!「ただいま戻りました!」。
トントン!「ただいま戻りました」。
「はいお義父つぁんでっか?ただいま開けますよってに。
はい。
あっおかえりやす」。
「えらいすみません恥ずかしながら私ただいま戻ってまいりました。
えらいすんませんせがれの奥様のあなたにご厄介になりまして。
いやいや大丈夫ですよしっかりはしておりますんで。
上がり框に腰を掛けさしていただきます。
どっこいしょっと。
ふぅ〜。
んん?せがれの姿が見えませんが」。
「はい。
まだお戻りやないようでございまして」。
「何?まだ戻ってきてない?はくしゅん!また酒を飲んでるな!」。
(観客たち)はははっ。
「年いった者はよいとしてな若い者がいついつまでも飲んでてどないしますか。
いや今日は夜と共に意見をしてやるよ。
夜と共に意見をしてね言うことを一向に聞かなんだらあの男ほ…ほ…放り出します。
当たり前ですよ。
親の言うことを聞けんようなせがれを持った覚えはございません。
はい。
今日は夜と共に意見をしてやります。
はい。
ここでしっかりと待ってますよ。
玄関先で…ここで待っててガラガラっと開けたらドドドドっと説教ねじ込んでやりますよ。
ここでねじっと待ってるんですよ。
これ帰って来たらいつまで酒飲んでるんだ!?って言ってやる。
ぷはっ…」。
「ああ〜だ…だ…大丈夫です。
いやいやあの〜酔うてはいますけどまだしっかりしております。
いやあのねまだ寝ませんのでねあのねそれあなた…ご親切ありがたいんですけどまだね酔うても…。
あの〜えらいすみませんねんけどねあの男が帰って来たら起こしていただけますか?ぐぅ〜ぐぅ〜」。
お父つぁんの方は寝てしまうわけで。
「ああ〜酔うてもうた。
ああ〜!また帰ったらおやじ怒りよんねやろなほんまに。
あのおやじだけはよう怒るおやじやでほんまに。
なんやいうたらいつも怒っとる。
いつまで酒飲んどんのじゃ。
ちっ!毎晩のように言うてけつかんねん。
あんなに毎晩怒られたらな聞くもんも聞かんわほんまに。
よう怒るおやじやさかいあだ名付けたったんや。
何おやじかっちゅうたらねからけしおやじっちゅうあだ名付けたってん。
からけしおやじね。
どういうことかいうことやけどねからけしというのは消し炭のことやね。
うん。
でこれがどういうシャレになってるかというとね消し炭だけによくおこるっちゅうてねまあこんなん分かんの昭和20年代やね」。
(観客たち)はははっ。
「誰に説明しとんねんほんまに。
・おやじ入れるような火消し壺」。
「・怒るたんびに蓋をする」。
「ええ歌で…。
あ痛っ!痛い…。
えらいすみません。
ちょっとねふらふらっと歩いてたもんでちょっとぶつかってしもて。
痛っ…。
そやけどあんた硬い頭してるわ。
ポストですか。
ポストに…。
そら硬いはずやから痛いわ。
あなたにちょっと毎晩当たってるような気ぃします。
えらいすんません。
今日…今日もあなた酔ってますね。
顔が赤いよほんとに…。
いや痛いわ。
あんたに当たるのちょっと習慣になってもうてる。
習慣ポストだねほんとに。
えらいすみませんね。
おじゃましました。
ちょっと…酔うてたらなんやズルズルっといきとうなんねん。
あんなとこにうどん屋いてる。
おいうどん屋!うどん屋!」。
「ありがとさんで。
おうどんですか?」。
「100杯お願いします」。
「なんでっか?」。
「いやいや100杯お願いします」。
「あっ…さよか。
1杯でよろしいな?」。
「そうそうそうそう。
ちょっと待って100杯おうどんおくれっちゅうところでね1杯でよろしいな?ってあなたの方から言うところを見るとあなたしらふやな?」。
「当たり前でんがな。
酔うて商売できまっかいな。
ちょっと待っといておくんなはれ」。
「ええです。
酔うてたら熱いの通しとうなんねん。
これなたまらんもんがある…。
わし好っきやねんうどんな。
たまらん。
つるつるっとねちょっと固めのやつ好きや。
何?なんですか?えっ天ぷら?いりませんいりませんそんなん。
そんなものいりません。
ぜいたくは敵だ。
敵だ。
いりません。
なんですか?揚げ?いらんっちゅうてんねんしつこいやっちゃな。
何?ネギ?ネギなんぼですか?タダで?大盛りでお願いします。
大盛りでお願いします。
ちょっとタダのもん好きなんです。
えらいすんませんありがとうございます。
湯気上がってあるねん。
腕痛なってきた。
ちょっと
(巻き舌で)とんがらしありますか?」。
「なんでっか?」。
「
(巻き舌で)とんがらし」。
「よう舌回りまんなあんた。
へいへい。
とんがらしねここにおまんねん。
これどうぞ」。
「おおきに。
ありがとう。
どや?大きなとんがらしですね」。
「それ入れ物でんねんけどね。
見たら分かりまっしゃろ。
竹の筒ですわ。
そん中に入ってます」。
「そうですか。
どないしたら出ますか?」。
「振ってもうたら出ます」。
「ほな振らしてもらいます。
振ったら…出ます〜!」。
「ちょっと出ませんけどね」。
「ええ。
詰めを抜いてもらわんことには」。
「そうですか。
そんなことも分からないなんて。
詰めが…あっこんなとこにあるわ。
これを抜いたらええの?」。
「入れたてですさかいねたたいてもらわなあきまへん」。
「そうですか。
ほな詰めを抜いてたたかしてもらいます。
んん〜!ぷっ!」。
「あんた何しなはんねん!堪忍しておくんなはれ」。
「ええやん。
洗うたら使える。
たたいたらええねやな。
なんぼでもたたかしてもらう。
あっあっあっ…」。
(観客たち)はははっ。
「ああ〜。
あっあっあっ…。
は〜くしょん!はっ…」。
「あんた穴上へ向けてどないしはんねん。
それぐらい分かりますでしょ」。
「言葉にそつがあるよ。
これ下向けんの?なるほどね。
うわっ…」。
「出た」。
「当たり前…当たり前でんがな。
大層に言いなさんな」。
「いえ違います。
出るようには出来てあんのは分かってるわしかてお前な。
せやけど客やで。
しかも酔うとんねんな。
その酔うてる客が出たなっちゅうたらそらめでとうございましたなぐらいのことは言うても…」。
「ちょっとちょっと…。
あかんあかん。
ああ〜ああ〜あんた掛け過ぎやがな。
そない掛けたらいけまへんがな」。
「掛け過ぎ?あっ!あららら…。
ぎょうさん出てるな。
いやせやけどわし辛いもん好き」。
「なんぼ好きかて無理です」。
「なんぼでも掛けたらええねん。
こんなもんタダやろ。
タダのもんわし好き」。
「もうやめて。
ああ〜ああ〜…」。
「なんぼでも…」。
「おかわり」。
「何を?無理ですって食べられしまへん。
置いときなはれ」。
「大丈夫…。
食べられます。
私辛いもん食い慣れてる…。
わしのうどんをどこに隠した?」。
「いやいや赤い蓋が出来てます」。
「そうですか。
この蓋の下にあるんですか。
この…うわっ真っ赤っか。
食べ応えがあるぞ。
いやお前にこういうものの食べ方教えたろ。
びっくり食いっちゅうねんびっくり食い。
教えたろかどういう食べ方か教えたろか。
うん。
口にね辛いという思いを抱かせるいとまを抱かせないというねややこしい食べ方や。
日本語難しいよほんとにね。
いただきます。
ふぅ〜ふぅ〜ふぅ〜…」。
「ズルズル…」。
「一気に食う…。
ああ〜〜!!」。
(観客たち)はははっ。
「何をしてんねん水飲みなはれ」。
「水…水…。
んん…んん…んん…」。
「ああ〜こんな辛いうどんいらんわ。
あんたにあげる」。
「わたいいりまへんいりまへん。
置いときなはれ」。
「大丈夫。
おおきに。
ありがとう。
なんぼですか?なんぼですか?お金はちゃんと払うとく。
なんぼ?えっ?あっそうですか。
取っといてください。
それ正規のお値段ですか。
そうですか。
3本ぐらいしか食べてませんけど。
いえ大丈夫です。
とんがらし代です。
取っといてください。
また酔うてるときに寄らしていただきます。
・ちゃちゃ〜んちゃんちゃん」。
「よし帰って来た。
おい!おい!ご亭主のお戻りだここを開けろ。
あなたは今包囲されている。
開けたまえもう逃げ道はないぞ」。
「はい。
あの〜どなた?」。
「どなた?ってお前我が亭主の声を忘れてどないすんねん!俺や俺や」。
「そういう声はマエダさんの坊とちゃいまんのんか?あんたとこは西へ3軒目でっせ」。
「あれ?あれ?ヨシザキさんのお宅ですか。
間違うてしもた。
えらいすみません。
また改めて謝罪に参ります。
1軒2軒3軒っと…。
おい俺や俺や!」。
「どいつだい!?」。
「亭主の留守に男の声がした。
どいつやいうたらどいつや!?」。
「そういう声はマエダさんの坊とちゃいまんのんか?あんたとこは西へ6軒目でっせ」。
「ちょっと待てお前最前西へ3軒言うたんと違うんかい!?」。
「あんたね西行かんならんのに東に来てまんの。
ねっ戻っていきなはれ」。
「ちっ!ほんまに…。
みんな寄ってわしのうち持ち歩いてけつかんなほんま。
もうこないなったら1軒ずつたたいて回ったんねん。
おい!俺のうちはどこや?どこや?」。
「まあうちの人やないかいなほんまに大きな声で。
ちょっとちょっとあんたこっちだっせ」。
「ああ〜我が家の奥さんこんばんは」。
「こんばんはやない。
またお酒の臭いしてはるがな」。
「えらいすみません。
恥ずかしながら私ただいま戻ってまいりました」。
「そんなとこだけ親子で似てはんねやからほんま。
早いこと上がんなはれ」。
「入れさしてもらいます。
おおきに。
あ痛っ!痛ぁ〜!こんなとこになんや?荷物転がってる。
荷物やあらへん人やがな。
これ誰?誰?おやじ!?おやじ!?こらおやじまた酒を飲んでるな!?若い者はええとして年いった者がそない飲んでどないすんねん。
いや夜と共に意見したんねん。
起きろおやじ!よう寝とんなほんまに。
鼻つまんだんねん。
んん〜んん〜んん〜」。
「痛い痛い痛い。
誰ですか?私の鼻をつまむのは誰?あっ!はっ!せがれやな。
せがれやな。
お前酒…酒飲み過ぎやぞ。
酒の毒が回って顔が3つも4つもあるぞ。
そんな顔が3つも4つもあるような化け物に私の大事なこの家は譲れんぞ」。
「いらんわい!こんなぐるぐる回る家」。
(笑い)
(拍手)
(受け囃子)それでは改めまして桂紅雀さんにお話を伺ってまいります。
眼鏡で変装してみましたけど。
ふだん眼鏡掛けてらっしゃる…。
ふだんは掛けてます。
もともとは落語家さんになる…もともと落語が小さい頃からお好きだった?いや全然です。
僕大学入るまではどちらかというと嫌いでした。
僕は北海道の大学へ行きまして「お前関西弁や漫才しようや。
落研行こう」いうて誘われて落語研究会に行かしてもうたら「落語だけやねん。
嫌いやろ?でもちょっと聴いてみてくれる?」いうてテープを…彼は北海道なんで江戸落語。
僕は関西弁なんで上方落語のテープをお借りしたんです。
で僕は米朝師匠の「天狗裁き」という落語をね聴かしていただいて。
あれを初めて聴いたときに「こんなすごい世界なんや!」思うてそっからどっぷり…。
噺家さんのいわゆる弟子入りとしては少しあとの方になって…。
遅いです。
24です僕。
うちの師匠も「あなただめです」と。
えっ?「もう自分ができてますから大学行ってね」。
断られちゃった?なんべんも断られました。
「だめです。
年がいきすぎてます。
お引き取りください」って。
(一同)はははっ。
優しく。
入門許されたときというのはどういう状態で許された…。
「君は僕の落語のどこが好きなのか感想文を送ってきてください」と。
感想文?だからそこでまず…まず筆記試験ですわ。
筆記試験。
筆記試験があったんですか。
筆記試験が。
ほう〜。
なんべんも消して…だから何か月かかかりました。
へえ〜。
ほんならちょっと一度うちに来て…落語今までやってたらしいけど見てみるわいうてお手紙頂いて。
はあ〜。
そこからじゃあ初めて稽古をつけてもらうという状態になった。
今後の目標なんか聞かせていただけますでしょうか?ちょっとずつですね…落語はマラソンやと思いたい方で。
落語はマラソン?はい。
70歳ぐらいが42.195ぐらいの感覚で…。
ぼちぼちという…。
ぼちぼち…ええ加減いうのが目指すところなんで。
ああ〜意外と難しいのかもしれませんねそのへんね。
お風呂のお湯みたいな感じね。
なんかこいつの落語聴いとったらほっこりするなみたいなふうになれればいいかなと思うんです。
大爆笑とかは望んでないんで。
じんわり温まるような。
「じんわり効いてきたな効いてきたな。
おうおう効いてきたな」。
辛抱してもらう芸人として。
ははははっ。
なるほど。
そうですか。
ほんとにいろいろと…。
いやいやこちらこそありがとうございました。
ありがとうございました。
大きな拍手をお送りください。
あさって27日火曜日の夜に国立文楽劇場で桂文我さんの独演会が行われます。
そして来月14日にはサンケイホールブリーゼで桂塩鯛さんの独演会が。
詳しくは番組ホームページまで。
次回の放送は6月22日です。
お楽しみに!2014/05/25(日) 05:00〜05:30
MBS毎日放送
らくごのお時間[字]【桂紅雀◆「親子酒」】
<第8回>桂紅雀◆「親子酒」〜先月オープンした「MBSちゃやまちプラザ」からお届けします▽月1回、第4日曜の朝に本格的な落語を一席。
詳細情報
お知らせ
月に1回、寄席小屋を訪れて、脂の乗った落語家の落語を1席お届けします。
今回も前回に引き続き趣を変えて、先月グランドオープンしたばかりの「MBSちゃやまちプラザ」での寄席からお送りします。
番組内容
桂紅雀さんが「親子酒」を披露します。
桂紅雀さんは、桂枝雀さんの最後の弟子で、来年に弟子入り20年目を迎えます。
出演者
【落語】
桂紅雀
【案内人】
福島暢啓(MBSアナウンサー)
ジャンル :
劇場/公演 – 落語・演芸
バラエティ – お笑い・コメディ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32722(0x7FD2)
TransportStreamID:32722(0x7FD2)
ServiceID:2064(0×0810)
EventID:1195(0x04AB)