日本!食紀行 2014.05.25

水の都と呼ばれる松江城を中心に堀川や武家屋敷など江戸時代の古い町並みを今に残す風情溢れる城下町です。
この町の人々になくてはならないのがこちら。
見た目にも美しい色彩豊かな和菓子です。
この町では和菓子に魅せられ家庭で手作りする人もいるんです。
もちろん多くの家庭では団欒に和菓子は欠かせません。
さらに…。
会社の休憩時間にも和菓子でひと息。
これほど市民に愛されているスイーツなんです。
和菓子大好きで…毎日です。
県外行く時は松江の和菓子を買っていきます。
季節感がありますよね和菓子は。
特にね今頃はこの青梅っていうのが大好きなんですよ。
フフフ…。
やっぱなんかこう体に合うなと思いますね。
この町では茶会も盛んに行われています。
その席に欠かせないのがもちろん和菓子。
実は松江は江戸時代からお茶どころとしても有名で抹茶や煎茶など年配の方の中には1日4回は欠かさないという人もいるんだとか。
松江にここまで和菓子とお茶が根付いたのにはこのお殿様と深い関わりがあるんです。
今週の『日本!食紀行』は…。
和菓子が根付く城下町松江に日本人の暮らしの豊かさを学びます。
島根県東部。
日本百景のひとつにもなっている宍道湖。
日本有数の漁獲量を誇るシジミをはじめシラウオやウナギなど恵み溢れる湖です。
今回の舞台となる松江市はそのほとりにあります。
かつて城下町として栄えたこの町は今も当時の風情を色濃く残しています。
…といわれ松江市には20を超える和菓子店が市内に店を構えています。
本格的な和菓子が食べられる甘味処も数多くあります。
気軽に和菓子が楽しめると市民の憩いの場にもなっているんです。
こちらのお店では職人がお客さんの目の前で和菓子作りの実演をしてくれます。
これだけでも表情がね牡丹の感じが出てきますけどね。
こういうねちょっと花びらひとつ付けただけで…。
現代の名工伊丹二夫さん。
50年以上の経験を持つその匠の技で和菓子の奥深さを伝えています。
松江の和菓子にはこの町ならではの個性があるといいます。
渋みですねお茶の。
それに合わせた和菓子がですねどっちかと言うと少し甘みが強いと思いますけどね。
それが松江の特徴でしょうかね。
伊丹さんが生み出す芸術のような和菓子。
このような和菓子が生まれたのには理由があるのです。
不昧公というね茶人の殿様がいらっしゃいましてねそのためにですね非常にお茶の文化がですねよそよりは非常に大きいものがありますね。
ここまで松江に和菓子や茶を根付かせた不昧公とは一体どんな殿様だったのでしょうか?江戸時代松江藩を治めてきたのは松平家。
七代藩主不昧公こと松平治郷。
松江の和菓子と茶の歴史はおよそ200年前の不昧公までさかのぼります。
江戸時代後期の大名茶人として知られ形式や華美にとらわれない茶道本来の姿を追い求めたといわれています。
不昧公は武家を中心として松江に茶の湯文化を広めました。
こちらは不昧公が好んだといわれる茶室…。
一般的な定石にとらわれない無駄のない簡素な美しさで不昧公の趣向が強く反映されたといわれています。
それにしても不昧公の茶が人々の生活に根付いたのはなぜなんでしょうか?島根県茶道連盟の森山さんに伺いました。
武士であろうと商人であろうと庶民であろうとお茶を楽しみなさいというのが不昧公さんの根底にありまして。
(森山さん)ですからそういった事から松江では庶民の方にもお茶が広まっていったと。
不昧公が好んだという千利休の歌があります。
不昧公はお茶に合う和菓子にも強いこだわりを持っていました。
不昧公さんに献上しようという事でお菓子が作られました。
(森山さん)そうしたらそのうち不昧公好みとしていくつかのお菓子が現代によみがえりまして今も松江の銘菓として使われていると。
当時職人に作らせたおよそ100種類の和菓子の中でも特に好んだのがこちらの3つ。
その1つを作っているのが創業140年の老舗彩雲堂です。
不昧公が愛した春の和菓子…。
新緑を砂糖と寒梅粉のふんわり感で表現した和菓子です。
若草は明治維新でいったん途絶えましたが明治中期彩雲堂の創業者山口善右衛門が言い伝えをもとによみがえらせたといわれています。
材料は奥出雲仁多地方で取れる最良のもち米を使用。
石臼で水挽きする事で粉の粒子の大きさにばらつきが出来やわらかな舌触りの中に独特の粘りと風味が出るといいます。
砂糖を加え丁寧にこねる事で歯応えややわらかさを出す彩雲堂独自の求肥が作られるのです。
この求肥に若草の名を表現する砂糖と寒梅粉をまぶしていきます。
(職人)こうやって向こうから手前に。
なるべく表面が平らになるように付けていきますね。
こうした匠の技によって新緑をイメージした弾力のある若草が出来上がるのです。
不昧公が気に入り好んで茶会に用いた和菓子です。
不昧公以来200年松江では茶の時間を大切にする文化がしっかりと根付いています。
こちらのお宅では朝食後出勤前に家族で一服。
毎日欠かさない日課です。
あじさいは6月だお菓子。
5月は他に何?あれか柏餅。
柏餅柏餅。
まあ2回は必ず抹茶を飲みます。
(千穂さん)煎茶も必ず2回は飲みます。
とても生活の一部で大事なもので本当に安らぐっていいますかちょっと立ち止まって深呼吸してっていう感じがお茶じゃないでしょうか。
(久世さん)お茶っていう余裕を取ることによって家族や他の人とコミュニケーションを取る時間っていうふうに…。
(久世さん)自分の中でまた新しい広がりが見つかる時間かなと思います。
松江に根付く茶の時間はこんな場所でも垣間見る事が出来ます。
一見どこにでもある普通のスーパーマーケットですが店の入り口になんと老舗和菓子店が。
松江のスーパーではごく当たり前の光景なんです。
それにしてもスーパーに和菓子店って不思議ですよね。
(スタッフ)全国的に見たら珍しいんですよ。
ああそうですか?松江ほとんどありますね。
みんな入ってますよはい。
(スタッフ)じゃあ気軽に買えるんですね?そうですね。
必要な時はいつも買いに来ます。
こちらは市内にある印刷会社。
職場にもお茶の時間はしっかりと根付いています。
昼休憩にみんなでたしなむのが和菓子と抹茶。
会社のスタッフがたててくれるのです。
普通に私も…ここでいいんですか?
(一同の笑い声)おいしゅうございます。
(一同の笑い声)
(女性)菖蒲と牡丹。
(男性)こっちが菖蒲と牡丹なんですね。
中はなんだった…?あんでした?中は白あん?白あんでした?こちらでは週に2〜3回はこういうお茶の時間を取っています。
お茶って多分もっと堅苦しいイメージがあると思うんですけどこうやって普通に椅子に腰かけてみんなで雑談しながら飲んだりとか出来るっていうのはいいなと思いますね。
ゆったりした気持ちになれますし。
はい。
昔は当たり前のようにあったこのちょっとひと息つく時間を松江の人は今も大事にしているのです。
菜の花をイメージした和菓子。
不昧公好みの三大銘菓のひとつ…。
昭和4年創業の三英堂です。
くちなしの実で色付けした黄色い落雁に白い煎り米を入れた和菓子で口に入れるとほろりと砕けます。
春の菜の花畑を蝶が飛び交うさまを表現した和菓子です。
菜種の花がいっぱいに咲いているところへ白い蝶が飛んでる。
それで衣の裾をかすめるという和歌を不昧公が詠んでおられまして。
お菓子に和歌が付いているっていうのはこれ松江のお菓子だけですね。
世界無形文化遺産にも和食が取り上げられましたんでこれから和菓子の方も同じように日本の文化がまた盛んになってくるんじゃないかとは思っておりますけども。
不昧公好みの三大銘菓最後は…。
紅白の淡い色合いが特徴の落雁です。
創業124年の老舗風流堂。
もち米の粉と砂糖などを混ぜ合わせる事で山川独自のしっとり感を出します。
その粉をまんべんなく型に振り…。
やわらかく押したら出来上がり。
素早く仕上げるのが大事なポイントです。
(吉岡さん)湿度とか温度に合わせた練り方とそれと打ち方ですね。
スピード感とかが大事だと思います。
(吉岡さん)空気を抱かせると言いますけどもなるべくふんわり出来るようなとおしの下ろし方などが大切だと思います。
不昧公はこの和菓子を見てこんな歌を残しました。
赤で紅葉の山白で川を表現したのです。
日本三大銘菓のひとつにもなっている和菓子です。
和菓子は味はもちろん見た目が魅力のスイーツ。
それぞれの店では季節や行事に合わせた新作を毎年発表しています。
彩雲堂の職人が手がけるのは母の日に向けた和菓子。
毎年デザインを変えるためその年その季節だけ楽しむ事が出来るんです。
(スタッフ)大変ですね職人さん。
でも考えるのもまた面白くて。
色々頑張ってます。
カーネーションの花束を表現した愛情たっぷりの和菓子です。
風流堂の職人が手がけるのは端午の節句用の和菓子。
どういうふうな形にしようかとか色をどういうふうにしようかっていうそういうのがやっぱり自分が試せるというか。
自分のあった…提示したものがお客さんに飛びついてもらえるかなっていうのを大切にしています。
やっぱり鯉のぼりかわいいなと。
鯉のぼりをどう和菓子で表現するかっていうのがやっぱ難しいとこだと思いますんで。
それがうまく出てるんじゃないかなと思います。
日本の風習をかわいらしく仕上げた和菓子です。
和菓子を作るのは職人だけではありません。
子育てに追われる女性宅を訪ねました。
太田さんは去年和菓子職人を育成する専門学校に入校。
1年間プロの職人たちから和菓子技術を学びました。
本格的な和菓子を作り家で振る舞いたい。
今松江では自分たちで作る事に興味を持つ人が増えているんです。
あんこが大好きで。
で和菓子も大好き。
(智子さん)食べる事はもちろんですけど作る方もすごく興味があって。
「あっこれは行きたい」って思って思いきって申し込みました。
今日は近所のママ友を呼んで和菓子パーティーです。
こんな感じで作ってみました。
お口に合いますでしょうかという感じなんですが。
(智子さん)ちょっと春のお菓子みたいな感じで。
これ菜の花?
(智子さん)それ菜の花。
わかった?よかったよかった。
(女性)すぐわかった。
自分で作った季節の和菓子で会話に花を咲かせ場を盛り上げるのが一番の魅力だそうです。
なかなか道具も揃えられないんだけど…。
ママ友とかとこうやって集まったりする事多いんですけどやっぱりいいなと思って。
今日は太田さんにおいしいお菓子頂いてすごい…なんかね元気が出たなと思います。
(智子さん)ありがとう。
ケーキを作る人はいるよ。
和菓子を作る人は初めて…。
(智子さん)本当に?そうなんだ。
今年は和菓子の専門学校に10名ほど入校。
そのうち半数近くが一般の人たちだそうです。
松江のお茶文化は年配の方々が中心になって引っ張っています。
その文化をしっかりと受け継いでいこうと新たな試みを始める人もいます。
こちらは市内にある甘味処。
店内をのぞいてみると客層は若い女性が中心です。
雰囲気のある内装を施したカフェスタイルの甘味処なんです。
店主の池淵さんは老舗和菓子店で経験を積んできた職人です。
曾祖父が以前やっていた和菓子店松月軒から名前を取り松月として去年2月にオープン。
独立したのにはこんな思いがあったのです。
若い方というのは和菓子をなかなかね今はもうあまり食べられないのでやっぱりこういうふうに気軽に来て頂いてもっともっと和菓子を広めたいという思いから…はい。
こちらでは若者にも楽しんでもらおうと本格的な和菓子をリーズナブルな値段で提供しています。
さらにユニークなこんなバイキングも。
クリームを使った洋風な団子やたこ焼き味の団子。
15種類の団子が並ぶバイキングです。
その赤いのなんですか?これは一応キムチになってます。
キムチ?下が韓国のりなのでそれで韓国風…。
(シャッター音)かわいい。
他の店にはないメニューがある事で若者たちの和菓子に対する意識も変化してきているようです。
(スタッフ)普段和菓子って食べます?いやあまり食べる機会はないんですけどこういう手軽な感じで食べれるんでまた来てみようと思ってます。
和菓子屋さんっぽくない感じがおしゃれで。
なんかカフェに行く感じで来てみようかなみたいな感じがします。
(池淵さん)若い人に食べて頂いて和菓子の良さを知って頂いてその中から和菓子を作りたいなっていう人たちが生まれてそれで伝統がどんどん受け継がれればいいなと思います。
今も古き町並みが残る風情溢れる城下町松江。
江戸時代この町に不昧公が広めた和菓子と茶の文化。
200年経った今でもその精神は松江の人々の心にしっかりと根付いています。
次回の『日本!食紀行』は鹿児島県志布志。
絶品鱧どんぶりを生み出す人々に学びます。
2014/05/25(日) 06:00〜06:30
ABCテレビ1
日本!食紀行[字]

島根県・松江は、美しい城下町。和菓子も有名で、人々の生活に溶け込んでいます。職人が生み出す極上スイーツから、驚きのお団子バイキングまで、夢の時間をお届けします。

詳細情報
◇番組内容
松江には、ゆるやかな時間が流れています。毎日出勤前に和菓子とお茶、という一般家庭や、休憩時間にみんなで楽しむ会社も。職人も皆に喜んでもらおうと試行錯誤、気軽でお洒落な和菓子カフェも人気です。芸術品のような和菓子の数々…美しい町並み散歩&極上スイーツで素敵なひとときを!
◇番組内容2
日本全国各地の「食」を通して、地域の歴史や文化、人々の英知や営みを学び、温かいコミュニティーなどを四季折々の美しい風景とともに描き出す、教育ドキュメンタリー番組です。
◇ナレーション