昔むかしある漁村に政吉という漁師の若者がおりました。
(政吉)こんな日に漁に出るなんて正気の沙汰じゃねえぞ新太。
(新太)ここんとこ不漁続きだ。
そんなこと言ってられねえだろ。
なあ清六。
(清六)おうよ。
沖へ出りゃなんとかなる心配するな政吉。
モタモタしてたらアイツらに先を越されちまうぞ。
海は荒れても焦る漁師たちは漁に出ていきました。
おらは行かねえ!ん?これは地蔵さまでねえか。
政吉は木彫りの地蔵を背負い自分の小屋へと持ち帰りました。
こりゃおめえ清六の船でねえか。
そうだ清六の船にちげぇねえ。
あっ!だから行くなと言ったのに…。
漁に出なけりゃおまんまの食い上げじゃ!
(鈴の音)ああ…。
地蔵さまここへ流れ着いたのもなにかのご縁だ。
どうかおらの願いを聞いてくだせえ。
政吉は村の漁師のため海を穏やかにしてほしいと地蔵さまにお願いしました。
政吉政吉。
誰じゃ?じ…地蔵さま!?政吉よよくぞ私を見つけてくれた礼を言うぞ。
私は嵐に遭って江戸から流されてきたのだ。
江戸から…それは大変なことでしたな。
政吉よ実は折り入って頼みがある。
えっ!?地蔵さまがおらに頼み?はっ!夢か…。
おい政吉そんな格好してどこ行くんだ?おらこの地蔵さまを連れて江戸に行くことにしたんじゃ。
江戸へ!?政吉はゆうべ夢枕に立った地蔵さまに故郷の江戸まで連れていってほしいと頼まれたことを話しました。
バカを言ってんじゃねえできっこねえだろ!江戸までいくつ山越えていかなきゃなんねえと思ってんだ!わかってらそんなこと。
お前キツネにつままれてんじゃねえのか?人に願いを叶えてもらう地蔵がどこにいる!?政吉行くな!けれど政吉の決心を変えることはできませんでした。
政吉は大八車に地蔵をのせ遠い江戸に向かって走りに走りました。
おっとっと!うわ〜っ!よいしょよいしょ…。
うわ〜っ!ああもうダメか。
政吉…政吉。
地蔵さまおらもう旅はダメかもしれね。
願いが叶えられなくて申し訳ねえことじゃが。
もうよいお前はよくやった。
もう江戸へ行かずともよい。
そのかわりどうか私をここに祀ってくれ。
政吉は壊れた大八車を利用して小さな祠を建てるとそこに地蔵さまを祀りました。
その後足を痛めた旅人が地蔵さまに合掌したところ不思議なことに痛みが消え失せるということがありました。
またおっかさんとはぐれた娘さんが願をかけると再びおっかさんと引き合わせてくれました。
そんな話が街道では評判となりいつしか地蔵さまの周りには茶屋や土産物屋が並び賑わっていきました。
お?政吉政吉でねえか?おおっ新太か?政吉はそこに留まり地蔵さまの世話をしていました。
お前無事だったか!元気そうでなによりだ!ああでもお前の言ったとおり地蔵さまを江戸までお連れすることができなかった。
だがなお前が村を出てからあれほど荒れてた海がピタッと凪いでおらたちも安心して漁ができた。
こうしてお伊勢参りに行けるのもみんなお前とこの地蔵さまのおかげじゃ。
はぁそうじゃったか!江戸へ戻ることはできなかった地蔵さまでしたが一生懸命に約束を果たそうとした政吉に感謝していたのです。
昔むかし京の町に馬車や牛車に品物を積んで町から町へ売り歩く商人がいました。
商人は大きな蔵を持ちそれぞれにいろいろな品物を扱っていました。
なかでも京の水で造った酒は評判がよく酒蔵も増えていきました。
ここにも1つの酒蔵があります。
大変においしいと人気の酒です。
酒蔵の主人八衛門です。
あるとき八衛門は栓のゆるんだ酒樽の周りに蜂の大群を見つけました。
普通であれば追い払うところですが八衛門はじっと蜂を見ていました。
おやおや酒を飲むとは珍しい蜂だね。
それほど私の造った酒を気に入ってくれたのですか?と言って酒樽の栓をもっと緩めて蜂に振る舞ったのです。
ところで商人が山を通るときに恐れているものがありました。
「俺たちゃ山賊どんどこどん」「怖いものなど何もないはっ」「人のものは俺のものそのとおり」「今日も獲物がわんさかさワッショイ」「とれるものはとれるだけ」「俺たちゃ山賊覚悟しな」「二度と会えない恐ろしさ」俺が山賊の親分熊五郎様じゃ。
彼らは旅の商人を狙う山賊でこの日も商人の馬車が襲われました。
「俺たちゃ山賊どんどこどん」「怖いものなど何もないわははのはっ」「人のものは俺のもの」商人たちは山賊にほとほと困っていたのです。
いつも盗みを成功させたときは飲めや歌えの大騒ぎでした。
夏になると八衛門も旅に出ます。
馬車5頭分の酒樽をのせ手代の2人を連れて地方のあきないに出かけました。
八衛門は旅が楽しみでした。
酒を待っている人たちと会うことを心待ちにしていたのです。
俺たちゃ山賊だ。
命まではとらん。
持ち物すべて置いて消え去れ!手代は驚き主人の馬も驚いて共に逃げ出してしまいました。
もちろん八衛門も逃げ出します。
熊五郎のひと声で山賊たちはなんなく酒を手に入れました。
八衛門は木の陰から見ていることしかできません。
「俺たちゃ山賊どんどこどん」「怖いものなど何もないはっ」「人のものは俺のものそのとおり」「今日も獲物がわんさかさ」ところが空に一筋の黒い帯があとを追っていることを誰も知りませんでした。
八衛門の酒が大好きな蜂の大群でした。
八衛門が京を発ったときから蜂は酒と一緒の長旅をしていたのです。
山賊たちは蜂のことなど知りもせず隠れ家へと向かいます。
当たり前のように蜂も酒を追って隠れ家へ向かいます。
蜂たちは酒樽が開くまでじっと外で待っていました。
その頃八衛門は主人を心配して戻ってきた手代と一緒でした。
逃げ出したとき上空を帯となって飛ぶ蜂の大群が気になりあとを追ったところ山賊の隠れ家を見つけたというのです。
八衛門が蜂を見つけて以来毎日のように酒蔵へやってきていた蜂たちを丁稚から番頭まで知らない者はいなかったのです。
皆は「八衛門の蜂」と呼んでいました。
その八衛門は半信半疑でした。
しかし隠れ家が本当だとしたら急がねばなりません。
手代に役人を連れてくるように指示を出し残った手代と隠れ家へ向かいました。
夜もふけて山賊たちの酒盛りが始まりました。
そのとき酒盛りに参加すると言わんばかりに蜂の大群が乱入したのです。
何だ何だこれ?蜂と見るや山賊たちは慌てふためき暴れたため蜂は山賊たちに向かって攻撃を始めました。
山賊たちは必死で抵抗しましたが蜂は容赦しませんでした。
山賊たちはあまりの大群に逃げ出すこともできず身動きもままならないくらい数十か所も刺され恐怖におののいていました。
そして明け方山賊たちにはお役人のお迎えが待っていました。
こんなことになるなんてもう山賊なんてやめてやる!ちくしょう!おや?お前たちだね。
よくやってくれました。
ありがとう。
これからも蔵の酒をたらふく飲んでおくれ。
蜂は先に京へ戻っていきました。
八衛門は見送りながら心の中で何度もありがとうを繰り返していました。
八衛門は蜂のおかげで奪われた品物だけではなく盗まれた他の品物も手に入れ京へ戻りました。
そして盗まれた品物の持ち主を探し出して返していきました。
それから間もなくしてあの八衛門の蜂もまた帯を作って蔵へ行き来する姿が見られるようになったということです。
昔むかし稼ぎの悪い貧しい男がおった。
この男何をやってもドジばかり。
仕事についても…。
お前はクビだ!こんなことの繰り返し。
とうとう思い余った男はこの世に別れを告げることにした。
しかし…。
えいっ!いてぇ!どうして死ねないんだ!そのとき…。
わぁっ!なんだお前俺が見えんのか?じゃあいいことを教えてやる。
お前死ねないよ。
え?人には寿命があるもん。
なんでそんなことがわかるんだ?俺死神。
そんじゃ俺は何やっても死ねないと?うん!はぁ〜。
お前にやってもらいたいことがある。
え?死んだつもりで心を入れ替えて医者になれ!医者?死神に言われたとおり貧乏長屋に医者の看板を出した。
するとこれが結構評判に。
噂を聞きつけたとある大店から使いの者がやって来た。
旦那の病がどの医者にかかってもよくならないのでどうか診てほしいという。
お医者様がいらしたぞ!入ってみると臥せっている旦那の足元に死神が座っていた。
うわぁ〜っ!!ゴニョゴニョ…。
男が死神に言われたとおりに…。
アビラウンケンソワカ病よ去れ!旦那はすっかり元気になった。
ありがとうございます先生!クックック!この話があっという間に広まり前にも増して患者が来るようになった。
部屋に入って頭に死神がいれば…。
寿命です。
と告げてやり…。
足元にいればそのときは…。
アビラウンケンソワカ病よ去れ!やがて名医として認められとうとう裏長屋を出て立派な家を構えた。
女房をもらい子供もできて悠々と暮らせる身分になった。
ハハハハハ!ハハハハ!そんなある日長者から病を治してほしいと使いがやってきた。
行ってみると患者は子供で死神が頭のところにいるではないか。
残念ですが寿命です。
何とかなりませんか?こればかりは…。
そんなお願いします!やっと授かった一人息子なんです。
助けてくれたら何でもします。
お願いしますお願いします!子を思う親の気持に心を動かされどうにかしようと男は考えた。
布団を回して自分を足元に追いやろうとしているのは死神もすぐにわかった。
こうなったら男と死神の根比べ。
はっひぃ〜!どうしたんですか?先生。
いいや…。
息子が助からないなら死にます。
バカなことはやめなさい。
やめないか!離して!《今だ》布団をクルッ!アビラウンケンソワカ病よ去れ!あ?チッ!おおっ目を覚ましたぞ!うう…。
あっありがとうございます。
なんとお礼を申していいのやら。
いえいえ…。
おめえ自分のやったことがわかってんだろうな?ちょっとつきあってもらうぜ。
ああ。
死神は男をとある洞窟に連れていった。
このロウソク一本一本が人間の寿命なのさ。
お前のもあるぜ。
え?これだよ今にも消えそうだな。
病人と寿命を取っかえっこしたからこうなったんだぜ。
何とかならないのか?そりゃ無理だな。
人の命を助けたんだぞ?無理なものは無理。
そんなこと言わずに何とかしてくれ!教えてやろうか?なんだ?新しいロウソクに火を移せば寿命を延ばしてやるよ。
ほれ!わぁ!わかった。
どうした?手が震えてるぜ。
火が消えると死ぬよ?いいから黙っててくれ!ほ〜ら震えると消えるよ。
消える消える…。
うわぁ!おいおい!俺は死んだのか?心配ねえよ。
火は新しいロウソクに移った。
気持が通じたのかもな。
男は医者をやめた。
ヘイらっしゃい新鮮野菜だよ!新しい人生を送り親子3人でいつまでも幸せに暮らしたということだ。
2014/05/25(日) 09:00〜09:30
テレビ大阪1
ふるさと再生 日本の昔ばなし[字][デ]
「政吉と地蔵さん」
「蜂と山賊」
「死神」
の3本です。みんな見てね!!
詳細情報
番組内容
私たちの現在ある生活・文化は、昔から代々人々が築き上げてきたものの進化の上にあります。日本・ふるさと再生へ私たちが一歩を踏みだそうというこの時にこそ、日本を築いた原点に一度立ち返ってみることは、日本再生への新たなヒントになるのではないでしょうか。
この番組は、日本各地に伝わる民話、祭事の由来や、神話・伝説など、庶民の文化を底辺で支えてきたお話を楽しく伝えます。
語り手
柄本明
松金よね子
テーマ曲
『一人のキミが生まれたとさ』
作詞・作曲:大倉智之(INSPi)
編曲:吉田圭介(INSPi)、貞国公洋
歌:中川翔子
コーラス:INSPi(Sony Music Records)
監督・演出
【企画】沼田かずみ
【監修】中田実紀雄
【監督】湯浅康生
制作
【アニメーション制作】トマソン
ホームページ
http://ani.tv/mukashibanashi
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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