NNNドキュメント「安全過疎 取り残された危険な踏切」 2014.05.26

もしも通り掛かった踏切に警報機も遮断機もなかったら…
(列車の警笛)
あなたは何を頼りに渡りますか?
そんな踏切で死亡事故が起きました
去年12月広島
軽自動車が列車と衝突
たまたま踏切ぎりぎり止まったら電車がバ〜っと来たとかね。
長年にわたり住民は要望して来ましたが警報機と遮断機は設置されていませんでした
順次進めていたというところでございまして…。
明治以降全国に張り巡らされた鉄道
日本の発展を支えて来た一方で多くの踏切を生みました
特に警報機も遮断機もない踏切は渡る人にとっても列車にとっても危険な存在
各地で悲劇が繰り返されています
遺族は悔し涙をのみます
遮断機さえあれば…
過疎化の進む地域で安全対策がおろそかになっている現実
いわば「安全過疎」
危険な踏切はなくせないのか?
(列車の警笛)
広島市の北部にある…
ここを生活道として使うのが9世帯の集落です
車で外出するにはこの踏切を渡るしかありません
犠牲者の一人…
事故の前日高熱を出しました
朝…
踏切で列車に衝突し亡くなりました
妻も重傷を負いました
踏切には…
住民は昔から危ないと感じていました
(記者)あそこはやっぱり危ないなと思うこと多いですか?いつ来るか分からないから。
見えんからぐるっと…。
現場は緩やかなカーブが150m続いています
踏切は列車が見えにくいカーブの頂点に位置しています
見通しが悪いため2つのカーブミラーが設置されています
踏切は列車からどのように見えるのでしょうか
時速60kmで走る列車
踏切のおよそ230m手前で「警笛鳴らせ」の表示が見えると…
(列車の警笛)
この日運転士は4秒間警笛を鳴らしました
警笛が鳴り終わってから…
一方車から列車はどのように見えるのか運転手の目の高さから撮影しました
左には竹やぶ
右は民家の植え込みが視界を遮ります
(運転手)来た。
(列車の警笛)
列車は視界に入るとすぐに通過しました
運転手がまず頼りにするのはカーブミラーです
(列車の警笛)
ところがこんな証言も
取材した日は小雪が舞いミラーは曇っていました
ミラーの状態によっては安全を確認するには十分でないことが分かりました
こんな光景にも出合いました
助手席の人がわざわざ車から降りて列車が来ていないことを確認していたのです
危険な踏切での事故
全国の…
いずれも国は調査に入っていません
国が調査するのは死傷者が5人以上の場合など…という決まりがあったからです
一方鉄道会社は列車が人や車と接触した場合国へ事故を報告しなければなりません
全国の鉄道会社が提出した報告の一覧です
再発防止策は空欄だらけ
一昨年記入があったのは295件のうち12件
わずか4%です
記入があってもありきたりな言葉が目立ちます
鉄道会社を監督する国土交通省をたびたび訪れる遺族がいます
(加山さん)よろしくお願いいたします。
やはり踏切の安全対策についてもう一度国交省の皆様にお考えいただけないかと思いまして…。
求めて来たのは踏切で起きる全ての死亡事故の調査です
踏切が閉まりますので横断はおやめください。
加山圭子さん
2005年『東武鉄道』の竹ノ塚踏切で母親が列車にはねられ亡くなりました
事故は係員が安全確認を怠り手動の遮断機を上げたことが原因でした
死傷者が5人未満だったため国の調査は行われませんでした
死者が出た重大な事故は国が調べ安全対策を取るべきではないのか
加山さんは全国の踏切事故の遺族会をつくり現場へ足を運んで来ました
(加山さん)踏切の事故って起きてもすぐに事故の処理をして電車を動かしたいっていうのが事業者さんとかねあると思うんですよ。
利用されてる方が多いだけにね。
それだけに事故の調査をするといってもどこまで迅速にできるかっていうことがあると思うのでやはり…。
無連地第2踏切の事故から2日後
広島市が『JR』や警察住民と検討会を開きました
カーブミラーを見た場合ですね…。
住民からは遮断機設置の要望が相次ぎました
確認できて安全なのかどうか。
全然…。
(奥村さん)今設置できてないということは低かったということになります。
この踏切では40年前にも事故が起きていました
亡くなった女性の夫が建てた地蔵
集落の女性がバイクに乗って外出するところを列車にはねられました
それ以来住民はせめて警報機だけでも設置してほしいと何度も訴えて来ました
今回の事故で亡くなった杉川さんもその一人です
ここの集落の人間が…。
…じゃ全然意味がないしね。
全国に…
遮断機を付ける踏切自体を閉鎖するなど…
このまま行くと30年以上かかるペースです
地元の方々の思いとですねあと事業者の思いとですねいろいろ異なってる部分があってなかなか調整が進んでないということですので我々としても「踏切道調整連絡会議」っていうものも設けておりましてそういったところにはその事業者ですとか地元の自治体も入っているんですけれども踏切の統廃合ですとかその1種化とかで議論が行われていると。
遮断機の設置で鉄道会社にのしかかるのはコストの問題です
1か所3000万円程度かかるといいます
踏切事故の抜本的な解決策は踏切をなくし鉄道と道路を立体交差にする工事です
対象となるのは警報機も遮断機も付いている都市部の「開かずの踏切」
去年は58か所に300億円以上の交付金がつぎ込まれました
一方で遮断機のない踏切に遮断機を付けるための補助金はわずか1億円余り
しかしこんな実態もあります
遮断機のある踏切に比べ遮断機のない踏切のほうが事故の起きる確率は高くなっています
専門家は地方の安全対策より都市部の利便性が優先されて来たといいます
あまりにも…。
…という反省はありますよね。
大都市とそれ以外の地域の格差の問題とかいろいろありますけど決して渡る人が少ないからいいとかね仕方がないとかそういう問題じゃないと思うんですよね。
限りなくゼロにするための対策のためにお金をかけるっていうのは今そういうことは国民の人は納得するんじゃないですかね。
遮断機のない踏切で息子を亡くした母親がいます
(伊藤さん)やりたいことはいっぱいあっただろうなって思うし。
ここに遮断機があればね多分今も生きてると思うんですよね。
長野県諏訪市
『JR東日本』中央東線の踏切で事故は起きました
遮断機あったら生きてるよねって思いますね。
2008年中学1年の次男翼君が自転車で踏切に入り特急列車にはねられました
当時警報機は鳴っていましたが遮断機はありませんでした
現場は…
特急列車の時速はおよそ100km
突然息子を失った悲しみの中『JR』から通知が届きました
ホントに封筒ひとつで損害賠償請求が来て。
別にお悔やみの言葉も何も書いてないし。
いくらいくらを期日までに口座に振り込んでくださいってなってたんですよね。
請求されたのは列車の修理費や復旧作業の人件費など44万円余りでした
(伊藤さん)事故の原因も自分達にははっきり分からないような状態でどうしてこういうお金だけを振り込んでくださいなんていう紙だけが来るのかなと思って。
その後『JR』との話し合いで支払いは免れました
そして事故から半年後中学校や保護者の要望を受け遮断機が設置されました
伊藤さんが踏切事故をなくしたいと活動を始めた頃自宅に思わぬ来客がありました
『JR』の運転士2人でした
当時のメモが残っています
運転士は「遮断機を付けてほしいと現場から声を上げても時間がかかり改善されない」…と話したといいます
事故から1か月後の無連地第2踏切
道路を管理する広島市が「踏切注意」の文字を付けるにとどまっていました
そして2月
(村上さん)広島市とその周辺地域の労働組合や…。
なかなか対策を進めない『JR』に地元の労働組合が要望を出しました
危険性を指摘する声は『JR』の組合員からも上がりました
(記者)車掌さんあそこ通られたことありますか?はい何回も通ったことあります。
運転手さんなんかも時々言いよったけど…。
後を絶たない踏切事故
国は重い腰を上げました
踏切事故のご遺族からの強い要望に応えるため鉄道事故のうち事故発生リスクが高い踏切道いわゆる第3種踏切道および第4種踏切道でありますがこれらにおける死亡事故について…。
…すること等を内容とするものであります。
これまで5人以上の死傷者が出た場合などに限られていた国の調査
4月からは遮断機のない踏切で1人でも死亡したら調査することになりました
4月13日初めて調査官が派遣されました
長野県飯田市の遮断機のない踏切
調査対象が広がったことで今後は危険な踏切に国のメスが入る可能性があります
「トラクターに乗って」って言ってたから…。
遺族会の加山さんと6年前息子を亡くした伊藤さんも現場を訪れました
「鉄道会社には利用客だけでなく沿線の住民の安全にもより目を向けてほしい」
加山さん達遺族の切なる願いです
(加山さんの声)『JR』さんの中にはね駅をどんどんキレイに改良してもちろんそれも大事だとは思うんですがそういったところにお金をかけてるところもありますよね。
ですけどこういった地方の少しローカルな所に入って来た所にも危険な所がたくさんあるのでそういった所に安全対策の費用をもっともっと割いていただきたいと思いますね。
専門家は遮断機設置の費用について鉄道会社だけでなく社会のサポートが必要だと話します
全国で同じ問題を持っていると思うのでそういうものを例えば知事会とか市長会とかで問題を持ち上げて行って地方の鉄道踏切問題等を改善するための新しい財源とか制度とか仕組みというのをですねつくって行かなきゃいけないんだと思います。
そうしないとますます…。
『JR西日本』は先週5月19日事故が起きた無連地第2踏切に警報機と遮断機を設置する方針を明らかにしました
あの日衝突した車に乗っていた…
腕や肋骨を折る重傷を負いましたが5か月ぶりに退院しました
一緒に暮らす5歳の孫の節句を夫と祝うことはかないませんでした
(列車の警笛)
遮断機のない踏切3850か所
線路を行く列車の音をこれ以上悲鳴に変えてはならない
全国に70万人近くいるといわれるひきこもり
自立を促すシェアハウスがオープンした
ちょっと風変わりな共同生活の1年を追った
2014/05/26(月) 00:50〜01:20
読売テレビ1
NNNドキュメント「安全過疎 取り残された危険な踏切」[字]

去年12月、広島市の警報機も遮断機もない踏切で車と列車が衝突、2人が死んだ。遮断機のない踏切は全国に約3千ヶ所。悔し涙を呑む遺族の思いと踏切の安全対策を考える。

詳細情報
番組内容
去年12月、広島市内の警報機も遮断機もない踏切で車と列車が衝突、2人が死亡した。遮断機のない踏切は全国約3千ヶ所。「踏切事故遺族の会」の加山圭子代表も踏切で母を亡くした。事故根絶を目指し、国に事故調査徹底を要望し続けた結果、今年度から遮断機のない踏切で起きた死亡事故は全て、運輸安全委員会の調査対象となった。「遮断機1本で守れる命はいっぱいある…」悔し涙を呑む遺族の思いと踏切の安全対策を考える。
出演者
【ナレーター】
二又一成
制作
広島テレビ

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント

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ステレオ
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