あなたはカリカリ派?トロトロ派?
(テーマ音楽)古代インドで生まれた仏教。
そのうねりはガンダーラを超えシルクロード中国を経てアジア全体に仏像世界を花開かせました。
日本にたどりついたほとけたちはどのようにして生まれ育まれ心と形を築き上げてきたのでしょうか?仏像のなぞを解きほぐす「ほとけの履歴書」。
開講です。
この春大修理を経て建物の外観が一新された…お堂のシンボル鳳凰も金色によみがえりました。
色鮮やかな装飾は柱の隅々まで余す所なく施されています。
この鳳凰堂お堂の内側は更に華やかな飾りにあふれています。
仏像の周りはまさに装飾の宝庫。
本尊阿弥陀如来坐像から少し目を移すと…。
浄土世界に住むという天人の姿。
阿弥陀仏の傍らで軽やかに飛び回っています。
壁面も数多くの彫刻で飾られています。
阿弥陀仏のそばで音楽を奏でながら極楽浄土へ導いてくれる菩薩です。
こうした仏像の周りや堂内を飾る装飾は「荘厳」と呼ばれます。
今日は知られざる荘厳の世界に皆さんをご案内しましょう。
鮮やかでしたね。
ねえ。
ほんとに出来上がったばっかりの頃の平等院の赤い柱やそれから上の鳳凰も金色に輝いていました。
荘厳っていうのは外側の事ではなく中の事。
だから外側があんなにきれいだとあれに負けないぐらい鳳凰堂の中も出来上がったばっかりの時はすごく美しかったんですね。
その時の貴族たちは「もうこの世は嫌だ」。
「自分はもう阿弥陀様がおられる西のかなたの阿弥陀浄土へ行きたいよ」。
「この世に阿弥陀浄土を再現しよう」って一生懸命阿弥陀堂を造ったわけですね。
だから広い意味でこの世ならざる世界を阿弥陀堂の中に表現しようとした。
その仕組み全部を「荘厳」と言います。
「この世ならざる世界」。
へえ〜。
この荘厳というのは具体的にはどのようなものを言うんですか?釈如来のこの絵をちょっと見てみましょう。
お釈様がいらっしゃいます。
釈如来です。
この後ろに光っているこれ「光背」と言います。
釈如来の背後にある光背。
何のためにあるのでしょうか?ともえちゃん「オーラ」って聞いた事ない?はい。
よく友達でも「オーラが見えた」とかいう話を聞きます。
なんかこう人の後ろに光り輝いているのが見えるという人がいますね。
感じる時もありますよね。
光背ってのは文字どおりオーラの事なんですけど仏教だけのものではなくてこれはキリスト教のイコンです。
その後ろにこういう光の輪がついてる。
あ〜ほんとですね。
頭の後ろが光っていたという事ですね。
世界中の信仰の宗教の中にそういう考えが取り入れられているわけだ。
この輝きを荘厳として形にしているのが光背であったりするんですね。
そうですね。
光背にはさまざまな形があります。
飛鳥時代の傑作法隆寺金堂の「釈三尊像」。
一つの光背が釈如来と菩薩三体の仏像を包み込む「一光三尊」と呼ばれる様式です。
両脇の菩薩にも光背がありますがそれをも釈の放つ強い光が照らしているかのようです。
大きな光背は「飛天光背」と呼ばれています。
近づいてみると…。
天衣をたなびかせて空を飛ぶ飛天。
ほとけのそばで美しい音楽を奏でます。
光背はまだ隠されています。
体の後ろの円が「身光」頭の後ろの円が「頭光」。
共に阿弥陀仏が発する光です。
仏像だけでは表現しきれない力を光背で補っているのです。
だから私たちもよく仏像を造りますけど仏像本体を造るよりは荘厳を造る方が大変なの。
えっ!?そうなんですね。
もうほんとにややこしくて手間がかかってねもう泣きたくなります。
でも出来上がった時渡せる喜びは大きいですよね。
それはもう本体だけよりも光背の荘厳がつくとそれはそれは見事なものになりますよ。
いずれも手間のかかる大変見事なものなんですけどその極め付けのような…荘厳の極め付けのようなほとけさまが東大寺にいらっしゃいます。
それを拝観に行きましょう。
荘厳は光背だけではありません。
2人が訪れたのは奈良・東大寺の法華堂。
天平時代にもたらされた密教の仏像が荘厳で飾られています。
すごいね〜。
すごいですね〜。
背後から放射状に幾筋もの光が放たれ密教ならではの呪術的な力を発散しています。
「放射光背」と呼ばれる荘厳です。
どうです?この光背。
え〜!神々しい。
こう目に見えない光を形とした時にこのような放射状になったっていうのはとっても画期的だと思うんですけれど。
光そのものに感じますもんね。
頭の上には宝冠ですね。
非常に美しい宝冠です。
すごいですね〜。
工芸技術の粋を集めたものですね。
さまざまな宝石とか色ガラスとかが使われていてね。
どの装飾よりもやっぱり一番力強さもあって華やかですよね。
どんなにきらびやかに造ってもそれが下品にならないような「抑制」っていうのかなそういうものがあったきらびやかさだったろうと思いますね。
宝冠を飾るのは1万数千個に及ぶ宝玉の数々。
真珠琥珀翡翠水晶…。
これだけ飾り立てても決して品格を損なわない見事な荘厳です。
本尊はものすごく金色ですけどその周りにおられる塑像の眷属たちっていうのは極彩色だったの。
へえ〜!天平時代極彩色に彩られていたという法華堂の堂内。
その彩色を復元するプロジェクトに東京藝術大学の籔内研究室が中心的な役割を担いました。
当時の彩色を知る手がかりが法華堂の厨子の中に隠されていました。
甲冑に身を固める奈良時代の塑像。
秘仏「執金剛神立像」です。
ところどころに色や模様が残されています。
これを基に1,200年前の姿をCGで復元しました。
天平の彩色が今よみがえります。
全身にちりばめられた金色と極彩色。
甲冑は植物や孔雀の羽根をデザインした文様で埋め尽くされます。
護法善神としてほとけを守る力強い姿が華やかな彩色で表現されていました。
もう感動してしまいました。
鮮やかなんだけれどもすごく上品で。
本当に美しい配色でしたね。
やっぱり古代の人たちにとって人工の色…。
服を身にまとうにしてもいろんな色を使ってるっていう事はそれだけでもう権威の象徴であるわけだよね。
先ほど見たのは執金剛神というほとけさまの甲冑の模様ですから厳密な意味ではこの荘厳ではないんですけど仏像の彩色にも使われているしお堂の中の荘厳の彩色にも使われているわけですね。
執金剛神立像に残されていた鮮やかな文様はある様式にのっとって作られています。
「紺丹緑紫」です。
これらの対照的な色をあえて隣り合わせに配色する事できらびやかに見せる技法です。
更に一つ一つの色にもグラデーションをつけ立体感を生み出しています。
荘厳っていうのはね…ほとけさま本体の周りにある台座とか光背も含めて「荘厳」と言いますけどお堂の中をいろいろ厳かに飾るのを「堂内荘厳」と言います。
堂内荘厳。
いろんな小さなほとけさん。
それから天蓋っていうのもありますね。
よくこう四角く…。
そして壁画もあります。
壁画もあるんですね!そういうのが一度に拝観できるお寺があります。
え〜っ伺いたいです。
堂内荘厳とはどのようなものなのか?聖徳太子によって創建された法隆寺を訪ねます。
現存する日本最古の伽藍金堂。
一光三尊の光背に包まれた釈三尊像を数々の堂内荘厳が更に包み込んでいます。
今回特別に金堂の内陣を間近で拝観させて頂きました。
昔の人たちはこういう金堂の中っていうのは建物の中というよりはお釈様がおられる仏国土お釈様が治めておられる理想の世界っていうものを表現しようとしてるわけですね。
お釈様がおられるこの上には「天蓋」っていう…まあ笠ですよね。
昔の人は…偉い人は傘を差しかけてもらって歩いているでしょ?あれと同じようなものでほこりとか雨とかそういうものがかからないような笠がこうあったわけですね。
へえ〜!ほとけの頭上にかざす天蓋。
中国や朝鮮から伝来した工芸技術の粋を集めて造られた装飾です。
垂れ飾りは当時貴重品だったガラス玉と木製の筒を編んだもの。
その上は樟で造られた彫刻で飾られます。
空想上の霊鳥鳳凰です。
天蓋の上にも天人たち。
楽器を携えほとけの世界に彩りを添えます。
人目に触れないような所にまで細工が凝らされた荘厳。
飛鳥時代の人々のほとけの世界への憧れを感じさせます。
金堂にはもう一つ重要な堂内荘厳があります。
四方の壁を飾る壁画です。
大小12の壁面に描かれるのは釈の浄土や菩薩の姿。
色鮮やかな壁画がほとけの世界をより崇高に演出しています。
中でも傑作とされるのが「阿弥陀浄土図」。
阿弥陀仏の住む西方浄土が描かれています。
繊細な曲線がつくり出す金堂壁画はその後の仏教絵画に大きな影響を与えました。
特にこちらの横におられる菩薩が有名ですね。
きれいですね〜。
この布の響き方をここまで踊るように絵で表現するっていうのはすごいですよね。
線がすごいよね。
技術と感性です。
う〜ん。
その当時の極彩色っていうのがすごく伝わってきますよね。
ここの壁画のすばらしいところはアジャンターとか古代の仏教遺跡に描かれている模写と共通するものがあるわけですね。
だから様式がこの法隆寺に伝わっているの。
非常に貴重なものです。
うわ〜。
2人が見ていた壁画は実は模写されたもの。
この金堂には痛ましい過去がありました。
(ニュース音声)1月27日午前7時ごろ世界で最も古い…。
昭和24年金堂から火の手が上がります。
大修理の最中に起きた事故でした。
幸いにも仏像や天蓋は別の場所へ移してあり難を逃れましたが壁画はほとんどが焼けてしまったのです。
焼け残った壁画が今も法隆寺の収蔵庫に保存してあります。
焼け跡そのままの痛々しい姿。
これが…。
先ほど拝観させて頂いた金堂の…。
あ〜!さっきの壁画の彩色が燃えてしまったっていうのがすごくリアルに胸に響いてきてやっぱり心が痛くなりますね。
先ほどの模写を拝見しました「阿弥陀三尊」があちらにあります。
あれはどうして…。
お顔の部分見て。
え〜!どうしてお顔の部分が剥がれてるんですか?消防団の人たちがあそこから放水をしようとして裏だからどこに何があるかなんか分かんないです。
みんな「大変だ」っていうんであそこに穴を開けちゃったの。
あそこからホースで水を入れたの。
え〜…。
でもなんかそれが今私自分を犠牲にしてちゃんとみんなを守ってく生き方にもリンクしてしまって心がズキズキ痛みますが…。
いかがですか?正法さんもこれご覧になって。
まあ先ほど金堂でご覧頂いたようにこの壁画の中でやっぱり一番注目されるのがこの6号…。
まあこういう一つの結果がそういう事を生み出したとも言えますのでね。
これが我々未来へ受け継いでいくというその一つの段階でもありますのでね。
火災から18年後の昭和42年壁画の復元作業が始まります。
「金堂に再び壁画を飾ろう」と当時の日本を代表する画家たちが集結し前田青や平山郁夫の姿もそこにありました。
焼失前に撮影されていた写真を手がかりに模写が行われました。
壁面に見事よみがえった阿弥陀浄土。
今も金堂を照らし続けています。
すごく深い痛みを覚える体験でしたね。
そうですね。
火災に遭った法隆寺の金堂の内陣の壁画や柱や梁。
あれ見てると「荘厳」ではなくて「荘厳」な感じがするよね。
確かにそうでした!厳かな感じがありました。
崇高な感じがしますね。
「荘厳」から学び取る時間が本当に大きかった今回の旅でした。
荘厳というのはあんまりみんな気を付けて見ないですけれどもこれから是非堂内荘厳ほとけさまの周りのいろんなしつらえも是非見てほしいですね。
「荘厳」と「荘厳」。
2つの言葉の重みを感じる事ができた時間でした。
(2人)どうもありがとうございました。
今回の内容はこちらのテキストに詳しく紹介されています。
どうぞご参考になさって下さい。
今後の放送予定も掲載されています。
2014/05/27(火) 11:30〜11:55
NHKEテレ1大阪
趣味Do楽 籔内佐斗司流 ほとけの履歴書〜仏像のなぞを解きほぐす〜第8回[解][字]
「ほとけの履歴書」第8回は、仏の世界を神々しく飾る荘厳(しょうごん)。仏像の背中を飾る光背。菩薩(ぼさつ)の頭部を飾る宝冠。さらには天平時代の彩色を復元する!
詳細情報
番組内容
「ほとけの履歴書」第8回は、仏の世界を神々しく飾る荘厳(しょうごん)。仏像の背中を飾る光背。ぼさつの頭部を飾る宝冠。東大寺法華堂をたずね、不空羂索観音の光背、宝冠を見る。そして秘仏・執金剛神立像に残る天平時代の彩色を復元!
出演者
【出演】篠原ともえ,【講師】彫刻家・東京藝術大学教授…籔内佐斗司,【語り】徳田章
ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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