(聖美)こういうことだったのね。
男と女が愛し合うって。
こうやって体温感じて心臓がトクトク打ってる音を聞いて。
(聖美)海の底にいるみたいに心がしーんと静かになるってこと。
(陽)《ママ。
ママ!》どうしたの?
(諏訪)これ。
柳沢病院?
(諏訪)写真。
あのときの。
(陽)《ひかりちゃん。
あったかいね》
(愛美)《はいチーズ》
(シャッター音)陽。
ひかり。
峻君だ。
峻君が?
(峻)「母さんの部屋にあるのを見つけました」「もし諏訪先生が聖美伯母さんと一緒にいるなら渡してください」しかしどうやってこの住所を…。
聖美。
愛美がお別れのときに撮ってくれた写真。
見るのがつらいと思って置いてきたの。
でも。
でも…。
よかったね。
(波津子)あっ。
峻ちゃん。
あなたに手紙来てる。
(峻)うん?
(波津子)でもこれ名前が書いてないんだけど。
消印は清水ね。
清水次郎長さん。
心当たりある?
(峻)うん。
(峻)ありがとうおばあちゃん。
(波津子)うん。
「峻君。
写真を送ってくれてありがとう」「うれしくて何度も何度も胸に抱き締めました」「峻君は変わりないですか?陽とひかりは元気ですか?」「身勝手なことをしてみんなを苦しめて本当に申し訳ないと思っています。
聖美」
(峻)《「手紙読みました。
僕は元気です」》《「ひかりちゃんは少し大きくなりました」》《「陽君は」》陽君は…。
(陽)《ママ。
僕のこと嫌いになったんじゃないよね?》
(波津子)はい。
陽ちゃん。
たくさん食べてね。
(噴き出す音)
(愛美)あり得ない。
何で納豆入ってるわけ?
(波津子)愛美さん。
納豆駄目だった?
(愛美)っていうか納豆ってご飯に掛けて食べるもんだよね。
(愛美)邪道でしょこういうの。
(波津子)免疫力を上げるには発酵食品がいいって聞いたからだからわざわざ有機栽培の大豆を使ったもの取り寄せて。
(愛美)ああそう。
陽君のために。
じゃあ陽君。
叔母ちゃんの分も食べて。
(繁郎)陽。
無理しなくていいからね。
(愛美)残すの?ばあちゃんがせっかく作ってくれたのに。
(繁郎)陽は小食なんだよ。
(愛美)私がいた施設じゃみんなおかずの取り合いだった。
峻だって絶対に食べ物粗末にしなかったよね?いや。
そんなことは言っても陽はさ。
何か言うことあるでしょ。
終わったんなら。
ごちそうさまでした。
(愛美)ああ。
かわいくないんだから。
あのね愛美さん。
(愛美)あれっきり学校も行かなくなっちゃって。
どうするつもりなの?これから。
転校させることにした。
(愛美)転校?1年生じゃなく本来の3年生に編入させようと思って。
あっ。
それがいいわ。
あの子のおつむのレベルからいったらやっぱりその方が自然だもの。
うん。
おつむはともかく大きいからね3年生。
またいじめられなきゃいいけど。
でいつから?2学期からでいいんじゃないかな。
あっ。
峻君。
それまでまた勉強見てやって。
(峻)うん。
(愛美)あーあ。
今から夏休みが終わるまでずっと家にいるのか。
あーあ。
煮物お代わり下さい。
(波津子)はい。
(波津子)ハァー。
ああー。
(愛美)あーあ。
(波津子)いけない…。
(愛美)どうしてこう年寄りってやることなすこととろいんだろう。
もういいわ。
私がやるから。
(波津子)あっ。
(愛美)あーあ。
(波津子)《普通じゃないわ。
あの人の目》《女にだってあるのよ》《どうにも満たされなくておかしくなることが》《性的欲求不満ってことですか?》《もう一遍抱いておあげなさいよあの人を》《何を考えてるんですか》だっ!何なの?うん。
な…何でもない。
・
(ドアの開く音)
(愛美)ウフフ…。
うーん。
繁郎さん。
うん…。
(愛美)駄目。
あっ。
(愛美)うん。
・
(諏訪)聖美。
取れたよ。
ミニトマト。
うまそうだろ?どうしたの?ううん。
ああおいしそう。
あっ。
ああー。
ねえ公ちゃん。
やっぱり場所が悪いのかしら?
(諏訪)日当たりは悪くないと思うけど。
そうじゃなくて。
この診療所のこと。
前からの患者さんもあんまりみえないし。
はやってなかったのは確かだね。
よっぽどやぶだったのかな。
えっ?そうなの?あんまり商売っ気のある人じゃなかったから。
のんびりやってたんだと思うよ。
(聖美・諏訪)あーっ。
アハハ…。
よいしょ。
大丈夫。
僕だってこのままでいいとは思ってないから。
うん。
でも今はもうしばらく聖美とこうしていたい。
誰にも邪魔されずに二人きりで過ごす時間がものすごく掛け替えのないものに感じられる。
今まで味わったことのない猛烈な幸せを感じてるんだ。
心配ないって。
その気になったらその辺の診療所から患者をみんなかっさらって待合室をいっぱいにしてみせるさ。
(峻)うーん。
(峻)駄目駄目。
もっとにっこりして。
(陽)何で写真なんか撮るの?
(峻)うん。
何でもいいから。
もう1回いくよ。
はいチーズ。
(シャッター音)
(峻)あっ。
先生。
(星川)久しぶりだね峻君。
陽君。
退院おめでとう。
元気になってよかったね。
パパはいるかな?
(星川)じゃあ陽君。
伝えてきて。
星川が来てるって。
(陽)はい。
(星川)うん。
(峻)伯父さんに何を?
(星川)陽君のママのことで話があってね。
(峻)伯母さんの?
(星川)君も同席してもらうよ。
(結花)ごめんね。
峻君。
守秘義務順守できなかった。
お耳に入ったんですね。
聖美のこと。
何ともお恥ずかしいかぎりです。
私には信じられない。
彼女が2人の子供を残して家を出るなんて。
しかも聖美さんは今間違いなく男と暮らしている。
諏訪先生のことを?やっぱりあの2人は一緒に?手紙の返事が届いたそうだね。
えっ?手…手紙の返事?
(星川)峻君は諏訪さん経由で聖美さんに手紙を出した。
その返事です。
えっ?
(星川)峻君。
「写真を送ってくれてありがとう」どういうこと?これ。
(星川)実は一度諏訪が私のところへ来たんです。
聖美さんのことを聞きたいといって。
あいつが?院長の奥さんに計り知れない恩を受けたので恩返しをしたい。
そういう触れ込みで根掘り葉掘り。
実家のことやうちに勤めていたときのことなんかを聞き出そうとした。
《どんなことでもいいんです。
教えてください》《お願いします。
お願いします》
(星川)今にして思えば姿を消した聖美さんの立ち回りそうな場所を探りだすつもりだったんでしょう。
先生は何て?
(星川)何も。
話さなかったんですか?何も。
(星川)あの男の態度じゅうぶんに真面目だったし身分も偽らずに明かしていた。
しかし妙に切羽詰まっていてまともな話には。
その後すぐ聖美さんに電話をしたんですがつながらなかった。
それっきり多忙に紛れてそのままにしてしまっていました。
それじゃ諏訪先生は諦めずに他を当たって聖美を捜し出して。
でも峻君はどうやってこの住所を?娘がたまたま私と諏訪さんの会話を耳にしたそうです。
《どんなことでもいいんです。
教えてください》《お願いします。
お願いします》
(星川)それでおせっかいにも峻君に注進した。
そうだね?話を聞いた峻君はその男が諏訪だと直感した。
諏訪を捜せば聖美さんの居所も分かるかもしれない。
そう思った。
でもそれだけで住所までたどりつくのは。
うちの若い者に探偵役を命じたんです。
この子がね。
命じた?
(星川)若い者がこそこそしているのが気になって問い詰めたらすぐに吐きました。
結花に言われて諏訪公一という男の素性を探ったと。
結花ちゃんすごい。
(星川)諏訪は小田島という大学の先輩から清水の診療所に誘われていると同期の仲間に話していた。
そこから足がついたんです。
やっぱりすごいよ結花ちゃんは。
大人顔負けの悪知恵っていうか。
いや。
機知というか何というか。
峻君がどうしても陽君とひかりちゃんの写真を伯母さんに送りたいって言ったから。
絶対におかしいって。
陽君やひかりちゃんがママと離れ離れになっちゃいけないって。
2人のこと忘れてないよねって伯母さんに言いたかったって。
だから私が捜してあげるって約束したの。
峻君の役に立ちたかったから。
それで峻君は聖美に2人の写真を?なぜこんなことになったんです?なぜそこまで聖美さんを追い込んだんです?ぼ…僕が?
(星川)ひかりちゃんが生まれて陽君の病気がよくなってこれからやっと穏やかな幸せを手に入れられるはずだったのに。
なぜ彼女は出ていかなければならなかったんです?あっ。
あのう。
色々ありまして。
あなたが聖美さんを大事にしなかった。
それに尽きるんじゃありませんか?あなたと聖美さんの結婚は最初から波乱含みだった。
《お母さんが?》
(係員)《たった今お母さまが亡くなられたと》
(星川)《尋常じゃないでしょ。
披露宴に花嫁がいないなんて》《何があったんです?聖美さんに》それでも私は信じたんです。
あなたの聖美さんへの愛を。
聖美さんの幸せをあなたに託したんです。
しかしあなたは守れなかった。
男の一生の誓いを。
失礼しよう。
お邪魔しました。
あっ。
(星川)結花。
行こう。
・
(愛美)お帰りですか?星川先生。
(星川)愛美さん。
(愛美)大変ご無沙汰いたしました。
その節はありがとね結花ちゃん。
お祝いを頂いていたのにまだひかりを先生に見ていただいてなかったでしょ。
だからちょっとお披露目をと思って。
ひかりちゃん。
ママの恩人の星川先生よ。
ママ?
(愛美)ええ。
私わが子と思ってこの子を育ててます。
パパと一緒にね。
ねえパパ。
先生によくお顔見せてあげて。
はい。
(愛美)姉さんが捨てていったこの子を妹の私が代わりに育てる。
柳沢の家には散々お世話になったんだし当たり前のことでしょ。
ねえ。
ひかりちゃん。
ほら。
先生にご挨拶して。
こんにちは。
ひかりでちゅ。
ハハハ…。
いい子ね。
(愛美)あんたが裏切ると思わなかった。
小ざかしいまねして姉さんの居場所突き止めて。
これが裏切りでなくて何なのよ?全部聞いてたんだね。
姉さんに送った写真って陽がひかり抱いてるやつでしょ。
第2弾は何?登校拒否になって泣きべそかいてる陽の顔でも送ってやるつもりだった?姉さんに里心なんかつけてどうしようっての?陽に会いたくなって舞い戻ってきたら私の立場がないじゃないか。
どうしてそんなことしたの?あんただけはいつだって私の味方でいてくれると思ってたのに!
(峻)僕は母さんを裏切ったりしない。
(愛美)嘘つき。
峻の大嘘つき!
(峻)嘘じゃない。
僕はいつだって母さんの味方だ。
母さんが僕を産んだのって今の僕とそんなに変わらない年だよね?でも迷わずに産んでくれたんだよね?若くて独りぼっちだったのに誰の力も借りずに僕を育ててくれた。
いつもいつも母さんは笑顔だった。
そして母さんは…。
僕を守るためにあいつを。
(藪野)《えーい。
くそが…》
(愛美)《あーっ!》
(藪野)《うっ》母さんは僕の一番大切な人。
それだけはこれまでもこれからも一生変わらない。
峻。
だから嫌なんだ。
今みたいな母さんを見るのは。
母さんが伯母さんに取って代わってこの家はどうなるの?何でも思いどおりにして自分だけ幸せになりたいの?
(愛美)私が自分のことしか考えてないっていうの?ひどいよ峻。
私はいつだってあんたのために…。
(峻)僕のせいにしないでよ。
僕はそんなのうれしくない。
僕は陽君にもひかりちゃんにもお母さんの笑顔に包まれて育ってほしい。
母さんがいつも僕に見せてくれてたみたいな大きくてあったかい笑顔に。
・
(ひかりの泣き声)
(波津子)清水次郎長。
聖美さんからだったのね。
峻ちゃん宛てのこの手紙。
何かにおったのよね。
ぱっと見た瞬間から。
三保の松原。
『羽衣』の舞台ね。
天女が月から降り立ったあの場所に。
大した行動力ですよ。
峻君も結花ちゃんも。
ハァー。
考えてもみなかったな。
ちょっと頭を使えばそんなふうに聖美の行方をたどれるなんて。
怖かったのかもしれません。
聖美が諏訪先生と一緒にいるっていう決定的な答えを突き付けられるのが。
未練があるみたいねあの人に。
男ってやっぱり女を守るべきなんですよね?だから結婚するとき相手の親御さんに必ず幸せにしますみたいなことを言うんですよね。
何なのいまさら。
言われちゃったんです。
星川先生に。
こうなったのも結局は僕がちゃんと聖美の幸せを守ってやれなかったからだって。
独身時代はずっと母さんにガードされて。
結婚してからは聖美に引っ張ってもらって。
僕には男としての自覚が足りなかったのかも。
お風呂お先に頂きます。
ハァー。
あっ。
ああー。
痛っ。
ああー。
(看護師たち)お疲れさまでした。
(弘明)お疲れさま。
(弘明)ハァー。
(瑞穂)弘明先生。
(弘明)サボってませんよ婦長。
今日は明け番でね。
(瑞穂)先生はお母さまにお会いになりたいんじゃありませんか?
(瑞穂)あなたを産んだ本当のお母さまにです。
2014/05/27(火) 13:30〜14:00
関西テレビ1
聖母・聖美物語 #41[字][デ]【恋の静岡篇〜涙の訴え】
聖美(東風万智子)は諏訪(古山憲太郎)と漁港の小さな診療所で暮らし始める。聖美が去った柳沢家は悲惨な状況に。そんな中、波津子(丘みつ子)が突然、聖美の前に現れ…
詳細情報
番組内容
聖美(東風万智子)のもとに、峻(谷藤力紀)から写真が同封された手紙が届く。写真には、ひかりを抱く陽(平林智志)の姿が。母としての思いがあふれ、聖美はただ涙を流すことしかできなかった。
柳沢家では愛美(三輪ひとみ)がますます好き勝手に振る舞うようになる。繁郎(原田龍二)は波津子(丘みつ子)から、一度も二度も同じだと、愛美を抱いて彼女の気持ちを落ち着かせるよう命じられる。
番組内容2
今の状況を脱する術が見つからず、繁郎は困惑するばかりだった。
そんな中、星川(風間トオル)が繁郎を訪ねてくる。繁郎は彼から聖美が諏訪(古山憲太郎)と暮らしていると聞いて愕然とするが、さらに峻が結花(諸江雪乃)とともに聖美の居場所をつきとめ、陽とひかりの写真まで送っていたと知り驚く。星川から、なぜ聖美を出ていくまで追い込んだのかと問われた繁郎は…。
出演者
柳沢聖美:東風万智子
森尾愛美:三輪ひとみ
柳沢繁郎:原田龍二
柳沢弘明:金子昇
柳沢波津子:丘みつ子
星川真輔:風間トオル ほか
スタッフ
企画:横田誠(東海テレビ)
原作・脚本:いずみ玲演
演出:岡崎成克
プロデュース:西本淳一(東海テレビ)
中頭千廣(TSP)
神戸將光(TSP)
齋藤頼照(TSP)
音楽:辻陽
主題歌:「炎の花」ハルカ ハミングバード(ユニバーサル ミュージック)
制作著作:TSP
制作:東海テレビ
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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