木曜時代劇 銀二貫(7)「糸寒天の味」 2014.05.28

松吉が井川屋を出ていってふたつきがたとうとしております
(梅吉)何も知らんのは松吉の方やろが!
(松吉)腰の強い寒天を作りたいんだす!2人の夢をかなえたいんだす!
(和助)もう二度と帰ってこんでもええ!
(半兵衛)また夜なべしたんか。
いつから寝てないねん?どの寒天もあきまへん。
お湯に溶けきらへんのだす。
わてが作ります!
(真帆)松吉が作ってくれたらうちもう寂しない。
約束。
うっ…。
起きたか!よかった〜。
あんた3日も寝てたで。
あっか…寒天!おいおい!すまん。
おとつい雪でな。
皆で慌てて棚場の寒天は片づけたんやけど松吉の寒天まで手が回らんでな。
もうあかんと思てそのままにした。
半兵衛さんこ…これ!溶けたやないか!こんなん食べた事ない!松吉これはどえらいもんが出来たぞ!へえ!けど何で…。
雪や。
夜の冷え込みで寒天に凍てが入るやろ。
その時雪があった方がゆっくり冷えていくんや。
けどこれをまた作ろう思たら毎日雪が降らんといかん。
この辺は雪はそない降らん。
あっそれやったら雪を作ったらええんだす。
はあ!?おおきに!毎度おおきに!
(梅吉)ほな行て参じます〜!
(かしわ手)お待ち下さい!旦さん!旦さんにどうしても試して頂きたい寒天があるんだす。
これを一口でええんだす。
召し上がって頂けたらわてはすぐにでも去にます。
もう二度とここには現れまへん。
せやからどうかお願いします!お待たせしました。
これあんさんが作らはったんだすか?へえ。
そうか。
この糸寒天は原村の半兵衛さんが作り方をご存じでおます。
もし旦さんがこれをお気に召して頂けましたら是非この糸寒天を商いに使うたって下さい。
ではわてはこれで失礼します。
ちょっと待ちなはれ!それだけか?わては旦さんに逆らいました。
奉公人としてやってはいかん事をしました。
そのけじめはつけんといかんと思うてます。
勝手なけじめやな。
申し訳ございません!わてはどうしようもない人間だす。
人様に迷惑をかけてまで我を通しました。
主である旦さんの言う事も聞かず己のために店を捨てました。
けど…けどわてはどうしても…どうしてもその寒天が作りたかったんだす。
許したって下さい!こんなアホをどうか許したって下さい!松吉。
へえ。
お帰りやす。
おおきに!旦さん…旦さんおおきに!おおきにだす!
(善次郎)これで嘉平はんへの供養真帆さんとの約束果たせたやないか。
へえ!毎度!おいでやす!毎度!梅吉頼むわ。
(梅吉)へえ!番頭さん。
あっすんまへん!虫養いだす。
(松葉屋)虫養い?けったいな名前やなあ!腹の虫が収まるようにという意味でうちの旦さんが付けはった名前だす。
どうぞ。
ああ。
何や?これ。
この歯応え!こんなん食うた事ないわ!
(善次郎)うちの松吉が作ったんだす。
(松葉屋)え〜!?
虫養いはあっちゅう間に大坂中ではやりましてちまたでは「涼養い」なんていわれたりもしてます。
この歯応え松吉の作った糸寒天でしか出されへんのだす。
飛ぶように売れてます
(乾物屋)お代は?あっお代は結構だす。
あらもう商売上手!ちょっとちょっとちょっと善さん善さん!あんさんこれタダで配ってるんかいな?うちの旦さんがそないせえと。
和助はんが?あっ毎度!
(茶屋)糸寒天もう足らんようになったわ。
またうち入れてんか?へえ!どうぞこちらへ。
(茶屋)あんさんらがタダで配るさかい猫も杓子も虫養いくれ虫養いくれ言うてな。
なるほどや!こらさすがのわても降参や。
タダで配って口づてで広げるんやな?こら売れるで。
うちも糸寒天仕入れさしてもらおか。
(善次郎)毎度おおきに!この寒天ほんなこつすごいなあ。
(茶屋娘)ありがとうございます。
おいしおますなあ。
(茶屋娘)井川屋はんの特製の糸寒天です。
ほなごゆっくり。
あの…ちょっとすんまへん。
(茶屋娘)へえ。
これ何だすか?糸寒天に黒蜜をかけたもんだす。
糸寒天?井川屋はんの新しい寒天だす。
1つおくれやす。
お待たせしました。
どうぞ。
おおきに。
作ります。
わてが作ります!梅吉。
すまんかった。
わてもいろいろ言うて悪かったな。
やっとこれでわても養子に行ける。
養子!?えっどこに!山城屋さんにずっと呼ばれててな。
ず〜っと断ってたんやあんたのせいで。
そうか…。
真に受けないな!てんごやがな!すまんかった!まあええ。
許す。
何でか言うたらわてえらいベッピンな嫁もらうねん。
ほう!ど…どこでそんな!?山城屋さんに仲立ちしてもろうたんや。
いや〜一目ぼれしてもたわ。
長い間お待たせをしてホンマに申し訳がございません。
(与平)いいえ。
和助はんが大事に大事に育ててきはった梅吉っとんを養子に頂けるやなんてホンマに夢のようでございます。
これからも嫁ともどもよろしゅうお願い致します。
ああもうこちらこそ。
梅吉をどうぞどうぞよろしゅうお願い申し上げます。
ごっついベッピンだすやろ?こいつもわてに一目ぼれだすわ。
さあ今度は松吉。
あんさんも嫁さんもろてもええ年頃や。
旦さん実は先日松葉屋はんからお話がございましてな。
(お咲)え?お咲さんを松吉にどや?え?うち聞いてませんでそんなん!わてはこれええ縁談や思うんだすけどなあ。
松吉っとんはどない思う?分かりまへん。
そないな事考えた事もおまへんさかい。
そやな。
考えてるふうには見えんわな。
ほなこれから考えてくれるか?へえ。
考える気あるんかいな。
あります!…すんまへん。
何や糸寒天作って…糸寒天作ってからこっちボ〜ッとしてまして。
うちな…。
ホンマの事言うと実は松吉っとんの事…。
(半鐘の音)火事だ!火事だ!火事だぞ!火事だ!うちはすぐそこやからあんさん戻りなはれ!へえ!これ。
ほなお気を付けて!
(半鐘の音)
えらいこっちゃ!えらいこっちゃ!前の火事は大川より南っ側やったんだすけどな今回は北っ側だす!北っ側いうたら井川屋のある方角だす!
やっと静かになったな。
天満の方がえらい焼けたらしいで。
天満?
(お広)おてつ?お母さん火消えたみたいや。
ちょっと様子見てくるさかいここおってや。
おてつ!?おてつ…!すんまへん。
・ごめんやす!ごめんやす!松吉!松吉!嫌や…嫌や…。
嫌や…。
嬢さん明日も来ます。
おてつさんになっても井川屋へ来はったらええやないですか。
わてが作ります!
(泣き声)よう生きてた。
よう生きててくれたな松吉。
へえ。
あ…。
糸寒天…。
おおきに。
ホンマにおおきに。
いえ。
お父ちゃんも喜んでくれてはると思う。
ほな。
ほなな!
(お里)気ぃ付けて下さい。
大事おまへんか?ああよう焼け残ってくれたなあ。
今この店無うなったらわてもうよう立ち上がれん。
そんな事言わんといて下さい!こういう時こそ笑うんだっしゃろ?ハハハハハッそやったなあ。
梅吉どないしたん?天神さんが…焼けてしもた!ええ!?あの天神さんか?へえ。
(かしわ手)ウソや!ウソつけ!天神さん全部焼けてしもてました。
残ってるんは松の木一本だけだす。
大坂の守り神さんが焼けてしもたんだす。
わ…笑えない。
わ…笑えまへん!善次郎…。
わては…もう笑えまへん!天神さん焼けてしもたらしいな。
今日は団子も売れへんやろな。
(せきこみ)お母さん?何や最近ようせき出るなあ。
だんないか?天神さんはこれまでも何回も焼けました。
そのたんびに大坂の商人が寄進をして建て直しのお手伝いをしてきました。
この度もわてらが力を合わせて銀二貫ためて寄進をしまひょ。
よろしゅう頼んます。
へてからな松吉とお咲はんの事やけどな…。
旦さん。
お咲さん。
あれからわてなりに考えたんだすけどあの話は…。
旦さんあの話なかった事にしてもらえまへんか?松吉っとんにはホンマに申し訳ないんだすけどあの話は忘れて下さい。
そういう訳で…これからこちらのお手伝いにもあんまりお伺いできませんがそれはどうか勘弁しておくれやす。
これまで大変お世話になりました。
これからも松葉屋をどうかごひいきに。
よろしゅうお願い申し上げます。
ほなうちは今日はこの辺で。

(泣き声)うちの負けや。
けど…このまま負けるんは悔しいさかい…ええお婿さんもらうわ。
ごっついええ婿さんもろて子どもようけ産んで松葉屋の後継がしてうち幸せになる。
うちは…松吉っとんだけが好きやった。
全く気ぃ付いてもらえへんかったけどな。
…で松吉っとんはどないすんの?え?真帆さん…やのうておてつさん言わはったな。
どないすんの?約束がありますから。
もう会わへんっていう約束が…。
それを向こうが破ったんと違うの?え?抱きつかれた!?シ〜ッ!ウソやろ!あの真帆家の嬢さんが松吉に?ああ…。
…で嬢さんは糸寒天も食うてはったと。
…でそのお礼を言わはったと。
うむ。
ほんで松吉はどない思たんや?どない…。
そらまあ…うむ。
うれしかったと。
めっちゃうれしかったと。
いや…。
そうか。
そらもう…決まりやな。
あれやわ。
恋や。
あんさんそら恋だっせ!恋…。
まあ…女子の事やったらわてに何でも聞きや。
ハハハッ!
(八重)何してんの!早う仕事しい。
すんまへん…。
(梅吉)恋や。
あんさんそら恋だっせ!もう会わへんっていう約束が…。
(お咲)それを向こうが破ったんと違うの?おてつさんになっても井川屋へ来はったらええやないですか。
それはでけへん。
何でだすか?何ででもや。
何で何ででもなんだすか?何ででも言うたら何ででも。
その何ででも…。
このアンポンタン!うちはてつになるて決めたんや。
今は苦しいても寂しいてもいつかそれが…まことになるんやさかい。
約束。
松吉。

(せきこみ)お母さん…。
お薬のむか?お母さん。
だんないだんないだんない…。
(せきこみ)お母さん…。
へてから1年へてから2年へてから3年目の冬が来ましたぞと!

ちなみに梅吉は娘が2人できましてお咲ちゃんもお婿さんもらいましてねおめでたですわ!
なあ梅吉っとん。
へえ。
あのアンポンタンホンマにまだ一遍も会うてへんの?そうなんだす。
あのアンポンタンまだ一遍も会うてへんのだす。
アホやなあ。
アホだす。
天神さん焼けてからもう3年やで。
そうだす3年だす。
何の話だすか?松吉っとんの話やがな!真帆さんとの話!
(泣き声)あああの2人!
(泣き声)会うてるような話は聞きまへんな。
おいおいどうした?
(泣き声)かたくなやな。
痩せ我慢だすな。
(泣き声)梅吉っとん。
へえ。
ここはわてらでどうにかせんとあかんのちゃうか?どないかせなあきまへんな。
(泣き声)何をだすか?
(泣き声)あんたやっぱりアホなんか?アホだすで?これで…これでようやく銀二貫だす!旦さんお確かめ下さい!いやいやもう確かめるまでもおまへん。
みんなよう気張ってくれはりましたな。
おおきにおおきに。
(泣き声)ああおはなちゃんもなおきくちゃんもなおおきにおおきに。
助かりますわ!銀二貫も頂いたら建て直しも早うできますさかいな
(かしわ手)これは誰が持たはります?そりゃ…旦さん。
いやわしはわしは…。
こんな重いもんよう持たはん。
そらもちろん番頭さんに決まってます!そうかあ!よろしいか?いざ行かん天神さんへ!
(3人)よっ!
(笑い声)
(半兵衛)和助さん!え?和助さん!寒天が作れんようになったてどういう事だすか!?わてはもともと美濃志摩屋はんとこで寒天を作らしてもうてました。
でもその美濃志摩屋はんは7年前大火事で店を畳みはって…。
それがこの前急に2代目が来まして…。
先代の息子はんだすなあ?わてはあんたと商いするつもりはおまへん。
(物を壊す音)
(孝三)糸寒天でえらいもうけとるらしいな。
美濃志摩屋に恩返しせなあかん。
恩返しはさしてもらいたいと思てます。
あんたやのうて…旦さんに。
ええから糸寒天をよこさんかい!それでどないしはったんだす?もちろん断りました。
ほしたら…丹後の漁師さんを脅して天草がうちに届かんようにしたんです。
天草が届かんかったら寒天作れまへんな。
申し訳おまへん!丹後に負けんぐらいの天草の採れる場所をもう今すぐにでも探したいんですけど…。
(小声で)おおきに。
銀二貫おます。
銀二貫!?…これは!半兵衛さん伊豆の天草に目つけたはるんと違いますか?へえ。
それやったら舟で運ぶにも手付けを払うにもこれぐらいのもんは要ります。
あきまへん!半兵衛さんあんさんはええ天草を探しておいしい寒天を作るのが命やおまへんか?あんさんの寒天にはそれだけの値打ちがあるんだす。
このご恩一生忘れまへん!おおきに!おおきに…。
半兵衛さんが質のええ天草見つけられへんかったら…。
内職の虫かご作り今度は旦さんにもやってもらいまっせ。
わて不器用やさかいなあ。
わてもだすわ。
ハハハッ。
何がおかしいねん。
旦さんと番頭さんはあの銀二貫で商いをしはったんやと思うで。
商いでおます。
父上!これで買わせて頂きとうございます!
(玄武)武士を愚弄する気か!?銀…銀二貫おまっせ!仇討ちの息子やいう事を忘れる事。
お前に売った。
買いました!おおきにありがとさんでございました!わてにはそんな値打ちあったんやろか…。
あ!何でわてに仇討ちを売らはったんか?それはどういう事だす!あんたわての子ぉでよかったか?嫌や!嫌や!どあ〜!2014/05/28(水) 01:25〜02:11
NHK総合1・神戸
木曜時代劇 銀二貫(7)「糸寒天の味」[解][字][再]

真帆(松岡茉優)との約束である「腰の強い寒天」を作ることが出来ず苦しむ松吉(林遣都)は、寒天を雪の中に放置したことが功を奏し、ついに「糸寒天」を完成させる。

詳細情報
番組内容
寒天場での四度目の冬を迎えた松吉(林遣都)は、真帆(松岡茉優)との約束である「腰の強い寒天」を作ることができず苦しんでいた。疲労の末倒れてしまう松吉だったが、寒天を雪の中に放置したことが功を奏し、ついに「糸寒天」を完成させる。井川屋の糸寒天を使った和菓子は、その歯ごたえが受け、飛ぶように売れる。梅吉(尾上寛之)も晴れて山城屋(渋谷天外)との養子縁組が決まるが、そんな時、またもや大坂を大火が襲う…
出演者
【出演】林遣都,松岡茉優,いしのようこ,尾上寛之,板尾創路,映美くらら,浦浜アリサ,風間俊介,渋谷天外,団時朗,塩見三省,津川雅彦,【語り】山口智充
原作・脚本
【原作】