(星川)なぜこんなことになったんです?なぜそこまで聖美さんを追い込んだんです?
(繁郎)ぼ…僕が?
(星川)あなたが聖美さんを大事にしなかった。
それに尽きるんじゃありませんか?
(波津子)三保の松原。
『羽衣』の舞台ね。
(波津子)天女が月から降り立ったあの場所に。
(繁郎)男ってやっぱり女を守るべきなんですよね?言われちゃったんです。
星川先生に。
こうなったのも結局は僕がちゃんと聖美の幸せを守ってやれなかったからだって。
独身時代はずっと母さんにガードされて。
結婚してからは聖美に引っ張ってもらって。
僕には男としての自覚が足りなかったのかも。
(弘明)ハァー。
(瑞穂)弘明先生。
(弘明)サボってませんよ婦長。
今日は明け番でね。
(瑞穂)先生はお母さまにお会いになりたいんじゃありませんか?あなたを産んだ本当のお母さまにです。
(弘明)何の話だ?林田事務長から聞きました。
あなたが生みの母親のことを口にしたって。
よっぽど思いがけなかったんでしょう。
とても驚いてらっしゃいました。
(弘明)おしゃべり親父め。
捜せるかもしれません。
昔ここに勤めていた先輩看護婦の方から聞かされたことがあります。
あなたのお母さまを神奈川の病院で見掛けたって。
もうずいぶん前。
15〜16年前の話です。
(弘明)何だって今になってそんなことを?あのときは分からなかった。
お伝えすべきなのかどうか。
弘明さんがどんな反応をするのか私はそれが怖かった。
それ以上にあなたを失うことが怖かったんです。
実の母親の消息を知ったらあなたの心から私など簡単にはじき出されてしまう。
それが怖かったんです。
ああ…。
いやぁ。
いやいや。
(林田)どうなさいました?大奥さま。
いや。
毎日毎日頭の痛いことばっかりで。
私が倒れて病院の評判落とすわけにもいかないしちょっと診てもらおうかと思って。
(林田)ああ。
それはいけません。
ご一緒いたしましょう。
いや。
いや。
結構よ。
(瑞穂)あなたの心にはいつも隙間風が吹いているようだった。
私はそれを埋めてさしあげたかった。
おこがましいことは分かっていました。
でも…。
母親代わりに子守歌でも歌ってやってるつもりだったのか。
(弘明)あんたを抱いたのは成り行きだ。
その後しばらく続いたのは惰性ってやつだ。
俺を産んだ女にも興味はない。
消息を聞こうが聞くまいが関係ない。
(瑞穂)当時と今とでは違うのでしょ?今のあなたの胸の中には母性を求める気持ちがうずいてる。
若奥さまが出ていってしまわれたから。
若奥さまへの思慕が顔も知らないお母さまへの追憶を呼び覚ましている。
何を言いたい?見つけたんです。
若奥さまの中にあなたの理想の女幻の母の面影を。
だからこそ率先して陽坊ちゃん。
そしてひかりお嬢ちゃんの妊娠を手掛けた。
先生はあの方が母として成熟していく手助けをすることに深い喜びを感じてらしたんです。
その若奥さまが出ていってしまわれた今また吹き始めた冷たい隙間風をふさぐことができるのは実の母親だけ。
(弘明)お前に何が分かる?
(弘明)ハァ…。
(瑞穂)おわびしたいんです。
私の勝手な思いでお母さまのことを封印して今日まで告げずにきてしまったことを。
だから今喪失感に埋もれているあなたのために私ができることを。
(弘明)気を引きたかったんだろ?俺の。
久しぶりに抱いてほしくて母親がどうの聖美がどうのと持って回った言い方を。
だったら望みどおりにしてやる。
・
(弘明)ほら。
脱げよ。
あんたの体十何年ぶりに味わってやる。
あのころのあんた若くもないのにろくに男を知らなかった。
俺にすっかり開発されてあの後どうした?熟れきった体を持て余して一人のベッドじゃ寝られなくなって日ごと夜ごと男あさりに精を出したか。
ハハハ。
(瑞穂)かわいそうな人。
あなたはただ悪ぶってるだけ。
傷ついた心を隠して何一つ傷ついていないふりをしているだけ。
黙れ。
(波津子)やめなさい!
(瑞穂)あっ。
(波津子)2人ともやめなさい。
(波津子)弘明。
あんたって人は。
悪魔。
やっぱりあんたは悪魔の子だ。
大奥さま。
(波津子)寄らないで。
汚らわしい。
背徳女め。
よくもだましてくれたわね。
あんたのこと身内だと思って家族の一員とさえ思ってきたのに。
(波津子)よりによってこの悪魔とそんないかがわしいまねを。
さてはこの男ね?父親は。
(弘明)父親?いつかあんたが水に流したあの赤ん坊。
あれはこいつの子だったのね?
(弘明)子供が?
(波津子)17〜18年も前だったかこの人が訳も言わずに急に病院を辞めるって言いだしたことがあった。
瑞穂さんの母親には家政婦としてずいぶんお世話になりましたからね。
私も親身になって訳を聞いた。
そしたら妊娠してるって。
だけどどうしてもその相手の名前を言わなかった。
言えるわけがない。
この悪魔の名前を。
(弘明)本当なのか?その話。
本当なのか?一人で産んで育てようと。
(波津子)やめろって言ったのよ。
人生棒に振るだけだって。
悪いこと言わないからこっそり子供をおろしなさいって。
言うことを聞いたのか?
(波津子)今とは時代が違うんです。
だから私は徹底的にこの人を守った。
誰にも知られないようによその病院で中絶の手配をして手術の当日も付き添った。
瑞穂さんは泣いて感謝して私への忠誠を誓った。
だから私は前の婦長が辞めたとき後任に推挙したのよ。
柳沢病院の婦長就任が決まってよっぽどうれしかったんでしょう。
あんた言ったわよね?何もかも奥さまのおっしゃるとおりにして本当によかったって。
これからも奥さまの忠実なるしもべとして心を尽くして働きますって。
(弘明)スパイの誕生か。
(波津子)助けてやったのよ。
あなたが捨てた女とも知らずに。
(弘明)恩を売って味方に引き込んだだけだろ。
(波津子)遊びで抱いてはらませといて知らん顔した男が何を言うか!
(瑞穂)やめてください。
お願いですからもうやめて。
私が悪いんです。
全て私が一人で勝手にしたことなんです。
(弘明)知らなかったんだ。
(瑞穂)知ったところで何が違ったんでしょうか?
(波津子)痛いところを突かれたようね。
どうせお前は女なんか快楽の道具としか思ってない。
それを知ってて抱かれたあんたは商売女と同じだ!出ていけ淫売!今すぐ私の前から消えていなくなれ!消えろ!ああ…。
(瑞穂)大奥さま?
(波津子)ああ…。
あっ。
フゥ…。
あの人は?脳や心臓血管もおおむね異常なし。
要するにオーバーフロー。
ストレスがたまりにたまって血圧を振り切っちまったんだ。
ストレス?お前のせいじゃないよ。
何かあったんだろ?婦長と昔。
何にしたっておふくろさんお前のこととなると普通じゃなくなるんだ。
気に病むことはないさ。
(峻)伯父さん。
おばあちゃんは?大丈夫だよ。
(陽)会える?うん。
会えるけどまだぼうっとしてるから静かにな。
行っといで。
顔を見せる気はないらしい。
ストレスのもとの張本人は。
俺も気を付けなくっちゃ。
(峻)《だから嫌なんだ。
今みたいな母さんを見るのは》《母さんが伯母さんに取って代わってこの家はどうなるの?》《何でも思いどおりにして自分だけ幸せになりたいの?》
(愛美)そうじゃない。
絶対そんなんじゃない。
(聖美)《陽とひかりが元気に幸せに育ってくれさえすればそれでいい。
それが母親なのよね》なってやろうじゃないのこの私が。
姉さんがなり損なった聖母ってやつに。
お願いします。
丘の上の診療所です。
お願いします。
お願いします。
丘の上の診療所です。
よろしくお願いします。
(女性)へえー。
カワイイイラスト。
今度診てもらおうかしら。
ありがとうございます。
(従業員)はい。
いらっしゃいいらっしゃい。
シャケ安いよ。
ブリ安いよ。
(店主)あったっけ?こんなところに診療所なんて。
前の先生から引き継いで今は主に内科と小児科を。
ちょっとしたケガなんかも診られます。
急患の場合はお時間気にせずいらしてください。
お電話いただければ往診もします。
(店主)あっ。
それより奥さん。
マグロどう?マグロ。
安くしとくよ。
あっ。
はい。
営業のつもりが逆にお客さんになっちゃった。
(諏訪)医者と坊主は営業向きじゃないからね。
あと葬儀屋も。
(諏訪)どうかした?変な噂聞いたのよ。
変な噂?ここの診療所ずっと看板も出てなかったしお医者さんらしい人を見たこともなかったって。
そんなわけないだろ。
あなたが引き継いだときはちゃんとしてたのよね?もちろん。
小田島先生っていったっけ?あなたの先輩。
私がここへ来てから一度も顔を見せないけど。
忙しいから任せることにしたんだ。
当然だろ?いや。
でも…。
どうしたの?何か不満でもあるの?いや。
不満ってわけじゃ。
僕は命懸けで聖美をここへ連れてきたんだよ。
分かってるよね?ええ。
聖美。
公ちゃん。
聖美。
うん?秋になったら入籍しよう。
離婚して半年たてば聖美は僕と再婚できる。
そこからがホントのスタートだ。
聖美。
聖美。
・
(チャイム)はい。
(刑事)諏訪公一さんはご在宅でしょうか?はい。
あのう…。
(刑事)警察の者です。
警察?
(諏訪)詐欺事件?
(刑事)こちらの診療所の現院長小田島が詐欺容疑で摘発されました。
提携する高齢者向け施設ケアホーム清水で過剰請求の内部告発があり現在調査中でして。
ケアホーム清水?小田島先生が診察を担当してたのは沼津の施設なんじゃ…。
(刑事)やはり嘘をついていたようですね。
(諏訪)嘘?
(刑事)目と鼻の先にいるのを知られちゃまずいってことですよ。
今日われわれがこちらへ伺ったのはこの診療所で働いている諏訪さんに事件との関連について事情をお聴きするためです。
疑われてるってことですか?
(刑事)やっこさん施設ぐるみで悪質な過剰診療をやってたんです。
大した症状もない患者を毎日のように診察して莫大な診療報酬を請求してた。
それも1人や2人の患者じゃない。
何十人もです。
その施設がホントは清水に?ここからせいぜい10kmちょっと。
知りませんか?街道沿いのホテルみたいな派手な建物。
それを何でわざわざ沼津だなんて。
(刑事)そこにからくりがあるんです。
ご存じのように訪問診療の方が外来よりも報酬額が高い。
しかし高齢者施設などに訪問するためには一定内の近距離に開院しなければいけない決まりになってるんです。
(刑事)小田島はここをそのための基地として使っていた。
私たちが来る前ここはほとんど休業状態だったって。
形だけの診療所。
つまり中身は空っぽってことです。
空っぽ。
(刑事)しかし長いこと実際に機能していないと近隣の通報などによってバレてしまう危険性がある。
そこで本物の医師をきちんと常駐させることにしたんでしょう。
だまされたってこと?利用されてたってこと?そんな。
あなたの関与の有無について詳しい話を聞かせていただきます。
関係ないわ。
だってこの人は何にも知らずに。
いずれにしても小田島との間にどんなやりとりがあったのかここへ来たいきさつなども含めお聴きする必要がありますので。
分かりました。
(刑事)それじゃ後は署の方で。
公ちゃん。
公ちゃん。
大丈夫。
心配しないで。
・
(ノック)公ちゃん?公ちゃん。
先生。
どうして?すまない。
驚かせて。
峻君に頼まれてここの住所を突き止めたのはうちの娘なんだ。
結花ちゃんが?だからある程度の状況は分かってる。
でもどうしてこんなところまで?君こそどうしてこんなところにいる?君が柳沢さんと結婚したとき私は保護者のつもりで送り出した。
こんなことになった訳をこの私も知る権利がある。
諏訪君はどこだ?どうした?聖美さん。
何かあったのか?
(星川)それじゃ過剰診療の片棒を担がされて。
夢を持ってここへ来たのに。
大きな病院じゃできない血の通った医療をしたい。
もっともっと患者さんとの触れ合いを大切にしたい。
そう言っていたのに。
あの人何にも知らずにその先輩のこと信じきって。
それはどうだろう?ここへ来て3カ月近くほとんど患者が寄りつかなかったんだろう。
それでいて何ら手を打とうとしなかったっていうのがどうも引っ掛かるんだがね。
どういうことですか?不審に思わなかったわけがない。
ほそぼそとであれ診療所を動かしている以上は必ず経営上のやりとりがあったはずだ。
聞いてもはぐらかされたのかあるいは連絡そのものが取れなくなっていたのか。
じゃあ公ちゃんは…。
あの人は何か気付いてたってこと?そんなことは何も。
よく言えば君に心配をかけたくなかった。
でも結果的にそれが君をだますことにもつながった。
関与してないってことがはっきりすれば彼に処分は及ばない。
必要な手続きを踏めばきちんとした診療所としてここでやり直すことも可能だろう。
どうする?君は。
えっ?ここへ残って彼を支え続けるかい?あの男を愛して生涯を捧げられるのかい?そうでないなら帰ってきなさい。
私のところへ帰ってきなさい。
先生のところへ?2014/05/28(水) 13:30〜14:00
関西テレビ1
聖母・聖美物語 #42[字][デ]【恋の静岡篇〜すきま風】
聖美(東風万智子)は諏訪(古山憲太郎)と漁港の小さな診療所で暮らし始める。聖美が去った柳沢家は悲惨な状況に。そんな中、波津子(丘みつ子)が突然、聖美の前に現れ…
詳細情報
番組内容
弘明(金子昇)は婦長の瑞穂(魏涼子)から、出産直後に姿を消した弘明の実の母の居場所が分かるかもしれない、と明かされる。聖美(東風万智子)がいなくなって意気消沈している自分を慰めるつもりか、と弘明は声を荒げ瑞穂を抱こうとする。弘明と瑞穂はかつて男女の仲だったが、それを知らなかった波津子(丘みつ子)が偶然、二人のやりとりを聞いてしまう。
番組内容2
弘明を憎む波津子は、瑞穂へも怒りの目を向け、瑞穂が封印したい過去の出来事について、弘明に言って聞かせる。初めて聞く話に弘明は衝撃を受けるが…。
そんな中、聖美はいつまで経っても診療所に患者が訪れない事を不審に思うようになる。諏訪(古山憲太郎)は何の心配もいらない、と言うがその矢先、診療所に大問題が起きてしまう。
出演者
柳沢聖美:東風万智子
森尾愛美:三輪ひとみ
柳沢繁郎:原田龍二
柳沢弘明:金子昇
柳沢波津子:丘みつ子
星川真輔:風間トオル ほか
スタッフ
企画:横田誠(東海テレビ)
原作・脚本:いずみ玲演
演出:岡崎成克
プロデュース:西本淳一(東海テレビ)
中頭千廣(TSP)
神戸將光(TSP)
齋藤頼照(TSP)
音楽:辻陽
主題歌:「炎の花」ハルカ ハミングバード(ユニバーサル ミュージック)
制作著作:TSP
制作:東海テレビ
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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