さあじゃあ帰ってくるまで新聞でも読むか。
(歌声)ぼくの名前はアビブ12歳。
歌うのが大すき。
家では思いっきりカラオケを歌える。
パパもママもうるさいなんてぜったい言わない。
だって2人とも耳が聞こえないんだ。
耳が聞こえないっていうのは音を消して映画を見てるようなものだと思う。
(わらい声)耳が聞こえないってどんな感じなのか体験してみようと思って耳せんをして1時間くらい家ですごしたり外に出かけたりした。
テレビで映画を見たり外で人と話そうとした。
すごく大変で苦しかった。
もし本当に聞こえなくなったらどうしていいのか…。
両親とも聞こえないから弟のイダンのめんどうはぼくが見てる。
お兄ちゃんのエリオールには重い障害がある。
お兄ちゃんとはとても仲がいい。
ぼくはいつもお兄ちゃんに話しかけてる。
けどお兄ちゃんは答えない。
きっと心の中で返事してるんだ。
弟のイダンはぼくと同じで聞こえるけどまだ手話はできない。
(歌声)今度ぼくたちのクラスが学校のイベントで歌う事になったんだ。
ぼくソロパートを歌いたい。
歌うのが大すきだからもしソロにえらばれたらうれしすぎて変になっちゃうかも。
(先生)歌はしずかに始まります。
ソロパートを歌ってもらうのはまずオズ。
はい立って。
オズ。
ヨナタン。
アビブ。
(はくしゅ)音が小さすぎない?もう一度やります。
もっと気持ちをこめてやさしくせいかくに。
その調子よ。
ここから3人で。
ソロを歌える事になった。
すっごくうれしい。
でも問題がある。
パパもママもぼくの歌が聞こえないって事。
友だちのシェリーは妹みたい。
よく話をするしおたがい何でも知ってる。
シェリーの両親も耳が聞こえないんだ。
いつも遊んだりよくいっしょにいるからきっと手つだってくれると思う。
シェリーイベントでぼくがソロパートを歌う事になったんだ。
パパとママが来るんだけどぼくが何歌ってるかわからないでしょ。
だれか手話ができる人を見つけて通訳してもらわなくちゃ。
きっとよろこぶね。
すごいプレゼントになる。
イダンにやらせたいけど手話ができないんだ。
わたしたちで教えよう。
大変だよ?手つだってくれる?もちろん!どうやって教えようか。
「空は」…。
「くもる」って…。
パパはよくぼくらをつりにつれて行きたがるんだ。
ぼくらも大すき。
楽しいもん。
今歌の事を考えてる。
ぼくのソロパートをイダンに手話通訳してほしいんだけどどう説得したらいいのかわからない。
すごいうで前だね。
あっ!あんな小さな魚を持って帰ったら将来魚いなくなっちゃうからね。
(イダン)ねえぼくパパに手話で言いたいの。
「魚をつったよ」って。
こうだよ。
「ぼくはつった魚を」。
見た?イダンが手話に挑戦してパパはだきしめた。
ぼくのプランきっとうまくいく。
みんなの前で歌を歌うんだ。
で手話をおぼえてほしいんだ。
ステージで歌うの?ちがうよ。
手話をやるんだ。
ママのため?そう。
ママとパパのため。
シェリーとぼくでぼくが歌う部分の歌詞を教えるからママとパパに通訳してほしいんだ。
やってくれる?うん。
本当?うん。
はずかしくない?平気。
アイスクリームを食べたらすぐ練習だ。
うん。
よし。
待って。
ぼく食べるのおそいんだ。
ぼくがいてラッキーだよ。
ぼくが小さい時はだれも教えてくれなかった。
本当に手話を習いたい?うん。
「つらい」。
「つらい」。
ちがう。
こう。
「時」。
「時」。
「つらい時」。
「つらい時」。
「弱い自分」。
「弱い自分」。
「悲しい時」。
「悲しい時」。
本番では1人だから全部おぼえるんだぞ。
「つらい時もある」。
「つらい時もある」。
「自分が弱い時悲しみを感じる時」。
こうよ。
「自分が弱い時」。
もう一度やろう。
「つらい時もある。
自分が弱い時悲しみを感じる時」。
うんと練習しよう。
ないしょだよいい?ママとパパにでしょ。
サプライズだから。
イダンが手話ができるって知ったらよろこぶぞ!オッケー。
よし。
小さいころはよく泣いてたよ。
子どもが泣くのってパパやママにすぐとんで来てもらいたい時だよね。
だけど耳が聞こえなかったらそれはムリ。
転んだりケガをして泣いてたっていたいのをがまんしながら自分でパパやママのとこまで歩いていかなくちゃいけないんだ。
たとえ一日中泣いてたってわかってもらえないからね。
パパやママと買い物に行くと店の人はたいていまずぼくに話しかけてくる。
どうしてかっていうとほとんどの人は障害のある人の事がわかっていないからなんだ。
わかってない人たちは障害のある人をバカにしている。
でもそれはまちがってる。
パパは耳が聞こえないけど店の人が計算をまちがえた時ちゃんとまちがいを見つけたよ。
聞こえない。
ただそれだけ。
バカにするなんておかしいよ。
(歌声)ちょっと休けいしましょう。
アビブが大事な事をみんなに話したいそうよ。
よく聞いてね。
明日は両親のためにサプライズを考えています。
弟のイダンが手話通訳するんです。
知ってると思うけどぼくの両親は耳が聞こえないから歌詞を手話でつたえたいんです。
ぼくたちが歌う歌を手話でやるとたとえばこうです。
「世界」。
「よい」。
「美しい」。
明日はいよいよ本番。
すごくきんちょうしてる。
うまくいくかな…。
「顔」っていう手話をやるよ。
「顔」。
ほら見て。
「顔」。
「顔」。
「顔」。
そんなふうにしてないよ。
もう1回よく見て。
「顔」。
もうつかれちゃった…。
あと2〜3こおぼえないと。
…わかった。
よく見て。
このとおりやるんだ。
「よい」。
「世界」。
うちに帰りたいよ。
まだダメ。
あと少しやってそれから帰ろう。
ん?今帰りたい。
(取材者)だいじょうぶ?おちつかないみたいだけど。
手話の練習できなかった。
イダンが練習をいやがるから。
これじゃ本番どうなっちゃうんだろ…。
わたしたちは月に一度児童を表彰しています。
よい友だちだった児童よい行いをした児童そして学校のスタッフや友だちにれいぎ正しかった児童。
その表彰式の前に6年C組のみなさんがマイケル・ジャクソンの歌を歌います。
さあどうぞ。
(生徒)マイケル・ジャクソンの「ヒール・ザ・ワールド世界をよくしよう」を歌います。
尊敬と友情を歌った歌です。
パパとママを見てあきらめないって決めた。
弟のイダンをよびたいと思います。
(はくしゅ)2014/05/29(木) 09:50〜10:05
NHKEテレ1大阪
カラフル!〜世界の子どもたち〜「聞こえない歌」[解][字]
歌が大好きなイスラエルのアビブくん(12)が、学校のイベントでソロを任された。でも一番聞いてほしい両親は耳が不自由。そこで“聞こえない歌”を届ける方法を考える
詳細情報
番組内容
イスラエルに住むアビブくん(12歳)は、歌が大好き。学校のイベントで披露する合唱で、ソロパートを任された。でも、歌声は両親には届かない。実は2人とも耳が不自由なのだ。“なんとかしたい”と、弟に手話で歌詞を伝えてもらうことにした。手話を覚えるのは、たいへん。アビブくんは、時々ぐずる弟に辛抱強く教える。本番の日、心を込めて歌うアビブくん。両親は、その姿を見つめ、懸命に手拍子を送る。
出演者
【声】平田悠一,草場壮一郎,柴田茉莉,さとうあい
制作
〜EBU制作〜
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
趣味/教育 – 幼児・小学生
音楽 – 海外ロック・ポップス
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0×0808)
EventID:13410(0×3462)