(淳)すみません。
(淳のうめき声)
(淳のうめき声)
(店員)どうぞ。
・
(ドアの開く音)
(菊田)遅えぞ葉山。
(葉山)すいませんわざわざ。
(菊田)飲んでんのか?
(葉山)ああ少し。
(菊田)人呼んどいて飲んで来るかな普通。
すいません。
(菊田)何飲む?えっとじゃあラムのストレートで。
(店員)はい。
(菊田)どうした。
何かあったのか?いやちょっと菊田さんに相談したいことがあって。
(菊田)相談。
仕事のことか?いえ。
プライベートかよ。
まあプライベートといえばそうなんでしょうけど。
歯切れ悪いな。
女のことなら俺んとこじゃないぞ。
違いますよ。
(菊田)金のこともな。
(葉山のため息)菊田さん。
強いっていうのはどういうことなんですかね?
(菊田)何だそりゃ。
いや。
主任だ。
はいもしもし。
(玲子)菊田?今どこ?えっ?1人?
(菊田)えっええまあ。
(ため息)どうしました?あん?殺し。
・
(物音)もしもし?
(店員)どちらになさいますか?
(菊田)もしもし?これ。
はいはい?
(菊田)現場は?世田谷区南烏山7の3の15。
水2つ下さい。
(菊田)分かりました。
直行します。
みんなには俺から連絡を。
お願い。
(菊田)はい。
あっこれ捨てといてください。
(店員)はっ?あっ。
もう1杯水。
お前も飲んどけ。
(葉山)はい。
お疲れ。
(菊田)ご苦労さまです。
誰かと一緒だったんでしょう?
(菊田)えっ?彼女?
(菊田)んなわけないじゃないすか。
「ええええまあ」って何あれ。
まっいいけど。
・
(石倉)主任。
葉山。
(葉山)はい。
(石倉)ご苦労さまです。
(湯田)ご苦労さまです。
(葉山)ご苦労さまです。
お疲れさま。
いい?このヤマ絶対とるわよ。
(一同)はい。
(真弓)あっそのパンプスすてきですね。
(真弓)おニューですか?はっ?
(葉山)うわ高野。
知り合いか。
(葉山)警察学校の同期です卒配も一緒で。
成城南署強行犯捜査係の高野です。
姫川警部補とコンビを組むように言われました。
私と?
(真弓)はい。
(真弓)よろしくお願いします。
(今泉)入るよ。
マル害は?こちらです。
失礼します。
(真弓)失礼します。
(葉山)失礼します。
(石倉・湯田)失礼します。
(菊田)失礼します。
(今泉)お疲れ。
ご苦労さまです。
(今泉)マル害は長塚淳30歳。
(湯田)めった刺しかよ。
(湯田)ひどいな。
帰宅して間もなく何者かに呼び出され自宅玄関前で刺された。
(今泉)おそらくな。
(真弓)どうしてこの段階で間もなくってことまで分かるんですか?サンダル。
えっ?マル害の着衣はスーツのままなのに下足はサンダルでしょ。
つまりマル害は帰宅していったんうちに入り着替える間もなく呼び出されサンダル履きのまま外に出てきたところを襲われた。
どうした。
(葉山)いや何でもありません。
まだ酒残ってんのか?大丈夫です。
がんがん行きますよ。
俺このヤマもらいますから。
(今泉)マル害は東大卒。
現在は大手製薬会社濱中薬品の社員で環境保全部に所属。
未婚。
死因胸部等数カ所を刺されたことによる出血性ショック死。
凶器刃渡り17cm前後の文化包丁状の刃物。
死亡推定時刻昨夜午後8時半ごろ。
第一発見者同じく昨夜午後9時ごろに帰宅したマル害の実父長塚利一65歳。
特殊法人労災施設事業団の理事だそうだ。
長塚利一に確認してもらったところ住居からは荒らされた様子も変わったところもないということだった。
また知ってのとおり昨夜未明まで大粒の雨が降っていた。
そのため現場周辺からは足跡指紋等現段階では採取できていない。
ここまでで何か質問あるか?
(葉山)はい。
葉山。
サンダル履きという事実からマル害は家に入ってすぐに誰かに呼び出された。
だとしたら呼び鈴か何かに指紋は残ってなかったのでしょうか?そういう報告はない。
そうですか。
ありがとうございました。
(今泉)他に何かあるか?
(石倉)珍しいな葉山が質問するなんて。
なあ。
(菊田)はい。
(宅間)じゃあちょっと刑事課へ行ってきます。
(葉山)はい。
(湯田)葉山さん先に行きますね。
(葉山)おう。
(湯田)行きましょうか。
(真弓)頑張ってるみたいね葉山君。
強行犯係になったのか。
(真弓)私絶対捜一行くから。
まだそんなこと言ってんのかよ。
危険な現場に女はいなくていい。
そっちこそまだそんなこと思ってんだ。
受けるんでしょ?来月の昇任試験。
ああ。
負けないわよ葉山君には。
高野行くわよ。
はい。
(宅間)お待たせしました。
はい。
(菊田)あっおい葉山。
(宅間)じゃ待ってます。
(葉山)あっはい。
お前昨日の相談って何だったんだ?
(葉山)ああ。
何でもないです。
何でもないってことはないだろう。
(葉山)すいません。
忘れてください。
(菊田)あん?俺ももう姫川班に来て3カ月ですからね。
ここら辺できっちり手柄立てさせてもらいます。
どしたんだ?お前。
(葉山)まあ見ててください。
(チャイム)ん〜シャンプーかぶってる。
ご心労のところ申し訳ありません。
淳さんのことで少しお話を伺えたらと。
(利一)そんなことより淳はいつ帰ってくるんだ。
すみません。
司法解剖に少し時間がかかっておりまして。
どうぞ。
失礼します。
(真弓)失礼します。
最近淳さんに何か変わった様子ありませんでしたか?
(利一)ない。
(真弓)トラブルに巻き込まれていたとか何かに悩んでいたとかどんなことでもいいんですけど。
(利一)息子は…。
(ため息)
(利一)淳は人に恨まれたり憎まれたりするような人間じゃない!・
(良枝)失礼いたします。
(良枝)旦那さまお電話が入ってますが。
ああ。
失礼いたします。
あの失礼ですが。
家政婦です。
週に何度かお邪魔して家事や何やらを。
そうですか。
では昨日の夜もこちらに?はい。
8時まで。
8時。
昨夜は雨がずいぶんひどかったんで雨戸を閉めておいとまいたしました。
雨戸を?はい。
旦那さまや淳さまがお帰りになってお困りにならないように玄関の電気だけはつけておいたんですけど。
お帰りになるとき外に誰か不審な人がいたとかそういったことはありませんでしたか?いいえ。
(ため息)
(良枝)こんなことになるんだったら淳さんがお帰りになるまでお待ちしてればよかったんですけど。
失礼いたします。
(中島)長塚には海外の調査部門を主に担当してもらっていました。
(中島)といっても本社と現地スタッフのパイプ役みたいなもんで彼自身が海外に行くことはなかったんですが。
何か仕事上のトラブルは?いいえ。
気配りの利く優秀な男でしたからね。
トラブルがあったなんてとても。
(葉山)恋人?長塚さんには恋人がいたんですか?
(土屋)ええ。
何度か飲み会に彼女連れてきたことがあって。
大学のときから付き合ってるって言ってましたけど。
(葉山)その彼女との間に何か?
(土屋)いや最近ちょっと。
(葉山)ちょっと?
(土屋)言っていいのかなこんなこと。
ご協力お願いします。
(土屋)余計なこと言って恨まれても嫌だしなあ。
はっ?
(土屋)えっ何ですか?だってそう思うの当たり前じゃ変なことに巻き込まれたりしたら。
話してくださいよ。
これは殺人事件なんですよ。
(土屋)えっ。
巻き込まれるとかそういうことじゃなくて犯人を捕まえなきゃいけないんですよ俺たちは。
犯人を!
(宅間)葉山さん。
分かりましたよ。
だけど僕が言ったとか言わないでくださいよ。
すみませんね。
(土屋)あの別れ話が出てたようなんです。
別れ話。
(土屋)真相は分かりませんけどね。
名前は?長塚さんが大学のときから付き合ってた彼女の名前は。
怖いな。
(葉山)教えてください。
森尾って言ったっけ?マル害の彼女。
はい。
森尾敬子30歳です。
東大出て大帝出版なんて優秀ね。
東大卒同士のカップル。
はたから見ると嫌みな感じっすよね。
(石倉)嫌みじゃなくてひがみだろそういうのは。
(菊田)しかし別れ話の原因が浮気とかそういうんじゃないとなると…。
(湯田)あっ例えば男の方から一方的に別れを切りだした。
ほらできる女ってプライドが高そうじゃないすか。
だからそれが許せなくてずぶっなんてことも。
あるかもな。
(湯田)ねえ。
自分もそう思って森尾敬子を当たってみたんですけどね。
出張で大阪じゃ完璧なアリバイね。
ええ。
(石倉)上司にも取引先にもマル害評判いいですし。
少なくとも仕事に関しては非の打ちどころのないエリート見つからないんだよなトラブル。
ひょっとしてそっちかもしれませんねひがみは。
(菊田)あまりに優秀で周りからひがまれたり嫉妬されたり。
結果殺された。
(湯田)はい。
まっ可能性はあるかもね。
あしたはそっちの線も当たってみましょう。
(一同)はい。
じゃあそろそろお開きにしますか。
(菊田)ああもうこんな時間っすか。
今日は私のおごり。
会計してくる。
(菊田)いいんですか?たまにはね。
(石倉)すいません。
(3人)ごちそうさまです。
(菊田)お前これも食え。
(湯田)あっはい。
ありがとうございます。
(菊田)おう。
(石倉)おい湯田。
(湯田)はい。
(石倉)どうせ所轄泊まりだろ。
もう少し付き合え。
(湯田)望むところです。
石倉さんの長っ尻。
(石倉・湯田の笑い声)
(葉山)いいですね。
行きましょう。
どこ行きますか?
(石倉)お〜ノリちゃんいいね。
(通話を切る音)
(菊田のため息)
(麗子のうめき声)・
(菊田)高野。
(真弓)はい。
(菊田)おう。
君葉山と卒配が同じなんだって?
(真弓)はい。
葉山どんなやつだった?卒配時代。
どんなって。
(菊田)仕事とか。
あっそうですねこんなこと言うと悪口になっちゃうかもしれないですけど。
(菊田)うん。
葉山君って女は弱いものだって思ってるところがあるみたいで。
女は弱い?葉山君と付き合ったことがある私の友達なんて「女は危険な現場に行くべきじゃない」とか「刑事になるべきじゃない」とか色々言われて結局それが原因で別れちゃったんですよね。
「女は守ってやらなきゃならない」か。
ねえ濱中薬品の資料くれる?
(女性警官)はい。
一度笑っちゃうようなことがあって。
何?傷害事件の現場に一緒に行ったことがあるんです。
卒配してすぐのころ。
(菊田)うん。
そしたら葉山君凶器のナイフ見ただけで吐いちゃって。
吐いた?
(真弓)女は守ってやらなきゃいけないなんて言ってるくせに自分の方が全然弱いんだもん。
《強いっていうのはどういうことなんですかね?》
(真弓)まあそれから頑張って捜一まで行った努力は認めなきゃいけないんですけど。
でもどうして葉山君のこと。
捜一でうまくいってないんですか?いやそうじゃないんだ。
ありがとう。
(ため息)・高野。
(真弓)はい。
菊田と何話してたの?ああ口説かれてました。
あっ?ありがとうございました。
つかめないわね何も。
(真弓)評判いいんですよねマル害の長塚淳ってどこに行っても。
これだけ当たっても殺される動機がまったく出てこないなんてかえって不思議だわ。
(真弓)ええ。
さあ次行くわよ。
(真弓)はい。
姫川主任。
何?どうやったら捜一に入れるんですか?えっ?入庁4年目二度目の挑戦で見事巡査部長に合格。
その昇任で卒配の東品川署から中目黒署に異動。
同署交通課規制係の主任を拝命。
それからわずか1年で警部補に昇任。
瞬く間に警視庁捜査一課殺人犯捜査十係主任。
ストーカー?姫川主任は私の憧れっていうか目標なんです。
私どうしても捜一に行きたいんです。
余計なこと考えてないで目の前の事件だけに集中しなさい。
それが答え。
(真弓)ありがとうございます。
あっもう1つ。
はい。
シャンプー変えたら?シャンプー?そうシャンプー。
はい姫川です。
(今泉)たった今鑑識から連絡が入った。
マル害の着衣のボタンから指紋が出たそうだ。
ボタンからですか?まずホシのものとみて間違いないだろう。
前科はなし。
大きさからおそらく男性だろうということだ。
分かりました。
指紋?どうかしたんですか?
(真弓)ちょっと。
ありがとうございました。
(宅間)ありがとう。
この辺りは何も拾えそうにありませんね。
駅の向こうに行ってみましょう。
(宅間)そっちは私たちの担当地区じゃ…。
ここまで来たんです。
一応当たっておいた方が。
(宅間)しかし担当地区をまたいだら後で何を言われるか。
そんなこと言ってたら捜査なんてできませんよ!ちょ…。
玄関の呼び鈴からは指紋は検出されていない。
なのにホシはマル害の着衣のボタンに指紋を残していた。
ええ。
なぜ呼び鈴からは何も出なかったんだろう。
逆なら分かる。
着衣のボタンからじゃなく呼び鈴からだとしたら。
そうですよね。
呼び鈴も押さずにどうやって呼び出して殺害したのか。
これから殺そうっていう相手に「出てこい」なんて呼び出したりするはずないですもんね。
ねえ。
はい。
黙ってて。
ホシはあの日大雨の中長塚淳を殺害しようとこの家を近くでうかがっていた。
そこにいて。
そしてしばらくして長塚淳が帰宅する。
門扉を開ける。
立ち止まって。
雨の中で。
その間ホシには長塚淳を刺す十分な時間があったはず。
なのにどうしてサンダル履きなんだろう。
(良枝)《昨夜はもう雨がひどかったので雨戸を閉めておいとまいたしました》《雨戸を?》《旦那さまや淳さまがお帰りになってお困りにならないように玄関の電気だけはつけておいたんですけど》はっ!そうか。
ホシは呼び鈴を押す必要はなかった。
ホシが狙っていたのは長塚淳じゃない。
(秘書)基本方針書と会計報告です。
(利一)そう。
そっからスリーオンしてツーパット。
ハッハッハッハッ。
ええ。
長塚利一は旧厚生省の官僚です。
薬害感染症問題が浮上していた15年前当時長塚利一は薬事課長で非加熱製剤の危険性を認識していながらも回収命令を出さなかった張本人だと言われていました。
(今泉)裁判にもなったあれか。
はい。
裁判でも長塚は知らないとしらを切り通し結局無罪。
その後も旧厚生省厚労省に居座り続けました。
官僚を辞めた後は多額の退職金と共に天下りを繰り返し現在の労災施設事業団は3つ目の天下り先です。
3つ目ってそのたびに退職金がっぽりもらってんすよね。
(菊田)非加熱製剤が原因でウイルスに感染死亡したと思われる患者は3人です。
それと感染症を発症したことがショックで自殺した女性が1人。
もし長塚利一がターゲットならホシはその4人の関係者の中にいる可能性があります。
そうか。
姫川。
長塚利一が恨みを買ってた可能性があることは分かった。
だがどうしてホシが長塚利一を狙ったと言えるんだ。
あの大雨の夜ホシは長塚利一の殺害を企て実行に移した。
だけどそこに帰ってきたのは長塚淳だった。
(淳)《あの何かご用ですか?》
(男性)《お父さまはご在宅でしょうか?》
(男性)《大切なお話があるんです》
(淳)《父に?ちょっと待っててください》雨戸の閉められた真っ暗だった家の玄関に灯りがついている。
長塚利一は帰宅している。
ホシはそう確信した。
だからホシは玄関から出てきた人間をいきなり刺した。
それが長塚淳だと確かめることもなく。
顔を見られている。
このまま逃げればきっとすぐに捕まる。
殺すしかない。
殺しておけばもう一度長塚利一を狙うチャンスができる。
そう思ったホシは息が絶えるまで刺し続けた。
そういうことです。
(今泉)なるほど。
(石倉)だけどすごいもんだよなあ。
俺たちが足を棒にしてるうちに呼び鈴に指紋が付いてなかったってだけでここまで推理しちまうんだからな。
ホントっすよね。
ホシの気持ちまでお見通しだもんな。
さすが主任。
持ち上げたって何にも出ないわよ。
(湯田)ですよね〜。
(笑い声)よし保さんは篠木。
(石倉)はい。
湯田は田中。
(湯田)はい。
葉山は住吉。
菊田は自殺した大友麻理。
(菊田)はい。
(今泉)それぞれの関係者を洗ってみろ。
(一同)はい。
(今泉)姫川は長塚利一の行確に当たってくれ。
お前の勘が正しければホシはまた必ず長塚利一を狙うはずだ。
分かりました。
主任!俺にもやらしてください。
お願いします。
俺にもやらしてください。
何言ってんだお前。
これは主任がつかんできたネタだぞ。
挙げたいんです。
どうしてもこのヤマ。
お願いします。
(菊田)おい。
(湯田)どうしたんすか葉山さん。
(葉山)お願いします。
いいわよ。
一緒にやりましょう。
主任。
ありがとうございます。
さあ行くわよ。
(一同)はい。
葉山ちょっと来い。
主任。
分かってる大丈夫。
行こう。
よし行こう。
(一同)はい。
お前少し熱くなり過ぎてないか?
(葉山)大丈夫です。
そんなこと聞いてるんじゃない!何があった。
俺に相談って何だったんだよ。
葉山。
強くなりたいんです。
強く?俺中2のときに刺殺事件を目撃したことがあって。
(葉山)刺されたのは俺の家庭教師をしてくれていた大学生でした。
(警官)《すいませんこの中で犯人を見たという方いらっしゃいませんか?》
(女性)《いや見てないです》
(男性)《見てない》
(警官)《ありがとうございます》
(男性)《何かあったんですか?》
(男性)《通り魔にあったらしいですよ》
(男性)《え〜?嘘だろ》
(葉山)俺は悔やみ続けました。
どうしてあのとき見ていたと名乗り出られなかったのか。
背格好着衣。
俺が見ていたものは少なからず捜査の足しになる情報でした。
怖かったんです。
いつか犯人が俺を捜して口封じのために殺しに来るんじゃないかって。
そう思うとたまらなく怖くて。
だから俺は大学には進学せず高卒で警察官になる道を選びました。
犯人の影におびえない自分をつくりたかった。
全てに隙のない強い警察官になりたいと願ったんです。
だけどだけどまだ俺は強くないこのままでは弱いままで終わってしまう。
このままじゃこのままじゃ駄目なんですよ俺は!失礼します。
(大友)麻理には結婚を約束した恋人がいましてね。
(大友)だけど病気の発症と同時に当時はまだその手の病気は性交渉によって感染するものと信じられていたんです。
(大友)ですから麻理は周りからそういう目で見られて恋人からも。
もちろん非加熱製剤を回収しなかった厚生省に恨みはあります。
責任者を何度殺してやろうと思ったことか。
つかぬことをお聞きしますがおとといの晩はどうされてましたか?
(大友)おととい?大雨が降った日の夜です。
(大友)ああ。
その日は仕事仲間と一緒に終電近くまで酒を飲んでいました。
(菊田)どちらで?新橋です。
もう1つ。
亡くなられたお嬢さんの恋人だった男性の名前とかお分かりになりますか?
(真弓)今日はこのまま自宅みたいですね。
(呼び出し音)ノリそっちに向かってる。
了解です。
葉山君があんなにがむしゃらなの初めて見ました。
昇任試験のことだけ考えてるもっとクールな人だと思ってたのに。
自分しかいないのよ。
えっ?誰にも助けられない。
(ため息)
(チャイム)
(菊田)矢部さん。
お願いします。
おい。
(所轄刑事)はい。
長塚利一の住所?
(長塚)いやいやいいよいいよ。
あしたはちょっと早いけどよろしく頼むね。
(運転手)かしこまりました。
(長塚)お疲れさま。
(運転手)ありがとうございました。
・
(男性)長塚!
(葉山)やめろ待て!
(宅間)やめろ!
(宅間のうめき声)・ノリ!
(長塚)うお。
(男性)邪魔すんな!
(真弓)やめなさい。
あっ。
(男性)どけ!
(叫び声)
(菊田)主任。
(男性)放せよ!
(男性)チクショー!
(男性のうめき声)
(菊田)矢部眞人だな。
傷害の現行犯で逮捕する。
バカヤロー!何やってんだよ!すいません。
(菊田)大丈夫ですか?ありがとう。
(菊田)いえ。
何なんだこれは。
ふざけるのもいいかげんにしろ!人んちの前を何だと思ってるんだ!あん?痛い痛い痛い痛い…。
痛い!もっと優しくやって!はい。
あっ痛い痛い痛い痛い…。
さっきは痛いって言ってなかったじゃないっすか。
さっきはさっき。
今は今。
(菊田)すいません。
(真弓のため息)私怖かった。
危険な現場に女はいなくていい。
葉山君が言ってたこと初めて分かった。
(ため息)情けないよね。
こんなんで捜一行きたいなんて。
恋人を非加熱製剤で亡くしたあなたの憎しみは分かる。
でもどうして15年もたった今になって?
(矢部)ネットです。
ネット?
(矢部)インターネットで偶然長塚利一のことを知って。
(矢部)そこには世間で話題になった人間たちの様々な個人情報が無数に書き込まれていました。
それを見た途端僕には…。
(矢部)麻理の声が聞こえたんです。
「どうして信じてくれなかったの」って。
(矢部)麻理がウイルス性の免疫不全症にかかったと聞いて僕ショックで何もかも真っ暗になりました。
目の前で麻理が涙を流して告白してるのに僕は僕は信じてやることができなかった。
(矢部)麻理は僕以外の男にウイルスをうつされた。
そして今度はそれを僕にうつそうとしてる。
そんなことばかり頭の中をぐるぐる回って。
だから…。
麻理に許してもらおうと。
長塚を殺せば…。
麻理が喜んでくれるんじゃないかって。
(矢部の泣き声)ああここにいたんだノリ。
主任。
(ため息)矢部ね長塚をネットで知ったんだって。
ええ。
私も見たのよ。
ひどいことが書き込んであったわ。
個人を攻撃するようなひどいことがたくさん。
それだけじゃない。
住所や電話番号までプライバシーも何もあったもんじゃないわね。
そうやって毎日たくさんの恨みや憎しみが垂れ流されて多くの人間に感染してく。
恐ろしい時代が来るかもしれないわねこれから。
なめてんじゃないわよ。
うかうかしてられないわよ私たちも。
主任俺。
俺…。
いいよ言わなくて。
すいませんでした。
来月の昇任試験頑張んなさい。
お疲れ〜。
(菊田)うっ。
葉山。
俺何で菊田さんがあの人についてるか分かりました。
あっ?主任何も言いませんでした。
俺を慰めるようなことは一言も。
慰めてほしかったのか?いえ。
慰められてたら俺は刑事を辞めてたかもしれません。
分かってんだよ主任には俺たちのこと丸ごとな。
(葉山)痛っ。
かないませんね。
まったくだ。
(ため息)うお!え〜。
(ため息)今月3足目。
立て続けじゃないもう。
飲み行くか。
すいません。
(菊田)何でだよ。
いやあの試験勉強サボってたんでちょっと。
バカヤローお前。
飲み行くぞ。
(葉山)いやいやいやいや…。
(菊田)店は第2の会議室だ。
(葉山)いや会議じゃないですから。
2014/05/29(木) 15:53〜16:48
関西テレビ1
ストロベリーナイト #06[再][字]
「感染遊戯」
竹内結子 西島秀俊 小出恵介 丸山隆平 加藤あい