ドキュメント72時間・選「沖縄 眠らない床屋」 2014.05.30

(三線)南国の楽園…飲食店やオフィスが混在するにぎやかな一角に全国でも珍しい24時間営業の床屋さんがある。
やって来るのは子どもからサラリーマンちょっと訳あり風な人まで。
楽しみにカメラさんも。
髪を切るとついついこぼれる本音のつぶやき。
観光では見えてこない素顔の沖縄をのぞいてみた。
年が明けて間もない1月上旬。
店が混み始めるという木曜日の夕方からカメラを回した。
床屋さんにしては意外とオシャレな店内。
熱帯魚までいる。
いらっしゃいませ。
いらっしゃいませ。
早速お客さん。
小学生かな?さすが高校野球の盛んな沖縄。
夢はやっぱりプロ野球選手?えっどうして?沖縄の少年意外と堅実。
24時間営業の床屋さんは沖縄ではこの店だけ。
時間に追われる人たちが島じゅうからここを目指してやって来るという。
カットが終わるとお茶のサービス。
これで締めて3,300円。
夜11時。
街がにぎわいのピークを迎えた。
・店でも予約の電話がひっきりなし。
はいヤングです。
はいちょっとお待ち下さい。
深夜。
なぜか作業着姿の男性がやって来た。
何してる人なんだろう?
(取材者)もう夜の11時半なんですけど…彼自身も仕事に打ち込み過ぎて家庭でいろいろあったらしい。
あまり景気がよくない沖縄だけど建設業は目が回るほどの忙しさなんだって。
特に年度末の今はゆっくり眠る時間もないそう。
街角の床屋さんから見える素顔の沖縄。
一夜明けたこの日は金曜日。
こんな時間から若いお客さん?コンビニでバイトをしている彼。
つい最近までは県外の自動車工場で働いていたらしい。
愛知県で?3割も!?沖縄の若者の失業率は全国平均の1.5倍にもなるという。
彼も一度は出稼ぎに出たけれどやはり住み慣れた故郷で安定した職に就きたいと戻ってきた。
なかなか先は見えないけどここで少し気分転換できたかな?ありがとうございました。
ありがとうございます。
こっちにも若いお客さん。
久しぶりの休日という公務員の彼。
高校の頃から何としても安定した仕事に就きたかったという。
苦労する親たちを見てきた事も影響しているらしい。
沖縄の現実。
若者にはちょっと厳しいみたい。
午後。
店には年配のお客さんも増えてきた。
女友だちがいます。
ダンディーなおじいさん。
今はビルを経営しながら暮らすけどその原点は戦争で焼き払われた那覇の街だったんだって。
そのあとも家具職人や写真屋の経営などとにかく食べるためには何でもやった。
どんな時代も人は働かないと生きられない。
楽じゃないけど髪形ぐらいはパリッと決めて軽やかに歩いていきたいよね。
オーナーが何か紙を持ってきた。
「成人の日」って。
「祝」。
これをどこに貼られるんですか?こっちの。
実は2日後は成人式。
沖縄の若者たちこの日ばかりはキメキメのヘアスタイルではじけるんだって。
早速お客さん。
新成人かな?家族と一緒にやって来た彼はダウン症だという。
明日は卒業した養護学校で1日早い成人式に出席する。
小さな頃から病気がちだった。
大きな手術も繰り返して命が危ない時もあったけどそのつど家族みんなで支えた。
チーママなんです。
一日一日を重ねて20年。
はいありがとうございます。
ずっと弟に寄り添うお姉ちゃん。
明日までにまだやりたい事があるみたい。
どうもありがとうございます。
家族みんなにとって大切な節目。
だからとびっきりの髪形でお祝いする。
わ〜い!どんなお仕事を?やっぱり髪切ってもらうと気持ちいいですしリラックスできますね。
こうやって寝たりとかするんです。
お疲れさまです。
どうもありがとうございます。
昔から人は髪を切る事に何かの決意を込めてきた。
そしてここにも何やら胸に秘めた人が。
中学を卒業してから内地に行ったり沖縄に戻って働いたり職を転々としてきたという彼。
でも30歳の節目を迎え心機一転目標を持って生きる事にした。
何の資格ですか?昔つるんだ仲間から刺激を受けたんだって。
30歳。
「2回目の成人式」って感じかな?いよいよ明日は成人式。
早速それっぽいお客さん。
今何の相談されてるんですか?ホントだ!頭にビルがそびえ立ってる。
高校時代から相当やんちゃだったという彼。
これ前やったのですけど。
(ため息)ふだんはタイヤメーカーで働く彼だけど成人式では久しぶりにはめを外すつもりらしい。
一生に一度の晴れ舞台なんで。
恥なんですか?よっしゃやりましょう!いつもはできない一日限定の成人式スタイルにこれから変身させる。
3時間かけて入れた模様があっという間に消えていく。
す…すごいデザイン!でも何でここまで?子どもでいれる?「最後」みたいな。
3時間かけて出来上がったのは…。
ド〜ン!どうだ?いいやん!まだ大丈夫じゃないですか。
ただこう見たらちょっと。
でもこう見たら。
そんな彼も今二十歳。
甘えていた自分を少し引いた目で見られるようになった。
いい夢見ましょうね。
一日限りの髪形に20年分の青春を詰め込んだ。
はいありがとうね!はいありがとう!喜んでましたね。
よかったです。
すみません。
(拍手)ありがとうございます。
そっちゃうのはちょっと嫌なんですけどまたそれも…ありがとうございました。
前髪かかるから嫌なんでしょ?長いのが好きなんだ?長さはどう?いつもどおり。
普通。
Dialogue:02014/05/30(金) 03:05〜03:30
NHK総合1・神戸
ドキュメント72時間・選「沖縄 眠らない床屋」[字]

毎回一つの場所にカメラを据えるドキュメント72時間。今回の舞台は沖縄・那覇にある24時間営業の床屋。髪を切られる男たちが漏らす「沖縄人のつぶやき」に耳を傾ける。

詳細情報
番組内容
那覇市の繁華街に、全国でも珍しい24時間営業の床屋がある。訪れる客は坊主刈りの子供をはじめ、周辺の飲食店の店員、仕事が忙しく夜しか髪を切れない会社員などさまざま。中でも成人式に向けた3日間は、1日限りのヘアスタイルを楽しもうとする新成人たちが押し寄せる。県外に就職するも夢破れ戻って来た者、ヤンチャした10代に別れを告げるべくそり込みを入れる者…観光旅行では触れることが出来ない沖縄男の本音とは?
出演者
【語り】鈴木杏

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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