(斉藤忠志)
私はホームセンターで店長代理として働いています
斉藤さん。
あいらっしゃいませ。
久しぶり。
今日は何をお求めで?トイレカバー。
ああ…。
フックはいかがですか?
今年で勤続30年。
これまで体を壊す事もなく健康に過ごしてきました。
でもそれが…
ああ…漏れそうだ。
9日前からおなかに痛みを感じて…ずっと下痢が続いているんです
ああ…。
しかも…
うっ…。
ああ斉藤さん先月の勤務表なんだけど…。
あの…すぐ戻りますんで。
今確認させて…。
ごめんなさい。
日を追うごとに症状がひどくなって…
あ店長代理。
これなんかひび入っちゃってるんですけど…。
ちょっと待ってあとで。
今は一日に5回以上もトイレに駆け込むようになりました
先生私大丈夫なんでしょうか?さあ腹を下してるというのは割と多いですよね。
すみませんちょっといいですか?いや待って。
本番中ですよ。
本番中でも行きたくなりますよね。
なるんですよね。
ゲストのお二人腹を下すという事は?子供の頃からおなか痛くなる事はすごく多かったんですよ。
その原因ってよく分からないんですけどおなか痛いのは我慢できないのでつらいですよね。
ストレス系の胃腸炎は割と子供の頃からある人はある…。
僕は腹を下すのもそうですけどやっぱり尿の方がね…。
寝る時に…。
飲んだ時は特に。
ひどい時は3時間に4回ぐらい。
3時間に4回?寝てられないですよね。
そうだからつらいですよ。
患者の声に耳を傾け体に問いかける。
総合診療医の武器は問診と診察だ。
症状は?仕事は?生い立ちは?病気を探るヒントはどこに潜んでいるのか。
意外な手がかりを一つ一つつなぎ合わせ病気を探り当てる。
私たちは彼を「ドクターG」と呼ぶ。
ここでは60人の研修医が一人前の医者になるために日夜臨床の現場で経験を積んでいる。
彼らを指導するのが研修医教育のプロフェッショナル…ささいな症状も聞き漏らさないよう研修医に指導する。
言葉にならない…総合診療ならではの症例をひっ提げて登場だ。
(玉ちゃん)今回のドクターGは…
(拍手)よろしくお願いします。
先生の病院大きい病院ですね。
一日外来患者さん約2,800人…。
2,800人?すごいな。
先生今回の症例は…。
そうですねおなか壊してくる患者さんたくさんいるんですがその中でも私自身が多くの事を学ばせて頂いた症例を今日は持ってきました。
この番組ですから相当深刻なものが出てくる…。
(玉ちゃん)…と思うんだよね。
病気の正体を探り当てるため全国から集まって頂いた研修医はこちらの皆さんです。
ご紹介しましょう。
(拍手)よろしくお願いします。
(拍手)麻岡先生どんなお医者さんに?お医者さんは患者さんに優しくねと重点的に言われますが優しくしてお話を聞いてるだけではこの人は多分どうにもならないなという場面に出会いまして…。
不摂生だったりとか…。
(玉ちゃん)不摂生。
例えば?お酒とかたばこだったり。
全部当てはまるじゃないですか。
でも言ってほしいですそれはね。
(上島)そう。
そうしないと絶対やめませんからね。
先生はどんなお医者さんに?私は病気治す事がゴールじゃなくてその人の人生どうやって豊かにしていくかというのを考えて一緒に治療していけたらいいなと思っています。
先ほどのVTR見て何か病気…。
こういう患者さん確かに外来でもたくさんいらっしゃるのであまり絞らずに広く考えていきたいなと思います。
伊藤先生はどんなお医者さんに…?腎移植とかそういった事に興味があるんですけど…。
腎臓の時はお世話になりますんでよろしくお願いします。
今のVTR見てどうですかね?いろんな病気がまずは考えられるかなと思うんですがお仕事に既に支障が出るぐらいの症状が出てるというところが僕は少し気になっていて…。
実際の病気を推理するってちょっとドキドキしますね。
(玉ちゃん)すごい現場になりますからね。
では病名を探るための再現ドラマを見て頂きましょう。
ドクターGの症例に研修医が挑みます。
テレビの前の皆さんも一緒に考えて下さい。
ドクタージェネラル!どうも。
お願いします。
今日はどうされましたか?あの…下痢が止まらないんです。
いつごろからですか?そうですね…。
9日ほど前からだったと思います。
あの〜それでおなかの痛みも続いてるんです。
多分ストレスじゃないかなと。
(斉藤)
私は長くホームセンターで売り場の主任をしてきたんですが半年前から店長代理を任されてしまいまして慣れない事務作業もするようになりました。
従業員の勤務シフトの管理売り上げや在庫の伝票管理もう管理管理で頭が痛くて…
斉藤さんじゃあ俺行ってくるから。
店長この伝票処理の書き方もう一回教えてもらえない…。
ああ帰ってからにして。
閉店時間には帰ってこれるかな。
じゃあ何かあったら電話して。
はい。
了解しました。
ああそれから姿勢。
そう。
店長代理らしくね。
はい。
ハァ…。
唯一気持ちが休まるのはたばこ休憩ですかね。
一日1箱くらいは吸ってます。
あと甘い物もよく食べるようになりました
店長代理加湿器を購入されたお客様から壊れたってクレームです。
それでバイトが対応したんですけど態度が悪いっていってかなりお怒りなんです。
よし今すぐ行く。
お願いします。
ちょっとこの加湿器どうなってんのよ!全然使えないじゃないの全く。
…っていうかあんた何なのその態度人の話聞いてんの?ねえ!責任者呼んできなさい責任者!あの責任者でございます。
店長代理でございます。
この店どうなってんのよ!申し訳ございません。
加湿器は使えないし店員全然やる気ないわ聞いてないわ。
すぐに取り替えさせて頂きます。
当たり前でしょう当然でしょう。
おい君は何だ!もう信じられない!信じられないよお前!お仕事大変そうですね。
それでは…あっそういえば…。
美恵。
ああおかえり。
何だあさって来るんじゃなかったのか。
テストも無事終わったし春休みはお父さんの所でのんびりしようと思って…。
そうか。
それにしてもすごいなこれ。
お父さんの好きな物ばかりでしょう。
ああすごいごちそう。
おなかすいただろう。
食べよう。
私は10年前に妻を亡くしました。
ふだんは一人なので食事は簡単な物で済ませているんですがこの日は大学生の娘が帰ってきて豪勢な料理を作ってくれたんです
(2人)乾杯!ああうまい!店長代理その後うまくやってますか?ああ…いや全然駄目だな。
やっぱり慣れない仕事ばっかりでさいろいろね教わるんだけどさ…。
いや〜お父さん数字苦手だからさ…。
何?うっ…。
いやストレスかな。
口内炎。
ええっそんなに嫌なら断ればよかったのに店長代理。
まあ30年お世話になってるからな最後のご奉公ってやつだよ。
ちょっと!塩分とりすぎ。
大丈夫だよ薬のんでるし。
そういう事じゃないでしょう。
でも塩辛ぐらいいいだろう。
駄目!それ私のと2人分だよ。
お父さん好きなんだよこれが。
好きでも駄目。
その晩はちょっと食べ過ぎたかもしれませんね
それで下痢が始まったんですね。
いえその夜はふだんと変わりなくて実は翌日の事なんです
朝目覚めたらおなかに違和感を感じました。
でもこの時はまだそんなに強い痛みではありませんでした。
大した事はなかったのでお昼には外出もしました
ああ大丈夫。
いってらっしゃい。
実は私気分転換に最近書道を始めたんですがその教室での事です
斉藤さん。
はい。
姿勢。
あっはい!はい。
ここでしっかりはねてとめる。
気持ちが入っていい文字ですね。
ありがとうございます。
あっ…。
あのすみませんちょっと中座させて頂いてよろしいですか。
ああっ…。
ハハハ…。
すみません。
ちょっとすみません。
すみません。
緊張したのか突然おしっこに行きたくなって…。
でもそれから…
あの…ちょっとすみません。
斉藤さん大丈夫ですか?大丈夫です。
もしご気分悪いようでしたら無理なさらずに。
いいえ大丈夫です大丈夫です。
結局90分の講習で3回もおしっこに行ってしまいました。
そしてそれから家に帰ると…
ああ…。
今度は下痢が始まったんです。
整腸剤と下痢止めをのんだのですが全然効かないんです
このころにはおなかははっきりとした痛みに変わっていました
無理して食べないでいいよ。
おなかはすいてんだよ。
そしておなかの痛みは日に日に増していきました
ああ…。
ああ斉藤さん先月の勤務表なんだけど…。
これちょっと…。
あとでもいいですか?今確認したいんだけど。
あの…すぐ戻りますんで。
今確認させて…。
ごめんなさい。
多い時は一日下痢が6〜7回おしっこが10回ほどでしょうか
あ店長代理。
これなんかひび入っちゃってるんですけど…。
ちょっと待ってあとで。
尿の色は分かりますか?
普通ですね
便の状態は?
ちょっと分かりません。
下痢って事しか
はい。
ちょっと
そうですね…。
え〜と…。
あっあの〜先生トイレに行ってきていいですかすぐ戻ってきますんで。
あっまだ診察の途中なので戻ってきて下さいね。
分かりました。
異常か。
近い。
さあ研修医の皆さんは頭をひねっておりますが…。
さあ患者さんのバイタルデータはこちらです。
先生ここから分かる事はありますか?体温は微熱ですね。
血圧は薬をのんでいるという事なので血圧ちょっと高めですよね。
それからちょっとドキドキしてて脈も若干速いと。
呼吸数は正常ですね。
正常の脈はどれぐらいですか?90回以下ですね。
研修医の皆さん疑われる病名をフリップにお書き下さい。
(中江)これで分かっちゃうんですか?なんかいろんな事がありすぎてあれもこれも怪しいって感じ…。
たばこも20本でしょう。
でお酒も飲んでる。
俺とそっくりな感じするけどね。
食べる物も。
立場もね。
立場も…。
(中江)ストレスがたまると甘い物食べたくなるとかいいますけどね。
すき焼きだろ。
でもすき焼きは火通ってたんだよ。
卵。
(玉ちゃん)卵。
卵の殻にサルモネラがついてたりするんですよ。
では皆さんフリップをお出し下さい。
どうぞ!
(玉ちゃん)まずは伊藤先生から病名発表お願いします。
(玉ちゃん)先生は?
(玉ちゃん)麻岡先生。
来た来た来た来た来た来た…来ましたよ!さあここからドクターGと研修医の真剣勝負です。
カンファレンススタート。
はい。
早速始めたいと思います。
伊藤先生から「潰瘍性大腸炎」という病気説明してもらっていいですか。
膠原病みたいなものなんですが粘膜が損傷されるもので腹痛もあるというところから…。
合う点をちょっと話して下さい。
(伊藤)口の中も粘膜なので…。
口内炎とつながるという事ですか。
「潰瘍性大腸炎」というのは「自己免疫疾患」と言って自分の体を自分で攻撃してしまう疾患の中の一つでターゲットが大腸の粘膜であるという事ですよね。
時々同じ粘膜の仲間である口の中口内炎を合併する事がある。
口内炎をピックアップしたのはいい事じゃないかなと思います。
次は先生。
「感染性腸炎」という事で。
麻岡先生も「サルモネラ腸炎」という事で両方とも広く大きな意味では「感染性腸炎」という事ですが…。
ウイルスとか細菌に感染して下痢とか腹痛が起こってくる…。
10日前にいろいろ食べられていてカツオだったり生卵だったりそこで何か感染が起こったのではないかなと思って感染性腸炎と。
麻岡先生も広い意味では同じですけども…。
やっぱり卵を取った場面が結構印象に残ってまして…。
サルモネラは卵の中に侵入してたりするとそれを食べる事によって腸炎を起こすと。
お二人は感染性腸炎。
口から細菌を食べてしまったというか入ってしまって起こる腸炎。
こういうのをひっくるめて我々は何て称しますか?そうだよね。
「急性胃腸炎」というのは今出たサルモネラもそうですが多くはウイルス。
斉藤さんを襲った…伊藤先生は腸に炎症が起きた自己免疫疾患と考え先生と麻岡先生は細菌による急性胃腸炎と考えた。
もうちょっと鑑別出してみませんか?この人であったら嫌だなと思うのは…どうして大腸がんで下痢するんですか?大腸がん大体腸の内側に向かって育っていくので要は狭まっていくんです。
そのうち普通の便が出なくなって汁しか通らなくなっちゃう。
どうでしょう?私はたばこがというのもあって年齢も58歳という事で血管系の病気…説明してもらっていいですか?英語出てきちゃいましたね。
腸管を栄養している血管が詰まる事によってその腸管が壊死というか…。
もう一つ…。
どうぞどうぞ。
あっいや…。
(玉ちゃん)いいんですよ。
甲状腺首にある臓器でそのホルモンが出ると代謝が亢進する。
代謝が亢進する事で頻回な排便がある。
発熱頻脈や発汗動悸が起こり下痢を伴う場合もあります。
半年ぐらい前から甘い物も多くとってるというところと頻尿というところは糖尿病が考えられるのかなと思いまして。
糖尿病は複雑な感染をしやすいという背景があるので膿瘍みたいなものとかが例えばあってそれで下痢とか…。
なるほど。
随分患者さんの背景を考えていろんな病気が出てきた。
すばらしいと思いますね。
主訴である「下痢」をキーワードに研修医が挙げた6つの病名。
この中に斉藤さんの下痢の原因はあるのだろうか。
まずは伊藤先生の挙げた自己免疫疾患潰瘍性大腸炎から検証する。
どうでしょう伊藤先生合わない点…。
ちょっと合わないかなと…。
基本的に慢性的な病気なので多くは1か月とか2か月とかたってきたりする。
では先生と麻岡先生の挙げた急性胃腸炎はどうか。
合わないところも僕は結構多いかなとは思ってて…。
(玉ちゃん)どれですか?9日間はさすがに続きすぎかなと。
そうですよね。
急性胃腸炎の自然経過って大体24時間〜48時間ぐらいで大きい腹痛は和らいできて下痢だけ残って大体1週間以内ぐらいに治っていくと。
もう一つは急性胃腸炎ってどういう症状がそろってる場合君たちは急性胃腸炎だと思いますか?「おなか痛くなって…」とか。
3つがそろっている時に僕たちは「急性胃腸炎だよね」と考えるわけですよね。
斉藤さんは9日以上腹痛下痢が続いている事から食事からの感染による…この方は吐き気がない。
では3つそろっていればいいのかという話もう一つあって…「上から下」と「下から上」というのがあるんですね。
「上から下」。
「下から上」。
どっちが悪そうですか?下だな。
俺も下だと思う。
その方が怖い。
研修医の皆さんはどうですか?そうね。
そういう意味ではこの方は吐き気がないですもんね。
今後出るかもしれないわけですね。
そうですね。
そのとおりです。
もし吐き気が出ればこれら4つの病気以外にもっと重篤な病気の可能性も出てくる。
診断を進めるには吐き気に加えどんな情報が手がかりになるのだろうか?他にどんな事を聞いときたいなと思いますか?実際に患者さんを診た時には。
血が混じってるかどうかという事も含め便の様子を知りたいというのと…。
下痢をしたあとにすっきりするのかどうか。
痛みがそれでなくなるんですか?続いていくんですか?とか。
症状がどう変わるのかというのがもし分かればいいなという事。
先生他どうですか?
()どんな痛みがあるのか…。
痛みの質という事ですかね。
例えばどんな…?
(玉ちゃん)教えて下さいよ質を。
キリキリするような痛み…。
そういう痛みの質について次のVTR出てくれば診断の助けになるかもしれませんね。
さあ診断を絞り込むためにVTRの続きをご覧頂きます。
ドクタージェネラル!ちょっとお父さん大丈夫?何だよ大丈夫だって。
お父さんだけじゃ心配だから私も入っていい?ああ…。
あの〜すみません。
娘も話を聞きたいというもんですから。
かまいませんよ。
あとでお父さんの事でお話を聞かせて下さい。
はい。
あ先生今トイレで便を確認してきたんですけどあの〜なんて言うか…まあ普通の下痢でした。
そうですか…。
そうですね〜。
いや〜…。
う〜ん…。
う〜ん…。
あそれですね。
ズーンという感じが近いと思います。
いいえ。
良くも悪くもなりません。
ただ…。
今日は姿勢がとってもいいですね。
ありがとうございます。
先生に褒められたこの時は少し痛みが和らいだような気がしました
他に気になる事はありますか?
実は…
うわおいしそう!自分で作ったんですか?
(斉藤)いや娘だよ。
今大学が春休みでうちに居てさ…。
そんな娘さんいたんですか。
今度紹介して下さいよ。
するかばか野郎!
(笑い声)食べる?えいいんですか?やった〜!ちょっと朝からムカムカしてさ。
はい。
何だかムカムカして…。
少し吐いてしまいました
おう吐があったんですね。
朝食べた物を吐いてしまってその後も吐き気は続いていました
お父さんの様子で何か気付いた事はありますか?
(美恵)あの〜気付いたというか少し気になる事が…。
案外上手じゃない。
うん。
先生に期待されてるんだ。
あっ…ちょっとトイレ。
おしっこ。
うっ…。
ちょっと大丈夫?大丈夫だよ。
(美恵)
おなかだけじゃなく足の様子もおかしいみたいで。
あれ年のせいなんでしょうか
人を年寄り扱いするな。
正座しててしびれただけだよ。
あっちょっとすみません。
ちょっとおしっこ。
斉藤さんあなたの病名分かりました。
え…?いやいやいや…もう病名が分かった。
(玉ちゃん)分かったってね…。
先生は悩んでる感じです。
まだ分かってないような…。
さあ研修医の皆さん考えられる病名をフリップにお書き下さい。
さあ我々見たところ下から上のおう吐ありましたね。
(上島)ありました。
これはなかなか軽いものじゃないなと思いました。
(玉ちゃん)かなり重篤な…。
さあ悩んじゃっております。
(中江)緊張感が…伝わってきます。
排便はあんまりすっきりしないんだっけ。
(中江)痛みは変わらないって…。
さあ研修医の皆さん病名を書き終えたようです。
最終鑑別フリップオープン。
(玉ちゃん)ジャカジャン!さあ伊藤先生からお願いします。
(玉ちゃん)先生。
(玉ちゃん)麻岡先生。
それでは最終カンファレンススタート!最終カンファ始めたいと思います。
伊藤先生「腸腰筋膿瘍」という病気を挙げて下さいましたけど…。
「腸腰筋」という筋肉は骨盤の方に近い筋肉なんですけども…。
僕はやっぱり糖尿病もあるのかなと考えていて頻尿である事と足のしびれもあるというところが膿瘍をつくってしまって…。
基礎疾患に糖尿病があるんじゃないか。
それが今回の症状と関連してるんじゃないか。
また先生と麻岡先生仲良く同じ病気になりましたけど…。
じゃあ先生から…。
「ズーンとする痛み」というのがこの病態が一番説明できる。
最初のカンファレンスで挙げた下痢の原因の中から先生と麻岡先生は大腸がんという悪性腫瘍を考え伊藤先生は糖尿病から膿瘍を合併した腸腰筋膿瘍と考えた。
しかし…。
どうでしょう。
腸腰筋膿瘍ってまずどこが痛くなりますか?あ〜…背中。
背中なんですよね。
背骨のまわりについてる筋肉ですよね。
斉藤さんの訴えに…それと大腸の痛みの特徴って…。
もしくは排便で…?増悪するか。
大腸の中に便が通るわけですから炎症や狭窄があればそこを通る時に痛みが強くなる。
で通ってしまうと楽になる。
排便で痛みは変わりますか?いいえ良くも悪くもなりません。
結局おなかの痛みって結構難しいですよね。
今回も多彩な症状が出ていておなかの中のどこが悪いのかなというのを臓器を一つ一つ問診で鑑別していきたいなと思います。
ズーンとうずくような痛みですか?あそれですね。
あの…ちょっとすみません。
あ〜っ…!うっ…。
そして…。
これらの症状の原因はおなかのどこにあるのか。
その謎を臓器別に鑑別していく。
(玉ちゃん)何か出てきましたね。
出てきました。
まず一番目立つの肝臓ですね。
(伊藤)肝臓の位置はおなかの上の方になるので…。
どっちですかね?右と左は。
右です。
この方どこを…。
おへその真下ぐらい。
どうですか?肝臓がこの辺痛くなるというのはどうですかね。
外していいと思います。
肝臓に問題がある可能性は低い。
これ外れるようになってるんです。
お〜っとレバー。
あっちに持っていって下さい。
(玉ちゃん)出てきた何か。
ここにあるのは何ですか?胆のうです。
(玉ちゃん)苦いとこだよねこれ。
()ズーンって重い痛みじゃなくて…胆のうって例えば脂っこい物夕御飯に食べて「胆汁」っていう消化する液が増えるわけです。
そうすると膨らんでくるわけですよね。
袋状の臓器胆のうに障害があれば張るような痛みを感じるはず。
しかし…。
ズーンとうずくような痛みですか?あそれですね。
胆のうに問題がある可能性も低い。
出てきたのが胃ですね。
粘膜がすごく豊富なところですからそこに炎症起こすと針で刺すようなとか痛みが出るはずです。
それからもう一つ…。
食事にかなり関係してくるのかな。
すばらしい!そのちょっと後ろになってくるとおなかすいてる時に痛くなる。
それは十二指腸。
十二指腸ここにあります。
それとすい臓ですね。
食べると痛くなる。
すい臓も消化酵素出してますから食事で悪化するはずですよね。
この方どうでした?食事との関係は。
食べてました。
無理して食べないでいいよ。
おなかはすいてんだよ。
ここに腎臓2つありますけど…。
随分すっきりしてきましたね。
人間の体もこうやってたまに外せるならいいな。
俺もきれいに洗ってさ天日干しにしてさ…。
でまたちゃんとね…。
(中江)戻す。
さてここに見える大腸とか小腸が残ってきてるわけです。
大腸はやっぱり特徴は排便でどうなるかという事だと思います。
この方はなんて言ってましたっけ。
排便で変化はなかった。
あまり変化はないと。
どうでしょう?小腸に関しては。
波があるかどうか。
う〜んそうね…。
恐らく腸が蠕動運動といってものを送り出すような動きをしていってどっかで詰まってるとそこでキリキリキリッと痛みが出ると。
小腸に詰まるなどの障害があると波のある痛みを感じるが…。
シクシク波のあるような痛みですか?う〜ん…。
下痢のイメージはやっぱ…。
小腸というと下痢する場所というのはあります。
そしてあと…。
(一同)おう吐。
確かに麻岡先生おっしゃるように中が詰まってるとそこから先進めないのでシクシクシクギリギリギリギリッと痛みが出るんじゃないかと思います。
という事は中ではないかもしれないと。
斉藤さんは小腸特有の…しかしおう吐下痢の症状が出ていたという事は原因は小腸の中ではなく他にあると考えられる。
後ろの方の臓器をみたいので星をつけておきました。
さて次は…ここにあるのは何ですかね?
(一同)尿管です。
やっぱり頻尿おしっこが近いという症状は尿管から膀胱どこかの経路にダメージがあってほしいなって思うんですがどうでしょう?残したい…。
残しましょう。
斉藤さんが訴えていた頻尿は尿管から膀胱に何らかの障害があったと考えられる。
残るはズーンとした腹痛と足のしびれの原因だ。
ドクターGが注目したのは…ちょっとトイレ。
おしっこ。
うっ…。
ちょっと大丈夫?大丈夫だよ。
何か気になった事ないですか?随分上の方しびれてたんだと思うんですね。
何か刺激があってしびれが出てる可能性考えないといけない。
斉藤さんの足のしびれは神経に問題があったと考えられる。
これでおなかの痛み以外の全ての症状は小腸尿管そしてそけい部に関わる神経の3つと関連がある事が分かった。
では斉藤さんのズーンとした腹痛。
謎のトライアングルがつくられてきたわけですが何か他に気付いた点VTRを見てありますか?
(玉ちゃん)どうでしょうか?猫背とかと関係があるんでしょうか。
なるほど。
それに気付いて下さっていたと。
どうでした?この方の姿勢は。
基本猫背で先生に姿勢を褒められた時は和らいだとおっしゃってたので。
斉藤さん。
はい。
姿勢。
あっはい!今日は姿勢がとってもいいですね。
ありがとうございます。
麻岡先生が注目したのは斉藤さんの姿勢。
ふだんは前かがみだったが症状が進行するにつれて姿勢が良くなっていた。
それはどういう状態を意味してるんでしょうかね。
おなかの圧力を逃がした方が楽ちん。
圧迫した方が嫌だとするとそれは…?腸管とかが外に出ちゃったりしてたら嫌なのかなと。
あとどうですか?伊藤先生。
腫瘍がこの下腹にあるから圧迫すると嫌だと。
あと残ってるのはこの三角の中に見えるもの。
どうですかね?どうですか?血管?血管。
見えますね。
三角形の中にあるもの。
それは…血管ってどんなイメージが…?皆さんこの手のところを3本の指で押さえてみて下さい。
どんな感じしますか?
(玉ちゃん)ドックンドックン。
ドックンドックン。
感じますかね。
これはまさに血管の感覚ですよね我々が感じる。
どっかドキドキするシーンってなかったですか?先生を見つめてるシーン。
あ〜っそういう事か!斉藤さんに起きた多彩な症状。
最後に残った腹痛の謎を解く鍵はこの書道のシーンに隠されていた。
ほんとだ。
今何が見えましたか?
()おなか押さえてるところが拍動していました。
そうすると病気が見えてきたんじゃないかなと思います。
(玉ちゃん)見えてきましたか?分かってますね3人さん。
大丈夫ですか?分かった?発表してもらいましょうか。
いいですか?じゃあせ〜の…。
(一同)「腹部大動脈瘤」。
正解です!
(拍手)まあもっと言うと…?
(玉ちゃん)破裂?破裂寸前ですね。
腹部大動脈が破裂寸前まで膨らみ尿管を圧迫し頻尿を小腸を圧迫しおう吐と下痢をそして神経を圧迫し足のしびれを起こしていた。
破裂した場合は大量出血で死に至る事もあります。
今もホームセンターで店長代理として働いている。
日常生活の中で患者さんたちが感じている症状というのは例えばこの方姿勢のように自分が楽な姿勢があるなと気付いていてもそれを言葉に表現できない事って多いじゃないですか。
患者さんたちの…そういうのを我々は問診を通して拾い上げてあげてそれが今前かがみになるとなんか圧迫されて何かが腫れてるんじゃないか。
医学的な意味づけを隠れたシグナルにしてあげる。
問診の力だと思うんですが今日のカンファレンスで皆さんと一緒に声なきシグナルを見つけだすいくつかの着目点が共有できたと思いますのであしたからの診療に是非生かして頂いて頑張りましょう。
(玉ちゃん)これがもうカンファレンスですよ。
研修医の皆さんどうでしたかね?伊藤先生。
鑑別の時に今思えばなんですが血管系の事をもう少しそっちまで考えられたらよかったなと思います。
先生どうですか?今回は臓器別に症状とか部位とかを順番に考えていけたのでターゲットを絞って診察するスピーディ−にするというところがすごく勉強になりました。
問診だけで血管なんじゃないかというところまでいけるというの追体験させて頂いたのはすごく勉強になりました。
問診でここまでたどりつくのかという事に驚きましたし自分自身が自覚していない事を拾い上げてくれる。
そういうものの力ってものすごいですよね。
気が付かないというのは怖いですね。
いやもう本当感動しましたよ。
だって先生は名探偵ですよね。
言ってみれば体のね。
いわゆる恋のときめきで気が付いたわけですから。
そこまで問診しても言えるかどうか…。
ときめいたらこういうところ…。
触ってみよう。
さあ塩尻先生今日はありがとうございました。
次回はどんなカンファレンスが繰り広げられるんでしょうか。
さようなら〜。
ごくろうさんです。
おつかれさまでした。
生字幕放送でお伝えします2014/05/30(金) 16:05〜16:55
NHK総合1・神戸
総合診療医 ドクターG「下痢が止まらない」[字][再]
ホームセンターで店長代理を務める58歳男性は、最近、お腹が痛く、頻尿、下痢に悩まされる毎日。ドクターGはその痛みから原因に迫ったところ、意外な病気が明らかに!
詳細情報
番組内容
患者は、ホームセンターで長年働いてきた58歳の男性。半年前に店長代理に抜てきされストレスを感じていた。10年前に妻を病気で亡くし、一人娘は大学寮に入り、現在ひとり暮らし。生きがいにと書道教室に通い始めたが、ある日、美人講師の指導に緊張のあまり?頻尿に。帰宅すると下痢が始まった。日を追うごとに尿や下痢の回数は増え、仕事に支障が…。帰宅した娘がふらつく父親の様子を見てドクターGへ連れて行ったところ…。
出演者
【出演】総合病院国保旭中央病院(千葉)総合診療部…塩尻俊明,【ゲスト】上島竜兵,中江有里,【司会】浅草キッド,【語り】小野寺一歩,佐竹海莉
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
バラエティ – クイズ
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
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