課外授業 ようこそ先輩・選▽故郷を想う祈りの踊りを創ろう〜舞踏家 長嶺ヤス子 2014.05.30

今回の舞台は…先輩は77歳。
喜寿を迎えた今も踊り続けるすごい方。
フラメンコの本場スペインで一流のダンサーと認められたがそれに満足するような人ではない。
(長嶺ヤス子)やっぱあくまでフラメンコではないですから日本人の私が踊るものは。
一番大事なのは私なの。
帰国後独自の踊りを次々に発表。
長年日本の創作舞踏をリードしてきた功績で…母校を訪ねるのは実に66年ぶり。
後輩たちに与える課題は…長嶺さん自信の程は?教えるっていうか私教えた事もないし踊りは教えるものじゃないので。
子どもはホントの事言うと嫌いなの。
こりゃ大変だ。
自然に任せようと思ってますけど。
こんにちは。
(子どもたち)こんにちは。
ビックリした?私もビックリした。
私ね今とってもドキドキしてるんです。
なぜって子どもたちにこうやって接するの初めてなの。
私は結婚してないから子どももいないし。
だからすごい今怖いと思ってるの。
だから皆さん優しくしてね私に。
私おばあちゃんであなたたちのひいおばあさんくらいの年なの。
長嶺さんが小学6年生だったのは終戦後間もない昭和22年。
一方相手は21世紀生まれの子どもたち。
さあどうなるか…。
じゃあ踊りが好きですか?
(子どもたち)はい。
嫌いな人は?いないの?みんな踊りは好きだと言う。
「じゃあ見せてほしい」と長嶺さん。

(「ChooChooTRAIN」)終わり?
(「ヘビーローテーション」)長嶺さんには無縁の世界。
何か言いたそうだ。
真似して踊って楽しい?楽しい?どうして?見て踊ったってそれは人の真似してるだけだから自分の表現っていうか自分の気持ちじゃないでしょ。
でも真似はいい事なのね。
私もスペイン舞踊始めた時は最初はスペイン人の真似一生懸命したの。
スペイン人の真似。
でも真似やった事ですっかり覚えてから自分が出てきたから皆さんも自分の気持ちで踊れるようになってほしいの。
人生初の踊りの授業。
長嶺さんはまず後輩たちの気持ちを爆発させる事から始めた。
上手頑張ってね。
もっと怒れもっと怒るの。
そう!そうバン!バン!バン。
もっと怒んの怒んなさい怒んなさいほら。
おいおいおい走ってどうする?ああ〜この子も…。
頭かきむしったりそれからこうやったりワ〜ッてやったりそれからギャ〜ッて泣いてもいいの怒りだもの。
でも中にたまってたら最後は爆発するでしょ。
最後ア〜ッて。
分かった?そのくらい自分を出すの。
怒ってんの。
もうやだ!そう。
じゃあ…。
髪の毛引っ張られたらどうする?ほら。
ふざけんな〜!上手だ。
お〜ようやく爆発した。
ばか野郎!すごい。
おりゃ〜!ふざけんなこの野郎!うわ〜!ワ〜ッ。
激しい気持ち持ってるじゃないか。
さては隠してたな。
すごい。
すごい。
うわ〜!消えろ。
拍手しましょうみんな。
上手!拍手しましょう。
次は…これは簡単じゃないぞ。
自分の哀しみを人に分かるようにするのね。
それは自分がホントに哀しいと思わなきゃ駄目なの。
何も思わないで感じない人は自分がないの。
哀しい。
あっそれだけ?ああ〜…。
う〜んなかなか…。
今のすごい短いけどすごくよかった。
こうやって何か土をこうやったのがとってもすてきだった。
この子はみんなをシ〜ンとさせた。
やってると自分で想像してるのより何か違う動きが出てくるのが不思議だなと思いました。
それはあなたがその気持ちになったから今日。
こうやって哀しんだ時も何かやった動作が全てあなただったの。
だから自分でその気持ちになって自分が表現しようとしたらいろんな事ができるの人って。
素直な気持ちをみんなが持ってんのはよく分かったの。
だけどみんなに何か言うとか訴えるとかそういうのが足りないような気がした。
もっと自分をワ〜ッと出していいと思うの。
長嶺さんは自分の踊りを見せた。
独自の踊りを貫いてきた長嶺さんは言う。
泣いたり笑ったりしてたけどあれも踊りなの。
自分の醜さとか悪い考えとかそれがみっともない事であっても泣きわめいてても正直に自分を隠さないで出すのが踊りだと思ってるの。
後輩たちはこの課題に挑む。
長嶺さんが気になっていたのはあの大震災のその後…。
母校の後輩たちが受けたショックは計り知れない。
なんとか踊りの力で応援したいと思っている。
震災が起きた時自分が何を感じたかその時の気持ちを思い出して書いてそれを踊りに表現してほしいの。
当時はみんなまだ小学3年生。
激しい揺れが襲ったのは午後2時46分。
教室で帰り支度をしている時だった。
「震災の時僕は必死で机の下に隠れました。
死ぬかと思いました」。
揺れが少し収まった頃校庭に避難。
雪が降る中親の迎えを待った。
「友達の前では我慢して泣かなかったり励ましたりしていたが家族の顔を見ると涙が出てきた」。
この体験はもう二度としたくないって思いました。
この経験を二度としたくない。
でもこれは自然に起こる事だからしかたないですよね。
地震じゃなくてもいろんな事があると思う。
だからもう不幸で大変だと思わないで今現在自分が生きてる事をとてもありがたいと思って一生懸命生きてほしいと思うの。
つらかった経験を踊る事で生きる力にしてほしいと長嶺さんはお手本を示す。
(雷鳴)震災時の気持ちをリアルに感じてもらうために効果音まで用意した。
この一連の思いを紡いで踊りを創ってほしいという。
しかしみんな固まってしまった。
気持ちのまま自由に動けと言われても踊りの基礎を知らなくては動けない。
これはもう一人一人に教えていくしかない。
長嶺さんの格闘が始まった。
「東日本大震災は船に乗っているようなものすごい揺れでこのまま死ぬのかと思いました」。
(雷鳴)いい?どっかで恥ずかしいと思ったでしょ。
それが伝わっちゃうの。
恥ずかしいと思っちゃいけないの。
こうやって「助けて助けて!」。
自分を隠さないでやればいいの。
(雷鳴)助けて助けて!怖い怖い。
「私は震災後地震にすごくおびえるようになりました。
一人で2階の部屋に行けなくなったり一人で行動する事が怖くてできませんでした」。
全ての感情全部出して空っぽになったらいいのよ。
いつもワ〜ッて言って。
その方がすっきりして前に進むから。
それで人は大きくなっていくの。
(雷鳴)そうまた小さくなる小さくなる。
怖い怖い怖い。
踊りの振り付けも長嶺さんにとっては初めての経験。
私は振り付けできない人なの自分の事も。
でも子どもたちがね一生懸命だから私も一生懸命考えて。
萌さんは母親の深い愛情に初めて気付いた。
(萌)「私はお母さんが迎えに来てほっとして涙を流すのを初めて見ました。
その時私はお母さんを見て大切にされているのだなと思いました」。
お母さん見てワ〜ッと走っていってワ〜ッと抱きしめてそれでこうやって。
自分の命がどんなに大切か。
周りの人にとっても自分がどんなに大事かを意識してくれたらとてもうれしいです。
楽人くんは地震の恐怖におびえながらも生まれたばかりの妹を思った。
(楽人)「僕の妹は震災の時生まれてまだ2週間しかたっていませんでした。
僕はすごく心配で早く家に行きたい気持ちでいっぱいでした」。
心配だな妹。
妹どうしてるかな?妹妹…。
しばらく考えたあと妹の無事を祈る気持ちも表現した。
(潮騒)幸い家族はみんな無事だった。
愛夢くんは津波の犠牲者に思いを寄せた。
(愛夢)「この東日本大震災で一番ショックだったのは津波です。
多くの人の命を一瞬にして奪い町や村をのみ込んで引いていった津波を僕は許せませんでした」。
津波を許せないと思った気持ちが伝わってきたの。
こうやった時やなんかね。
でも一つだけね…。
こうやって。
こうやって。
手を動かしてこうやって「許せない」って。
指導を受けたら別室で練習に励む。
長嶺さんの思いに応えようと後輩たちも懸命だ。
こんな感じ。
(女子)手の指先。
(女子)そうそうそこら辺。
ここら辺ここら辺。
(真子)「地震が起きた時に恐怖と不安でいっぱいだった私は泣くしかありませんでした。
最初は先も何にも見えず怖いなと思って気持ちが弱い人間なんだと思っていたけど徐々にきっと大丈夫だなと思えるようになって少しは強くなれたと思います」。
長嶺さんは34名全員と5時間にわたって向き合った。
転がってこうやって。
転がってこうやって起きてこうやって。
起き上がってア〜ッて見る。
そう。
最初は子どもが嫌いと言っていたが今はかわいくてしかたがないようだ。
すごくきれいだったのどうやったっけ?たくさん見て…あっそうそう。
上手!すごくよかった。
ねえビックリした。
これすごくいいと思ったこうやって見るの。
ねえちょっと私の事見て。
今何考えてる?困ったなと思ってるの?ねえねえ?踊りが好きじゃない?ねえそしたら思うだけでいいのよ。
ねえ泣かなくていいのよ。
終わってよかったって。
ほら私の事見てよ。
動くの怖い?怖くないでしょ。
上手にしようとか何か見せようと思うからよ。
ほらよかったね周り見て。
若菜ちゃんよかったね。
はいよかったよかった〜。
泣かないのよかわいいのに。
じゃもういっぺんやろうね。
おいでよかった。
はいこっち。
よかったよかった。
最後に校庭で故郷の空の下大地を踏み締めながら祈る。
これから校庭で空の下でみんなの幸せを祈って踊りましょうね。
いろんな事があったけどそれを乗り越えてみんなでいくっていう決心を空に向かって誓おう。
いい?
(子どもたち)はい!
(鳥のさえずり)
(雷鳴)
(楽人)「僕が祈っている事は放射線を完全に無くしみんな元気で笑って暮らしたいです」。
自分の今生きている事はとっても大切なんだなって改めて思いました。
今までは復興などの事はあんまり考えなかったけど祈りのダンスを通して早く復興して震災前の福島故郷の福島に戻ってほしいという思いが芽生えました。

(若菜)最初はすごく何か怖そうな人だったけど優しかったです。
(拍手)夕闇迫る頃長嶺さんの熱い授業は終了した。
とってもうれしくてホントに悲しいの。
みんなの事とっても好きになったから。
子どもは大嫌いだった。
でもみんながとっても素直で勇気を出してくれて一生懸命踊ってくれてホントにうれしいの。
ありがとう。
私があなたたちの時ここにいたの。
だからねもう66年もたった。
でもあなたたちは私の代わりにここにいるでしょ。
一生懸命勉強して一生懸命生きてって。
ねえ。
(子どもたち)はい!ありがとう。

(ノックアウトくん)高橋さん。
はい。
2014/05/30(金) 19:25〜19:50
NHKEテレ1大阪
課外授業 ようこそ先輩・選▽故郷を想う祈りの踊りを創ろう〜舞踏家 長嶺ヤス子[解][字]

今回の先輩は77歳の舞踏家長嶺ヤス子。母校の福島市立鎌田小学校は大震災に遭遇した。後輩たちにあのとき感じた怒りや悲しみを、踊りとして表現してもらいたいと考えた。

詳細情報
番組内容
今回の先輩は、77歳にして現役の舞踏家・長嶺ヤス子。舞台は福島市立鎌田小学校。これまで踊りを教えたことがない長嶺さんが、初めて踊りを教えることに挑戦する。東日本大震災に遭遇した後輩たちに、そのとき感じた怒りや悲しみ、戸惑いなどの感情を、踊りとして表現してもらいたいという授業。熱いレッスンを通して子どもたちが変化していく。最後のシーンは夕日が照らす校庭。祈りを込めて踊る子どもたちの姿があった。
出演者
【出演】舞踏家…長嶺ヤス子,【語り】藤村俊二

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – その他
趣味/教育 – その他
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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