NTT docomoは、iOS端末向けにキャリアアップデートを実施。キャリアバージョンは16.2へと更新されます。
しかしこのキャリアアップデートを適用した、MVNOのSIMカードを挿したSIMフリー版のiPad AirおよびiPad mini Retinaで、テザリングが利用できなくなったことが明らかになりました。
本日から配布されているiPad AirおよびiPad mini retinaのキャリアプロファイルのアップデートを適用後(ドコモ16.2)、インターネット共有(テザリング)が利用不可になったとの声をいただいており、また担当者の手元のiPad Airでも事象を確認しています(続く)
— IIJmio (@iijmio) 2014, 5月 31
詳しくは今後確認しますが、テザリング機能が必要な方は、キャリアプロファイルのアップデートを行わないようご注意ください。また適用してしまった方は、バックアップからの復元によりキャリアプロファイルを戻すことが可能です(キャリアプロファイルはバックアップされません)。お試し下さい。
— IIJmio (@iijmio) 2014, 5月 31
このように、検証を行っているIIJmioがツイートしており、MVNOで当該機種を利用中の方は、キャリアアップデートを控えるようにしましょう。
これはNTT docomoが6月10日より、iPad AirおよびiPad mini Retinaの取り扱いを開始することに伴う措置とみられます。NTT docomoの取り扱っていない現行より前の世代の機種、つまり第4世代までのiPadには今のところ影響は出ていない模様です。
SIMフリー版iPhone 5s、5cのテザリング機能も、MVNO SIMでは利用できないようになっており、これらはNTT docomoによる、SIMフリー版のiOS端末ユーザーとMVNOに対する、事実上の妨害行為と言っても過言ではないと思います。
このようなことがあるので、iOSのアップデートでは、アップデートによる変更点がユーザーに明示されているのに対し、携帯キャリアが行うキャリアアップデートは説明がないという仕様は、ユーザーにとって不便であると思います。
MVNOは、仮想移動体通信事業者です。IIJや日本通信など、多くの企業がNTT docomoの回線を間借りして通信サービスを提供しています。ユーザーにしてみれば、SIMフリーの機種を使うために、MVNOのサービスを契約しているのに、自分の契約していないNTT docomoの商売上の勝手な理由で、これまで使えていた自機種の機能が使えなくなるのは、たまったものではありません。もちろん、こんなくだらない嫌がらせで、契約しているユーザーを困らせてしまう、ユーザーに苦情を言われてしまうMVNOも可哀想です。
キャリアにとって、総務省にやれと言われてやらされるMVNOの存在は、自分たちの利益を守る上では面白くない、目の上のたんこぶでしかないのかもしれません。このような嫌がらせが横行しているようでは、総務省の掲げる「SIMフリー化」への道のりは険しいと言わざるを得ないでしょう。非常に残念な出来事だと思います。