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通巻195号 横断幕事件の告発者が語る「本当に訴えたかったこと」
海野隆太(浦和レッズサポーター@inumash)インタビュー<前篇>

(C)Tete_Utsunomiya

■目次

  • ●サッカー王国ブラジルのトラウマから何が見えるか?
    『マラカナンの悲劇 世界サッカー史上最大の敗北』書評
  • ●横断幕事件の告発者が語る「本当に訴えたかったこと」
     海野隆太(浦和レッズサポーター@inumash)インタビュー<前篇>
  • ●「サポーター=怖い」はホントに「誤解」なのか?
     徹マガ編集長コラム(澤山大輔)
  • ●千田善の月刊フットボールクリップ
     クロアチア&ボスニア代表のデリケートな事情
  • ●ウェールズから受けたふたつの衝撃
     徹マガ編集後記(内藤秀明)

横断幕事件の告発者が語る「本当に訴えたかったこと」
海野隆太(浦和レッズサポーター@inumash)インタビュー<前篇>

 5月17日と18日に行われた第14節をもって、J1リーグは長い中断期間に突入した。首位に立ったのは、勝ち点29の浦和レッズ。ワールドカップによる中断期間が明ける7月19日まで、浦和は実に2カ月間にわたり首位の座をキープすることになる。そんな中、2カ月前の忌まわしき「事件」と「処分」について、このタイミングで触れることに快く思わない方もいらっしゃるかもしれない。

 最初にお断りしておくが、徹マガが今回、浦和の横断幕事件について触れるのは、この期に及んで浦和を糾弾することを目的としているからではない。そうではなくて、今回の事件について、あらためてサッカーファン全体で考えていく必要性を強く感じるからである。さすがに人種差別については、われわれも敏感にはなった。それでも、ここ最近もJリーグの試合で立て続けに不祥事が発生している。

 たとえば5月3日のこんな事件。そして18日の四国ダービーでも、こんな事件が起こっている。20日のJリーグ理事会では、村井満チェアマンがスタジアム内での相次ぐ不祥事に、強い不快感を示したことも報じられた。

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という格言そのままに、早くも浦和での教訓が風化しつつあるのではないだろうか。そんな危惧を禁じ得ない。数々の重い制裁を受け、世間の厳しい視線を浴びる中、それでも浦和はピッチ上でしっかりと結果を出しながら必死で生まれ変わろうとしている。しかし他方、浦和で起こった出来事を教訓とすることなく、あちこちでこうした問題が発生しているのもまた事実である。

 今号と次号では、浦和の横断幕事件をTwitter上で告発し、これまで見過ごされてきたサポーターとクラブとの不健全な関係に一石を投じた、浦和サポーターの海野隆太さん(@inumash)にご登場いただく。実のところ、海野さんにお話を伺った時点では「何かしらの教訓を残したい」という想いが先行していた。だが入稿直前の今となっては、その教訓が急速に風化しつつあることへの焦燥が募っている。

 くどいようだが、大切なことなのでもう一度強調しておく。今号と次号で取り上げる横断幕事件は、決して浦和レッズ「だけ」の問題として取り上げるのではない。愛するクラブを持つ、すべてのサッカーファンが「当事者」として捉えるべき問題として、皆さんと一緒に考えていくことを目的としている。そのことをご理解いただいた上で、読み進めていただければ幸いである。(取材日:4月11日)


(C) 海野隆太

■浦和の第一印象は「面白いチーム」

――今日はよろしくお願いします。本題に入る前に、まずは海野さんのバックグラウンドからお話いただきたいと思います。ご出身は、埼玉ではないそうですね?

海野 そうです。神奈川なんですが、もっと静岡寄りの足柄下郡箱根町。箱根駅伝で有名なところですね。

――ああ、箱根町ですか! 地理的にはまったく関係ないのに、どうやって浦和レッズと出会ったのでしょうか?

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