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世界禁煙デー 企業の関心高まる
5月31日 7時57分

31日は、WHO=世界保健機関が定めた世界禁煙デーです。
他人のたばこの煙を吸ってしまう受動喫煙の対策に取り組んでいる国内の企業は80%余りに上り、専門家は喫煙について、社員の健康だけでなく、会社の経営に与える影響について考える企業が増えてきていると指摘しています。

受動喫煙を巡っては、企業に対し、防止に向けた対策を求める労働安全衛生法の改正案がいまの国会に提出され、審議が行われています。
職場での受動喫煙について、厚生労働省が、おととし、全国9200余りの企業の事業所を調べたところ、全体のおよそ82%が「対策に取り組んでいる」と回答しました。
このうち、建物の中を禁煙にしている事業所がおよそ38%を占めたほか、敷地内のすべてを禁煙にしている事業所もおよそ13%に上りました。
企業の喫煙対策に詳しい産業医科大学の大和浩教授は、「これまでは喫煙の健康への影響ばかりが重視されてきたが、最近になって、医療費の増加など、社員の喫煙が企業に与えるコストについて考える企業が増えてきている。会社は、喫煙する社員と喫煙しない社員の双方の意見をよく聞いたうえで、受動喫煙の防止にどう取り組んでいくか考えていくべきだ」と話しています。

禁煙治療費全額補助の企業

企業の間では、社員の健康面の理由だけではなく、経営戦略の1つとして、禁煙に取り組むところも出てきています。
東京・江東区に本社がある従業員およそ7500人のIT企業は、喫煙が、社員の健康だけでなく、医療費の増加など会社の経営に大きなマイナスになるとして、去年4月、就業規則を変えて、勤務時間中の喫煙を全面的に禁止しました。
会社は、禁煙のための取り組みとして、医療機関で禁煙治療を受けた場合、医療費の自己負担分を全額、補填(ほてん)し、さらに禁煙した社員には、旅行などに使える5万円分のポイントを贈っています。
およそ3か月間の禁煙治療を受け、たばこをやめた男性社員は、「就業規則で喫煙を禁止されたときは、とてもつらかったが、たばこをやめられたうえ、もらったポイントで家族を旅行に連れて行くことができました」と話していました。
社員の禁煙のために会社が負担した費用はこれまでに、およそ5700万円に上りますが、禁煙に取り組んだ社員の半数近い500人余りがたばこをやめるなど、経営にとってはプラスのほうが大きいということです。
このIT企業のライフサポート推進室の山口功室長は「社員が大事なのはもちろんだが、喫煙する社員が多ければ、医療費もかかるし、社員の健康なくして企業の発展はない。喫煙は経営リスクに直結するので、あえて多額の資金を投入して禁煙に向けた取り組みを行っている」と話しています。

ユニークなルール設ける企業

職場の禁煙に向けて、社員全員で話しあって、ユニークな取り組みを考案した企業もあります。
横浜市港北区にある社員80人のIT企業は、たばこを吸うために席を離れた社員が7分以内に戻れなかったり、その間に顧客から電話がかかってきたりした場合、職場の懇親会費として1000円を寄付するルールを決めています。
この会社では、かつて、喫煙所にいて顧客からの電話に出られない社員が多く、職場から改善を求める声が上がったため、このルールを設けたということです。
さらに、たばこを吸わない社員を採用するなどの取り組みも進め、およそ10年前は、社員の3割を超えていた喫煙者が、いまではゼロになっているということです。
この企業で社員の喫煙対策などに取り組む鈴木達夫さんは、「社員の喫煙により仕事の効率が悪くなるケースもいろいろあり、みんなで同意してルールを決めて禁煙を進めている」と話しています。

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