回天搭乗員の思い後世に「平和の島プロジェクト」
周南観光コンベンション協・漫画「特攻の島」とコラボ

【写真説明】記者会見する左から小野、原田、佐藤秀峰、伊藤さん
周南市の周南観光コンベンション協会(伊藤博之会長)は徳山湾に浮かぶ離島、大津島に訓練基地があった特攻兵器「回天」の史実を後世に伝えようと、漫画家の佐藤秀峰さんが回天の搭乗員を主人公に描いた「特攻の島」との共同による「平和の島プロジェクト」を立ち上げた。29日、糀町のピピ510で伊藤会長や佐藤さんらが記者会見して発表した。
回天は太平洋戦争末期の旧海軍の特攻兵器で、大量の爆薬を積んだ魚雷を搭乗員が操縦して敵艦に体当たりするという人間魚雷。プロジェクトは来年で戦後70年を迎えるが、戦争体験者も少なくなっていることから命をかけて戦った人の思いを伝えていこうというもの。
「特攻の島」は「週刊漫画TIMES」に2004年(H16)から連載されている漫画。今回のキャッチコピーはあの時代に生きた若者たちが感じた家族や国への気持ちを表す「好きだ。」で、まず28日からこのキャッチコピーと「特攻の島」の絵を組み合わせた大型広告をJR徳山駅新幹線側に張り出した。

【写真説明】完成したカレーやクッキー
さまざまな土産品も製作し、同協会から販売する。回天の色を表す黒と搭乗員の燃えるような思いを表す赤の2種類の「特攻の島 海軍カレー」をはじめ、当時、徳山の「松政」の仲居で若者たちを親身になって世話した“お重さん”が搭乗員たちの壮行会ですき焼きを振る舞ったことにちなむ「おしげさんのすき焼き」缶詰、このほかクッキー、トートバック、てぬぐい、クリアファイルなど多彩。
これらの販売収益はプロジェクトの活動資金にあてる予定で、現在は販売場所を探しており、まず4月5、6日にキリンビバレッジ周南総合スポーツセンターなどで開かれる“花☆ワイン周南まんま市場”で販売する。
将来的には100年先まで搭乗員の遺品、遺書などを保存できるようユネスコ世界記憶遺産登録▽回天記念館の本土分館の設置▽国内には靖国神社に1機だけある実物の回天機を、3機を所有する米国から永久貸与を受ける▽徳山港が戦艦大和最期の停泊地であることのPRも計画している。
記者会見には伊藤会長、佐藤さんのほか回天顕彰会の原田茂会長、お重さんに感謝する会の小野英輔会長、同コンベンション協会から竹島幸伸事務局長、理事・コンベンション委員会の佐藤英樹委員長が出席。小野会長は大津島について「観光ではなく鎮魂の場として考えていきたい」、佐藤委員長は「特に回天のことを知らない若者を中心に広げ、平和の道しるべになることができればいい」と述べた。
佐藤さんは「海猿」や「ブラックジャックによろしく」など人気作も多いが、実際に発射場跡を訪れた時のことを振り返って「取材先の周南市から提案され、あるていど認めていただけたとうれしかった。ぜひ力になりたい」と話していた。
