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津波から住民の命や財産をどう守るか。東日本大震災の被災地だけでなく、海…
津波から住民の命や財産をどう守るか。東日本大震災の被災地だけでなく、海に面した全ての自治体が抱える課題だ。
とりわけ頭を悩ますのは、整備する防潮堤の高さだろう。高いほど津波が防げる半面、自然環境や景観は損なわれ、漁業や観光にも響く。
被災地では防潮堤の再建が進んでいるが、宮城県内など一部地域で住民から「高すぎる防潮堤」への異議申し立てが続く。事業主体が代替案を工夫して当初計画より低く抑えたり、震災前と同じ高さにとどめたりした例も出ている。
こうした津波被災地の現状から、各地の自治体は何をくみ取るべきか。
防潮堤などの「ハード」に頼りすぎず、避難の計画作りや訓練といった「ソフト」を重視する。住民をまじえて丁寧に合意形成をはかる。この2点に特に気を配って欲しい。
大震災直後の11年夏から秋にかけて、政府の中央防災会議の専門調査会が、防潮堤の高さに関する指針を決めた。
明治・昭和三陸地震津波など、数十年から百数十年に1度起きる津波(L1津波)に対しては、防潮堤などの施設で住民の命と財産を守る。
さらに発生頻度が低い東日本大震災級の巨大津波(L2津波)には、ハードとソフトの総合対策で対応する。
ざっとそんな内容だ。
自治体はこの方針に沿い、過去の津波の記録やシミュレーション結果に基づいて堤の高さを決める。ただ、「だから高さは変えられない」というかたくなな姿勢では、反発を招き防災対策がかえって遅れかねない。
専門調査会は「環境保全、周辺景観との調和、経済性、公衆の利用などを総合的に考慮する」とも強調している。柔軟に考える必要があることを、国は自治体に改めて説明すべきだ。
貴重な資源である「海」との向き合い方の変遷は、海岸法の歴史に表れている。
「海岸の(災害からの)防護」を目的としてできたこの法律は、90年代末の改正で「環境保全」や「適正な利用」といった視点が加わった。今国会で審議中の改正案には、植樹を「緑の防潮堤」と位置づけ、清掃や動植物保護などを手がけるNPOを海岸協力団体に指定する制度が盛り込まれている。
防災と環境維持を両立させる。行政と住民の連携を深め、「自分たちの海岸」として保護・活用していく。
そうした観点を大切に、防潮堤問題に取り組みたい。
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